家賃収入だけで生活することができれば、こんな嬉しいことはないと思う人も多いのではないでしょうか。
時間に余裕ができれば、自分のやりたいことができると…。
しかし家賃収入だけで生活をするためには、それなりの覚悟と努力をしなければなりません。
不動産投資にはさまざまなリスクがあり、失敗した場合には多額の借金を背負うこともあるでしょう。
この記事では、家賃収入だけで生活するためのやり方やポイントなどについて解説をします。
目次
1. 家賃収入のみで生活をすることは可能!
まず、前提として家賃収入だけで生活することは可能です。
ただ、家賃収入から不動産投資をする際に生じる経費を引いた「不動産所得」でプラスを維持しなければ家賃収入のみで生活することは難しいと言えるでしょう。
家賃収入と不動産所得の違い
初めに、「収入と所得とはどう違うの?」と思う人がいると思います。
家賃収入とは、アパートやマンションを賃貸することによって得らえる売上を言います。
家賃収入から、さまざまな経費を引いたものを不動産所得といいます。
計算式で表すと次の通り。
不動産所得=不動産収入-必要経費
したがって家賃収入で生活をするためには、ただ単に家賃収入を多く得るだけではだめで、必要経費を極力減らし手元に残る所得を多くしなければなりません。
家賃収入がいくらあれば生活が可能?
それでは家賃収入がどれほどあれば生活ができるのでしょうか?
2024年(令和元年)平均の家計調査報告書(家計収支)によりますと、二人以上の世帯の支出額はひと月293,379円なので、
年間330万円程度の不動産所得があれば生活が可能ということに。
例えば家賃8万円の部屋を6室賃貸できれば、年間で576万円の家賃収入を得ることができます。
したがって逆算すると、経費を年間246万円以下に抑えられれば家賃収入だけで生活が可能。
逆に言うと区分マンション一室のみだけでは家賃収入のみで生活することは難しいと言えます。
参考:総務省統計局家計調査
2. 家賃収入のみで生活するために必要な年収は500万円!
それでは家賃収入で生活するためには年収500万円である理由を説明しましょう。
家賃収入のみで生活できる人の割合
家賃収入だけで生活するためには、330万円程度の所得が必要、したがって500万円程度の家賃収入は欲しいところ。
家賃収入だけで生活できる人は何割ぐらいいるかという正確なデータはありません。
国税庁の不動産所得者の申告納税者情報から推測すると、多くても4割程度ではないかとされています。
しかし不動産所得者には、ほかの所得がある人もいるので、確固とした数字を知ることはできません。
家賃収入のみで生活できる人とできない人との違い
ワンルームマンション程度であれば、給料をもらいながら不動産投資を行うことは可能でしょう。
しかし不動産の管理業務には、入居者の募集に始まり
- 賃貸契約の締結
- 家賃の集金や督促
- 清掃
- 入居者からのクレーム対応
- 退去の確認
- 部屋の修繕や原状回復
など多岐にわたります。
複数の不動産物件を扱えば扱うほどスタミナがかかるので、その場合は不動産会社に管理を依頼せざるを得ないということに。
また管理会社に依頼しても、緊急を要することも多くあり、すぐ駆け付けられるぐらいの気持ちと時間的余裕が必要になります。
「不動産経営で生活を維持するのだ」という強い気持ちを持って、不動産投資に専念しなければ、家賃収入だけで生活することは難しいでしょう。
家賃収入で生活していくためにするべき行動2つ
次に家賃だけで生活をするために、重視すべき点を2つ挙げて解説します。
不動産投資についての取り組みにシビアなこと
不動産投資を片手間でやろうと考えても、成功はあり得ません。
成功するためには、きちんと不動産投資に取り組むことが必要です。
また不動産投資に必要な法律や情報は絶えず変わっていくので、絶えず勉強し対応できるようにしておかねばなりません。
努力を怠っていると、儲けるチャンスを逸したり、場合によっては法律違反となってしまうことも。
セミナーやインターネット・書籍など勉強の機会はさまざまあるので、積極的に取り組みましょう。
物件を見る眼を養おう
不動産投資の最大のポイントは、いかに良い物件を手に入れるかです!
優良物件の条件は、なんといっても「都会にある交通の便が良い物件」。
優良物件を手にすることができれば、たとえ空室が出てもすぐに埋まり、継続的に利益を生み出し続けてくれます。
まずインターネットなどで物件を見る眼を養い、不動産会社などにアンテナを張り巡らせることも必要。
優良物件はだれでも狙っており、これはと思ったら直ちに購入するようにしましょう。
3. 家賃収入500万円を達成するためのシミュレーション
それでは500万円の家賃収入を得るための方法について説明しましょう。
借入金を不動産投資の味方につける方法
不動産投資は、一般的に金融機関からの融資を受け物件を購入します。
不動産投資ローンを利用すれば、たとえ頭金が少なくてもレバレッジ効果(てこの原理を生かして少額の資金で大きな取引をすること)を発揮して大きな金額を借り入れることが可能。
また優良物件が見つかれば、すべて金融機関からの借入金(フルローンといいます)で賄うこともできます。
多額の借り入れができれば、その分物件を購入でき、大きな利益を生み出せる可能性も高くなるでしょう。
したがって借入金は、不動産投資にとって大きな味方と言えます。
家賃収入500万円達成するためのシミュレーション
500万円の家賃収入を得るためには、どの程度の規模の不動産投資を行えばよいのかシミュレーションをすることが必要。
以下の条件で物件を購入したとします。
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計算は煩雑なので「東急リバブル収益シミュレーション」のようなシミュレーションサイトを利用すると便利。
この場合の収支試算は次の通り。
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このシミュレーションにより768万円の家賃収入があれば、348万円の所得を得ることが可能になり、夫婦2人であれば家賃収入のみで生活できます。
4. 家賃収入のみで生活に成功している人のこだわりポイント
それではどんなことに気を付ければ、家賃収入だけで生活できるだけできるのでしょうか。
家賃収入のみでの生活に成功している人が実際に実践しているポイントをご紹介しましょう。
①エリアで人気がある中古マンションを探す
物件選定にあたっては、人気のエリアにあることが重要。
一般的に人気のエリアとは都会にあり交通の便が良い場所です。
都会にある交通の便が良い場所にある物件ならば、たとえ空室が出てもすぐ埋まります。
また人気のあるエリアでは新しく賃貸住宅を建てる場所はほとんど皆無、また新築物件が見つかっても手に届かないような価格です。
したがって程度の良い中古物件を探すのがおすすめ。
②低金利で融資を受けられる金融機関を探す
金利条件によって返済総額は大きく差がでます。
したがってできるだけ低金利の金融機関を探し契約することが成功の大きなポイント。
金融機関別の金利は下記のとおりです。
金融機関の種類 | 融資基準と金利 |
メガバンク | 低金利だが、融資基準は厳しくなっている |
ノンバンク | 融資基準は緩やかだが、通常金利は高く設定 |
地方銀行・信用金庫 | メガバンクとノンバンクの中間の位置づけ |
金融公庫 | 最も低金利だが、多額の借り入れは不可能。 個人事業者は比較的借りやすい |
③最大限の経費計上・節税対策を行う
不動産投資では、単なる家賃収入だけではなくできるだけ経費を計上し、最大限に税金を圧縮(節税)することも重要。
家賃収入には、家賃のほかに共益費や賃貸借契約の更新料・礼金・返金の必要のない保証金も含まれます。
次の項目は経費計上が可能です。
経費の種類 | 概要 |
税金 | 固定資産税や都市計画税・不動産取得税・印紙税 |
保険料 | 火災保険料や地震保険料 |
管理手数料 | 不動産管理会社の物件管理料 |
税理士・司法書士への報酬 | 確定申告や登記手続き |
修繕費 | 建物や設備の修理費や空室が発生した場合の原状回復費 |
ローン金利 | ローンの金利部分 |
減価償却費 | 減価償却費は、支出が伴わない経費として計上が可能なので、節税対策としては大変有効。 建物や設備などの購入代金を、取得した年度に一括して計上せずに、耐用年数に応じ毎年分割して計上できる。 なお建物の耐用年数は、構造により定められている。 |
④賃貸人の対応を手厚くする
不動産経営を行うことで大事なことは、賃貸人とのコミュニケーション。
人と人との関係を大事にし、相手の立場に立って対応することが重要です。
設備等の不具合があれば直ちに対応し、アパート内の入居者や近隣住民とのいさかいがあれば駆け付けるなど真心をもって対応しましょう。
オーナーが誠心誠意管理してくれることが分かれば、賃貸人も協力してくれ家賃を滞納することも少なくなるでしょう。
⑤ランニングコストを抑える
不動産投資のランニングコストとしては、不動産会社に支払う管理費や清掃料・物件の点検費用・修繕費・税金・広告・保険料・ローン金利などがあります。
しかしランニングコストは、必要不可欠なもので無理に抑えようとすると、さまざまなひずみが生じる恐れがあります。
例えば不動産会社に支払う管理費を削減して自分ですべてやろうと思うと、大変なスタミナがかかることに。
清掃費をカットすれば、賃貸人からクレームが起こることでしょう。
ランニングコストを抑える方法
抑えられる可能性のあるランニングコストもあるので、極力減らす努力をしなければなりません。
次にあげる項目についてはある程度コストを抑制することが可能。
- 金融機関にローンの金利を下げてもらう
例えば金融機関でキャンペーンやプランが出ることも - 管理費が高い場合には不動産管理会社を変更する
業務範囲が同じでも管理費用に大きく違う場合があるのでよく調べることが大事 - 多額の修繕費がかからないように、こまめにメンテナンスを行う
建物のチェックをこまめにおこなえば、多額の費用が掛からないことも
5. 家賃収入のみで生活するための投資用物件の選び方
家賃収入を堅実に得るために最も大事なのは、なんといっても優良物件を選ぶこと。
次に優良物件を選ぶポイントについて説明します。
空室リスクを最大限に抑えられる物件
空室リスクは不動産投資をする上で避けられないものですが、長期間続くと家賃収入が減り生活に大きな影響が出ます。
空室リスクを回避するには、人気のあるエリアに物件を保有すること。
都会で駅に近い物件であれば、空室が発生してもすぐに埋まるでしょう。
投資効率を高められる中古物件
格安な中古物件を手に入れれば、投資効率を高められます。
しかし単なるリフォーム程度で賃貸に出しても、魅力的な住宅にはなりえず、賃貸人は現れないでしょう。
中古物件を購入したら、リノベーションし付加価値を高めて収益率を向上させる必要があります。
しかしこの場合においても、都会の駅から近い距離にある物件を選定することは重要。
ランニングコストが安いワンルームマンション
不動産投資を行えば、必ずランニングコストがかかってきます。
ワンルームマンションは次のような点でランニングコストが安くなります。
- 部屋数が一般的に多いので、大規模修繕積立金は少なくなる
- 部屋数が少なければ、管理を自分で行うことも可能
- 固定資産税評価額は、室内の大きさに比例して評価されるので、低く抑えられる
汚く誰にも見向きもされない物件
汚く誰にも見向きもされないような築古物件でも、リノベーションすることで魅力的な部屋にすることは可能。
格安な価格で購入して、モダンな間取り最新の設備に一新すれば、高い家賃で貸し出すこともできます。
ただしこの場合でも、駅から近い交通の便利が良いエリアで物件を探すことは必要です。
任意売却物件
任意売却物件とは、金融機関への返済が滞った場合に、金融機関の同意を得て売却する方法。
通常の物件と比較して、安価で購入できるメリットがあります。
そのため利回りが良くできる可能性があり、キャッシュフローを出しやすいのが魅力。
しかしさまざまなトラブルが起こる可能性があるので、購入する場合には注意しましょう。
6. 家賃収入を増やすためにしておきたいポイント
家賃収入を増やすために行うべきポイントについて解説しましょう。
投資物件の購入価格に注意を払う
不動産投資で利益を得るポイントは、できるだけ安い価格で購入すること。
しかし安さだけに目が行ってしまい、駅から離れた交通の便が悪い場所にある物件を購入してはいけません。
そのような物件を購入すれば、いつまで経っても入居者が現れないことに。
リスク対策を講じておく
不動産投資では、次のようなさまざまなリスクがあります。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 修繕リスク
- 家賃下落リスク
- 管理会社倒産リスク
- 不動産価格値下がりリスク
- 金利上昇リスク
- 災害リスク
これらのリスクに対応するためには、下記のような対策を講じておくことが必要です。
- 人気のエリアに物件を購入すること。
- 信頼のおける不動産管理会社をえらぶこと
- 事業計画を立てシミュレーションをおこなうこと
- 火災保険や地震保険に加入すること
- 余裕資金を保持しておくこと
- 不動産投資の勉強をして、新しい情報を入手すること
物件のメンテナンスを日頃から行う
建物や設備には耐用年数があり、年月を経るにつれて劣化します。
劣化した物件ではなかなか空室は埋まらず、現れたとしても高い賃料では貸せないことに…。
そこで日ごろからメンテナンスを行えば、劣化を遅らせることが可能。
通常のメンテナンスを怠れば、思わぬ修繕が発生し莫大な費用が掛かることがあります。
賃貸できる物件の数を増やす
賃貸物件の数を増やせば家賃収入を増やすことができますが、自己資金だけでは難しく、通常融機関からの借り入れが必要になります。
そのためには金融機関の信用を得なければなりません。
まず1棟目の物件の管理をきちんと行い、返済もスムーズに行うことが大事です。
信用が得られれば、金融機関も融資を認めることになるでしょう。
投資スタイルに合った不動産管理会社を見つける
物件の選定と同じくらいに大事なのは、信頼できる不動産管理会社を探すこと。
また不動産管理のあり方は、投資スタイルによって異なってきます。
例えば別に仕事を持ち、不動産投資に全力をつぎ込めない場合には、ほとんどの業務を管理会社に依頼しなければなりません。
また管理する物件が少なく、ほかに仕事を持たないような場合には、入居者の募集など限られた仕事を依頼すればよい場合も。
いずれにしても管理会社は不動産管理を行う上で大事なパートナー。慎重に選ぶようにしましょう。
借入金の割合を40%以内に抑えるようにする
不動産投資は、優良物件が見つかれば全額借入金で賄うことも可能。
しかし、不動産経営では空室リスクや金利上昇リスクなどさまざまなリスクがあります。
借入金が多いと、いざお金が必要な時に対応できず不動産経営から撤退せざるを得ないことに。
したがって不動産経営では、借入金の割合を少なく抑えある程度の余裕資金を持つことが大切です。
7. 家賃収入を少しでも手元に残すために確定申告をしよう
家賃収入を少しでも多く手元に残すには、確定申告を行い節税することが大事です。
家賃収入と不動産所得の違い
不動産所得はすでに述べたように家賃収入から必要経費を引いたもの。
したがって確定申告をすることにより、必要経費を計上し不動産所得を増やすことが可能です。
確定申告を行い、できるだけ節税するようにしましょう。
所得によって税額が決まる
不動産所得は、累進課税なので収入が増えれば税率が上がります。
税率は5%~45%で7段階に分かれており、速算表は以下の通り。
所得税速算表:国税庁ホームページ
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば所得金額が400万円の場合の税額は次のとおりです。
4,000,000円×0.2-427,500円=372,500円
家賃収入で発生する税金の計算例
不動産投資における所得税の計算方法について説明しましょう。
例えば下記のような家賃収入と必要経費とします。
- 家賃収入:500万円
- 必要経費:200万円
まず家賃収入から必要経費を引いて、不動産所得を算出します。
したがって300万円が不動産所得になります。
次に課税所得額を算出しますが、不動産所得から所得控除の合計額を引いたもの。
300万円の所得の場合、上記速算表に当てはめると、
3,000,000円×0.1-97,500円=290,250円
したがって290,250円が税額となります。
なお2037年までは、所得税額に2.1%乗じて計算した復興特別所得税を納付しなければなりません。
また翌年には住民税を支払わなければなりませんが、これは前年の所得額によって決まり税率は、各自治体の条例によって異なっています。
確定申告での必要書類
確定申告をする際には下記の書類が必要です。
8. 家賃収入のみで生活するならポイントを押さえて計画的に投資しよう
この記事では主に家賃収入だけで生活できるポイントを解説してきました。
家賃収入があれば、老後もお金に不自由のない生活が送れますが、しっかりと計画すればそれほど難しいことではありません。
投資計画をきちんと立て、それを着実に実行することが大切です。
なお、不動産投資でわからない点や不安な点があればMIRAIMOの「LINE公式アカウント」や「勉強会」に相談してみましょう。
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