不動産投資に興味はあるけど、「どのくらいのランニングコストがかかるのだろう?」と費用面が気になっている方もいるかもしれません。
不動産投資をおこなう際には建物の維持管理や税金などさまざまな費用がかかり、それらを考慮した上で計画を立てることが収益をあげる上でとても重要です。
この記事では不動産投資のランニングコストの種類や目安に加え、1年間に掛かる費用を実例シミュレーションを交えて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 不動産投資のランニングコストとは?
不動産投資を行う際にはランニングコストを考慮しなければなりません。
ランニングコストとはどのような費用のことでしょうか?
ランニングコスト=維持管理にかかる費用
ランニングコストとは建築後にかかる、維持管理に要する費用のこと。
税金や水道光熱費・保全管理費・修繕費などの不動産投資をおこなっていく上で必要になる総費用がランニングコストです。
ライフサイクルコストとは
建築後の維持費がランニングコストなのに対して、建物の設計費用や建築費用など完成までに要する費用のことを「イニシャルコスト」といいます。
そのイニシャルコストとランニングコストを合わせたものが「ライフサイクルコスト」。
これまでの日本の住宅建設では、ランニングコストよりイニシャルコストを低く抑えることを優先していました。
しかし現在においては、建物の価値を設計から廃棄までトータルで考えるライフサイクルコストが重要であり、「ランニングコストを下げるためにはイニシャルコストが重要だ」という考え方が台頭してきています。
2. ランニングコストに含まれるものとは?|マンションやアパートなどの場合
マンションやアパートを所有して不動産投資をおこなう場合、さまざまな費用が必要になります。
実際にどのようなランニングコストが必要なのでしょうか?
まずは下の表をご覧ください。
固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4% |
---|---|
都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3% |
所得税 | 課税所得から計算 |
管理費 | 家賃収入の3~5% |
修繕費 | 家賃収入の5~7%程度 |
共用部の水道光熱費 | 最低でも年間10万から |
除雪に関する費用 | 1回あたり数万円~10万円ほど |
税理士顧問費用 | 月3~10万ほど |
登記費用 | 住所変更では3万円 |
このように不動産経営を維持していくためには、さまざまな費用がランニングコストとしてかかるのです。
それでは、それぞれ具体的に解説していきましょう。
①税金
税金は不動産を所有しているならば毎年必ずかかるランニングコストです。
不動産投資を行う際に発生する税金は主に以下のものがあります。
固定資産税
固定資産税は毎年1月1日時点で所有している不動産にかかる税金です。
所有不動産の固定資産税評価額の1.4%が納税額。
ただ、自治体の財政が困難な場合、地域によっては標準税率より引き上げられているケースもあるのでご注意ください。
また固定資産税評価額は市町村によって異なりますが、一般的には不動産物件価格の50~60%程度とされています。
都市計画税
固定資産税と合わせて納める税金。
固定資産税と同じく固定資産税評価額から計算され、固定資産税評価額の0.3%です。
所得税
不動産投資で得た不動産所得には所得税がかかります。
個人で不動産投資をおこなっている場合、家賃収入と給与所得など他の所得と合算した金額から必要経費や各種控除を差し引いた「課税所得」を基に計算されます。
課税所得=(家賃収入-必要経費)-各種控除
課税所得金額が大きい場合は最大で40%を所得税として納める必要があり、利益の半分近くが徴収されることになります。
②管理費
マンションやアパートなどを所有して不動産投資をおこなう際には、ランニングコストとしてさまざまな管理費が必要になります。
オーナー自身で自主管理する場合もありますが、通常は賃貸管理会社と業務委託契約をして業務委託費を支払うケースが多いです。
賃貸管理会社に支払う管理費は、下記の2つに大別されます。
PM業務|入居者に関するもの
PM(プロパティマネジメント)業務とは、オーナーの不動産経営をソフト面からサポートする管理業務のこと。
テナント・入居者の募集や家賃回収、クレーム対応など「入居者に関する」ものが主な業務であり、賃貸管理会社によってはコンサルティングや税務アドバイスなどをおこなっている会社もあります。
PM業務として代表的なものは以下の通りです。
- テナントや入居者募集
- 契約更新・退去手続き
- 物件案内活動(リーシング業務)
- 賃貸契約締結業
- 賃料の回収や滞納者への催促
- トラブル・クレーム対応
- 工事や修繕の発注・管理
- 不動産活用コンサルティング、税務・法務サポート
BM業務|建物に関するもの
PM業務がソフト面をサポートする一方、BM(ビルマネジメント・ビルメンテナンス)業務は不動産経営をハード面からサポートすることが業務内容。
オーナーに代わって、建物の警備や巡回、設備の点検などの「建物に関する」業務をおこないます。
主な業務内容は以下の通りです。
- 建物の警備・巡回・防犯業務
- 建物設備の工事・点検管理
- 建物清掃業務
- 防災消防・保守管理
- 植栽・美観の管理
これらの管理委託費用は各管理会社によって当然異なりますが、目安としては家賃収入の3~5%程度です。
また入居者の募集の際には管理費とは別に仲介手数料が賃料の1ヶ月、宣伝広告費が3ヶ月分ほど発生することもあるので見込んでおきましょう。
③修繕費
建物を維持していく上で修繕費は必ず発生します。
点検や清掃はもちろんのこと、適切な修繕を施していないと入居希望者から敬遠されてしまい、不動産投資がままならないこともあるでしょう。
また入居者が退去した際には「現状回復リフォーム」をしなければなりません。
気になる費用ですが、退去の状況や工事内容により増減するので明確にランニングコストとして算出することは難しいです。
目安として家賃収入の5~7%程度を想定しておきましょう。
④共用部の水道光熱費
廊下やエレベーターの電気代・植栽への水やり・ゴミ置き場の清掃など、建物共用部の水道光熱費はオーナーが負担しなければなりません。
建物の規模によって異なりますが、最低でも年間10万は見込んでおきましょう。
⑤除雪に関する費用
雪が降るのが当たり前の寒冷地においては、除雪もランニングコストに含まれます。
費用は一般的に1回あたり数万円から10万円ほど。
冬季に何回くらい除雪を要請するのかによって年間コストは異なります。
⑥法人化している場合のランニングコスト
法人化して不動産投資をおこなっている場合には、どのようなランニングコストが必要になるのでしょうか?
固定資産税・管理費・修繕費などは個人と同様ですが、法人ならではの費用が別途かかります。
法人税
個人の場合は所得税を納めますが、法人が不動産投資で利益を得た場合には法人税を納めなければなりません。
利益から管理費や人件費などのさまざまな会社運営費を差し引いた金額から算出されますが、法人税の場合個人より経費として認められる範囲が広いのがメリットです。
税理士顧問費用
法人は経理業務が煩雑になり、決算期には決算書も提出しなければなりません。
専門家でないと難しいことも多く、税理士や会計士と契約するのが一般的です。
契約する税理士や会社の規模によっても異なりますが、会計顧問契約料としては月3~10万ほどが相場。
あわせて決算時の代行業務で数十万円がかかるケースもあります。
登記変更費用
法人は役員が代わったり移転したりした場合には、届け出が必要です。
登記の変更をする際には印紙代がかかります。
変更内容によって異なりますが、たとえば住所変更では3万円です。
3. 年間のランニングコストはどれくらい?実例シミュレーション
それでは、実例シミュレーションをご紹介しましょう。
東京都杉並区の築13年、全10戸の中古アパートを例にとってシュミレーションします。
- 建物:東高円寺駅徒歩8分平成19年築2階ロフト付き全10戸
- 購入金額:1億1,200万
- 年間見込み家賃収入:672万
- 管理費:家賃収入の5%=33万
- 修繕費:家賃収入の5%=33万
- 固定資産税・都市計画税:評価額(購入価格の50%の場合)=112万
- 所得税:87万(利益が年間700万とした場合の目安)
- 共用部水道光熱費:10万
こちらのケースでは、年間にかかるランニングコストは275万ほどになりました。
ひとつの例として参考にしてください。
こちらでは省略しましたが「ローン返済額」をランニングコストとしてみなす考え方もあります。
不動産投資をする上でローンを組んだ場合はもちろんそちらも毎月の出費になることも覚えておきましょう。
キャッシュフロー(手残り)のシミュレーションについては以下の記事を参考にしてください。
4. ランニングコストを把握して不動産投資の収支計画を立てよう!
不動産投資をおこなう際にはランニングコストをしっかりと把握することがとても重要です。
特にローンを組んだ場合には返済費用がさらにかかるため、収支が圧迫され最終的にマイナス収益になってしまっては本末転倒。
慎重に収支計画を立てましょう。
もし、ご自身で収支計画を立てることに不安がある場合は不動産のプロに相談してみませんか?
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