不動産投資では、様々なケースで投資物件を売却しなければならないことがあります。
たとえば、物件の周辺環境が激変して地価が高騰したようなケースであれば、
引き続き賃貸収入を得ているよりも売却した方が、より多くの利益を得ることができるかもしれません。
不動産投資では、最終的に売却するまでを含めて成否の判断をすることになります。
したがって、実施した投資の締め括りとして上手く売却ができれば、結果としてその投資を成功に導くことができるのです。
今回は、出口戦略としての売却について解説しましょう。
実は、不動産投資物件の売却はタイミングにより成否が決定するのです。
そこで、不動産投資を成功させるための6つのポイントを紹介しますので参考にしてください。
目次
1. 不動産投資で売却を成功させるポイント6つ
不動産投資では、出口戦略としての売却までを考慮したトータルな戦略を立てなければいけません。
したがって、最終的に上手く売却できるかどうかが成功のカギになります。
そこで、売却を成功させるための6つのポイントを紹介しましょう。
①投資物件を売却するまでに期間を設ける
不動産会社に仲介を依頼すると、売却までに3カ月~6カ月くらい必要だと言われます。
売り出せば、すぐに売却できるわけではありません。
したがって、売却する時には計画的に予定期間を設けておきましょう。
しかし、売主が売却に向けて適切な事前準備を行えば売却期間を短縮することも可能です。
売却を決断した時には、相場を確認するなどの事前準備をしておくことがスムーズな売却につながります。
②見積もりは複数の不動産会社に依頼する
不動産の売却では、売り出し価格を決めるために物件を査定する必要があります。
査定時の見積もりは複数の不動産会社に依頼してください。
なぜなら、不動産会社には売却する物件に応じて得手不得手があるからです。
販売実績の多い得意な物件であれば、高額売却の可能性も少なくありません。
複数の不動産会社に査定を依頼して見積もりを比べるのが不動産売却のコツです。
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③不動産投資マーケットを見て売り時を確認する
不動産投資マーケットは常に変動しています。
不動産売買の鉄則は、安い時に購入して高い時に売却すること。
不動産投資の売却では相場などの市場調査が必要になります。
現在だけではなく、将来的な展望も欠かせません。
④投資物件を築15年までに売却する
不動産投資では、物件を築15年までに売却するのが有効だと言われます。
なぜなら、築15年を超えると価格の減少率が大きくなるからです。
しかし、築20年を超えると減少率は緩やかになります。
築20年程度の物件だと大規模修繕が必要になり、多額の出費が必要になるというデメリットが原因となっているのでしょう。
大規模修繕を実施していれば、そのまま利用できるので減少率が緩やかになるのです。
⑤買主が個人か法人かを決定する
売却するのが5億円以下の一棟マンションであれば、買主が個人か法人かにより売却価格が変わることがあります。
個人が買主になるのであれば、収益性よりも総額を意識するケースが少なくありません。
なぜなら、不動産が行政に収用されたために代わりの物件を求めるようなケースであれば、収用された不動産の総額に応じた物件を探すからです。
したがって、個人で購入可能な物件であれば、法人よりも個人の方が高く売却できる可能性があります。
⑥売却に必要な費用を節約する
不動産の売却では 、売却代金を手にすることができます。
しかし、同時に売却する際にかかる費用の出費も必要になるでしょう。
したがって、売却費用を抑えることで手取り額を増やすことが可能。
たとえば、仲介手数料の値下げ交渉を行う他、必要のないリフォームなど売却物件のメンテナンスを最小限にするなどの方法で売却費用を抑えるのです。
2. 不動産投資物件の売却はタイミング次第で成否が決定する
投資物件を売却するタイミングが不動産投資では重要なポイントになります。
したがって、売却する時には不動産投資マーケットの状況や売却方法を十分に検討しなければいけません。
不動産投資マーケットは常に動いている
不動産投資マーケットは常に動いています。
好調を維持していた不動産市場ですが、2024年以降は東京23区の新築マンションですら価格が下がるとの予想が少なくないのです。
したがって、マーケットの流れとしては今が売り時かもしれません。
不動産投資では、投資マーケットのアップダウンを把握できるかどうかが成功のカギだと言えるでしょう。
理想的な売却方法は購入時より高く売却すること
たとえば、投資物件を価格の安い時に購入し、価格が上昇してから売却すれば 売買の差額による収益が生じます。
不動産投資では、このような取引で収益を得る売却方法を「キャピタルゲイン」と言うのです。
物件を売買するだけで収益を上げることができるので、手っ取り早い投資手段だと言えます。
ただし、不動産投資マーケットに精通していなければ安定して収益を得ることは難しいでしょう。
3. 不動産投資物件の売却を考えるべきタイミング
不動産投資で成功するためには売却のタイミングがポイントになります。
しかし、売却のタイミングをつかんでいる人は意外と少ないのです。
そこで、売却を考えるべきタイミングを具体的に確認してみましょう。
デッドクロスに陥ってしまう前
不動産投資には所得税を節約できるというメリットがあります。
実際に出費したわけではないのに経費に計上できる「減価償却費」を利用できるからです。
しかし、物件の築年数が古くなると減価償却費による所得税の節税効果が悪くなります。
そして、減価償却費による節税効果よりも、経費として計上できない元金返済負担が多くなることを「デッドクロス」と言うのです。
デッドクロスになるとキャッシュフローが悪くなるため、デッドクロスになる前が売却する一つのタイミングになります。
キャピタルゲインが発生するとき
キャピタルゲインを得られる可能性が発生すれば売却のタイミングだと言えるでしょう。
不動産バブルの全盛期には、土地価格の高騰によりキャピタルゲインによる収益を求めて不動産の売買が多発しましたが、
現在の不動産マーケットは比較的緩やかなアップダウンを続けています。
したがって、家賃収入により収益を上げる「インカムゲイン」が主流でしょう。
しかし、周辺環境の変化によりキャピタルゲインが発生することも少なくありません。
物件の近くに新しく駅ができたり、環境が整備されたりすると地価の上昇につながるため、そういった機会を狙って売却するのです。
購入に失敗した物件の損切り
不動産投資でスムーズな運用を行うためには物件選びがポイント。
物件選びに失敗すると運用が困難になることは否めません。
したがって、物件選びを誤ったのであれば、傷口を広げないために早急に売却を検討することに。
選択ミスした物件を売却することを「損切り」と言います。
不動産投資では、物件の見切りの判断も大切です。
物件選択に失敗すれば、早めに売却などの対策を講じることも必要になるでしょう。
大規模修繕などによる多額の費用が発生する前
たとえば、マンションのような賃貸物件であれば、定期的なメンテナンスが必要です。
必要に応じて大規模修繕など多額の費用が発生する場合もあります。
一般的に築年数が10年を超える物件であれば、大規模修繕の実施によりキャッシュフローが悪化する傾向が少なくありません。
大規模修繕前を売却のタイミングとして判断することもできるのです。
4. 不動産価格に影響する要因
不動産物件の売却では、少しでも高く売りたいものです。
なぜなら、売却で成果を上げられなければ、それまでの運用が台無しになるからです。
そこで、どのような要因が不動産価格に影響するのかを確認しておきましょう。
外的要因
外的要因とは、「物件を取り巻く環境の変化により価格が変動すること」を言います。
たとえば、大学の移転による学生の減少や商業施設の設置による人の増加など、人の流れが変わると賃貸需要も異なってくるのです。
賃貸需要が減少すれば不動産価格は低くなり、賃貸需要が増加すれば不動産価格は高くなるのが一般的な傾向だと言えます。
内的要因
内的要因は、自分自身が努力することで改善できます。
たとえば、賃貸物件は時の経過とともに老朽化していきます。
不動産価格も老朽化に応じて減少していくでしょう。
しかし、定期的なメンテナンスを実施することで、老朽化による価格減少を遅らせることが可能です。
5. 投資物件の売却で発生する費用
投資物件を売却して利益が出れば税金を支払わなければいけません。
売却益にかかる税金を計算するためには、まず税金をかける譲渡所得を計算する必要があります。
譲渡所得の計算方法は
譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)
投資物件の売却にかかる税金シミュレーション
たとえば、取得費8,000万円の物件を1億円で売却したとしましょう。
譲渡費用を400万円として、売却にかかる税金をシミュレーションしてみます。
譲渡所得の計算 |
1億円(売却代金)-(8,000万円(取得費)+400万円(譲渡費用))
=1,600万円(譲渡所得) |
計算した譲渡所得に税率をかけて「所得税」と「住民税」を計算します。
なお、売却した物件の所有期間が5年以内であれば短期譲渡所得になり税率が高くなるので注意してください。
譲渡所得にかける税率 | ||
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
したがって、所得税と住民税の額を合計すると、短期譲渡所得であれば「1,600万円×39%=624万円」になり、
長期譲渡所得であれば「1,600万円×20%=320万円」になるのです。
6. 不動産投資で売却時に発生する費用
不動産投資で売却時に発生する費用は、先に述べた所得税と住民税だけではありません。
そこで、その他の税金や税金以外の諸費用についても説明しましょう。
物件を売却する時には、あらかじめ費用の額を把握しておかなければ正確な手取り額がわからないのです
不動産売却時に発生する費用
不動産売却時に発生する費用には、税金以外にも様々な種類があるので把握しておいてください。
不動産会社への仲介手数料
仲介により売買契約が成立すると依頼した不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払わなければなりません。
仲介手数料は法的には「媒介報酬」と言われ、売買代金に応じて法律で上限が定められています。
売買代金 | 媒介報酬の上限額 |
200万円以下の場合 | 売却代金×5%(消費税を加算) |
200万円超400万円以下の場合 | 売却代金×4%+2万円(消費税を加算) |
400万円超の場合 | 売却代金×3%+6万円(消費税を加算) |
ただし、法律で義務付けられているのは媒介報酬の上限であるため、
媒介報酬を減額してサービスしている不動産会社もあります。
司法書士への報酬
不動産売買では、取引した不動産について登記しておかなければいけません。
登記する時には司法書士の手を借りるのが一般的でしょう。
たとえば、抵当権の抹消手続きであれば、登録免許税以外に司法書士への報酬が1~2万円必要になります。
繰り上げ返済手数料
ローンの残債を繰り上げ返済するのであれば、金融機関に対して返済手数料が必要になります。
手数料の額は金融機関によって様々ですが、一般的に1~2万円くらいが多いようです。
抵当権抹消登記費用(ローン残債がある場合)
不動産売買では、売却物件にローンが残っていると清算しなければいけません。金融機関に残債を支払って抵当権の抹消をするのです。
抵当権抹消登記に必要なのが登録免許税になります。
税額は不動産一つにつき1,000円です。
たとえば、土地付き建物であれば合計で2,000円になります。
投資物件の売却で発生する費用は「税金」
投資物件の売却で発生する税金は「所得税」と「住民税」だけではありません。
では、その他の税金について説明しましょう。
売買契約書に必要な印紙税
売買契約書には印紙を貼らなければいけません。印紙を貼ることで納税したことになるのです。
印紙税額は、たとえば「契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下であれば2万円」「5,000万円を超え1億円以下であれば6万円」など、契約金額に応じて異なります。
投資物件の所有権移転による登録免許税
登記の際に必要な税金が登録免許税になります。売買により物件の所有者に変更があれば、所有権移転登記により権利を主張するのが一般的でしょう。
土地については「課税標準」とされる不動産価格の1,000分の15(令和3年3月31日まで)であり、
建物については「課税標準」とされる不動産価格の1,000分の20(軽減税率が適用されると1,000分の3)です。
復興特別所得税
復興特別所得税は、2028年まで納めなければいけません。
税率は、譲渡所得税の2.1%です。
したがって、短期譲渡所得であれば「税率である30%×2.1%」で、長期譲渡所得であれば「税率である15%×2.1%」になります。
7. 投資物件を売却するときの注意ポイント
投資物件を売却する時に「これには注意しなければいけない!」という内容を紹介しましょう。
売却は不動産投資の最後の締めです。
出口戦略としての売却を完結するためにも必ずチェックしてください。
①金融機関のローン残債額の確認しておく
売却を希望する物件がローン返済中であれば、物件の売却時に一括返済するのが一般的でしょう。
売却代金を利用して残債を清算するのです。
したがって、あらかじめ金融機関のローン残債額の確認をしておかなければいけません。
残債額だけではなく、金融機関に支払う繰り上げ返済手数料なども含めて必要な額を確認しておきましょう。
②投資物件の売却による税制負担額を把握する
投資物件の売却では税制負担額のチェックが欠かせません。
たとえば、「所得税」や「住民税」では、売却した物件の所有期間により税率が大きく変わり、納付額が異なるので注意が必要です。
譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得」になり、所得税が30%、住民税が9%になります。
そして、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」になり、
所得税が15%、住民税が5%になるのです。
③売却時の利回りの重要性を理解する
投資物件を購入する時には、利回りに着目するのが一般的でしょう。
利回りとは、「年間の家賃総額に対する物件価格の割合」です。
利回りの高さが購入時のチェックポイントになります。したがって、利回りには注意しなければいけません。
空室があれば売却までに客付けしたいというのが売主の考え方でしょう。
しかし、家賃を下げて客付けを優先するのはオススメできません。
なぜなら、家賃が下がると利回りも下がるというデメリットがあるからです。
④投資物件売却時に控除できる税金がないか確認する
不動産の売却では大きなお金が動きます。
したがって、不動産売却についての税金の控除や特例を上手く利用できれば、メリットも少なくありません。
税制については、法改正や期間を指定した特例などもあるので、
あらかじめ国税庁のホームページをチェックして売却に備えておきましょう。
なぜなら、不動産投資で成功するためには税金の基礎知識が欠かせないからです。
8. 不動産売却時の失敗事例
不動産投資では、あらかじめ失敗事例を確認して、対策を講じておくことが成功のポイントになります。
そこで、投資物件の売却時に陥りやすい失敗を紹介しますので参考にしてください。
短期譲渡による失敗
不動産投資で利益を得れば、「所得税」と「住民税」を支払わなければいけませんが、売却時期を誤れば支払う税額に大きな違いが生じます。
購入してから5年以内に売却すると税額がおよそ2倍になるのです。
たとえば、譲渡所得が1,000万円だとしましょう。
長期譲渡所得であれば、所得税が1,000万円×15%=150万円・復興特別所得税が150万円×2.1%=3.15万円・住民税が1,000万円×5%=50万円
合計すると203.15万円になります。
ところが、短期譲渡所得であれば、所得税が1,000万円×30%=300万円・復興特別所得税が300万円×2.1%=6.3万円・住民税が1,000万円×9%=90万円
合計すると396.3万円とおよそ190万円もの差が!
管理会社との契約による失敗
不動産投資では、賃貸物件の運用を管理会社に任せるのが一般的でしょう。
しかし、管理会社との契約内容には注意しなければいけません。
たとえば、管理会社と家賃保証契約を締結している場合、売買契約で家賃保証契約の解除が条件とされていると問題が生じるケースがあります。
家賃保証契約では管理会社が一括借上げを行うので、借主としての権利を持ち契約の解除に応じないというリスクを負うのです。
また、管理会社によっては、契約の解除にあたり高額な違約金や手数料を定めている場合もあります。
したがって、管理会社との契約内容にはチェックが欠かせません。
9. 不動産投資で売却を成功させるにはタイミングが重要
不動産投資では、出口戦略としての売却を成功させるかどうかが大きなポイントになります。
売却に失敗してしまうと、それまでの運用での苦労が台無しになってしまうかもしれません。
そこで、売却時に意識しなければいけないのはタイミングだと言えるでしょう。
不動産投資マーケットなど市場の確認はもちろんのこと、物件自体の築年数なども考慮して売却のタイミングをつかむのです。
安い時に購入し、高い時に売却するという不動産投資の基本的な考え方に近づけるベストなタイミングを確認してください。
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