アパート経営を始める際に頭を悩ませる問題の一つとしては、経費として計上できるものとできないものがあること、
そして納税額をどの程度減らすことが出来るのかということではないでしょうか?
経費で落とせるものを十分に理解することが出来れば、確定申告時にも問題なく対応することが出来ます。
アパート経営は事業であるため、事業に関する費用を経費として計上することで、所得を圧縮し、払う税金を減らすことができます。
そのため、アパート経営において経費として認められるもの認められないものを理解し上手に活用しましょう。
家賃収入をより多く確保するためにも節税は欠かせない要素の一つです。
当記事ではアパート経営において認められる経費と認められない経費について解説しましょう。
目次
1. アパート経営における経費とは?
アパート経営における経費とは「不動産事業のために使った費用」のことです。
アパート経営で経費が重視される理由は、納税額に密接に関わるため。
アパート経営を行う場合、ほとんどの場合は納税額を確定させるために確定申告を行う必要があります。
確定申告をする際に、経費処理を正しく行うことで、手元に残る収入を増やすことに繋がるのです。
税金は入ってきた収入全てが対象ではなく、経営に必要であった費用、つまり経費を除いた所得を対象に算出されます。
収入と経費のバランスによって課税所得は大きく左右されるため、経費への意識は非常に重要です。
所得税の納税額は所得額に応じて決まります。
所得とは収入から必要経費を差し引いたものであり、納税額を少なくするためには、
アパート経営においてどのような経費がかかるのか、どれが必要経費と認められ、どれが認められないのかを把握し、管理することが重要です。
2. アパート経営で経費にできる費用15項目を徹底解説
実際に、アパート経営をする際に発生する費用のうち、経費計上できる16項目を解説していきます。
①減価償却費
アパート経営において最も大きな経費が建物・付随設備の減価償却費です。
建物は購入した直後から資産としての価値は減少していきます。どれだけ新品の建物も経年劣化し、価値は低下します。
モノの価値が低下した分を毎年経費として計上する、会計上の手続きのことを減価償却というのです。
物件を購入する際にはあらかじめ物件ごとの耐用年数が設定されています。
建築構造ごとの耐用年数をまとめたものが以下の通りです。
- 木造:22年
- 軽量鉄骨造:27年
- 重量鉄骨造:34年
- 鉄筋コンクリート造(RC造):47年
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):47年
例えば木造アパートの法定耐用年数は22年。
22年というのが毎年必要経費として計上できる金額であり、建築費6,000万円であれば272万7千円が経費として認められる金額です。
建物の価値を耐用年数年数で割り、1年にその値段分だけ価値が減少することから物件の購入費用を一括で費用とするのではなく、
対応年数分に分割して経費としようとする考えが減価償却です。
減価償却費の計算方法は2種類
減価償却には「定額法」と「定率法」の2種類が存在します。
「定額法」は毎年一定額を償却する方法で、「定率法」は取得初年度が最も減価償却費が大きく、2年目以降次第に減っていくという償却方法です。
ちなみに附属設備は平成28年4月1日以降に取得した建物については、
定率法は選択できず、定額法のみとなったので注意してください。
②租税公課
租税公課とは必要経費として認められている税金や公的な負担金のことを指します。
おおまかに言えば税金や公的負担金ですが、税金すべてが含まれるわけではなく、
法人税、都道府県民税及び市町村民税は該当しません。
また、該当するその年中に支払いが確定した費用が対象になります。
不動産投資に関連する租税公課としては、
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 事業税
などが対象です。
③火災保険・地震保険などの損害保険料
損害保険料は所有物件にかけている火災保険や地震保険等の保険料のことです。
アパート経営の際には、損害保険料を支払う必要が生じます。
ローン審査を通過することもそうですが、何よりもアパート経営のリスクを軽減させる目的でもあります。
自分の物件を守るためにも欠かせない支出といえるでしょう。
自宅兼賃貸物件の場合は、賃貸部分のみが対象となります。
④アパートの修繕費
建物の維持管理のために支出した費用を「修繕費」と言います。
主に原状回復工事(クロスの張り替えや壁の塗り替えなど)が該当します。
しかし、建物自体の価値を高める工事や、耐用年数を延長させる工事などは修繕費の対象にはならず、資本的支出として一度計上されます。
その後に減価償却を行う必要があるため、区別をする必要が。
主に建物の避難階段など、物理的に付け加えたものや用途変更に伴う模様替えなども修繕費ではなく資産と扱われます。
⑤交通費
アパート経営するための交通費を、経費として計上することができます。
- 不動産投資や賃貸経営などのセミナー参加時
- 業者との打ち合わせ
- アパート購入時
などの移動に使用した交通費などが該当。
物件確認の際のガソリン代も経費とすることができます。
⑥管理費
アパート経営の管理を行う場合は、大家自ら物件を管理する(自主管理)場合と管理の委託業者に頼む(管理委託)2つのパターンが存在します。
管理費は、管理会社に入居者募集や清掃等の管理について委託している場合の委託料。
管理費の相場は家賃の5%程度です。
⑦通信費
アパート経営における通信費とは、管理会社や入居者との連絡に使った電話代・郵便代・インターネット通信費などです。
⑧交際接待費
不動産会社・管理会社・税理士などとの打ち合わせのために使った飲食費などが、交際接待費に該当します。
⑨消耗品
物件撮影のために使用したデジカメや、チラシ作成のために使用したPC・プリンター・印刷用紙などを計上可能です。
⑩専従者給与
日常生活で生計を共にしている家族がアパート経営に従事している場合は、その分の給料を経費として申告することが出来ます。
青色申告では全額経費にでき、白色申告では86万円まで、
それ以外の専従者は50万円までと経費計上できる額が決まっているので注意が必要です。
⑪ローン保証料
ローン保証料とは万が一にローンが払えない状態が起こった際に、代わりにローンを肩代わりしてくれる保証会社に払うお金のことです。
金融機関によっては、ローン保証料を利息に含めていることがあります。
⑫ローンの利息部分
アパートを購入する際に組んだローンの利息部分のみが経費として計上できます。
アパート経営では、大きな必要経費の一つです。
仮に建物・附属設備合わせて8,000万円を全額ローン/元利均等30年返済/固定金利2.5%の場合、
初年度の年間の支払利息は約198万円とかなりの金額になることが分かります。
⑬地代・家賃
経営しているアパート・マンションの建物・土地等が借家・借地の場合の賃料が含まれます。
⑭水道光熱費
アパート・マンションの共用部分で使用している水道光熱費など。
⑮広告宣伝費
入居者募集に対してビラやチラシ等で広告宣伝をした場合は、広告宣伝費として経費計上することが出来ます。
3. アパート経営で経費として計上できないもの
アパート経営で経費として計上できない項目があるのでご紹介しましょう。
①土地や建物の売却にかかった費用
土地や建物を立てるまでの費用である測量費・取り壊し費・立退料などは、基本的に必要経費とすることができます。
しかし、売却費用をはじめとした測量費・取り壊し費用・立退料などは必要経費とすることはできません。
譲渡所得を計算する際に差し引く「譲渡費用」となるため、別計算が必要です。
②個人の生活費用
食費や光熱費、電話代などのうち、私生活で使用した費用は必要経費として認められません。
携帯電話の通信費、マイカーによるガソリン代などはとくに注意が必要です。
そのため私用とアパート経営にかかった分を上手に案分することが必要となってきます。
③ローンの借入金
ローンの利息部分は経費となりますが、ローン借入金の元本部分は経費にならないので注意が必要です。
④所得税や住民税
所得税・住民税はアパート経営で得た所得から算出される税金のため費用として計上することは出来ません。
しかし、経費によって所得を圧縮し、納税額を減らすことは可能です。
⑤罰金・追徴課税
所有物件管理に自動車を利用し、駐車違反をしてしまった場合の罰金や、
確定申告を期限内に行わなかった場合に課される追徴課税は経費になりません。
4. アパート経営を始めた初年度に経費計上できる費用は多い
アパート経営・マンション経営の初年度は、多くの経費を計上することができます。
物件を購入する際の頭金だけでなく、取得に関係する経費や税金も同時に発生するためです。
物件取得にかかる経費は高額なものが多いため、漏れがないように注意しましょう。
アパート経営初年度にかかる経費一覧表
アパート経営の初年度にかかる経費は以下の項目です。
費用 | 概要 |
仲介手数料 | 不動産仲介業者に支払う手数料は、宅地建物取引業法により基準額 売買価格×3%+6万円+消費税(売買価格400万円以上の場合)が定められています。 |
印紙税・不動産取得税 | 不動産売買契約や、ローン契約等に必要な税金を収入印紙の形で支払います。 また、不動産取得自体に課税があります。 |
登録免許税や司法書士報酬 | 所有権を登記する際に登録免許税がかかり、登記手続きを司法書士に依頼した場合は手数料が発生します。 |
修繕費やリフォーム費用 | 主に中古物件を購入すると、設備や建物の状況により発生する場合があります。 新築アパートでは発生しません。 |
ローン事務手数料 | ローンを組む際に金融機関に手数料(3万円か、借入額の2%前後)を支払います。 |
5. アパート経営における最適な経費の割合
アパート経営で適切な経費率は15%~20%程度と言われることが多いです。
ただし、全ての物件にこの条件が当てはまるわけではありません。
物件は全く同じ物が存在せず、規模・築年数・建築方法・立地など、それぞれ異なる条件を持っています。
よって経費率を一定で考えることはあまり効果的ではありません。
物件ごとのターゲットによっても修繕費は変わるため経費率も変動します。
経費率15%~20%の数字は、あくまで全物件に共通する項目で構成された数字のため、目安程度に留めておきましょう。
15~20%を基準にして自身の作りたい物件や入居者に歓迎される物件を目指すことが重要。
経費率を下げて利益を出すのはもちろん大切ですが、経費をかけても空室率を下げる方が重要になる場合もあるのです。
経費と空室率のバランスをとることは重要な課題となってくるでしょう。
最初に物件一覧を見比べる基準として、これぞと思う物件を見つけたら、
修繕を加える必要があるのか、どこをどうリフォームした方が良いのか、費用はどれぐらいかかりそうかということも見通す必要があります。
6. アパート経営にかかる経費を把握して、確定申告でしっかり計上しよう
アパート経営における経費の種類や範囲、経費を把握し、確定申告で漏れなく経費計上することで、税金を最小限に抑えることができます。
アパート経営やマンション経営は税金が多くかかるため、経費を正しく理解することで節税に繋がります。
今回ご紹介した経費は基本的なものですので、必要経費はここに挙げた以上に細かい条件や内容もあります。
特別控除のメリットがある青色申告へ切り替えを検討することも含めて、税理士などの専門家と相談すると良いでしょう。
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