不動産投資で家賃収入があると、その収入に対して所得税が発生します。
所得税を納めるのは義務であり、どれくらいの所得税になるのか計算しておくことが大切です。
更に、不動産投資をしていく中で、うまく節税をしていくことも投資を成功させるポイントでしょう。
今回は所得税の計算だけでなく、所得税がかかる仕組みや節税となる還付や控除が受けられる方法を分かりやすくご紹介します。
目次
1. 不動産投資にかかる所得税について解説
不動産投資で得た収入は「不動産所得」となり、所得税がかかります。
不動産所得とは、家賃収入で入ってきた金額全てが収入ではなく、収入金額から経費を差し引いた金額が所得額です。
その所得額に対して課せられるのが「所得税」。
所得税の種類も収入を得る方法によって異なるため、不動産投資による取得税について解説します。
所得税は累進課税
累進課税とは、所得額によって税率が変わってくる仕組みのことで、所得が高いほど税率も高くなります。
所得金額別で一定の税率が掛かりますが、控除される金額もあるので覚えておきましょう。
復興特別所得税とは
東日本大震災から被災地復興のための、必要な財源確保のための特別な課税措置です。
2013年1月1日から2037年12月31日までの期間に発生する所得に対して課せられます。
所得税額に対する税率×2.1%
が、復興特別所得税が加算された税率です。
不動産投資の家賃収入は何にあたるの?
家賃収入は、10個の区分に分かれている種類の中から「不動産所得」に分類されます。
不動産収入から、不動産経営に関わる経費を差し引いたものが対象です。
不動産所得は総合課税の扱い
不動産所得による所得税は総合課税の扱いになるため、不動産所得と給与所得が両方ある場合には、合算した収入から税率が決まり税金が発生します。
合算で見るため所得額が大きくなり、税率も変わってくるため注意が必要です。
不動産所得には所得税以外にもかかる税金がある
不動産所得に掛かる税金は所得税だけではありません。
給与所得と同様に、「住民税」も発生します。
さらに、場合によっては家賃収入に対して消費税が発生するケースもあるので覚えておきましょう。
住民税
所得がある以上、住民税ももちろん掛かります。
基本的な税率としては、所得金額のおおよそ10%が目安です。
消費税|非課税になる家賃収入とは?
消費税が家賃収入に課税されるかどうかは、賃貸物件の用途によって異なります。
- 住宅用賃貸の場合は非課税
- 事業用賃貸(事務所など)の場合は課税
住宅用の場合の非課税は、下記の2点が条件になるため注意しましょう。
- 契約書に「住宅用」であることが明らかである
- 賃貸期間が1か月以上である
2. あなたの家賃収入にかかる所得税はいくら?計算方法を紹介
家賃収入が入ってくるようになったら、自分で確定申告が必要です。
そのため所得税がいくらくらい掛かってくるのか、計算しておくと安心でしょう。
シミュレーションをしておくと、より所得税の仕組みを理解できます。
所得税額の計算式
所得税額=不動産収入(家賃収入)-必要経費
所得控除とは
所得金額に対して控除される項目がいくつかあります。
控除額は個々で変わるケースもあるので、目安として覚えておきましょう。
- 基礎控除・・・38万円
- 配偶者控除・・・38万円
- 扶養控除・・・38~63万円
- 社会保険料控除
- 医療保険控除
- 生命保険控除
- 地震保険料控除
所得税率速算表
課税所得額に対する所得税率は以下の表の通りです。
課税所得額 | 所得税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超え | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁 所得税の税率
所得税額計算シミュレーション|都内ワンルームマンション1室で不動産投資をしている人の例
よって不動産所得=1,200,000-1,929,607=-729,607円 |
給与所得がある場合はこちらも合算します。
- 給与収入 600万円
- 給与所得控除 150万円
- 給与所得金額 450万円
次に、所得税の課税対象となる課税所得額を算出。
よって給与所得4,500,000円+不動産所得-729,607円-所得控除額1,760,000円=2,010,393円 |
課税所得額にあった所得税額を算出します。
2,010,393円×20%-控除額97,500円=304,578円×復興特別所得税2.1%=63,962円
所得税額304,578円+復興特別所得税額63,962円=368,540円 このシミュレーションでは、368,540円が支払い義務のある所得税額となりました。 |
3. 不動産投資に節税効果があると言われる仕組みを解説
「不動産投資は節税になる」と耳にしたことがある方も多いと思いますが、なぜ節税効果があるのでしょうか?
節税は誰にでも当てはまるわけではなく、仕組みを理解していないと大きな間違いに繋がります。
不動産投資で節税ができるポイントを覚えておきましょう。
不動産投資において所得税が節税になる仕組みとは
不動産投資以外にも、会社で働いて給与所得がある場合、会社からの給与は所得税が引かれた状態で支給されています。
しかし不動産投資がある場合は総合課税となるため、確定申告で給与所得と合算して申請が必要です。
この時に不動産所得が赤字の場合、給与所得から赤字分が差し引かれるため、合算所得が低くなります。
よって所得税も低くなり、節税されるというのが基本的な仕組みです。
損益通算とは
「損益通算」とは、不動産所得で出た赤字と、プラス部分である給与の所得を合算して算出する方法です。
減価償却の仕組みを理解しよう
節税に欠かせないのが「減価償却」。
不動産には構造別に耐用年数があり、その年数に合わせて不動産価格を経費とすることができます。
建築物の耐用年数は以下のようになります。
構造 | 耐用年数 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19年または27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
「減価償却費=不動産価格×定額法の償却率」ですが、「不動産価格÷耐用年数」でもほぼ同額の算出ができます。
参考:国税庁 耐用年数
還付を受けるために確定申告をしよう
節税によって帰ってくる税金が「還付金」と言います。
しかし、その還付金を受けるためにも「確定申告」が必要です。
書類の作成や領収書の計算が面倒なことや、忙しくて時間がないというケースもありますが、
実際に税務署に行かなくても、郵送やインターネットで完結することもできます。
毎年2月中旬~3月中旬が確定申告期間となるので、忘れずに確定申告を行いましょう。
4. 不動産投資にかかる所得税を理解してスムーズな確定申告を目指そう!
不動産投資をする上で、所得税を始めさまざまな税金の仕組みを理解することが大切です。
大きなポイントとなる所得税と、損益通算の仕組みをわかっていると、大事な確定申告もスムーズに行えるでしょう。
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