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不動産投資における贈与税とは|相続と贈与ではどちらが節税になる?

他の個人から財産の贈与を受けたり、亡くなった方からの遺産を受け取ったりした場合、贈与税や相続税が発生します。

そして受け取る財産が、土地や住宅などの「不動産」や、有価証券・現金・車など「高額な財産」を受け取った場合、多額の税金を支払わなければなりません。

税金というものは必ず納めなければならないものなので、「極力少なくしたい」とは誰もが思うのではないでしょうか。

そこでこの記事では不動産投資において相続税と贈与税ではどちらが得で、どれくらい節税になるか解説をします。

1. 不動産投資における贈与税とは|相続税との違い

不動産投資における贈与税とは|相続税との違いはじめに不動産投資における相続税と贈与税の違いについて解説をしましょう。

相続税と贈与税の違いを端的に言えば、財産をくれる人が生きている人なのか亡くなった人なのかです。

つまり

  • 贈与税:生きている人の財産を無償で譲り受けたときに発生する税金
  • 相続税:亡くなった人の財産を引き継ぐ際に納めなければならない税金

となります。

なお、法人から譲り受けた場合には贈与税ではなく「所得税」が発生することも覚えておきましょう。

贈与税とは

贈与税は、前述のように「個人から財産をもらった際に納めなければならない税金」。

贈与税の課税方法に、原則「暦年課税」となりますが、ほかに一定の要件にあてはまるときには「相続時精算課税」を選ぶこともできます。

 

それでは贈与税の対象には具体的にどのようなものが対象になるのか、

また「暦年課税」「相続時精算課税」それぞれの計算方法をご紹介しましょう。

課税対象|現金預金・有価証券・不動産など

贈与税の対象となるのは、現金・株式などの有価証券・土地や建物の不動産・車などがありますが、次のような場合にも贈与税の対象になります。

  • 借金の返済を免除してもらった場合
  • 不動産を時価から、かけ離れた安値で購入した場合
  • 現金の授受がないのに、不動産などの財産を名義変更した場合
  • 生命保険の保険料負担者と被保険者および受取人が異なる場合

なお、冠婚葬祭の香典や祝い金・見舞金など社会通念上相当と認められるものや、

離婚の際に支払われる財産分与などについては贈与税の対象外です。

種類①|暦年贈与

「暦年贈与」とは、1月1日~12月31日までの間にもらった財産の合計金額に対して支払う税金を言います。

一般的な贈与方法で、贈与された合計金額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額について税金が発生します。

したがって、贈与を受けた合計金額が110万円以下であれば、税金がかかることはありません。

なお、控除金額の110万円は1人についての金額であり、1人からの贈与が枠内でも複数の人からの贈与が合計で110万円以上になるときには贈与税が発生するので注意が必要です。

種類②|相続時精算課税

「相続時精算課税」は、(贈与がなされた年の1月1日において)60歳以上の両親あるいは祖父母から20歳以上の子供および孫への贈与に対して利用できる制度です。

受贈者は、財産の種類や贈与額・年数・回数にかかわらず、2,500万円を限度として非課税となり、2,500万円以上の部分については一律20%の贈与税が発生。

 

贈与者が死亡したときにはほかの相続財産と合算した相続税額から、既に納めている贈与税を引いて計算します。

遺産総額が基礎控除額を超える場合には、相続税を納めなければなりません。

なお相続時精算課税を選択した場合には、暦年贈与の110万円の基礎控除を使うことはできなくなります。

相続税との違いは?

一般的に、贈与税は相続税よりも高い税率となっていますが、なぜなのでしょうか。

贈与税の方が高い理由

相続税より贈与税を低く設定した場合には、ほとんどの人が生前に資産を贈与することになるでしょう。

そうなると、相続のときに課税されることがなくなり、国としては大きな収入源である相続税を得ることができなくなります。

そのために贈与税を高い税率にして、相続以前に贈与が行われることを回避しているのですね。

不動産投資における贈与税

贈与税は現金や有価証券は時価で評価されますが、不動産は現金などよりも低く評価されます。

とくに不動産投資をしていると、建物や土地は借家権割合と借地権割合が適用されるので、さらに評価額を下げることができるのです。

不動産投資をしている人には大きなメリットですよね。

課税対象

不動産は、土地の部分と建物の部分を分けて評価し贈与税額を計算します。

◎土地について

路線価方式の基準がある土地については路線価方式で、それ以外は倍率方式により評価されます。

路線価格は土地に接する道路につけられた価格で、土地の面積に乗じて計算しますが、実勢価格の80%程度に。

倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算しますが、実勢価格の70%程度で評価されます。

関連記事土地の贈与税で知っておくべき最低限の知識|計算から見えてくる節税方法

2023.02.02
◎建物について

建物は固定資産税評価額となりますので、時価の50~60%程度と低く評価されます。

したがって、現金で贈与するよりも不動産投資をした方がより節税できるというワケです。

2. 不動産投資における贈与税の計算方法|シミュレーション

不動産投資における贈与税の計算方法|シミュレーションそれでは次に、不動産投資における贈与税の計算方法について例を挙げて解説をします。

暦年課税の場合|課税価格・贈与税額

暦年課税は、一般贈与財産と特例贈与財産に区分されます。

◎一般贈与財産用(一般税率)

兄弟間、夫婦間、親から子への贈与で子が未成年者の場合の贈与などに適用。

課税価格=1年間に贈与された財産の合計額―基礎控除額(110万円)

贈与税=課税価格×税率―控除額

一般税率の速算表

(出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円
◎特例贈与財産用(特例税率)

祖父母や父母から1月1日時点で20歳以上の子や孫への贈与税の計算に適用します。

計算方法は上記、一般贈与財産用と同じです。

特例税率の速算表

(出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

実例シミュレーション

3千万円の贈与を受けた場合を例に挙げて贈与税額の計算をしてみましょう。

◎一般贈与財産用の場合

例えば贈与財産が3,000万円の場合、上記の税額表にあてはめると、

  • 基礎控除後の課税価格…3,000万円-110万円=2,890万円
  • 贈与税額の計算…2,890万円×50%-250万円=1,195万円
◎特例贈与財産用の場合

同じく贈与財産が3,000万円の場合、上記の税額表にあてはめると、

  • 基礎控除後の課税価格…3,000万円-110万円=2,890万円
  • 贈与税額の計算…2,890万円×45%-265万円=1035.5万円

先ほどよりも少し額が抑えられましたね。

◎贈与税の基礎控除額を利用して贈与した場合

1年間にもらった財産については、基礎控除額の110万円までは贈与税がかかりません。

したがって、3,000万円を110万円で割ると約27.3年となり、27年間で110万円ずつ贈与をした場合には贈与税は非課税となるのです。

相続時精算課税の場合

相続時精算課税は生存中の60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子や孫に財産を贈与し、相続が発生した際に相続税と贈与税を統合し精算する制度です。

この制度では2,500万円までは非課税であり、それ以上の部分については一律20%の贈与税を納めます。

生存中にもらった財産に対しては贈与税がかかっているので、贈与者が死亡した際には、すべての財産から既払いの贈与税を引いて相続税を算出するのです。

納付税額の計算式は次のようになります。

納付すべき税額=(課税価格-特別控除額)×税率

実例シミュレーション

例えば親の6,000万円の財産を長男・次男で1/2ずつ相続したものとします。

この場合、長男は1/2を相続するので3,000万円の相続となります。

贈与時の納税額は?

相続税精算課税を利用した場合2,500万円まで非課税、それ以上は20%の贈与税がかかるので、一人当たりの納税額は次のように計算します。

(3,000万円-2,500万円)×20%=100万円

相続発生時にかかる納税額は?

相続時における基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)なので遺産総額は次のようになります。

6,000万円-(3,000万円+600万円×2人)=1,800万円

次に一人当たりの相続税を計算すると、

1,800万円÷2人=900万円

下記の相続税速算表に照らし合わせて相続税額を計算すると、1,000万円以下なので

900万円×10%=90万円。

二人の相続税総額は

90万円×2人=180万円になります。

よって長男・次男が支払う相続税を半分ずつとすると一人、

180万円×(900万円÷1,800万円)=90万円

しかし既に贈与税を100万円支払っているので、それを引くと下記の支払額になります。

90万円-100万円=-10万円

したがって、相続税を支払う必要はありません。

相続税の速算表

(出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4155.htm

決定相続分に応ずる取得金額 税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

3. 相続と贈与ではどちらが節税効果が高い?

相続と贈与ではどちらが節税効果が高い?一般的には相続税の方が贈与税よりも税率が低く、節税効果があるように見えます。

果たしてどうなのでしょうか?

ナゼ? 不動産の相続が節税になる理由

土地や建物を相続した場合には、路線価格または固定資産税評価額で評価されるので、現金で納付した場合より納める税金は少なくなります。

また賃貸住宅ならさらに、「貸家建付地」として借家権分の価値を減額しての評価となり、節税にも。

更に小規模宅地等の特例が受けられれば、200㎡まで50%の減額が適用されます。

したがって不動産投資で相続税を大きく減らすことができるのですね。

相続と贈与ではどちらが節税になる?

一般的には税率の面からは相続税のほうが得と言えますが、場合によっては贈与の方が有利なときもあります。

たとえば不動産や株などをもらい将来値上がりをした場合には、大きな利益を得ることもあります。

おすすめは生前贈与!

既に述べた通り、生前贈与の110万円の基礎控除をうまく活用すれば、大きく節税することが可能。

例えば子供3人に10年間110万円ずつ生前に贈与すれば、財産を3,300万円減らすことも。

生前贈与により財産総額を減らしておけば、贈与者が亡くなった時には相続税を節約できます。

暦年贈与より相続時精算課税が節税になるパターンも

暦年贈与と相続時精算課税のどちらが得かは、財産が相続税の基礎控除内に収まるかどうかで決まってきます。

財産が3,000万円+(600万円×法定相続人の数)内であれば、相続税がかかりませんので相続時精算課税を選択したほうがお得です。

相続開始3年以内の贈与に注意!

贈与での注意すべきは、「相続開始3年以内の贈与については、相続税の対象」という点。

したがって110万円の基礎控除を利用した場合も、相続財産に組み入れられ相続税がかかってきます。

しかし配偶者控除の対象となる贈与や、直系尊属からの住宅取得資金などについては対象外。

不動産取得税と登録免許税は贈与税の方が高くなる

不動産取得税は相続ではかかりませんが、贈与では固定資産税評価額の3%を支払わなければなりません。

また不動産登録免許税についは、相続では0.4%ですが贈与では2%かかります。

4. 状況に応じて相続・贈与を使い分けよう

一般的に財産の移転は相続が有利ですが、贈与が得な場合もありますので財産総額や納付状況などを考慮して選択するようにしましましょう。

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