空き家はいまや社会問題。相続などで受け継いでも、古くて汚い空き家を放置する人が多いのです。
その背景には、費用の問題があります。新たな土地活用をしようとしても、解体費用に多額の費用が。またリフォームして収益物件にしようとしても、こちらも古さゆえ多額のリフォーム費用がかかります。
そのため何もせずに放置する人が多いというわけです。
ところが今こうした空き家問題を解決すべく、新たな活用法も出てきています。
古くて汚い空き家でも、知恵やアイディアで立派な収益物件に変わることができるというのです。「空き家はダメだ」と諦めるのは時期尚早かもしれませんよ。
今回は築古物件の空き家が立派な収益物件として生まれ変わる活用術をご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
1. 空き家の有効な活用法10選
空き家の活用法は大きく分けて、次の3つがあります。
- 居住用にリノベーションやリフォームする(賃貸・実住)
- 事業用に改装(賃貸・自己経営)
- 一旦更地にして土地活用
その中から具体的な活用法10選をご紹介しますので、参考にしてみて下さい。
1-1. リフォーム・リノベーションで一風変わった賃貸に
空き家を貸しだす場合には改修を行って、できるだけきれいな状態にしておくことが必須となります。ここでは目的別リフォーム・リノベーションについてみていきましょう。
①実住・賃貸物件
家というのは木造や鉄筋コンクリートなど、どんな造りであっても放置すると傷んでしまいます。たとえば畳を汚れたままにしておくと腐敗が進行します。また湿気が多いと壁紙にカビが繁殖することも。できるだけ綺麗な状態を保っておく方が、修復費用も少なくて済みます。
賃貸物件として活用するなら、リフォームやリノベーションは不可欠。
きちんと手入れを行っておくと物件価値が上がるので、入居者が見つかりやすくなります。
最近では普通のリフォームではなく、特定の目的に特化したものも人気です。栃木県宇都宮市には、自転車好きのための賃貸マンションがあります。玄関に駐輪スペースや洗い場を設けたことで話題になっています。
「自転車の街」を掲げる宇都宮市で、室内で自転車を整備・保管できる「自転車と住める部屋」が完成した。不動産会社「ハートエントランス」(宇都宮市)が、賃貸住宅のリノベーション(再生)を手掛ける「朝日リビング」(大阪市)と連携して、同市峰4の5階建てマンションを改装。1階の約65平方メートル3LDKの1室を、玄関と6畳の洋室をつなげて、2LDKにリフォームした。広くなった玄関はコンクリートの床で、流し台などの水道設備も整備。工具や部品の収納設備も整えた。
毎日新聞2024年1月29日 地方版
②シェアハウス
最近、都市部を中心にシェアハウスの需要が増えています。特に20代などの若者が中心で、定職につかず収入が安定しない人たちが、複数人で部屋をシェアする形態が大人気。都市部は家賃や初期費用が高いので、こうしたシェアハウスであれば、かなり経済的ということです。
またニーズ特化型のシェアハウスもあります。たとえば音大生など楽器の演奏をしたい人たちが、防音室が完備したシェアハウスに集まって暮らすという事例もあります。
音大の近くなどであれば需要が高いので、空き家対策としてシェアハウスというのも有効かもしれませんね。
③高齢者向け住宅
単身高齢者の世帯数が増えています。少子高齢化のため今後も高齢者世帯の増加が予想されますが、高齢者の賃貸住宅入居については、孤独死や家賃滞納といった理由で、入居が拒否されることが多いのが現状です。
そこで政府は改修費や家賃の一部補助をすることで、こうした高齢者問題と空き家問題を併せて解決しようと乗り出しました。
空き家を抱える大家にとっては、リフォーム費用を国が一部補助してくれることは大きなメリットです。これからの賃貸経営は、高齢者を対象とすることは避けられないので、こうした国の制度は積極的に活用していくことをおすすめします。
1-2. 事業用に改築する
賃貸経営を行う場合、居住用だけでなく事業用の貸し出しもあります。
事業用の場合は業種に合わせたリフォームが必要に。ここでいくつか例を挙げてみます。
④古民家カフェ
田舎の空き家物件をカフェにリフォームし、古民家カフェとして貸し出すという方法もあります。田舎では新鮮な食材がすぐ手に入るので、古民家カフェを経営しながら、田舎暮らしを楽しもうとする人が増えているのです。こうしたお店は観光客にも人気なんです。
古民家カフェのリフォームのポイントは、全てを新しいものに取り替えるのではなく、古いものを残しながら空間を作ること。古くなった柱も、木のぬくもりを感じることができます。また古くなった薪ストーブも再利用することで、その土地の文化を感じることも。
このように古民家カフェを作るには、古いものを活かしながらリフォームすることがポイントです。
⑤シェアオフィス
いまシェアオフィスがアメリカを中心に世界的ブームに。「コワーキングスペース」とも呼ばれますが、異業種が同じ空間でオフィスをシェアするという新しいビジネススタイル。コストも抑えられるため、ベンチャー企業を中心に人気を集めていて、日本でも最近増加中。
もしオフィス街に近い空き家であれば、シェアオフィスへという選択肢もありかもしれません。月単位の契約から、時間単位での利用まで、様々な利用方法が。
シェアオフィスを行うのであれば、インターネット環境を整えて、快適にくつろげる空間づくりを。仕事がどんどんはかどるような雰囲気が出せるようにリフォームするのがポイントです。
⑥民泊
外国人観光客の増加に伴い、宿泊施設の需要が増えています。2023年には東京オリンピックがあり、多くの人が訪れますが、宿泊施設が不足しているので、ホテル建設が増加しています。それでもまだ足りないということで、民泊への期待が高まっています。
空き家を民泊に活用する場合は、周辺エリアの状況・物件の特徴・ターゲット層などを分析して、それぞれの状況に合わせたリフォームをしましょう。
民泊は居住用に貸し出す賃貸経営とは異なるビジネス。運営スタイルを明確にし、オリジナリティのある部屋作りが必要です。
⑦コミュニティスペース
都市部の集合住宅をはじめご近所付き合いはすっかり減り、隣に誰が住んでいるのか知らないという人が多い時代。
そんな中、いま地域の人々の交流の場としてのコミュニティスペースが求められているのです。
もし空き家があれば、こうした人々の触れ合いの場所として提供していくことも。子育て中のお母さんたちの集いの場として、あるいはお年寄りが集まる談笑の場など、地域貢献することができます。
1-3. 更地にしてその他の土地活用に
空き家が古くて、改修に相当の費用がかかりそうであれば、更地にして新たな土地活用を見つけてみてはいかがでしょうか。
⑧駐車場経営
駐車場経営は土地があればどこでも活用できますが、駐車場には次の3種類があり、土地によって向いているタイプが異なります。
- 月極駐車場
- コインパーキング
- 立体駐車場
近くにマンションやアパートが多いなら月極駐車場、繁華街などショッピング客が多いならコインパーキングか立体駐車場が向いています。
駐車場は初期費用が抑えられるので、リスクの低いビジネスと言われていますが、周辺の競合調査をしっかり行う必要があります。
⑨太陽光投資
マンションの屋上や一戸建て住宅の屋根など、いろいろなところで太陽光パネルを見るようになりました。太陽光パネルは電気を買い取ってもらえるので、利回りが期待できます。
しかし日当たりの良い土地が望ましいので、場所によって太陽光に向かないところも。
また設備投資費が高く、加えて盗難リスクもあります。利回りが期待できる土地であるか、しっかり見極める必要があるでしょう。
⑩フランチャイズに土地を貸す
土地活用の新たな選択肢として注目を浴びているのが、フランチャイズを利用した土地活用。
たとえばトランクルーム経営ではお客様の荷物を預かります。これは倉庫業にあたるのですが、フランチャイズを利用すればノウハウがなくても簡単に運営が可能。高い利回りが期待できるわけではありませんが、フランチャイズはネームバリューがあれば集客率が上がるので、初心者でも参入しやすいです。
2. 空き家活用を援助・空き家再生に力を入れている会社
ここでは空き家活用をサポートしてくれる会社を3つご紹介します。
2-1. カリアゲ|築30年以上の物件を再生・サブリース
カリアゲとは東京都内の築30年以上の空き家や築古物件を改修し、6年間転貸するサービスを提供してくれます。横浜に本社を置くルーヴィスという会社が運営しています。まとまった改修費用が準備できない人や、入居者募集や物件管理をするのが面倒だという人に向いています。
自己負担は必要ありません。改修費用など全て負担してくれます。その代わり、契約期間の6年間は家賃の10%。もちろん空室・滞納が保証されているので安心です。契約終了後は、そのまま賃貸収入全額を引き継ぐことができるのです。
2-2. 再生家|空き家の買取・リフォーム・賃貸・売却
東京都渋谷区恵比寿に本社を置くこの会社は、空き家などの築古物件の買取・リフォーム・賃貸・売却などを一貫して行っています。所有者の意向に合った様々なプランを選ぶことができます。
2-3. フラクタル|関東の空き家不動産投資に特化
関東地方の空き家を中心に、築古物件をリフォームして賃貸管理までトータルサポート。オーナーと業務委託契約を結び、空き家の有効活用の全てを任せられます。主な業務内容は以下の通りです。
- 物件探し
- リフォーム
- 入居者募集
- 物件管理
- 入居者管理
特に空き家の相続を受けた方で、賃貸経営の初心者であれば、こうした会社に委託するという方法もあります。
3. お金がない?補助金制度を利用しよう
空き家を解体したり、リフォームする費用がない場合、国や自治体が提供する補助金制度を利用できます。
内容は2種類あり、解体する場合は「除去事業タイプ」として費用の最大80%まで、リフォームする場合は「活用事業タイプ」として工事費の最大で3分の2まで補助金が受けられます。
いずれも対象地域・対象施設において一定の条件を満たす必要がありますが、事業性があれば助成が受けられるので、費用面で不安な方におすすめです。
今各自治体には空き家問題を解決したいという思いがあります。そしてまちづくりのために「空き家バンク」を利用したり、空き家を活用してもらうためにこうした助成金制度を強化しています。
国土交通省「空き家再生等推進事業の概要」
4. 空き家を売却すべき時とは?
空き家の活用はせずに、いっそ売却して現金化しようかと考える方も多いはず。空き家を売却するメリットをいくつか挙げてみます。
- 手元に現金が残る
- 税金の負担がなくなる
- わずらわしい物件管理をしなくて済む
何より自由なお金が手に入るのは嬉しいですね。確かに売却も一つの手段ではありますが、時期を見極めるのが重要。建物の価値は下がり続けますが地価は変動するため、売却のタイミングを図るのが難しいことも。
またデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 売却に伴う諸費用が発生する
- 収益が得られない
売却して他の投資で運用していく方が利回りがいいこともあるかもしれません。
自分にとってどちらがいいかは、メリットとデメリットを比べながら、不動産会社によく相談してから決めましょう。
5. 空き家は有効な資産です!
空き家をどうしたらいいのかわからず困っていた方も、ご自分に合った活用法を見つけられましたか。固定資産税を払うだけで放置しておくのはもったいないです。
今回ご紹介したように、手元にお金がない人でも、業者に依頼したり、あるいは国の補助制度を利用することで、お金をかけずに活用できるようになったのは、所有者にとって朗報です。
どういう活用法を選ぶかは、空き家の立地条件や、所有者のライフスタイルにもよるはず。まずはたくさんある成功事例の中から適したものを探してみましょう。
空き家を利用したビジネスは今後さらに発展していくでしょう。大切なのは知識や情報を収集して、積極的に空き家活用に取り組むことです。空き家も立派な資産なので、眠らせずぜひ上手に運用しましょう。
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