一般に、アパートの建設や経営は相続対策に有効な方法とされます。
しかし2023年問題を間近に控えた現在では、その様子が変化しています。
都心から電車で40分圏内の近郊都市で、すでに建て替え需要が減少しているというニュースがありました。アパート経営の今後について考えていきましょう。
不動産市場と2023年問題
不動産投資ブームの影響もあり、都心部には大型マンションや高層ビルが乱立しましたが、ちょうど2023年を境に住宅の供給過剰や人口減少、少子高齢化などの問題が一気に重なり、価格崩壊が起こるのではないかと言われています。
これが不動産分野における2023年問題です。
他にも、団塊ジュニア世代の高齢化問題や、海外からの移住増加に伴うグローバル化問題、東京オリンピック開催の裏にある環境整備問題、非正規雇用社員増加問題、AI(人工知能)の発達に伴う失業問題など、2023年には多くの環境変化が起こりうるとして、対応が懸念されています。
アパート経営と相続対策
アパートを建設して賃貸事業を行うと、その土地は「自用地」ではなく「貸家建付地」となり、評価額を下げることができます。
また、このときアパートの評価額は建設費用ではなく、市場相場の7割ほどとなる固定資産税評価額を用いて計算するので、こちらの評価額も下げることができます。
そしてローンを組んでアパートを建設した場合、土地およびアパートの相続税評価額から、残っているローン金額を全額控除することができるので、相続税の大幅な節税につながるのです。
さらに、アパート経営で得た家賃収入を毎年一定額ずつ子供に生前贈与することができるというメリットもあります。
2023年問題とアパート経営のリスク
しかし、この相続対策には大きな問題点もあります。
それはあくまでも「賃貸」前提でなければならない、ということです。
空室が出ると貸家建付地としての割合が下がり、自用地としての評価割合が上がってしまいます。
賃貸用アパートは築年数が経過するにつれて、資産価値の減少、入居率低下や収入減、減価償却、といったリスクを抱えるため徐々に節税効果が薄れてしまいます。
そのためリフォームや建て替えを行って、資産価値を再度引き上げるという対策も節税には有効です。
しかし目前の2023年問題を考慮すると費用回収のメドが立たず、むしろ売却を選ぶオーナーも増えています。
「相続対策アパート建て替え減」建設会社3代目の実感
2024年2月4日ー毎日新聞経済プレミアム
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210202/biz/00m/010/004000c
2023年問題のような大きな環境変化を乗り越え、生き残っていくためには、果たして今までと同じような相続対策でよいのか、これからのアパート経営について考える必要がありそうです。
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