マンションの売買は大きな金額なので、売主からすればできるだけ高く売却したいと思いますよね。
一方買主からすれば、可能な限り安く購入したいと思うもの…。
そこで買主は値引きを要求し、売主と買主の間で価格交渉をすることになります。
売主としては、価格交渉は仕方ないとしても値引きを抑えスムーズに契約したいですよね。
この記事ではマンションを売却する際、買主から要求される値引きに対する対策や注意すべきポイントなどについて解説します。
目次
- 1. 中古マンション売却では買主から値引き交渉されることが多い
- 2. 中古マンション売却時の値引きのタイミングを知る
- 3. マンションの値引き交渉時に注意したい11のポイント
- 4. 極力値引きを抑えるための賢い方法
- 5. マンション売却で失敗や交渉決裂しないためにできる6つのこと
- 6. 不動産を売却する時は値引きに備えて計画をたてた上で売却しよう
1. 中古マンション売却では買主から値引き交渉されることが多い
中古マンションを売却する際には、値引き交渉されるケースが一般的。
売主はあらかじめ、その市場の相場を知り準備をするのは必要なことです。
成約価格と売り出し価格を把握しておく
あるエリアの中古マンションの相場を知る際に、よく利用されるのがインターネット上の売り出し価格です。
しかしそれはあくまで売主の希望する「売り出し価格」であって、実際に売買された「成約価格」ではありません。
一般的に売り出し価格>成約価格で、成約価格は売り出し価格の85%~90%程度。
そのため売り出し価格=成約価格と考え、低い売り出し価格にしてしまうと、相場よりもかなり低い値段でしか売れなかったということもあります。
中古マンションの売却は値引きがあると思っておく
中古マンションの売却は、値引きが至極当たり前のこと!
購入希望者も不動産会社も値引きを想定して交渉に臨むので、売主側も値引き交渉されると考え対処しなければなりません。
すなわち値引きをしないと決めつけないで、あらかじめ価格交渉を想定して計画を練ることが必要です。
あらかじめ値下げ交渉の準備をしておく
不動産会社の査定金額は、成約価格を想定しています。
したがって査定金額=売り出し価格にしてはいけません。
査定金額をそのまま売り出し価格に設定すると、早く売却できるかもしれませんが、値引きを要求され損をする場合も。
一般的に成約価格は売り出し価格の85%~90%なので、
売却希望価格に10%~15%ほど上乗せして価格設定をするようにしましょう。
しかし大幅に上乗せした場合には、高すぎて購入希望者が現れないということもありますので、適正な価格に設定することも考えておかねばなりません。
2. 中古マンション売却時の値引きのタイミングを知る
中古マンションの売却で有利に値引き交渉を進めるためには、買主がどのタイミングで値引き要求してくるかを知ること。
また売主側の行うべき値下げのタイミングについて解説します。
値引きのタイミングは一般的に買付証明書の時が多い
不動産の売買に値引き交渉は避けて通れませんが、どのタイミングで要求されるのでしょうか?
不動産購入希望者は、購入申し込みを「買付証明書」により行います。
その際購入希望者側から、値引き交渉を持ち掛けられるのが一般的。
買主は買付証明書に購入希望額を記しますが、通常売り出し価格より低い価格で申し込みします。
したがって買付証明書を受け取った時点で、値引き交渉が始まることに。
売れない場合は3ヶ月または半年で値下げを検討する
不動産会社との専任媒介契約や専属専任媒介契約は、有効期限が3カ月となっています。
したがって専任媒介契約や専属専任媒介契約では、メリットを享受するために期間内で売却をしようと一生懸命活動を行うはず。
3カ月以内に売却できなければ、不動産会社の力がないと見なし他の不動産会社に変えるか、値下げを考えなければなりません。
さらに半年経っても売却できないとなれば、再度値下げを検討しなければならないでしょう。
値引きのタイミングにベストなのは1月と9月
不動産の値引きのタイミングは、売主の事情によっても異なります。
たとえば新居の購入の時期が早まり至急お金が必要になった、事業資金が急に必要になった等々。
個々の理由がない場合には、1月と9月が値引きをするベストタイミング。
なぜなら1月は転勤や入社など新生活が始まる時期です。
この時期は売買物件も大きく動くので、タイミングよく値引きすれば購入に繋がる可能性が。
また9月は新築マンションの販売が始まる時期、そのため中古物件も市場に出回るので購入を検討する人も増えます。
したがって、1月および9月に値引きするのが良いでしょう。
競合物件が多くなった場合にも値下げの見直しした方がよい
マンションの価格は、売却物件の事情だけでなく競合物件によっても変わります。
売却物件が市場に多く出回っているときには、価格競争も必然的に激しくなります。
したがって、値引きをしなければ売れないということに。
また競合が多い場合には積極的な売却活動を行わず、競合物件が少なくなってきた時点で、再度活発な売却活動を行うというのも一つの方法です。
築年数の節目にも注意しておこう
中古マンションの売却は、築年数が価格に大きな影響を与えます。
例えば築9年9カ月の物件は、築10年以内という築浅物件に入るので売りやすいと言えます。
しかし築10年を過ぎると、インターネットの不動産サイトで検索する際に「築10年以内」というワードではヒットしません。
したがってそのような場合には、あと3カ月の築浅物件で売却できるよう価格設定も考えるべき。
3. マンションの値引き交渉時に注意したい11のポイント
次にマンションの売却で値引き交渉時に、売主が気をつけねばならないポイントを解説しましょう。
①値引き交渉されても下手に出ず堂々とする
中古マンションの値引きは、購入者から必ず要求されること認識しておくべきこと。
したがって、当たり前のことと考え、堂々と対応することが大事です。
むやみに下手に出ると、相手は必ず足元を見て強気に交渉します。
しかし堂々とすることは必要ですが、相手はお客様なので丁寧に応対することは当然心掛けておかねばなりません。
②値下げしてくる購入者は購入意思が高いと思っておく
値引き交渉をしてくる人は少なからず、物件を気に入っている証拠!
物件のメリットを十分に認識し、購入希望者にアピールするようにしましょう。
値引き交渉に対応するには、どこまでが値引きの許容範囲か、あらかじめ不動産会社と話し合い決めておかねばなりません。
さもないとずるずると購入希望者のペースにはまり込み、安値で売却してしまったということもあり得ます。
③売り出し価格は値下げ前提として考えておく
先に述べたように売り出し価格は、値下げ分を考慮して値付けを決めます。
通常は値下げ交渉の部分として、10%~15%程度のアローワンス(値引きや割引)があるはず。
この10~15%を許容範囲として、値下げ交渉に応じるようにしましょう。
④お互いの希望価格の間をとって交渉を進めていく
値引き交渉をする前に最低売却金額を決めておけば、買主から値引き要求があった場合にも慌てずにスムーズな対応ができます。
あらかじめ売却希望額と最低売却希望額の二つを決めておき、その間が値引き交渉の範囲。
例えば3,700万円で売りに出している物件があるとしましょう。
売主は物件に対し、90%を掛けた3,300万円が売却希望価格、85%を掛けた3,150万円が最低売却希望価格として考えています。
買主から3,100万円で買い付け要求があった場合に、3,200万円に譲歩して売却が決まれば売主の希望が通ったということに。
⑤人気があるマンションの売却は焦らない
立地が良い人気の高いマンションは、将来的にも資産価値の下落が少なく、多くの人が購入を希望します。
このような物件については、強気で価格交渉に応じても良いでしょう。
物件を売りに出し、すぐに問い合わせが何件もあるようであれば人気のある証拠。
最初人との交渉がうまくいかなくても、すぐに次の購入希望者が現れるでしょう。
ただし売却金額を相場からかけ離れた金額に設定すると、購入希望者も敬遠するので要注意。
⑥内覧により売却ができなくなる可能性があることを知っておく
一般的に、購入希望者は中古マンションを内覧してから購入を決めます。
内覧したマンションが購入者の考えていたものと異なる場合には、購入をしないと決める場合も当然あります。
売主としては内覧したら必ず購入されるわけではないので、ダメな場合は条件が違っただけときっぱりあきらめることも必要!
あまりに深追いすれば、足元を見られ買い叩かれることもあり得るでしょう。
⑦会社選びが重要!不動産売却時は複数の不動産会社に見積もりを出す
不動産を売却する場合に、仲介を不動産会社に依頼しますが、1社ではなく複数の会社に見積もりを依頼しましょう。
その理由は2つあります。
適正な売り出し価格を設定するため
1社だけに見積もりを依頼した場合、その見積もりが適正なのかどうか判断するのは難しいと言えます。
見積もりが高すぎれば厳しい値引き交渉に応じなければならないでしょうし、低ければ利益が少なくなることに。
したがって見積もりは複数の会社に依頼し、その上で適正な売り出し価格を設定するようにしましょう。
信頼のおける不動産会社を見つけるため
見積もりを複数社に依頼するもう一つの理由は、信頼できる不動産会社を見つけるため。
不動産会社は、売却をする際の大事なパートナーです。
売却価格を決めるだけでなく、広告の出稿や買主探し・内覧・契約締結までさまざまな業務を行ってくれます。
したがって信頼のできる不動産会社と契約するのは、売り出し価格の設定と同様に重要です。
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⑧売り急ぎには注意が必要
売主が不動産の売り急ぎをすれば、買主は足元も見て強く値引き交渉に出ます。
したがって売り急ぐ場合でも、態度には表わさず余裕を持つことが必要。
一般的に中古マンションの売却には、3カ月程度の期間が必要なので売却スケジュールに余裕を持たなければなりません。
値引き交渉に負けないためには、適正な売却価格を決め、余裕ある売却スケジュールを組むようにしましょう。
⑨売却価格の値下げと買主による値引きは違うものと判断しておく
売却価格の値下げと値引きは大きな違いがあります。
売却価格の値下げは、売主が売却するための戦略として利用しますが、値引きは買主が主導する交渉術。
売主としては、値下げをうまく使えば買主を誘引し売却に成功することもあります。
例えば買主にとって、3,000万円で売り出されている場合と2,900万円ではイメージ的にも大きな差が。
高い価格で値付けをすると買主の目に入らない場合がありますが、適正な価格で値付けをすれば購入希望者が現れる可能性が高くなります。
売り出しに成功し買主が現れたら、後は値引きを含めた交渉をすることになるでしょう。
⑩不動産会社は物件を必ず売却したいスタンスで交渉してくれないと思っておく
売主および買主の両方に仲介業務を行う不動産会社がいるときには、売主側の不動産会社は売主の利益を優先して交渉をしてくれます。
しかし専属専任媒介や専任媒介ですと双方の仲立ちをするので、事情は変わってきます。
不動産会社としては原則として双方から仲介手数料を貰えるので、契約の締結を最優先に考えることに。
したがって両手仲介(売主と買主双方の仲介)の場合には、不動産会社の言葉を鵜呑みにせず自分自身できちんと判断しなければなりません。
⑪高く売却することばかりを考えていけない
売主としては中古マンションを値引きせず売却したいものですが、値引きして早期に売却した方が得になることも。
たとえば移転先の住宅が決まっているような場合には、管理費や大規模修繕積立金・固定資産税などが余分にかかってきます。
特に住宅ローンを借りている場合には、利子を含めて返済していかねばなりません。
マンションの維持費は1年間では多額になるので、値引きして売却した方が良い場合も。
また中古マンションが売れずに長期間経つと、売れ残り物件とされ大幅に値引きせざるを得なくなることにもなりかねません。
4. 極力値引きを抑えるための賢い方法
中古マンションの売却では、通常値引きは避けられませんが、どうしたら値引きを少額で抑えられるでしょうか。
次に値引きを抑える方法について解説します。
希望売却価格より低い場合は時間をもらう
売主が希望する価格より低い購入価格を提示されたら、即決せず少し時間を貰うのも一つの方法。
しばらくして高い価格でも良いと気持ちを変えたり、他に高い価格で購入を希望する人が現れたりすることもあります。
もし新たな展開がなければ、相手の提示価格と希望売却価格との間で価格交渉するようにしましょう。
中古マンションンの売却も商売なので、お互いに歩み寄り売却金額を決めることが大事です。
大幅な値引き交渉をされた時の対処法
購入希望者から大幅に値引きを要望されたときには、いくら位の価格を希望しているのか聞き出すことも必要。
売主からは、先んじて大幅な値引きを提示してはいけません。
売主が価格を提示すれば、それ以上高い価格では売却できなくなります。
したがって、買主からまず「この金額なら買いたい」という価格を聞き出す方が良いでしょう。
専任媒介契約は避けた方が良い
専任媒介契約や専属専任媒介契約は、仲介業務を一社に依頼するので熱心に売却活動をしてくれる可能性があります。
この契約は自分で買い手をみつければ、売主及び買主双方から仲介手数料を貰えるので、うまくすれば倍の金額を手にすることも。
しかし問題点は、仲介手数料を独り占めにしようと、「囲い込み」をされる恐れがあります。
ほかの不動産会社が高値で買主を見つけた場合、売主には無断で自分が見つけた安い購入価格の買主を紹介するようなことも。
例えば、ほかの不動産会社が3,500万円で購入したいという買主を探してきたとします。
しかし、専任媒介契約を締結している不動産会社は、双方の仲介手数料が欲しいので、断り自分で探した安い3,200万円の買い手と契約することもあり得ます。
したがって、専任媒介契約は避け、一般媒介契約にした方が良いでしょう。
値引きする代わりに物件の問題点を容認してもらう
物件の設備が故障していたり、建物の一部が破損しているような場合には、通常修繕するように買主から要求をされます。
しかしその瑕疵を買主に容認してもらい、その交換条件としての値引きをすることで、
物件の瑕疵を修繕しさらに値引きという事態を避けられることもあるでしょう。
売り出し経過期間から考えた上で値引きに応じるか検討する
売り出してからすぐに、購入希望者が現れ値引きを要求された場合には、次に購入希望者が現れる可能性もあるのでしばらく様子を見ましょう。
しかし売り出して半年も過ぎるようなケースでは、積極的に値引き交渉に応じることをおすすめします。
長期間売れない物件は、なにか問題があるのではないかと顧客に悪いイメージを与えます。
そのためまったく購入希望者が全く現れないということも。
したがって1カ月程度たっても購入希望者が現れなければ、積極的に売りの姿勢に転じた方が良いでしょう。
値引き交渉が長引く場合、条件を見直す
通常値引き交渉というものは、通常1カ月以内でしょう。
値引き交渉が1カ月以上になる場合には、購入希望者の買いたいという意思が萎えて成約に至らない場合も…。
値引き交渉が長引いた場合には、売り出し価格はもちろんのこと、ほかの取引条件面で譲歩する部分があれば再考する必要があります。
折り合える部分がないならば、交渉を止めるという判断をしなくてはならないことも!
5. マンション売却で失敗や交渉決裂しないためにできる6つのこと
せっかく買主から物件購入の意思表示があったなら、うまく交渉に応じたいもの。
失敗や交渉決裂しないために、売主にできることは何でしょうか。
①時間に余裕をもって売却する
マンションの売却には時間がかかるものです。
売却に必要な時間を十分に取っておかないと、余裕がなくなってしまい相場よりも安い価格で売却してしまうことも。
マンションの売却には、不動産会社の選定から始まり、売り出し価格の決定・広告・内覧・契約と最低でも3カ月はかかるでしょう。
したがってマンションの売却をするときは、時間的余裕を持たなければなりません。
②売却価格が相場とずれないようにする
売り出し価格の設定が相場より高い場合には、なかなか買い手が現れず、現れても値下げ交渉の際に苦労します。
反対に相場より低いと、もう少し利益が出たのに…ということに。
したがって売り出し価格の設定は、相場とずれないように適正な価格にしなければなりません。
③不動産会社の査定で高額な金額が出た場合、理由を確認する
不動産会社から高い査定額が出れば、この金額で売却できると思いがち。
しかし気を付けないと高い査定額を根拠なしで出して、仲介手数料を得ようとする不動産会社も。
宅地建物取引業法では、不動産会社は売り出し価格を設定する場合、その根拠を明らかにする義務があるとしています。
したがって相場からかけ離れたような査定が出た場合には、不動産会社にその理由を確認しましょう。
④高く売却する場合は相場に1割を上乗せする
既に述べているように、売り出し価格で取引が成立することはまずありません。
過去のデータでは、売り出し価格から1割から2割程度値引きされた価格で成約される場合がほとんど。
したがって高く売却したい場合には、値引きを想定して相場価格に10%~15%程度上乗せして価格設定した方が良いでしょう。
⑤内覧に向けて対策を考えておく
図面上でマンションへの興味を示してもらえたら、次は内覧をして気に入ってもらわなければなりません。
そのためにはあらかじめ準備することが必要です。
部屋の清掃
マンションを気に入ってもらうためにはまず清掃!
部屋の掃除が行き届いていなければ、それだけで内覧者の評価は一気に下がります。
特にキッチンやトイレ・浴室・洗面所などの水回りは汚れやすいので、丁寧に汚れを落とし清掃しましょう。
不要物の廃棄
部屋に物が多いと部屋はどうしても狭く見えてしまいます。
部屋には使っていない調度品などが多くあるはず。
できるだけ廃棄して、部屋を広く見せれば物件の評価は上がるでしょう。
周辺情報の確認
マンションの購入希望者は、周りの情報を知りたがります。
次のような情報は調べておくようにしましょう。
- バス便は多いのか
- 学校や幼稚園への距離
- 買い物の便は良いのか
- 市役所や病院への行き方
- 騒音はないのか
- 治安は良いのか悪いのか
⑥仲介手数料の値引きを重視しすぎない
仲介手数料は金額も大きいので、少し安くならないかと思う人も多いでしょう。
しかし仲介手数料は、不動産会社にとっては重要な収入源であり、この多寡は経営に大きな影響を与えます。
あまり仲介料の値引きばかり気にしすぎると、最も大事な売却業務に支障が出ないとも限りません。
したがって仲介手数料の値引きは、あまり要求しない方が良いでしょう。
6. 不動産を売却する時は値引きに備えて計画をたてた上で売却しよう
不動産を売却する際には、希望売却価格では売れないのがふつう。
一般的には希望売却価格から10~15%程度低い価格で成約となるので、その分を上乗せして計画を立てましょう。
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