アパート経営は、長期的に収入が得られる不動産投資手法のひとつであり、多くのメリットがあります。
一方でデメリットもあり、アパート経営を始めるにあたってはメリット・デメリットをしっかりと把握した上でおこなうことが重要です。
今回の記事では、アパート経営をおこなう際に知っておくべきメリット・デメリットを解説。
また、ワンルームマンション経営と比較したり、新築中古別で比較したメリットデメリットも紹介します。
目次
1. アパート経営をする7つのメリット
アパート経営には多くのメリットがあります。それぞれ解説していきましょう。
①安定した収入を長期的に得ることができ、私的年金として活用できる
賃貸収入が得られるアパート経営は、軌道に乗れば毎月安定した家賃収入を長期間にわたって得られるメリットがあります。
60歳で定年を迎えた場合、65歳の年金支給までの期間は無収入になりますが、アパート経営をおこなっていれば家賃収入を私的年金として活用できるのです。
また年金受給後もそのままアパート経営を続ければ、家賃収入と合わせて豊かな老後が送れるでしょう。
アパート経営は、老後の資金を十分に確保するための有効な投資手法なのです。
②もしもの場合に生命保険の代わりになる
一般的に、アパート経営を始める際には金融機関のローンを利用するでしょう。
ローンの契約の際には「団体信用生命保険」に加入することになるので、万が一契約者が死亡また高度障害状態に陥ってしまった場合には、ローンの残債は保険で支払われます。
残された家族がローンの負担を負うことはないので安心です。
また、遺族がそのままアパート経営を継続して家賃収入を得ることも可能。
さらに、売却してまとまった資金を得ることも可能なので「アパート経営は生命保険の代わりになる」といわれる所以なのです。
③インフレ対策になる
「インフレと連動する現物資産」の不動産を保有することはインフレ対策になり、アパート経営をおこなう際のメリットのひとつ。
物価が上昇して貨幣価値が下がる「インフレ」時に、不動産価格は上がります。
インフレ時には現金や預貯金の価値が目減りするので、資産をインフレに強い不動産として保有することはとても有効な手段なのです。
④少ない初期費用で簡単に始めることができる
通常アパート経営を始めるにあたり、物件購入の際には金融機関のローンを利用します。
アパート経営では必ずしも多額の現金が必要になるわけではなく、ローンを組めるため、少ない初期投資で始められるのもメリットです。
また、毎月得られる家賃収入でローン支払い額を相殺できるので、しっかりとした資金計画に基づいて行えば、購入後も資金繰りに困ることはないでしょう。
⑤税金の節税対策になる
アパート経営には税制上のメリットもあります。
駐車場などの「非住宅用地」を保有している場合と比べ、固定資産税は6分1、都市計画税は1戸200㎡までは3分の1に軽減されます。
さらに相続税も現金を所有していた場合と比べると、アパートは大幅に軽減されるので、アパート経営は税制面においても有効な不動産投資といえるでしょう。
⑥ローンを組むことでレバレッジを効かせることができる
アパート経営の魅力のひとつがローンを組むことでレバレッジを効かせられることです。
レバレッジとは、重いものを小さい力で動かす「てこの原理」のことで、投資においては、少ない自己資金で大きな利益を生み出すことを意味します。
たとえば、株式投資は自己資金の範囲でおこないますが、アパート経営では金融機関からの数千万円といった多額の融資を活用して、大きな資産を築き上げることも可能なのです。
アパート経営を始めるにあたり自己資金0円、物件100%のフルローンを組む実例も多くあり、自身の社会的信用力をフル活用して、保有現金以上にレバレッジを効かせて大きな利益を狙えます。
⑦ローン返済後、土地が資産になる
ローンの返済が終了すれば、土地や建物は自分の純資産になります。
建物の多くはローン期間中に価値が目減りしてしまいますが、土地の価値は保有年数に関係はなく、むしろ評価額が上がっているかもしれません。
その場合売却益を得ることも可能ですし、ローン返済終了後もそのまま継続して家賃収入を得られれば、丸々利益になるのです。
2. アパート経営をする8つのデメリット・リスク
アパート経営には多くのメリットがある一方、デメリットやリスクも存在します。
アパート経営を始める前にしっかりと確認しておきましょう。
①空室リスクがある
アパート経営に限らず、不動産投資で家賃収入を得たい場合の懸念のひとつが「空室リスク」です。
空室のままでは家賃収入が得られず、ローンの負担のみがのしかかることに。
空室リスクを軽減させるためには、購入する物件の立地の確認や、地域における入居者のニーズを考慮して物件選びをすることが重要です。
②建物の老朽化により莫大な費用がかかる場合がある
建物や設備などは、必ず経年劣化するものです。
新築のアパートやマンションならばしばらくは大きな費用はかかりませんが、特に中古のアパートでは多額の修繕費が必要になるケースも想定しておく必要があります。
突然の出費に慌てることがないよう、収支計画には修繕費や管理費を予め織り込んでおきましょう。
③自然災害によるリスクがある
近年、日本各地で起こっている大災害。
自身が保有しているアパートが災害に見舞われ倒壊、消失してしまうリスクがあることを認識しておかなければなりません。
特に木造アパートは構造上、倒壊リスクは高くなります。
万が一に備えて火災保険・地震保険の加入を検討するなど、万全の対策が不可欠です。
④金利上昇による返済のリスクがある
アパートの購入で金融機関から融資を受ける際、変動金利や固定期間選択型変動金利を利用している場合、金利の上昇とともに毎月のローン返済額も上がってしまいます。
将来の金利変動を予測することは困難なので、予め金利上昇を予想して余裕ある返済計画を立てる、または固定金利期間を長くとるなどの対策が必要です。
また、心配な場合は初めから固定金利を選択するのも、リスクを考慮した場合には有効な手段でしょう。
⑤流動性によるリスクがある
何らかの事情で、アパート経営をやめて不動産を売却したいケースもあるでしょう。
しかしながら、すぐに売却したいと考えても思う通りに売却できるとは限りません。
また、希望の金額で売却できないケースも十分あり得ます。
運用方法を途中で変更して損失を負わないよう不動産投資の運用方法を明確にし、長期的な運用計画に基づいてアパート経営を行うことが重要です。
⑥家賃滞納によるリスクがある
空室リスクとともに、アパート経営における収入面でのリスクが入居者による家賃滞納です。
対策として入居者審査を厳しくする、保証会社との契約を入居条件にするなどが考えられます。
⑦地下変動によるリスクがある
不動産を保有していれば、地価変動のリスクは常につきまといます。
家賃収入を得るインカムゲインでは地価下落によって家賃水準が下がることが懸念されますし、
売却する必要がある場合、下落時に売却すれば売却損が発生するかもしれません。
⑧管理会社倒産によるリスクがある
一般的にアパート経営をおこなう際には、管理会社と委託契約を結び管理を任せます。
しかし、契約をしている管理会社が倒産するリスクもあるので、契約する際には慎重に検討しましょう。
具体的には、
- 資本金
- 創業年数
- 従業員数
- 管理している戸数
- 入居率
- 管理内容
これらをしっかりと確認して、少しでも倒産する可能性の低い管理会社と契約することが重要です。
3. 新築と中古のアパート経営のそれぞれのメリット
アパート経営には多くのメリットがありますが、新築アパートならではのメリットと、中古アパートならではのメリットをそれぞれ解説していきます。
新築アパートのメリットとは?
家賃が高くても入居者が決まりやすい
やはり「新築」に惹かれる入居者は多いです。
入居者は、なるべく新しく綺麗な部屋に住みたいと考えており、新築アパートは同エリアの中古物件より少々高い家賃でも入居者が決まりやすいのが特徴です。
銀行の融資を受けやすい
アパート経営で金融機関から融資を受ける際、購入物件が担保になります。
新築アパートは金融機関の評価が高いため、銀行から融資を受けやすいのです。
また新築物件では、頭金ゼロでローン契約をする「フルローン」で融資を受けられるケースもあります。
売主から直接購入が出来ると仲介手数料がかからない
新築アパートの購入では、売主の開発業者から直接購入できる場合が多く、売主から直接購入すれば仲介手数料はかかりません。
不動産業者を介した場合、仲介手数料がかかります。
仲介手数料は物件の3%とした場合、売買価格が6,000万ならば手数料は180万にもなるのです。
仲介手数料を節約できる新築物件は、アパート経営を始めるにあたり大きなメリットになります。
修繕費や設備の修理費用を抑えることができる
新築アパートは設備も新しいため、しばらくの間は大きな修繕費が必要になりません。
たとえば、エアコンやガス給湯器などの機器設備は、10年ほどで修理や交換が必要なるケースも。
中古アパートの場合は、購入後に即対応する必要があるかもしれません。
新築アパートなら、中古アパートと比べて設備や建物の修理、メンテナンスコストを抑えられるのです。
中古アパートのメリットとは?
新築よりも安く購入できる
中古アパートの場合、築年数により建物の評価が下がっている分、新築アパートより安く購入できます。
初期費用が比較的少なくできるのです。
高利回りが実現できる可能性がある
中古アパートは価格が安いばかりか、家賃も新築アパートと比べて特段に安いこともなく安定しているため、表面利回りが高くなりやすいのが特徴です。
一般的に中古アパートの場合、表面利回りは8%前後が目安とされています。
4. ワンルームマンションと比較したアパート経営のメリット・デメリット
アパート経営のメリットデメリットを理解したところで、ワンルームマンション経営と比較した場合、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ワンルームマンションと比較したアパート経営のメリット
アパート経営は、ワンルームマンション経営より多くのメリットがあります。
建物だけでなく、土地の資産価値がある
アパート経営の場合、建物自体は老朽化などにより資産価値がなくなっても、土地は資産として残ります。
ワンルームマンションは、火災や地震などで万が一建物が消失してしまった際には価値は残りません。
空室によるリスクを分散できる
ワンルームマンションは部屋がひとつしかないため、空室になってしまった場合には家賃収入が全く得られません。
しかし、アパート経営では複数の部屋があるので、何戸か空室が生じても家賃収入はゼロにはならないでしょう。
つまり、アパート経営は空室リスクを分散できるメリットがある不動産投資といえるのです。
相続税の対策がワンルームマンションより効果がある
ワンルームマンションに限らず区分マンションとアパート経営を比べた場合、アパート1棟は土地の割合が大きいために相続税を計算する際に有利になります。
相続税を計算する際、土地は「公示地価の80%」で計算されるため、建物の割合が多い区分マンションと比べると相続税額を抑えることができるのです。
ワンルームマンションより高利回りが見込める
木造のアパートは、新築時のコストが鉄筋のマンションと比べ低く、中古も比較的安く購入できます。
特に、築15年以上経過した物件は建物の評価額はゼロに等しく、土地の評価額のみで購入が可能です。
しかし、家賃は建物の評価額の目減りほどには下がらないため、低いコストで始められるアパート経営は高い利回りが期待できます。
一般的に、都内エリアの中古ワンルームマンション投資の表面利回りは5%前後とされており、一方でアパート経営の場合は新築で5%、中古で8%前後。
アパート経営は、ワンルームマンションより高利回りが期待できるメリットのある不動産投資だといえます。
ワンルームマンションと比較したアパート経営のデメリット
ワンルームマンションと比べた場合のデメリットも確認しておきましょう。
投資する額が高くなる
アパート経営は土地と建物を合わせて購入するので、ワンルームマンションと比べた場合に投資額が多くなってしまうのが通常です。
エリアや規模によって異なるので一概にはいえませんが、木造アパートは数千万円の費用が必要。
一方、ワンルームマンションなら数百万円から購入可能です。
アパートの管理や維持費が多くかかる
アパートは部屋数が多いために入居者の審査や建物の修繕、設備の点検メンテナンスなどの手間やコストがかかるため管理委託料も高くなる傾向に。
ワンルームマンションの場合も全体の管理は管理会社に委託するのが一般的ですが、入居者の管理は賃貸管理会社に任せられるのでアパート経営より手間が少ないのです。
ワンルームマンションより流動性が低くなる
まとまった資金が必要になるなど、何らかの事情でアパート経営を辞めざるを得ない場合はアパートを売却しなければなりません。
多くの部屋数をかかえるアパートの場合は金額自体も大きくなるために、なかなか買い手が見つからないことも想定しておく必要があるでしょう。
5. 法人化してアパート経営をするメリット・デメリット
税金対策などで、法人を設立してアパート経営を行うことを検討している方もいるでしょう。
アパート経営の法人化についてのメリットとデメリットを解説します。
アパート経営で法人化するメリット
個人経営よりも税の優遇がある
アパート経営を法人でおこなうことで、税制面で優遇されます。
たとえば、法人化すれば家族を社員にでき、家賃収入で得た利益を給与とし支払うことが可能。
1人で多くの所得を得てしまうと税率が上がってしまいますが、分散することで税率を抑える効果が期待できるのです。
また、法人は個人より経費になる項目が多いこともポイント。
法人ならば役員の生命保険料や退職金の積立なども経費になるので、税制面でとても有利です。
法人にすることで入居者からの信頼が得られる
法人化によって、取引先や金融機関からの信用度が上がります。
個人でアパート経営をしているより、法人の方がビジネスとして健全に経営している印象を与えられるのです。
また、学生の入居率が高いアパートや地域などにおいては、個人名より法人のほうが保護者によい印象を与え、契約の際には有利になります。
アパート経営で法人化するデメリット
経営が赤字であっても、会社の維持費用がかかる
法人はたとえ赤字経営であっても、一定の経費が必ず必要です。
たとえば、法人は社会保険に強制加入となり社員の厚生年金を半分負担しなければなりませんし、決算が赤字であっても、法人税の年7万円は必ず払う必要があります。
税務署の調査対象になりやすくなる
法人は個人より税務署による税務調査の対象になりやすいですし、そのサイクルも短いのが一般的です。
個人なら7~10年に一度程度のところ、法人は3~5年に一度は税務調査に対応しなければなりません。
6. アパート経営のメリットやデメリットを知って投資を検討しよう
ご説明したように、アパート経営には多くのメリットがあります。
また、新築か中古かによってメリットは変わってくることがわかりました。
一方でデメリットも存在するので、メリット・デメリット双方をしっかりと把握した上でご自身に適した不動産投資方法を選ぶことをオススメします。
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