アパートローンや住宅ローンを組む際に、もしもの時に備えて加入するのが団体信用生命保険、いわゆる「団信」です。
団信に加入していれば、ローン契約者が万が一事故で亡くなったり、社会復帰できないような大きな後遺症が残った場合に、ローン契約者に代わってローンの残代金を保険料で支払ってくれます。
団信は契約者に万が一のことがあった場合、ローンのない物件を家族に遺すことができるメリットがある保険です。
しかし、その分加入条件が厳しかったり、保険料を金利に上乗せされるなどのデメリットもあります。
当記事では、アパートローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)とはどんな保険か、加入条件、保障内容などを徹底解説。
また団信なしでも不動産投資はできるのかといったよくある疑問も解決してきます。
目次
1. アパートローンを組む時に加入する「団体信用生命保険(団信)」とは
団体信用生命保険(以下団信)は、アパートローンや住宅ローンの契約者が、万が一亡くなったり重度の障害を負ってしまったりと、金融機関への返済ができなくなってしまった時に、ローン契約者に代わって生命保険会社が残額を返済してくれる保険。
団信は住宅や収益物件を購入するのにローンを組み、ローン契約者に万が一のことがあった場合、金融機関としてはどうやって債務の回収を行うか、ローン契約者はどうすれば家族に迷惑をかけないで済むかといった双方の不安を解消するために生まれた生命保険です。
アパートローンと住宅ローンを組む人専用の保険
どんな融資でも団信に加入できる訳ではありません。
団信はアパートローンと住宅ローンといった、不動産を購入する際のローン契約をする人だけが入れる生命保険となっています。
団信は一般的な生命保険とは違う
団信と皆さんが入っている生命保険との最大の違いは、受取人がローンを融資する金融機関となることです。
また団信は保険料の支払いは、ローンの金利に含まれることが多く、上乗せの金利相場は約0.1~0.4%前後(商品や特約により異なる)です。
団信の加入条件
ほとんどの金融機関では、住宅ローンやアパートローンの融資を受けるために団信の加入を条件としています。
団信は他の生命保険とは異なる特殊な生命保険ですが、やはり生命保険なので年齢や健康状態などの一定の加入条件が。
例えば、住宅金融支援機構が提供する団信を使う場合の加入条件は、
- 申込書兼告知書を記入するその日に、満15歳以上満70歳未満の人
- 生命保険会社の申込の承諾を取り付けている人
となっています。
年齢に関しては、不動産投資や住宅購入を考える方であればほとんど問題ないと思いますが、生命保険の加入承諾となるとやはり健康状態が非常に重要となります。
そのため、不動産購入を検討するにあたり、毎日のライフスタイルや健康管理は大切で、いざ購入したい物件が見つかりローンに申し込んでも民間金融機関の提供する団信に入れず融資を受けれなかったということだけは避けたいところです。
団信の保障内容
団信にも色々な商品タイプ(特約)があります。
基本的な団信の保障内容は、ローン契約者本人が死亡もしくは高度障害を負った場合に、アパートローン・住宅ローン残高を0円にしてくれるというものですが、特約によって保障範囲を広げることが可能に。
どんな特約があるのかご紹介しましょう。
特約の種類 | 保険がおりる条件 |
がん保障 | がん団信とも呼ばれ、がんの診断を受けるとローンが完済される。 保障金額は50%のみの場合も。 |
3大疾病保障 | がん・脳卒中・心筋梗塞の診断を受け、所定の状態が60日以上続くとローンが完済される。 |
8大疾病保障 | 3大疾病+慢性膵炎・慢性腎臓病・高血圧性疾患・肝硬変・糖尿病の診断を受け、所定の状態が60日以上続くとローンが完済される。 |
介護保障 | 要介護2以上になるとローンが完済される。 (要介護3以上で、要介護状態が〇日間続いた場合という商品も有) 3大疾病と組み合わせた商品も。 |
就業不能保障 | ケガや病気などで、就労不能な状態になると、月々のローン返済を肩代わりしてくれ、所定の状態から1年以上経過するとローンが完済される。 全疾病に対応しているものや、8大疾病と組み合わせた商品も。 |
自然災害保障 | 建物の全壊や半壊に対して、入居者の居住が不能となった場合、月々のローン返済を肩代わりしてくれる。 |
保険がおりる条件はあくまで一例で、団信の会社によっては条件が全く違ったり、さらに給付金特約があったりとさまざまです。
所定の状態になった場合の届け出方法
例えば、3大疾病保障付機構団信において、保証期間に死亡が確認された場合や所定の高度障害の発生または3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に該当し、債務弁済の手続きが必要になった場合は下記のような手順で弁済手続きを進めます。
- まずは融資を受けた金融機関へ連絡する
- どの届け出内容(死亡・高度障害・3大疾病)で手続き(保険金請求)をするか検討し届け出を行う。
- 所定の支払事由に該当した場合は、生命保険から住宅金融機構(団信の場合は金融機関)に保険金が支払われ、債務が弁済となります。
届け出をする際の注意点ですが、生命保険会社が機構に支払う保険金額は、支払事由に該当した時の債務残高を基準とし、届け出する内容(死亡・高度障害・3大疾病)によって保険金額が異なることがあり、弁済を行った後に他の内容に変更して請求することが出来ません。
特に、死亡については間違えることはないと思いますが、高度障害、3大疾病の場合はかなり規定が厳しく、症状の進行度合いで保険金が支払われないケースもありますので十分検討して届け出する必要があります。
団信の保険金が支払われないパターン
下記に該当した場合は、生命保険会社から機構へ保険金が支払われません。
- 保障期間が始まる前に、死亡・高度障害・3大疾病の支払条件に該当した場合
- 機構団信を脱退した後に、死亡・高度障害・3大疾病の支払条件に該当した場合
- 保障期間の終了後に、死亡・高度障害・3大疾病の支払条件に該当した場合
- 債務を全額完済された翌日以降に、死亡、高度障害、3大疾病の支払条件に該当した場合
2. 団信なしでも不動産投資は可能?
アパートローンで、団信に加入しなくても不動産投資はできるのでしょうか?
アパートローンの団信は必ずしも必要ではない
金融機関によってはアパートローンの団信は不要な場合もあり、必ずしも加入しなければいけないワケではありません。
団信には万が一のための備えになりますが、一方で金利が上乗せされてしまうため、毎月の返済額が増えてしまうデメリットがあります。
不要な場合は、「金利が上乗せになってでも自分は団信に加入した方が良いのか」をよく考えて加入した方が良いでしょう。
3. 団信への加入条件を満たせない人の対策とは
団信は、通常の生命保険と比べると告知事項などの審査基準が緩めですが、上記の条件を満たせない場合は加入できないことがあり、アパートローンや住宅ローンを組めなくなる可能性が高くなります。
団信の加入条件を満たしていな場合でも、ローンを組める方法があるのでご紹介しましょう。
融資を受ける金融機関を変えてみる
金融機関によって使う生命保険会社が変わるため、1行で団信に加入できなくても、他行が取り扱う団信であれば加入できる可能性があります。
住宅ローンの場合は民間金融機関の団信と住宅金融支援機構の機構団信の提供するフラット35などがあり、団信が金融機関の融資条件になっている場合は加入が必須となるのに対して、機構団信の加入は任意となるため、検討してみても良いでしょう。
ワイド団信を使う
ワイド団信とは、通常の団信よりも健康状態に対する基準が緩和される引受緩和型の生命保険です。
糖尿病などの健康上の理由で団信に断られても、引受基準が緩和されているのでワイド団信であれば加入できる可能性があります。
条件が緩和される分保険料も割高になる点には注意が必要。
連帯保証人を付けて団信なしで融資を申し込む
団信、ワイド団信ともに断られてしまった場合、金融機関もなかなか融資はしてくれませんが、連帯保証人をつけることで融資を受けることが出来る場合があります。
ただし、団信なしでローンを組む場合はリスクも大きいので家族で話し合いが必要です。
生命保険に加入していれば、生命保険の保障範囲で返済が可能かどうかも検討すると良いでしょう。
4. アパートローンを組む際に団信に加入するメリットデメリット
団信はメリットも多いですが、費用の負担が大きく、金利上乗せ型、年払い型など支払い方法によってもデメリットがありますので、住宅ローンやアパートローンを組む際は団信のメリット、デメリットを理解した上で団信に加入する必要があります。
メリット
団信に加入するとどういったメリットがあるのでしょうか。
- 万が一の場合、住宅ローン、アパートローンの返済が滞る心配がない
- 死亡保険金は、支払い事由を満たせば届け出をするだけで金融機関に支払われるので手続きが簡単
やはり団信に加入するメリットは、万が一の死亡や高度障害、3大疾病にかかっても保険金でローンが完済されるので遺族に迷惑をかけることがないという点ですね。
デメリット
次に、団信に加入する場合のデメリットは以下の通りです。
- アパート経営をしている場合、金利が上乗せになるのでキャッシュフローが少なくなる
- 金利上乗せ型の団信は、途中で解約できない場合がある
- 年払い型の団信は、ローン残高によって保険料が変わるので初年度は高額になる
- 年払い型の団信では、ローンを繰り上げ返済しても保険料を支払いした分は返ってこない
- 生命保険控除に使えない
5. アパートローンで団信に加入した後の注意点
団信に加入していれば安心ですが、団信に加入した後の注意点があります。
例えば、ローン契約者が亡くなってしまった場合、保険金が支払われローンが弁済されると遺族に相続が発生します。
相続人が配偶者と子供であれば問題は少ないですが、配偶者のみの場合は、被相続人の親や兄弟に相続する権利が発生。
被相続人が亡くなってしまうと配偶者と被相続人の親や兄弟間で相続争いが発生してしまう恐れがあります。
相続争いにならないためにも、ローン契約者はきちんと遺言書を作成しておき、配偶者に完済した不動産が相続出来るように手配しておく必要があります。
遺言書は日付と署名、捺印をしていれば充分効力を持ちますので簡単に作成することが出来ます。
アパートローンや住宅ローンで団信を組む場合は、遺言書の作成までセットで行いましょう。
6. アパートローンで団信に加入する場合は、必ず契約内容の確認をしよう
団信に加入しておけば、万が一の場合に不動産投資ローンや住宅ローンを保険金で弁済してもらえるので、家族に負債を残さず不動産を残すことが出来るのでとても安心です。
しかし団信も生命保険ですから、加入には一定の条件があり、3大疾病保障付、7,8大疾病保障付などの種類もあり、支払いの規定も細かく設定されていますので、契約内容をきちんと確認しておかないと、万が一の場合に弁済されないといった問題が起こります。
万が一、保障開始前に死亡・高度障害・3大疾病が発覚するなど弁済されない条件に該当してしまうと家族に大きな負債を残すことに。
全てきちんと理解した上で団信に加入すれば、安心して物件を購入することができますね。
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