アパート経営を目指している人で、
「アパートなら、不動産会社と管理会社に任せておけば楽に収入を確保できる」と考えている人が少なくないようです。
はたして、業者に任せるだけでアパートを運営することができるのでしょうか?
確かに、「餅は餅屋」というように、専門業者に任せておけば安心できるでしょう。
しかし、今後予想される少子高齢化のため、若い入居者が減少するかもしれません。アパート経営者にとっても厳しい時代になる可能性が高いのです。
アパートを経営するなら、大家自身が一歩前に進むことが必要でしょう。
周囲の業者が大家のことを優先的に考えてくれることはありません。
これからは、大家も専門的な知識が必要です。今回は、不動産取引のプロである「宅建士」の資格についてご紹介します。
目次
1. 不動産投資に資格は不必要だけど知識は必要
不動産投資に、資格は必要ありません。
誰でもできるのが不動産投資です。ところが、投資には一定のリスクがあるため、うっかりすると思いもよらない損をしてしまうことがあります。
つまり、何の知識もなしに不動産投資をすることには危険がともなうのです。
不動産投資に有利とされる知識には、さまざまなものがあります。不動産の知識や経理の知識、また税金についても知らないといけません。
しかし、一度にすべての知識を身につけるのも大変です。学びに対する優先順位が必要でしょう。
不動産投資では、不動産の取引を欠かすことができません。
不動産取引の専門家としての知識を学べる資格として、「宅建士(宅地建物取引士)」を勉強する人が少なくないようです。
不動産取引に対する知識の有無が投資活動に大きく影響することになります。
2. 宅建業(宅地建物取引業)とは?
宅建業とは、宅地・建物を宅建業者が自ら売買するほか、他人の宅地・建物の売買や賃貸を仲介する仕事です。
宅建業を営むためには、国土交通大臣や都道府県知事の免許がなければ営業することはできません。
国土交通大臣免許と都道府県知事免許の違いは、2つ以上の都道府県に事務所を設置するときは国土交通大臣免許になり、1つの都道府県のみに事務所を設置するときは都道府県知事免許になります。
不動産という高価な商品を扱うので監視しなければならないからです。
宅建業の免許は、「宅建業法(宅地建物取引業法)」に基づくもので、免許を与えた宅建業者を宅建業法で違法な取引をしないように規制しています。宅建業者は、宅建業法という法律で厳しく規制されているのです。
宅地建物取引業は不動産業とは違う物
不動産業とは、不動産の売買・賃貸・管理など不動産についてのあらゆる取引の総称です。
たとえば、不動産を自ら大家として貸したり、物件を管理したりすることは、不動産業ではあるのですが宅建業ではありません。
たとえば、不動産投資では賃貸マンションやアパートを他人に貸します。
しかし、オーナー自らが貸しているのであれば宅建業の免許は必要ありません。賃貸で宅建業の免許が必要になるのは、他人間の賃貸を仲介する場合です。
また、不動産投資では、物件の管理を賃貸管理会社に任せることが多いでしょう。
管理会社も不動産業ではあるのですが宅建業ではありません。宅建業とは、宅地・建物の売買や他人間の宅地・建物の売買・賃貸を仲介する業務のことになります。
3. 宅建がアパート経営に役立つ!3つのメリット
宅建士の資格を勉強することは、アパート経営に大いに役立つことになります。
なぜなら、アパート経営では、不動産取引をしなければならないからです。そこで、不動産取引のプロとしての知識が役立つ3つのメリットをご紹介しましょう。
①出口戦略に有利
不動産投資には出口戦略が大切だといわれます。出口戦略とは、投資物件をいかに売却するかという作戦のことです。
アパート経営でも、物件を有利に売却することがポイントになります。アパートを少しでも高く売却し、かつ売却費用を抑えることが大切です。売却は宅建業者に任せることが一般的でしょう。
なぜなら、不動産売買には不動産取引の専門知識が必要になりますが、専門知識のない普通の人にとっては難しい取引だからです。結局は宅建業者に仲介を依頼して売却しなければ仕方ありません。
しかし、仲介を依頼するには手数料が必要です。
「物件価格×3%+6万円」に消費税を加算するという高額な費用になります。
たとえば、5,000万円の物件であれば「5,000万円×3%+6万円=156万円」に消費税を加算した額を手数料として支払わなければなりません。
ところが、宅建士の資格があれば法律を抑えているので、買主さえ見つければ宅建業者を通さずにアパートを売却できるだけの知識があるということになります。
宅建士の知識を持っていれば、出口戦略を非常に有利に展開することができる理由です。
②資格取得に法律の把握が必須
資格を取得するということは、法律知識をマスターするということです。
宅建士の試験範囲は、宅建業法だけではありません。その他にも民法・不動産登記法・区分所有法・建築基準法など、不動産取引に欠かすことのできない知識を幅広く勉強しなければなりません。
したがって、結果として資格の取得ができなくても不動産取引の知識が身につけば、不動産投資には大いに役立ちます。
資格の取得を目標にすることで勉強するモチベーションが高くなるのは事実ですが、資格を取ることだけがメリットではありません。
不動産投資家であれば、投資物件である不動産に対する知識があるということで、投資でのポイントだといわれる「決断力」を高めることができるでしょう。
法律を把握しているということは、自信を持って取引をすることができるということなのです。
③信用性が上がる
不動産投資家として必要なものとして「信用」があります。信用は、投資家でなくても大切なものです。不動産投資をするうえで、取引相手や金融機関という、さまざまな相手と交渉することになります。
宅建士の資格を持っていると、不動産のプロとしての知識があると周囲が判断することになるでしょう。資格を持っていることで取引相手に安心感を持たせる効果があります。「宅建士の資格があれば違法なことはしないだろう」と判断するのです。
また、取引相手のなかには、悪意を持って近づいてくる人がいるかもしれません。
不動産のような高価な取引では、違法行為による利益も大きいからです。しかし、わざわざ専門的な知識を持った人をだまそうとは思わないでしょう。
4. 宅建を取得するためには?
宅建士の資格を取得するためには、毎年10月に実施される試験に合格しなければなりません。
4つの選択肢のなかから正解肢を選ぶ問題が50問出題されます。おおよそ7割程度の正解で合格し、合格率は15%前後です。実務経験がなくても受験できます。
宅建士の資格は、国家試験としてポピュラーなので勉強方法もたくさんあります。
独学で勉強する人もいれば、専門学校に通って勉強する人もいるでしょう。学校に通う時間はないけれど、独学は不安だという人の勉強方法としては通信教育が便利です。
独学の場合、テキストだけではなく過去問も購入するのがコツです。
宅建士の場合、過去問を焼きなおした問題が出題されることが多いので、必ず過去問に目を通さないといけません。過去問中心の勉強が効率的に合格するポイントです。
通信教育を利用する場合には、質問を多用するのがコツといえます。試験学習に迷いは禁物です。取りあえず先に進まなければなりません。
わかりにくいところは質問により解決して、先へ先へと学習を進めていくのが合格のポイントになります。
5. 宅建の知識があれば自信を持った取引が可能
アパート経営に必要な資格はないのですが必要な知識はあります。
不動産投資に必要となる取引で宅建士の知識があるかないかは、アパート運営に与える影響が異なります。宅建士の知識があれば、取引を有利に進めることができるでしょう。
さらに、宅建士の知識あれば、不動産投資に必要な判断が自信を持って決断することができます。宅建業者に任せるだけでは、有利な取引ができるとは限りません。なぜなら、宅建業者は、会社の利益を優先するからです。
投資する物件に対する知識を高めることは、自分自身を守ることです。
アパート経営のような不動産投資では、知っているか知らないかで収益が大きく異なることがあります。かりに資格取得ができなくても勉強すること自体に意味があるのです。
不動産投資をする上で役に立つその他の資格については以下の記事を参考にしてみてくださいね。
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