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トラブル事例から見る民泊の問題点|グレーゾーンの運営の危険な理由

観光地周辺では年々増加する外国人観光客向けの宿泊施設の確保が追い付きません。

そこで「空き家や自身の持ち家などの一部を観光客向けに貸し出そう」という取り組みが行われるようになり、民泊サービスが広がっています。

「困っている人が助かるのだからいい取り組みだね」と思うところですが、

善意で行っていたとしても違法と認識され摘発されてしまうなど問題点が生じるため注意が必要です。

どのような場合に違法となってしまうのでしょうか?民泊の問題点について見ていきましょう。

1. 場合によっては摘発!?グレーゾーンの民泊運営ケース

昔は交通網が発達していなかったこともあり、見知らぬ人の家に一時的に泊めてもらったり食事を提供してもらうことは珍しいことではありませんでした。

そして、それは善意のもとに成り立つ関係であったため、ほとんどは無報酬で行われていました

善意で行っていたことが民泊に該当してしまい摘発されてしまったとしたらたまったものではありません。

どのような場合に問題点が生じ摘発されているのか見ていきましょう。

ケース1

2014年5月にイギリス人の男性が旅館業法違反で逮捕されます。

男性は自身が所有する木造3階建ての1階と2階部分の3室を観光客に貸し出していました。

ホテルの予約サイトで繰り返し宿泊者を募集していたことが問題視されたことと保健所が旅館業の許可申請を求めたにもかかわらず再三無視したことにより、逮捕へと至りました。

ケース2

大阪市では2017年5月に入ってから、横行する無許可の民泊運営に対して大掛かりな取り締まりを敢行します。

民泊条例に基づいて大阪市から許可を受けている約250施設に対して、無許可営業を行っている施設が大幅に多いことが問題視され、無許可営業の722施設に対して営業停止の指導が入りました。

大阪市では、民泊を解禁するなど推進はしているものの無許可営業に対しては厳しい取り締まりが行われています。

どこがグレー(問題点)なのか

旅館業の許可が必要になる場合は「宿泊料をもらうことに対して宿泊場所を提供する営業を行うこと」になりますが、問題点は「営業」という言葉の解釈です。

友達が泊まりに来て気持ち程度にお礼としてお金をくれた場合にも旅館業の許可が必要になるのでしょうか?

有償で宿泊場所を提供していることに変わりありませんが、提供している側としては部屋を貸し出すことによって儲けようという意思はありません。

このように善意で第三者に対して、一時的に宿泊場所を提供する分には旅館業の許可を必要としませんが、くり返し宿泊場所を提供することによって利益を得ようとする場合には営業とみなされ、旅館業の許可が必要になります。

この営業という言葉の解釈が難しいことから民泊の無許可営業が横行してしまう原因となっています。

2. そもそも「民泊」とは?

民泊に対する正式な定義は今までありませんでした。しかし、近年増加する違法な民泊の問題点に対し、厚生労働省が民泊に対する定義を明確に定めています。

民泊の定義について見ていきましょう。

2-1. 民泊という言葉が持つ本来の意味

民泊は自分の家ではなく、他人の家(民家)に泊めてもらうことを意味します。

交通網が発達していなかった時代に、旅の途中などに知人や善意の第三者のお宅に泊めてもらうということはよくある光景でした。

善意に基づいて泊めてもらっているため、無償で食事や寝床を提供してもらうというのが民泊の基本的な考え方になります。

2-2. 現在認識されている言葉の意味

投資用に空き家や空き部屋を所有している人が観光客などを対象に宿泊業を営むというビジネスモデルのことを現代では民泊として定義するようになっています。

ビジネスモデルということは不動産投資の一環になるため、無償で提供するわけではなく有償での提供になります。

しかし、一時的に生じた需要に対して部屋の提供を行うことは民泊に該当しますが、問題点は常時宿泊者の受け入れを行っている場合には民泊ではなく旅館業に該当することです。

2-3. 旅館業と民泊はここが違う

一時的に生じた需要に対してのみ部屋の提供を行うことは民泊に該当しますが、宿泊に対して対価を必要とし、その業務を繰り返し行う場合には旅館業の許可が必要になります。

旅館業を行う場合には、営業許可を必要とするため許可なく行うことはできません。

旅館業は大きく以下の4つに分類されます。

ホテル営業

洋室客室を使用する宿泊施設。ビジネスホテルなど。

旅館営業

和室客室を使用する宿泊施設。温泉旅館や民宿など。

簡易宿所営業

一つの客室を複数人で使用する宿泊施設。民泊やカプセルホテルなど。

下宿営業

数日ではなく一定期間(1ヵ月など)単位で使用する宿泊施設。学生寮など。

2-4. 民宿との違いは?

民泊は一時的に生じた需要に対して部屋の提供を行うものでしたが、常時宿泊者の受け入れを行っている民宿は旅館業の簡易宿所営業に該当します。

そのため、民宿を行う場合にも旅館業の営業許可が必要です。

旅館業法についてより詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。

関連記事民泊するなら旅館業法をマスターしよう!営業スタイル4種類比較

2023.05.30

3. 民泊が注目を集める3つの理由

なぜ急に民泊の話題や問題点がニュースとして取り上げられたり、上場企業などが民泊事業に参入し始めたのでしょうか?

民泊が注目を集める3つの理由について見ていきましょう。

3-1. Airbnbの普及により誰でも簡単に参入できるようになった

Airbnbをご存知ですか?Airbnbとは自宅などを宿泊施設として登録して世界中の人が利用できるようにしたサイトのことを言います。

民泊 問題点

Airbnbのサイト

https://www.airbnb.jp/

日本ではじゃらんや楽天トラベルと言った宿泊予約サイトがありますが、登録されているのは旅館業の営業許可を得たホテルなどの宿泊施設が掲載されています。

元々は海外で本格的に活用されていましたが、日本でも2014年5月に日本法人が設立され、それをきっかけに民泊に対する認知が広がりました。

3-2. 外国人観光客増加による「宿泊施設の不足」

https://live.amcharts.com/GE3Zm/

参照:JTB総合研究所

爆買いなどでニュースに取り上げられるように、治安の良さや観光名所の豊富さなどから日本を訪れる外国人観光客は年々増加しています。

しかし、増える観光客に対して宿泊施設の新設は行われておらず数が足りていません。

宿泊施設を増やしてほしい、日本の文化に触れてみたいという要望や空き家を運用したいという家主の要望などが相まって、民泊がますます注目されるようになりました。

3-3. 深刻な「空き家増加」への対策として

https://live.amcharts.com/jVmMm/

引用:「平成25年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)
「平成20年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

少子高齢化の影響を受けて全国的に空き家が増加していることが問題点に挙げられます。

そこで注目され始めたのが、民泊による空き家の有効活用です。

近年では、不動産投資の一環としてアパート経営やマンション経営に加えて、民家などを活用した民泊経営が行われるようになりました。

4. 民泊のトラブル事例

近年注目されるようになった民泊ですが、発展に法改正がまだ追い付いていないため、家主や利用客だけではなく近隣住民も巻き込んだトラブルに発展している事例が多発しています。

具体的にどのような問題点が生じているのでしょうか?

4-1. ホスト側のモラルの問題

外国人観光客が増えた際にニュースにも取り上げられましたが、備え付けの設備を持って帰ってしまったり壊してしまうというトラブルが発生しています。

良かれと思って設置していたテレビやドライヤー、変圧器などと言った機器を持ち帰られてしまったりするなど設備関係のトラブルが後を絶ちません。問題点は個人のモラルにあります。

4-2. ゲスト側の募集方法の問題

民泊が選ばれる理由の一つとして、ホテルなどとは違って個性豊かな宿泊施設を利用することができるという点が挙げられます。

そのため、施設利用者は掲載されている写真を参考にしながら利用する施設を選ぶのですが、掲載されている写真が本当にその物件のものかどうかという保証はありません。

実際に訪れてみると掲載されていた写真と実物が全く異なっているという問題点が生じています。

4-3. 騒音の問題

特に多いのは騒音の問題です。

問題点の根本には文化や感覚が違うため仕方ないということがあるのですが、部屋で騒ぐなど近隣住民と騒音関係のトラブルになる事例が多く報告されています。

4-4. そのほかの問題(死亡事故・海外事例・摘発事例)

ホテルのように宿泊リストがきちんと管理されていないなど問題点を抱えたずさんな管理状態の宿泊施設もあるため、海外では犯罪組織の一時的な集合場所に用いられたりする場合があります。

それ以外にもホストによって仕掛けられたカメラで盗撮が行われるなど、犯罪の被害者になってしまうといった事例が報告されています。

5. 民泊の違法営業が危険な理由

違法営業がバレなければ問題ないというわけではありません。違法営業が危険とされる問題点は以下の通りです。

法令違反

旅館業法に該当しているにもかかわらず無許可で民泊を行っていた場合には法令違反となります。

民泊が導入された直後の検挙事例では3万円の罰金刑が科されることが多かったのですが、悪質な無許可営業が横行したため、法改正によって上限100万円の罰金もしくは6ヵ月以下の懲役刑が科されることになりました。

損害賠償請求の増大

無許可営業で利用者に被害が生じた場合には、重罰が科される可能性があります

旅館業を営んでいる場合には消防設備などを順守している必要がありますが、無許可で営業を行っている場合にはほとんど消防設備の確認が行われていません。

このような状況で火災が発生した場合には、過失によって生じた火事による被害というだけでなく、重要な法令違反によって生じた被害となるため、その罪は計り知れないものになるでしょう。

6. 民泊を安全に運営するために

民泊というものは2014年のAirbnbの日本法人設立とともに認知されるようになり、ますます広がりを見せるようになりました

海外を中心に広がりを見せた民泊は、日本でも不動産投資家や空き家で困っている人々にとっては新しい資産運用となるため、日本でも急速に拡大しました。

しかし、拡大のスピードが早すぎたことによりまだまだ周辺環境や法整備が追い付いていません。

そのため、利用者間におけるトラブルが多発しているという問題点が報告されています。

Airbnbなどに登録して繰り返し運用を行う場合には、旅館業とみなされる場合があります。

民泊を安全に運営するためにも、まずはしっかりと厚生労働省に民泊について確認を行い、独自の判断で勝手に営業を始めてしまわないようにしましょう。

また、2021年6月15日には「民泊新法」が施行され法整備は徐々に進んでいくことが予想されます。始まる前に以下の記事を読んで備えましょう。

関連記事【2021年最新】民泊に関わる法律とポイント|民泊新法の4つの特徴を解説

2022.08.27

 

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