不動産投資において注意するべき事項の一つに「キャッシュアウト」…つまりお金の流出が挙げられます。
キャッシュアウトが発生してしまうと不動産経営が難しくなり、場合によっては手放さなくてはなりません。
今回はキャッシュアウトをテーマにどんな人がキャッシュアウトしてしまうのか?キャッシュアウトを回避する物件の選び方などを紹介します。
きちんとした知識を持つことでリスクを避けることができます。
目次
1. キャッシュアウトする人の共通点は「現金を手元に置いていない」
キャッシュアウトとは簡単に言えば不動産投資によるお金の流出を指します。
不動産投資は家賃収入によるキャッシュフローが注目されますがキャッシュアウトを把握することが重要。
キャッシュアウトを把握していないと急な出費にとまどい、場合によっては不動産経営が難しくなる可能性も出てきます。
想定外のキャッシュアウトが起きてしまう人の特徴は不動産投資をする上での入念な準備をしていない人に多いです。
不動産投資では予期せぬ出費が発生することがありうる
不動産投資において予期せぬ出費は注意したいところです。
たとえば退去者が出てしまい、リフォームをする必要があったとしましょう。
年間のキャッシュフローは60万円なのに30万円のリフォーム代が必要になったらかなりの痛手になりますね。
もしくは設備の修理で100万円以上の費用が必要になる場合も出てくる可能性もあるのです。
ローンや修繕費、税金などの計算できる出費はシミュレーションできても、入居者や災害などの影響で予期せぬ出費が出てくることもあります。
人間や自然が起こすものですから、計算しにくいのが難点。
しかし、予期せぬ出費が出てくることを念頭に置いて、手元に現金を残しておくことが重要です。
不動産投資のキャッシュフローの目安は家賃収入の15~20%
不動産投資におけるキャッシュフローは家賃収入の15~20%を目安にしたいところです。
この変動の幅は経費によって変わるものであり、修繕費や管理費などの経費が当てはまります。
経費は家賃収入のおよそ30%が目安で、残りのおよそ50%が返済に当たります。
不動産会社がよく提示している高利回りのキャッシュフローは、返済や経費の計算をしていない状態が多いです。
これを表面利回りというのですが、経費や返済を考慮に入れた実質利回りでの計算が重要になります。
いきなり実質利回りを求めるのは時間がかかるので、あくまでも目安としてキャッシュフローは家賃収入の15~20%と覚えておくといいでしょう。
2. 不動産投資でキャッシュアウトしてしまう理由
想定できている出費であれば準備すれば問題ないでしょう。
しかし、予期せぬ出費ほど怖いものはありません。
どんなことをしてしまうと起こってしまいやすいのか見ていきましょう。
フルローン・オーバーローンを組んでいる
まず初めに必ずしもフルローン・オーバーローンがいけないということではありません。
返済の目途が立っている、不動産投資として利益を上げられるのであればフルローン・オーバーローンを組んでも良いです。
しかし、無茶なローンを組んでしまうのは問題でしょう。
一番注意したいのが家賃収入を得ても赤字になってしまう状態です。
こうなると、自身の貯金を切り崩すことになり資産としての意味がなくなってしまいます。
ローンは不動産投資において有効に活用できますが、入念な準備と理解が大事です。
リスク対処のための現金の用意が出来ていない
自然災害や人的なトラブルによって何かしらの現金が必要になるケースもあります。
どんなに準備をしていても想定外のことは起きるときは起きてしまうものです。
現金の用意ができていないと、不動産経営が難しくなる場面も出てきます。
ローンをどう組むかによって現金をどのくらい残せるのか変わってきますので入念なシミュレーションの元に対応するとよいでしょう。
投資物件の利回りの悪化
建物の老朽化や周りの不動産事情などによって利回りが悪化する場合もあります。
例えば家賃収入として毎月6万円を得ていたとしても、年月が経てば5万円になることもあるでしょう。
この時に赤字になってしまうと大変です。
ローン返済分を補填をするために自身の貯金を切り崩すことになり、想定外のキャッシュアウトが起こるでしょう。
利回りを悪化させないためにも日ごろからの丁寧な管理と、仮に利回りの悪化が起こったとしても対応できるように準備しておくことが重要です。
1棟目からの大規模な投資
不動産投資が初めてなのに、いきなり大規模な投資を行うのも注意が必要です。
初心者の場合は出費がどんなもので、具体的に何が出費になるのか完全に把握していないことが多いです。
大規模な投資は上手くいけば、大きなキャッシュフローを得られるでしょう。
しかし、その分失敗すれば大きな赤字となり自身の資産を大幅に失くしてしまう可能性もあります。
不動産投資が初めての場合は小規模なところからスタートして、どんな出費があるのか?実際の不動産投資を把握するのがよいでしょう。
ランニングコストの増加
ランニングコストには税金や管理修繕費、保険などが該当します。
当然のことですがランニングコストが増加すれば、それだけキャッシュフローは減ってしまいます。
税金が上がる可能性もありますし、管理修繕費も上がる可能性があるのも念頭に置いておきましょう。
他にも入居者を募集するための広告費というのも存在します。
不動産投資をして間もないころは入居者が出てきたものの、月日が経って人気がなくなることも。
一時的なコストかもしれませんが、長く募集すればするほど経費はかさみますので注意が必要です。
家賃収入に対する返済比率が高い
返済比率が高いということはちょっとしたことで経営が崩れてしまう危険性があります。
返済比率は50%以下にするのが望ましいです。
60%と指摘しているところもありますが、常に満室経営ができる保証はありません。
保有期間のうち1割ほどの期間は空室があると想定するのが安全な経営をする上で大事です。
3. ローンを組んでいる場合は返済比率を確認しよう|実例を用いて解説
物件価格を1,000万円、家賃6万円の物件で返済期間35年のフルローンだったとしてシミュレーションしましょう。
表面利回りでは7.2%ですが、経費と返済を考慮に入れていないので実質利回りはかなり下がります。
税金や空室リスクなどの経費を30%と計算すると1万8千円が経費なので、これを基本として確認してみましょう。
まず、返済比率を50%とした場合、月々の支払いは3万円になります。
経費と合わせての出費は4万8千円であり、キャッシュフローは1万2千円になりました。
次に返済比率を60%とした場合、月々の支払いはおよそ3万6千円でキャッシュフローは6千円です。
返済比率を70%にすると、月々の支払いは4万2千円でキャッシュフローは0円になります。
計算上では返済比率は60%でも利益を上げることができます。
しかし、想定外の出費や空室リスクに耐えられるかと考えると60%では危険と判断してもいいでしょう。
たとえば1年のうちに1月だけ空室が出たとします。
こうなると出費の分の合計5万4千円(経費+返済)を支払う必要があります。
この出費は60%の返済比率のキャッシュフローの8か月分の値段になります。
11カ月はキャッシュフローを得ているので利益は出ていますが、空室が2か月続いたらどうなるでしょうか?
6,000円×10か月-54,000円×2か月=-48,000円となります。
では、返済比率50%の場合で空室が2か月続いた場合はどうでしょうか?
12,000円×10か月-48,000円×2か月=24,000円になり、プラス計上になりました。
空室が続いてしまうことを考えても返済比率は50%以下にするのが望ましいと言えるでしょう。
4. 不動産投資でキャッシュアウトを防止するための方法
キャッシュアウトを防ぐためにも行うべき対策が3つあります。
それぞれ見ていきましょう。
家賃収入の3か月分の現金を確保しておく
あくまでも目安ではありますが、家賃収入の3か月分の現金を確保しておきましょう。
空室が出た際の補填にもなりますし、急な修繕費にも対応しやすくなります。
あくまでも貯金ではなく、不動産経営をする上での経営資金用としての感覚で確保するとより安全な経営ができるでしょう。
家賃収入の割合を増やす
単純に家賃収入が上がれば、その分キャッシュアウトすることを防ぐことができます。
家賃収入を上げるためにはリフォームをして物件価値を上げるのも一つの手。
一時的な出費をしてしまいますが、結果として長く住んでもらえますし家賃アップしても納得してもらいやすくなります。
もちろん、物件選びの時点で家賃収入の割合が多いのを選ぶことも重要です。
投資物件に対するリスク対策を行う
不動産投資は多額のお金が動きますので相応のリスクがあるものとして対応しましょう。
特に避けたいのがリスクが起こってしまい、対処できず物件を売却しなければいけなくなることです。
そんな悲劇を避けるために行いたい方法があります。
借入金の返済期間を長くする
借入金の返済期間を短くすると、その分返済額は大きくなります。
もちろん短期間での返済は利子の分だけ得しますが、無理な返済は想定が外れると水の泡になりがちです。
予期せぬ出費が起こる、想定外のトラブルが起きるという想定の元、返済期間を長くして安全な経営を目指しましょう。
節税スキームを構築する
税金を抑えることも重要です。
特に不動産の場合は多額の金額が動きますので節税をきちんと行うことで大きな効果が見込めます。
その代表例が減価償却です。
減価償却は法定耐用年数まで適用できるので、大きな節税効果が期待できます。
他にも不動産投資に関わる経費であれば経費の対象になり、所得税を抑えることができます。
節税スキームを構築することで出費を抑えることができるのです。
5. 不動産投資においてキャッシュアウトを防止するために避けるべき物件
不動産投資をする上でキャッシュアウトを防止することは大事です。
防止するための一つの方法として間違った物件選びをしないことが挙げられます。
どんな物件は避けたほうがいいのか見ていきましょう。
不動産投資ローンの返済スピードが速い物件
返済期間が10年と短期間での返済を求める物件は基本的に避けたほうが無難です。
返済比率が高くなりますし、予期せぬ出費によって物件を手放さなくてはならない場合があります。
もちろん、短期間での返済が上手くいけばキャッシュフローは大きくなるでしょう。
しかし、リスクやトラブルは長期間の不動産投資を行えば出てくるもの。
特に初心者の場合は対応しきれない場面がありますので注意が必要です。
物件価格よりも土地の資産性が高い物件
土地の価値が高いので物件を壊して土地を売る方法があると言われることもあります。
一見良いように聞こえますが、このような物件の多くはキャッシュフローが低い傾向です。
不動産投資の基本はキャッシュフローを得て、長期的な資産を構築することです。
売買を目的として利益を得るのもいいですが、初心者は手を出さないほうが無難でしょう。
将来的に値上がりを期待できる物件
将来的に物件価格が上がれば、それに越したことはありません。
しかし、将来の予想を確実に当てることはプロでも難しいものです。
たとえば「新幹線の駅ができるから今が買いです」という文句を言っても実際にできるかはわかりません。
口先だけのことかもしれませんし、不確実なことで不動産投資をするのは避けたほうがよいでしょう。
一等地に建っている物件
一等地=キャッシュフローが高いというわけではありません。
プレミアム感が強く、一等地の物件を持つことで優越に浸れるでしょう。
しかし、優越に浸ったからキャッシュフローが上がるわけではありません。
不動産投資をする場合は数字を大事にして、シミュレーションを入念に行うのが先決です。
6. キャッシュアウトが発生することが確定した時の対処法
どんなに注意してもキャッシュアウトが発生してしまうことも出てくるかもしれません。
そんな時どうしたらいいのかを見ていきましょう。
投資物件を売却して損切する
キャッシュアウトが発生し、修正ができないと判断したら損切をしましょう。
投資物件を売却することで損害を減らすことができます。
損が出る売却をするのはもったいないと思うかもしれません。
しかし、被害を最小限に抑えて次の投資ができるための行動と割り切る考えが重要です。
金融機関のローン借り換えをする
ローン借り換えをすることでキャッシュアウトを避けることができる可能性があります。
金融機関によってローンの条件は違いますので、単純に毎月の返済額が大幅に減ることもあり得るのです。
ローン借り換えは元の相手に失礼と思ってしまうかもしれません。
しかし、不動産投資は利益を上げることが重要ですから、できることは可能な限り行うほうがよいです。
投資物件がデッドクロスになる前に売却する
デッドクロスとはキャッシュフローよりも課税金額が大きくなってしまう現象を指します。
帳簿上では黒字でも課税してしまったことで結果的に赤字になってしまうので注意が必要です。
デッドクロスになってしまう前に投資物件を売却すればキャッシュアウトは発生しません。
7. 収支計画を立てることでキャッシュアウトは防げる!
不動産投資においてキャッシュアウトを避けることの重要性が分かったかと思います。
事前の準備や知識を持っていることで不動産投資は有利に進めることができるのです。
収支計画を立てて、キャッシュアウトを防ぎましょう。
しかし、初心者の場合はいきなりキャッシュアウトを防ぐと言っても難しいことかもしれません。
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