いまは銀行にお金を預けておいても、僅かな利子しかつかない時代です。
こんな時代に対処するために、不動産投資を始めて将来の蓄えをしたいと、考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし簡単に不動産投資と言っても、投資なのでリスクは必ずあります。
失敗したら契約解除はできるのか、取り消しはできるのかなどの不安も!
そこでこの記事では、不動産投資で契約解除はできるのか、また解約するまでの流れなどについて解説しましょう。
目次
1. 不動産投資での契約解除は基本的には不可能
売買契約の解除とは、契約を締結し有効となった後に、売主あるいは買主から契約関係を解消することを言います。
契約当事者の片方の意思により契約をないものとするため、正当な事由がなければ契約解除はできません。
また契約関係については法的な拘束力があるので、一方だけの事情による契約解除はペナルティが課せられる場合も。
2. 不動産投資における契約解除の流れ
一般的に不動産投資契約では、買主および売主が売買契約書に署名・捺印をしたときに成立します。
これにより法的拘束力が発生するので、キャンセルが契約前か契約後かではペナルティに大きな差が。
売買契約締結前の契約解除
不動産の売買は、通常購入の申し込みをしたあと1週間位たってから売買契約の手続きが始まります。
そのため宅建業法では、買主・売主双方が売買契約書にサインをするまでは、法的な拘束力は発生しないとしています。
したがって、署名・捺印をする前であれば申し込みのキャンセルは可能で、そのための違約金の支払いは不要。
また購入の意思表示として買付証明書を渡しているときでも、買付証明書自体には売買契約としての拘束力はないので、違約金なしでキャンセルが可能。
これは買主だけでなく、売主が契約前にキャンセルしても同様です。
売買契約締結後の契約解除
売買契約を締結した以降は、契約は有効になるので法的な拘束力が生じます。
したがって、契約を解除する場合にはキャンセル料を支払わなければなりません。
キャンセル料の支払いは、既に支払っている手付金により精算します。
なお、手付金には3つの意味合いがあるので覚えておきましょう。
契約の証拠=「証約手付」
契約が成立した証拠としての意味合いがあり、これを「証約手付」と言います。
解約の代償=「解約手付」
「解約手付」は買主は手付金を放棄することにより、売主は買主に手付金の倍額を買主に支払うことにより契約解除できるものです。
債務不履行に対する違約金=「違約手付」
「違約手付」は買主または売主の一方に債務不履行があった場合に、手付金を違約金としての性格を持たせるものです。
3. 不動産投資における契約解除での手付金の取り扱い
手付金は不動産売買契約を結ぶ際に、買主が売主に対して「この物件を購入しますよ」という意思表示。
一般的には売買価格の10%程度を手付金とする場合が多いですが、手付金額は契約前に売主と買主の間で取り決めます。
手付金は契約が成立した場合には買主に返還しますが、通常売買代金を支払う際にその一部に充当。
契約解除をした場合の手付金の取り扱いは、すでに述べたように売買契約締結前と後では大きく異なります。
次にどのような差があるのか、詳細について説明しましょう。
不動産売買契約締結前での手付金の取り扱い
一般的に手付金は売買契約締結日に支払いを行いますが、場合によって契約日以前にお金を支払うこともあります。
前もって手付けを打ちその後締結契約を中止したくなった時に、はたして支払ったお金は戻ってくるのでしょうか?
契約を結ぶ前に支払ったお金は、正しくは手付金ではなく預け金の扱いとなります。
手付金は契約の際に支払うので、契約以前に支払ったお金はペナルティなしで返還請求できます。
不動産売買契約締結後の手付金の取り扱い
売買契約締結後のキャンセルは、売買契約の解除になります。
したがって手付金の扱いについては、売買契約書で定めている条項や特約によって処理。
買主および売主が解除する場合の処理方法は下記の通りです。
買主都合の解除
売買契約締結後に買主の都合で一方的に解除するときには、売主に手渡した手付金は返してもらうことができません。
これを「手付放棄」と言い、これにより契約解除ができます。
売主都合の解除
反対に売主の都合で契約解除になるときには、「手付金の倍返し」をしなければなりません。
すなわち売主は買主へ手付金を返却し、さらに手付金と同じ金額を買い手に支払う必要が。
なお手付解除が可能な期限を過ぎてからキャンセルをするときには、手付放棄だけでなく違約金を求められる場合もあります。
手付解除可能期間を「売買契約書に記載している」場合もありますが、「契約者双方が契約の履行に着手したとき」としていることも。
したがって契約にあたっては、問題が発生しないか契約書の中身をきちんと読むようにしましょう。
4. 不動産の売買契約後に解約することが出来るパターン4つ|手付金も戻ってくる
不動産投資契約後の解除には通常ペナルティが発生しますが、違約金を支払わずに解約できる場合があります。
①クーリングオフによる解約
宅地建物取引業法では買主保護の観点から、クーリングオフという制度が設けられています。
一定期間内であれば、買主は下記の条件を満たすことにより一方的に契約を解除できるというものです。
- 売主が宅建業者であること
- 事務所または関連建物以外の場所で締結された契約であること
なおクーリングオフは、契約を締結してから8日以内に手続きをしなければなりません。
②ローン特約による解約
不動産投資は、通常金融機関から融資を受けて始めます。
しかし、金融機関から借り入れができなかった場合には、不動産投資を始められません。
そのような場合に備えて、契約書に住宅ローン特約を付けるのが一般的。
期日までにローンの審査が通らない場合に契約解除ができ、手付金が返還されるという契約です。
これにより金融機関から融資を受けられなかった場合に契約解除しても、手付金は買主に戻され違約金も生じることはありません。
③売主からの契約解除申し込み
売主側からの事情で、契約解除の申し入れがあった場合には解約が可能です。
売主は手付金を返却したうえで、手付金と同額を買主に支払わなければなりません。
また契約履行に着手した場合には、さらに売主は違約金を支払う必要があります。
④売主側の契約違反
買主が手付金を支払ったのに、物件を引き渡さないような場合には、契約違反として解除できます。
他人所有の不動産の売却
買主が他人の所有する不動産と知らなかった場合には、売主の債務不履行として契約を解除できます。
手付金の支払いだけでなく、違約金を請求することも可能です。
しかし他人の所有物であることを買主が知っていた場合には、契約は解除できるものの、違約金は請求できません。
売却物件の二重譲渡
不動産は登記によって、第三者への対抗要件を備えます。
したがって買主が登記する前に、売主が第三者に売却できますが、その場合買主は売主に対して損害賠償を請求できるのです。
5. 不動産売買契約解除の違約金の取り決め方・上限
不動産の売買契約では、手付解除のほかに契約違反による解除についても契約書に記載し署名捺印をして確認します。
この項では違約金の取り決め方及び違約金の上限について説明しましょう。
契約解除での違約金の取り決め方
違約金とは、一般的には損害賠償予定額を言い、実際の損害に関係なく決められた予定額で支払われます。
実際に被った損害額とすることもありますが、その場合には契約書に記載する必要が。
したがって特別の定めがないときには、違約金=損害賠償予定額です。
契約解除での違約金の上限額
一般的には、違約金は売買価格の1割程度です。
上限額は宅建業法により、売買代金の2割以内と定められているので、その範囲以内で合意すれば5%でも15%でも良いとされています。
6. 注意!不動産投資の契約解除後に発生しやすいトラブル
不動産投資の取引額は、買主にとっても売主にとっても大きな金額です。
そのため高圧的な態度に出たり、ごり押しするような場合もあるでしょう。
そのような場合に頼りになるのが売買契約書です。
きちんと読んで、正々と取引をするようにしましょう。
7. 不動産で契約解除する前に知っておくべきポイント
契約解除をするためには、いろいろな知識が必要です。
次に解除をする前にぜひ覚えておいてほしい事項について解説します。
契約解除の申し込みは内容証明郵便を利用する
契約解除の申し入れを内容証明郵便で送る理由は、それが証拠書類となるためです。
書類の内容については、差出人および受取人の住所・氏名・発信日および契約解除の意思表示、配達日などを記載すること。
内容証明郵便は本人・相手・郵便局の3者が保管し、これによりクーリングオフをしたか否かの揉め事はなくなります。
不動産投資は金額も大きいので、トラブルを避けるためにも、必ず内容証明郵便を利用するようにしましょう。
なお、内容証明は近年インターネットで行う人も多くなりました。
「電子内容証明」で送れば、わざわざ郵便局に行く必要がないので便利です。
クーリングオフの申込期限
不動産売買契約のクーリングオフの申込期限は宅地建物取引業法で規定されており、最大で8日間。
したがって、クーリングオフ期間内である8日間以内にクーリングオフの通知書を発送すれば申し入れをしたことになります。
瑕疵担保責任の規定
民法570条において、売買契約の対象物に隠れた瑕疵があるときは、売主が瑕疵担保責任を負うと定められています。
瑕疵とは欠陥や傷という意味で、物件に本来備わっている機能や性能に隠れている瑕疵が見つかった時には売主の責任に。
瑕疵により契約の目的が達成できない時には契約の解除ができ、さらに買主に損害を与えたような場合には損害賠償も請求が可能です。
瑕疵担保責任の申し入れ期限は、民法では1年以内としていますが、
一般的には引き渡しから2~3ヶ月、売主が不動産業者の場合には宅建業法により2年と定められています。
契約書の内容に異議がある場合の取り扱い
売買契約書は熟読し、すべての点で納得してから署名捺印をしなければなりません。
内容に不明な点やおかしな点がある場合には、直ぐに問い合わせし正すようにしましょう。
契約を結んだ後でも、不動産会社が売主の場合には、宅建業法の適用となるので一定の範囲内で個人は守られます。
契約解除を決めた場合の相談相手
契約解除を決めた場合に、相手とトラブルになることはよくあることです。
わからないような問題については、自分で勝手に判断しないこと。
不動産投資のプロである不動産仲介会社や司法書士・弁護士に相談してみましょう。
不動産仲介会社
不動産仲介会社は、売主と買主の間に立って売買を仲介することで報酬を得ます。
したがって売買契約に関するトラブルについては、きめ細かく相談に乗ってくれるでしょう。
司法書士・弁護士
不動産の売買契約を締結する際には、司法書士が同席し責任を持って必要な書類と支払いを確認してから登記手続きを行います。
司法書士は中立な立場であり、不動産取引が円滑かつ安全に進むよう相談に乗ってくれます。
不動産投資にはトラブルはよくあることで、法律にかかわるトラブルも多いです。
解決できない難しいトラブルであれば、安易に考えないで専門家である司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
8. 解約解除には手間とお金がかかる!不動産の購入前には収益を出せるかよく調査しよう
不動産投資をする際には、「その物件が本当に収益を生み出してくれるのか」「問題…はないのか」よく調査することが大事。
良く調べないで契約し解除をすれば、多大な手間とお金がかかります。
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