「新築マンションは高すぎて手が出ない」とお悩みの方もいるかもしれません。
そこで中古マンションを購入して、内装を新築のようにリフォームする方法があるのをご存知でしょうか。
中古マンションは新築マンションより割安に購入できる上、自分好みのスタイルにリフォームできます。
自分で住む場合に限らず、不動産投資の手法としても有効な手段なのです。
そこで今回は、中古マンションを購入してリフォームする場合の注意点や費用の目安などについて解説します。
目次
1. 中古マンションを購入してリフォームするメリットとデメリット
中古マンションを購入してリフォームする場合、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
中古マンションを購入してリフォームするメリット
中古マンションは、築年数の経過によって価値が大きく下落する場合があり、新築では購入できなかった物件を格安で購入できる可能性が高いです。
そのため、新築のような内装のマンションを安く手に入れることができるというメリットがあります。
(新築マンションの価格には広告費や人件費が含まれているため、実際の価値よりも高くなります。)
また、新築マンションではモデルルームで判断するほかないですが、中古マンションなら実際の部屋を確認できる上、自由に間取りや設備を変更できます。
中古マンションを購入してリフォームするデメリット
中古マンションは築年数にもよっては大規模な修繕を必要とするケースを想定しておく必要があるほか、建て替えを検討しなければならないケースもあるでしょう。
また、1981年以前の中古マンションを購入する際には、耐震基準を満たしているかも重要なポイント。
もし、基準を満たしていない場合は高額な修繕費用が必要になります。
さらに、給排水設備などが古くなって交換が必要であれば、やはりリフォーム費用が高額になるため注意が必要です。
2. 中古マンションのリフォームの費用の目安|築年数別
中古マンションのリフォーム費用と一口に言っても、建物の規模や築年数によって異なります。
おおよその目安を確認しておきましょう。
築年数5~10年程度
築年数5~10年程度の場合、設備機器関係の交換の有無でリフォーム費用は異なります。
壁や床のクリーニングや畳の交換のみの場合、リフォーム費用は約10万円が目安です。
クロスの交換が必要な場合、50万円ほどの費用になる場合もあります。
築年数15年程度
築年数15年ほど経過すると、大分傷みが目立ってきます。
クロスの交換やクリーニング、畳の交換を行った場合の費用目安はおよそ50万円。
ユニットバスや給湯器の交換が必要になる場合は、リフォーム費用は100万円を超えるケースもあります。
築年数20年程度
築年数が20年を経過していると、さらに給湯器やユニットバスの交換が必要なため、リフォーム費用は最低でも150万円程度を見込んでおいたほうが良いでしょう。
さらに、キッチンの交換やフローリング交換が必要な場合、250万円程度の費用を見込む必要があります。
築年数30年以上
築年数30年以上になると、最低でも250万円ほどの費用が必要です。
大幅な間取りの変更を加える場合のリフォーム費用は、300万円を超えるケースもあります。
3. 中古マンションのリフォームを考える際の8つの注意点
中古マンションを購入してリフォームする場合、注意しなければならないポイントを確認しておきましょう。
①リフォームで全て解決できるわけではない事を知っておく
中古マンションのリフォームでは、買主の希望通りに施工できるとは限りません。
壁がコンクリート造りであれば移動や撤去はできませんし、天井部の梁も動かすのは不可能です。
特に古いマンションの場合、システムキッチンやシステムバスの規格によっては設置できない可能性もあります。
さらに、水回りの変更が不可だったり、バリアフリー化が難しかったりと、すべてが自由にリフォームできるわけではありません。
②リフォームの最大の注意ポイントは築年数と予算
リフォームをする前提で中古マンションを購入する場合、最大の注意ポイントが築年数と予算です。
物件の耐震性や基本性能は築年数によって異なるため、リフォーム費用も大きく変わってきます。
例えば、
- 1981年の耐震基準改正以降の建物は耐震性が高い
- 1999年の次世代省エネルギー基準制定以降の建物は断熱化率が高い(義務化ではない)
- 2003年の新築住宅の24時間換気システム義務化により、以降の建物には設置されている
これらの法改正以前と以降では、中古マンションをリフォームする際の費用が異なってくるわけです。
また、住宅設備機器の耐用年数は10年が目安になっている場合が多いため、築年数10年以上で一度もリフォームされていない場合は、予算を大きくオーバーしてしまうケースもあると覚えておきましょう。
③耐震強度は充分満たしているか確認する
1981年に改正された耐震基準では、住宅やマンションなどに対して耐震強度が義務付けられています。
- 震度5強程度の中規模地震で軽微な損傷を受けるレベル
- 震度6強~7程度の大地震で倒壊は免れるレベル
ただ、上記の基準を満たしていない建物であっても、耐震診断を行った結果、新耐震基準をクリアしている場合もあります。
築古の中古マンションの購入を検討する際は、耐震強度を満たしているかを確認しましょう。
④リフォーム済の物件は内装工事費用が上乗せされている可能性がある
中古マンションをリフォームする前提であれば、リフォーム済みの物件に注意しましょう。
すでにリフォームされた物件には、内装工事費用が上乗せされている場合があり、適正な価格を超えている物件があるのです。
⑤適正価格より安い中古マンションは注意が必要
適正価格より大分割安な中古マンションを見つけた場合は、注意したほうが良いでしょう。
中古マンションの相場は比較的掴みやすいため、あまりに適正価格より安い場合は何か問題がないのかチェックが必要です。
例えば、所有権を得られない「借地権」、すでに入居者のいる「オーナーチェンジ物件」などのケースがあるため確認しましょう。
⑥マンションの共有部の管理状態を確認する
部屋の内装はリノベーション可能でも、マンション共有部分の改修はできません。
入居者希望者は外観や共有部分も気にするため、問題がないのかチェックしましょう。
- マンションのゴミ捨て場の状態
- 自転車置場の状態
- 掲示板の状態
- 植え込みの状態
これらの状態をチェックすれば、管理がしっかりと行き届いている物件なのかを確認できます。
特に、不動産投資物件として運営したい場合、物件の管理状態は賃貸から売却へ投資スタンスを変更する際にも影響する部分であるため、しっかりとチェックしておきましょう。
⑦修繕計画や積立金の状況を確認しておく
マンションの品質を維持するためには、計画的な修繕は欠かせません。
計画に沿って修繕を実施するには、修繕積立金の積立状況が重要です。
修繕計画や履歴、積立金の積立状況は、「重要事項説明書」で確認できます。
また、売主が修繕積立金を滞納しているケースも注意が必要です。
修繕積立金を滞納している場合は、買主が負担しなければならないため、しっかり確認しておきましょう。
⑧リフォームの期間が長ければ長い程費用がかかることを把握する
リフォームの内容にも異なりますが、工事契約をしてから引き渡しまで3.5~4月ほど要するとされています。
工事自体は1カ月間ほどですが、着工するまでの手続きや事前準備に時間がかかるのです。
中古マンションに住んでいる状態でリフォームをする場合、工事中は不便な生活を強いられる可能性もあるため、仮住まいの検討が必要でしょう。
その場合、リフォーム期間が長いほど仮住まいの家賃などの費用が必要になることを把握しておかなければなりません。
4. 中古マンションの購入~リフォームまでの流れ
それでは、実際に中古マンションを購入してリフォームを行うまでの流れを確認しましょう。
中古物件を探す方法
物件販売とリフォームの相談にのってくれる仲介業者を探す
中古マンションを探す方法としては、検索サイトなどを利用して探すほか、仲介業者に依頼することも可能です。
仲介業者の中には、物件の購入とリフォームの両方をサポートしてくれる業者もあります。
物件の購入費用とリフォーム費用を合算した資金計画を相談したり、現地を確認したりするサービスを行っている仲介業者もあるので探してみましょう。
リフォーム会社を先に選び、一緒に物件を探して貰う
特に、リフォームにこだわりのスタイルがある場合は、先にリフォーム会社を選ぶのも方法のひとつ。
物件を一緒に探してもらったり、気になる物件を見てもらったりと相談をしながら物件探しが行えます。
リフォーム会社の中には、得意なリフォームスタイルを持っている会社もあるので、リフォーム会社を探す際のチェックポイントとして覚えておきましょう。
購入する中古物件を選ぶ
販売物件は現地確認、不明な点は仲介業者に確認
販売物件は、現地確認が必須です。
売主が住んでいる状態の場合は、現地見学の予約をします。
また、現地を確認する際はリフォームのしやすい間取りか、日当たりや生活動線は使いやすいのかなどをしっかりとチェックし、わからない点は仲介業者に確認しましょう。
管理規約をよく確認して物件を購入する
マンションには管理組合があり、管理規約を設けています。
マンションによってはリフォームに関するルールを定めている場合もあるため注意が必要。
中古マンションの購入前には事前に管理規約をチェックして、自分の希望通りのリフォームが可能なのか、しっかりと確認しておきましょう。
物件の購入と並行してローンの借入できる金融機関を探す
金融機関から融資を受けてリフォームするのであれば、物件の購入と平行して借入可能な金融機関を探しましょう。
リフォームローンは通常の住宅ローンより金利が高いケース多いですが、金融機関によっては、物件の購入費用とリフォーム費用をセットで借りられる「パックローン」もあるのでチェックしてみましょう。
購入物件の決定a~物件引き渡し
事前に物件の内覧ができないか確認する
購入したい物件が決まり、売主と条件交渉で折り合えば売買契約を結びます。
通常は、売買契約後に引き渡しを受けてリフォーム工事を開始するわけですが、売主の了解が得られれば引き渡し前に物件の内覧も可能です。
リフォーム会社に早い段階で物件を確認してもらえれば、リフォームの計画や見積もりなどもスピーディーに行えます。
リフォームの流れを把握しよう
リフォームの施工を決めても何から始めたらよいのか、わからない人もいるかもしれません。
スムーズにリフォームを行うためにも、流れをしっかりと把握しておきましょう。
- どんなリフォームを行うのかを決定する
- リフォーム会社の情報を集める
- 数社のリフォーム会社にプランや見積もりを依頼する
- 依頼するリフォーム会社を決定し工事請負契約を締結する
- 工事スタート
- 工事完了後、引き渡し
特に仮住まいをする場合、上記の流れを把握しておくことは、家賃と住宅ローンを2重に払う期間を短くできるメリットもあります。
リフォームで税金の優遇が受けられるか確認する
一定の条件をクリアすれば、税金の優遇措置を受けられます。
- 築20年以内の一戸建て
- 築25年以内のマンション
- 現行の耐震基準をクリアしていると証明された住宅
- 耐震改修工事を行い、現行の耐震基準をクリアしたと証明された住宅
また、耐震・省エネ・バリアフリーのいずれかに関するリフォームを行えば、所得税の控除や固定資産税の減税になるほか、一定の条件を満たせば贈与税が非課税になる制度もあります。
5. 中古マンションのリフォームにかかる期間の目安
中古マンションのリフォームでは、壁や天井のクロス貼り替えやキッチン、ユニットバス、トイレなどの交換を行いますが、どの程度の期間を見込んでおけばよいのでしょうか。
それぞれの期間の目安を確認しておきましょう。
壁のクロス貼り替え
中古マンションのリフォームでは、ほとんど場合クロスの貼り替えを行います。
壁の場合は、六畳一間で1~2日ほど。
数部屋ある場合は、部屋数分の日数を要します。
床のクロス貼り替え
床の場合は、素材によって手間が違います。
フローリングの場合は1日で可能。
床暖房を設置する場合には、さらに1~2日の期間が必要です。
天井のクロス貼り替え
天井のクロス貼り替えも、1~2日間で貼り替え可能です。
広い部屋であれば、3日間程度見込んでおけばよいでしょう。
キッチンの交換
キッチンを交換する場合、リフォームの規模によって施工期間は異なります。
ただキッチンを交換するだけであれば、2~3日間。
レイアウトの変更を行うのであれば、電気やガスの配線工事も必要なため、1~2週間の期間は必要です。
また、キッチン周りのクロス交換を行う場合は、さらに1~2日の期間を要します。
つまり、最大で3週間ほど期間が必要になる場合もあると覚えておきましょう。
ユニットバスの交換
ユニットバスの交換は、3~4日の期間が必要です。
ただ、元々の仕様がユニットバスではない場合、土間のコンクリート工事などもリフォームに含まれるため、4~7日の期間を見込んでおきましょう。
トイレの交換
通常の便座の交換であれば、数時間から1日あれば十分です。
ただ、和式トイレから洋式トイレにリフォームする際には内装工事が必要になります。
その場合は、3~5日の工事期間が必要です。
全面リフォームの期間目安
部屋全体をリフォームする場合には、準備や手続きに時間がかかるため、かなり長い期間が必要です。
工事着工までの契約手続きや事前準備、管理組合に連絡など、実際に着工開始まで最大で2~4カ月ほどかかる場合もあります。
リフォームの工期自体は部屋の規模によって異なりますが、およそ2カ月程度と見込んだ場合、最大で半年ほどの期間が必要になるわけです。
6. 投資物件のリフォームローンについて
物件をリフォームして不動産投資を行うのであれば、リフォームローンを利用する場合もあるでしょう。
金融機関にリフォームローンを申し込む際には、通常の住宅ローン同様に審査が必須です。
投資物件でリフォームローンを借入するには?
中古マンションを購入してリフォームする際に自己資金が足りないのであれば、リフォームローンを利用することになります。
多くの金融機関でリフォームローンを扱っているのでチェックしてみましょう。
リフォームローンを借入する際には、金融機関の審査を受けなければなりません。
審査基準は金融機関によって異なりますが、一例を挙げておきましょう。
- 勤続年数1~2年以上
- 借入時の年齢が70歳以下
- 完済時の年齢が80歳以下
- 最低年収200~300万
- 返済負担率が25~35%
- 団体信用生命保険に加入できること
これらの条件は、通常の住宅ローンと項目自体は変わりませんが、リフォームローンは条件が若干緩いのが特徴です。
また、借入金額によっては団体信用生命保険への加入が不要になる場合もあります。
特に返済負担率は、他に利用しているローンがあるほど高くなるため、場合によっては借入限度額が減ってしまうケースもあり注意が必要です。
7. 中古マンションのリフォーム費用を抑える方法
あまりにリフォーム費用が高額になると、新築マンションを購入した場合と変わらない金額になってしまう場合もあります。
中古マンションのリフォーム費用を抑える方法を見ていきましょう。
リフォームを依頼する会社を見極める
リフォーム会社は得意な分野や実績、金額など、それぞれ異なります。
リフォーム費用をなるべく抑えたいのであれば、地元の工務店がおすすめ。
中堅~大手リフォーム会社は提案力に優れている反面、広告宣伝費を利益に上乗せしているため価格は高めです。
地元の工務店が最も安いからとは言え、提案力や品質面は業者によって異なるため、しっかりと見極めなければなりません。
本当にリフォームが必要かどうか見極める
中古マンションのリフォームでは、改修箇所は多岐にわたるため金額が膨らみがちです。
リフォーム費用を抑えるためには、優先順位をつけましょう。
本当に必要なリフォームなのか、リフォーム範囲を絞って見極めることでリフォーム費用を抑えられます。
費用を抑えるためにメーカーにこだわらない
なるべくリフォーム費用を抑えるには、メーカーへのこだわりを捨てましょう。
住宅設備メーカーによって値引率は異なるため、多くの設備を交換する場合には総額で大分変わります。
リフォーム会社に見積もりを依頼する際は、メーカーの違いによる金額差も明確にしてもらってください。
リフォームで利用できる補助金制度活用する
耐震・省エネ・バリアフリーを対象とした補助金制度があるため、活用すればリフォーム費用を抑えられます。
リフォームに関する補助金制度は各自治体によって異なるため、確認しましょう。
一般社団法人「住宅リフォーム推進協議会」では、自治体毎に検索できるサイトを公開しているのでチェックしてください。
8. 中古マンションをリフォームするときに参考にしたいブログ3選
中古マンションのリフォームが初めてなら、ブログの体験談などを参考にするのもおすすめです。
20代が中古マンションリノベーションのすべてをまとめました
ブログ「マンションリノベの体験談」では、リフォームの体験談や業者選び、ローンについてなど、初心者に参考になる記事が投稿されています。
特に、「20代が中古マンションリノベーションのすべてをまとめました」のページでは、物件の購入から業者選び、ローンなどが詳しくまとめられているので参考にしてください。
参考:マンションリノベの体験談
yokoyumyumのリノベブログ
リノベーションの体験談を綴っているブログです。
「工事記録」では、リフォームの経過が詳しく書かれているので参考になります。
横浜 リフォーム|35才からのリノベーション失敗しない7つのポイント|アリキリリフォーム
神奈川県横浜市のリフォーム会社「アリキリリフォーム」のサイト。
「35才からのリノベーション失敗しない7つのポイント」のページでは、リフォームする際の注意点を詳細に説明しているので参考にしてください。
参考:アリキリリフォーム
9. リフォームは時間がかかるので計画をよくたてた上で中古マンションを購入しよう!
リフォームは時間がかかります。
リフォーム会社と契約後、最大で半年程度の期間を要す場合もあるため、予想よりも時間のかかることを踏まえた上で計画を立てるとよいでしょう。
初めてのリフォームで、わからないことが多すぎてお困りなら、プロに相談するのもおすすめです。
MIRAIMOでは、無料オンライン相談を実施しています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。