不動産投資は、まず物件を購入しないことには始まりません。
しかし、初めての物件購入にはとても勇気が要るもの。
大事なお金と時間が水の泡とならないように、物件購入前にはしっかりと準備をしておきましょう。
この記事では、不動産投資で初めての物件購入にあたりしておきたいこと、収益物件を見つけるポイントなどを詳しく説明します。
入念に準備をしておけば、自信を持って一歩を踏み出せるはずです。
目次
1. 不動産投資で初めての物件の購入前にしておくべきこと3つ
不動産投資を始めるにあたってまずは物件を購入するわけですが、その前にしっかりと考えておきたいことが3つあります。
どんなことを準備しておいたらよいのか、詳しく見ていきましょう。
①不動産投資におけるリスク許容度を決定する
リスク許容度とは、仮に収益がマイナスになってしまった場合、どの程度まで受け入れられるか(生活に支障が出ないか・精神的に耐えられるか)の度合いを指します。
資産や年収、家族構成、自分の性格、これまでの経験などを参考に、「○円までマイナスが続いたらやめる」など、自分の中での許容範囲を決めておくようにしましょう。
FXや株など、他の投資同様不動産投資にもリスクはつきものです。
不動産投資におけるリスクとしては、
- 家賃収入がなくなる(空室・家賃滞納)
- 不動産価値が下がり、家賃が下がる
- ローンで購入した場合、金利が上がってローン返済が厳しくなる
- 売りたくても物件が売れない
- 建物・設備のメンテナンスに高額な費用がかかる
- 建物・設備が自然災害などの影響で損壊する
といったものが挙げられます。
これらのリスクに対する許容範囲を決めておかないと、不動産投資を継続できなくなるだけでなく、生活に支障が出ることに。
「少しでも生活に余裕を持たせたい」と考えて不動産投資を行う方がほとんどであるはずなので、本末転倒にならないように十分に注意しておきたいところです。
家賃滞納や災害での損壊のリスクは、保険などを利用すればリスクを大幅に軽減できる場合も多いので調べておきましょう。
②不動産投資での目的をはっきりとさせる
「手元にあるお金を増やしたい」と投資を始める方が多いかと思いますが、目標とする収益額まで具体的に考えることは少ないのではないでしょうか。
投資において、具体的に目的や目標金額を考えることはとても大切です。
不動産投資を行う目的や目標金額をはっきりさせておけば、不要な投資にお金を使ったり、甘い話に乗って失敗したりといったリスクを最低限に抑えられます。
③お金が必要になる時期をはっきりと意識する
サラリーマンの方は、定年退職後の生活資金についても考えておく必要があります。
家族がいる場合、子どもの進学などでまとまったお金が必要になることもあるでしょう。
ライフイベントにおいてお金が必要になる時期を考えて計画を立てておけば、生活に支障が出ることもなく、無理なく投資が行えるはずです。
また、不動産投資の物件は買って終わりではありません。
建物は経年劣化が見られるようになるので、寿命を延ばすためにも修繕が必要になります。
戸建てやアパート1棟を投資物件として所有する場合、自分で計画を立てて費用を準備しておかなければならないので、お金が必要になる時期をより意識しておく必要があります。
2. 不動産投資を始める前に投資物件の種類を確認しよう
働かなくても毎月収入を得られるのが不動産投資最大の魅力です。
安定した収入を得るには、最初の物件選びが特に重要になります。
不動産投資物件の種類
一口に不動産投資の物件といっても、その種類はさまざまです。そのうちのいくつかを見てみましょう。
新築マンション
ローンを活用することにより、少額からでも始められるのが新築マンション投資です。
収益見込みが高い物件であれば、物件価格の100%の融資が受けられ、自己資金なしで投資を始められることも。
また、最新の設備が揃っていることが多い新築マンションは、中古マンションよりも空室率が低い傾向にあります。
空室率を抑えるには、もちろん入居者のニーズに合った環境・設備が整っている必要があるので、その点をしっかり考慮して選ぶようにしましょう。
中古マンション
中古マンションは新築マンションより利回りが高い傾向にありますが、空室リスクにさらされる可能性は高くなります。
また、物件によっては購入してすぐに修繕が必要になる場合もあります。
特に建物や設備に不具合がなくても、入居者のニーズに合わせて新しい設備に変更するなどで修繕費がかかるケースも。
また、1981年(昭和56年)6月1日以前に建築確認が行われたマンションは旧耐震基準で建てられているため、現行の新耐震基準を満たしていない物件ということになります。
そのため、売却したいときになかなか売れないといったリスクも。
アパート
アパート投資は、新築・中古の区分マンション投資と比較すると高利回りが狙え、融資の際に担保評価がつきやすいといったメリットがあります。
賃貸物件の需要が高い地域では、1棟アパートの運営は比較的安定して行えるでしょう。
逆に郊外や駅から遠い地域では空室リスクが高まり、マンションと比較すると売買しにくいというデメリットもあります。
アパートでの不動産投資を考えている方は、事前リサーチを入念に行うなどして、賃貸需要の高い地域をしっかり見極める必要があります。
借地権付き物件
借地権付き物件とは借地(借りている土地)に建てた物件のことで、購入して得られるのは土地を使用する権利と建物です。
借地権付き物件の場合、土地に対する不動産取得税などの各種税金は地主が納めるため、土地にかかる税金は考えなくてもよいことになります。
また、土地の所有権がある物件を購入するより費用が抑えられるのもメリットとして挙げられるでしょう。
一方で、
- 金融機関からの融資を受けにくい
- 毎月地主に支払う地代が必要になる
- 増改築や建物の売却などの際には地主の承諾を得る必要がある
といったデメリットがあります。
承諾を得る際には建替承諾料や譲渡承諾料といった費用も必要になるため、地代やこれらの費用を支払っても収益が得られるかどうかを見極めなければなりません。
3. 不動産投資で収益を出し続ける物件探しのポイント3つ
これから不動産投資を始めようという方は、できる限りローリスクの物件を選び、まずは安定した収入を得られるようにしたいもの。
安定性の高い物件を見つけるための3つのポイントをおさえておきましょう。
①地域の需要に合う物件を選ぶ
その地域にどんな特性があり、どんな人が多く住んでいるのかを調べて、需要に合った物件を選ぶようにしましょう。
大学や工場が多い地域では、単身者向けの物件は入居率が高いけれど、ファミリー層向けの物件は人気がないといったことが起こり得ます。
近いうちに移転する予定がないか、学生・社員用の寮がないかなども確認しましょう。
②物件選択の基準を決める
不動産投資初心者は、自分が選ぶ基準で物件を選んでしまいがち。
しかし、自分が物件を選ぶ基準が必ずしも入居者と一致しているとは限りません。
ファミリー層・単身者・学生など入居者によってニーズは多少異なりますが、物件選びで重視されるのは家賃と立地です。
物件の設備や間取りよりもこの2つが重視されるということをしっかり頭に入れ、入居者目線で物件の選択基準を考えましょう。
③賃貸需要が高い地域を選択する
人口減少傾向にある現代では、郊外における賃貸需要は今後減っていくと考えられます。
「住んでいるところから近いから」という理由で物件を選ぶ方も少なくありませんが、
あなたが住んでいるのが郊外である場合、今後も安定して賃貸需要があるかどうかは要調査。
特に長い目で不動産投資に取り組もうと考えている方は、賃貸需要が高い地域をしっかりと見極めましょう。
4. 収益物件を見つけるポイント
数ある物件の中から地域の需要に合った収益物件を見つけるには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
ポイントや注意点をお伝えします。
不動産に関する相場観を養う
不動産の相場は地域や条件によってさまざまです。
まずは不動産物件の情報サイトなどを利用し、購入を考えている地域の物件の情報をくまなくチェックして相場観を養いましょう。
同じ地域でも広さや築年数・設備・駅からの距離・周辺の環境などで価格は異なるので、できるだけさまざまな条件で見てみることがポイント。
家賃相場も同じように賃貸物件サイトなどを利用したり、不動産会社や管理会社に聞いてみるとよいでしょう。
物件が見つかった場合にはすぐに現地調査をする
「これだ!」という物件が見つかり、資金的にも問題がないようであればすぐに現地調査を行いましょう。
いい物件には当然目をつけている人もたくさんいるはずなので、スピーディーに動かないとすぐに売れてしまうかもしれません。
そうはいっても、実際に物件を見てわかることもあるので、ネットや紙の上の情報を見ただけで購入するのは危険。
周辺環境や共有設備などに問題がないか、実際に足を運んでチェックしましょう。
物件選択の最低ラインの設定をする
物件購入の際には、これ以上の金額の物件には手を出さない・これ以下の収入にはしないなど、最低ラインもきちんと設定しておきましょう。
物件を探していて、「100~200万円予算オーバーしているけれど、頑張れば出せないこともない」といった物件を見つけることもあるかもしれません。
しかし収益を優先して予算オーバーの物件を購入した結果、家計が火の車になってしまっては大変です。
物件における優先順位や最低ラインもしっかりと決めて、資金やローン返済にはある程度余裕を持たせるようにしましょう。
あまり手間がかからない物件を選ぶ
物件情報を見ていると、一見お買い得な中古物件を見つけることもあります。
しかし、安い中古物件にはシロアリ被害がある、雨漏りするといった不具合が潜んでいる可能性も。
購入後すぐであれば不動産業者に対応してもらえることもありますが、ある程度時間が経ってからでは買主の負担で修繕することになります。
一方新築~築浅物件であればこうした手間がかかる可能性は低いです。
想定外の出費を増やさないためにも、手間がかかりそうな物件は避けるようにしましょう。
競売・オークション物件は避ける
金融機関などが裁判所を通じ不動産に入札形式で売却する競売は、一般の人も参加が可能です。
ただ競売は物件情報や相場を調べきれず、手間や時間もかかるため、いくら物件が格安でも割りに合わないケースがほとんどです。
最近は落札価格も高騰しているため、できる限り避けるようにしましょう。
金融機関から多額の借り入れをしない
不動産投資初心者がやってしまいがちな失敗の一つとして、
「多額の融資を受けられたはいいものの、その分金利の支払いが多くなり、返済が追いつかなくなる」ということが挙げられます。
全面的に金融機関からの資金に頼ってしまうと、このような状況に陥る可能性も高くなります。
返済が滞れば、金融機関からの信用を失うことにもなりかねません。
特に初めての物件購入では資金をできる限り多く用意して(目安としては総額の3~4割程度)、リスクを軽減しましょう。
投資条件を事前に不動産業者・コンサルタントに伝える
物件探しには不動産情報サイトの利用が必須になりますが、物件情報を一番早く得るのはやはり不動産業者です。
探している物件の条件をあらかじめ不動産業者の担当に伝えておけば、条件に合った物件情報をいち早く教えてもらえることも。
ただし、購入意欲が相手に伝わっていないと貴重な情報も教えてもらえなくなってしまいます。
単なる情報収集ではなく、いい条件の物件があれば購入を考えていて資金も準備していることを伝えておきましょう。
5. 不動産投資物件の購入時の確認ポイント
物件の価格・築年数・駅からの距離など、物件購入の際に気になる点はいろいろあるかと思います。
不動産投資物件においてはどの点を確認すべきなのか、確認しておきたいポイント5つを見ていきましょう。
物件の利回りは実質利回りを確認しよう
利回りとは、物件でどれだけ収益を上げられるかを表したものです。
利回りには表面利回りと実質利回りの2つがあり、
前者は単純に年間の家賃収入を物件の購入価格で割ったもの、
後者は家賃収入から管理費などの諸経費を差し引いて物件の購入価格で割ったもの。
不動産投資に取り組む上で重視したいのは、実際の収益性(に近い数字)を表した実質利回りです。
物件情報には単純に「利回り」としか書かれていない場合がありますが、その場合はその数字が表面利回り・実質利回りのどちらなのか確認する必要があります。
「表面利回りがいいから」というだけで物件を選んでしまうと、実際は諸経費が高くついて収益性の低い物件だった、ということも起こりかねないので注意しましょう。
物件周辺のインフラ
インフラとはインフラストラクチャー(英:infrastructure)の略で、生活基盤の形成に大きく関わるものを指します。
具体的には道路や上下水道・ガス・通信網・公園・スーパー・学校や病院などです。
いくら物件そのものが魅力的でも、インフラが整っておらず不便であれば、住む場所としての魅力は欠けてしまうでしょう。
逆に言えば、インフラが整っていて利便性が高いと入居率も高まり、物件を売却する場合でも買い手が付きやすいといえます。
ランニングコスト
利回りのところでもお伝えしたように、管理費や修繕積立金などの諸経費は実質利回りに大きく関わってきます。
諸経費を抑えることでランニングコストも抑えられるので、物件探しの際には注意したいところ。
特に新築物件・築浅物件は、利回りを高く見せるために修繕積立金が低く抑えられていることがあります。
しかし極端に安く抑えられている場合、将来的に値上がりすることが予想されるため、安易に「ランニングコストが抑えられそうだから」と決めるのはNG。
管理費・修繕積立費の金額として平均的なところ(目安としては3,000円以上)を選んだり、将来的な値上がりを視野に入れて資金計画を立てるようにしましょう。
物件の築年数
投資物件の中古マンションの項目でもお伝えしましたが、
1981年(昭和56年)6月1日以前に建築確認が行われたマンションは旧耐震基準をもとに建てられているため、特に注意が必要です。
旧耐震基準では震度5程度の地震に耐えられることが基準となっていましたが、
現行の新耐震基準では震度6強以上の地震にも耐えられることが求められています。
中古物件購入の際は築年数も必ず確認し、新耐震基準で建てられた建物を選びましょう。
物件の総戸数
マンションを選ぶ場合に注目したいのが総戸数です。
戸数が多いほうが1戸あたりの修繕積立金の負担は少なくなるため、できれば管理戸数が多め(20戸以上)のマンションを選ぶとよいでしょう。
6. 初めての不動産投資を成功させるために準備しておくべきこと
「失敗は成功のもと」とは言いますが、大切なお金と時間をかけて不動産投資に取り組むわけですから、初めてであっても成功させたいですよね。
成功させるために準備しておきたいポイントもおさえておきましょう。
信頼できる不動産投資会社・パートナーを見つけておく
不動産投資を進めていくと、他の人に相談したい・意見を聞きたいことなども出てきます。
そんなときに信頼できる相談相手が周りにいれば心強いですよね。
不動産会社の担当営業マンや周囲で不動産投資をしている人、不動産投資におけるメンターなど、信頼できる人を早いうちに見つけておくことをおすすめします。
大家さんたちの交流会なども行われているので、そういった会に参加して不動産投資について話せる人を見つけるのもよいでしょう。
営業マンの話を鵜呑みにしない
不動産投資を始める際には、不動産会社を通して物件を購入することになります。
担当の不動産営業マンとやり取りしていくわけですが、不動産のプロだからといって営業マンの話を鵜呑みにするのはおすすめしません。
なぜなら、中には会社や自分の利益を優先して契約を進めようとする営業マンもいるからです。
担当の営業マンが信用できるかどうかをしっかり見極め、また自分でもしっかり下調べをするなどして、「これならお金と時間をかける価値がある」と思える物件を選ぶようにしましょう。
事前に保険に加入しておく
株などの投資ではリスクを軽減するのが難しいですが、不動産投資においては各種保険に加入しておくことでリスクを抑えることが可能です。
加入しておきたい保険としては、主に自然災害などによる建物損失に備える地震保険や火災保険があります。
また、ローンを組む際には団体信用生命保険への加入も検討しましょう。
不動産投資に関するブログを読んだりセミナーに参加する
不動産投資をしている人が周りにいなくても、今はネットを駆使すればさまざまな情報が手に入ります。
特に、現役で不動産投資に取り組んでいる大家さんのブログは情報の宝庫。
成功している大家さんの実体験を読んで、成功へのヒントを得ましょう。
また、不動産投資のセミナーは相談相手や仲間を見つける場にもなるので、機会があれば積極的に参加していくとよいでしょう。
7. 初めての物件選びに成功すれば失敗の可能性は限りなく低くなる!
株などの投資同様リスクもある不動産投資ですが、始める前にしっかりと下調べをしてリスクに備えれば、大きく失敗する可能性は低くなります。
不動産投資に取り組む目的・目標をはっきりさせて、堅実に取り組んでいきましょう。
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