アパート経営を行っていくうえで、単身者向けや外国人向けなどの限定した提案をしていくスタイルが多くなってきています。
その中でも、需要が高まってきている提案の一つに、高齢者向けが挙げられます。少子高齢化により高齢者の入居希望が増えてきました。
それに伴い、高齢者向けアパート経営を実施したいと思う人も多くなりました。
ですが一般的なアパート経営と異なる部分を理解したうえで経営しないと思わぬ落とし穴が潜んでいます。
今回は、高齢者向けアパート経営を行うメリットデメリットについて解説し、今後の不動産投資が成立するのかを事業者支援やサポートの種類なども踏まえて考察していきます。
目次
1. マンション・アパート(賃貸)暮らしの高齢者は増えている
厚生労働省が提出した「住生活基本計画(平成28年3月18日)」では、高齢者の人口にたいして高齢者向けのアパートは平成26年度時点で2.1%しかありません。
高齢者に適した住環境で過ごしていないため、多くの高齢者がマンションやアパートで住むようになっています。
つまり環境が整備されていない今だからこそ、高齢者向けアパートへのニーズが高くなってきています。
2. 高齢者に優しい、住みやすいと思う物件は?
シニア世代の人は不安なことをケアする仕組みを取ってくれる環境が大切です。
そのため、優しい、住みやすいと思う物件は2つの要素が大きく影響してきます
2-1. 病院・家族の家が近い
高齢者が安心して住める環境には、病院などの医療関係所の存在と頼れる家族の存在が重要です。
高齢になると体の不調で病院を利用する頻度が高くなります。そのようなときにすぐに通院できる位置に住んでいれば安心です。
また、一人で生活していても近くに家族がいると安心できます。
自分に何かあってもすぐに駆け付けてくれることで安心できるからです。高齢者が賃貸を借りる際に特に重要視しているといえます。
2-2. 階段や段差がない(バリアフリー)
日常生活のケガは生死にかかわる重要な問題です。
階段が上りにくい建物や、ちょっとした躓きをしてしまう小さな段差などは、危険と隣り合わせの生活空間になります。
高齢者が人口の3割弱を占めるようになり、バリアフリーの対策をしている建物が多いです。
ですが、小型アパートや古いマンションなどは、高齢者が住みやすい環境にするための配慮ができてない建物が多く存在します。
理由は建設当時から環境が変わっていることもあり、新たに改修工事をしなければならず、金銭面で大家さんの負担も大きくなっていることが原因です。
高齢者が住むからにはバリアフリーの配慮がなされている環境を求められることも重要視しなければなりません。
2-3. 需要は多いのに高齢者は賃貸の入居を断られることも多い現状
賃貸の入居の際に高齢者が断られてしまうことがあります。原因は孤独死です。
部屋でなくなった場合、すぐに発見できることは少ないです。そのため孤独死として扱われると事故物件となります。
亡くなることは人として当たり前ですが、事後処理の対処が大きくオーナーさんとしては躊躇してしまう内容になります。
3. 高齢者向けのアパート経営をするメリットデメリット
サービス付き高齢者住宅とは、高齢者が生活していく上で信頼できる環境を提供する住宅のことです。
一定の条件を都道府県が判断し、登録を行います。
主な条件は、安否確認などの高齢者向けサービスなどの配備、建物のバリアフリー化対策などです。
3-1. メリット
賃貸物件の価値が低いところでも経営できる
利用者が高齢者なため、静かで安心なサポート体制が充実した環境が好まれます。
そのため、賃貸物件としての価値が低い郊外の土地でも有効活用できます。
需要が多いため空き部屋になりにくい
高齢者が増加していることや、適した住環境が少ないため需要が多く部屋が空室になりにくいです。
部屋数を増やせ、家賃収益を上げやすい
一般のアパート経営では利用者の車を考慮に入れますが、高齢者は車に乗る人が少ないため、最低限の駐車数で問題ありません。
その分のスペースを部屋数増加に充てることで入居者を増やすことができ、収益につながります。
3-2. デメリット
家賃が相場よりも高くなる
住空間だけでなく、高齢者向けサービスの配備、福祉関係者などの常駐が必要なため維持費が高くなります。
その分を、入居者からいただくことになるので家賃が高くなります。
事前審査や連帯保証人の選定が必須
高齢者のため、収入や健康状態などの審査や、家賃未払いの可能性も考慮して連帯保証人などの選定が必要不可欠です。
入居者の不慮の事故などの対応責任
不慮の事故があったときの監督責任は管理者が取ります。
高齢者のためいつどんなことがあるかわかりません。事前に準備をし、適切な対応ができる配慮が求められます。
4. 高齢者向けアパート経営で押さえておきたいポイント
高齢者向けアパート経営は、重要なポイントが3つあります。
コンサル面・金銭面・環境面でそれぞれあるため、信頼を得る経営をしていく際に押さえておきたいものです。
4-1. 不動産会社選びが一番重要
高齢者向け住宅は、取扱い業者がまだ少ないことから、普通のサポート体制の不動産会社では対処が難しくなります。
特に医療機関や社会福祉法人関連との連携が必要なため、実績経験や医療福祉関連との関係がある不動産を選定することが望ましいです。
4-2. サービス付き高齢者向け住宅の事業者を支援する制度がある
支援は最近制定された法律「高齢者住まい法」の元で対応が受けられます。
建設費用の10分の1(100万円/戸)、改修費用の3分の1が支援金となります。
また、固定資産税や不動産所得税、法人税の優遇があり、事業者に配慮した制度があります。
設備改修がネックな問題を解決してくれるため、利用が不可欠です。
4-3. 通常のアパート経営と違った工夫が必要
高齢者向けアパート経営は、何よりも高齢者に配慮したサービスを提供できるかがポイントです。
外部委託をしたとしても経費以上に信頼を獲得できます。
高齢者のネットワークは近隣環境だけにとどまらないため、設備環境への工夫をおすすめします。
日常生活サポートシステム
高齢者は日々の生活を過ごすだけでも体力を消費しますし、健康リスクも若年層よりは高いです。
そのため、生活をサポートするシステムを導入することが工夫の一つとして挙げられます。
買い物や掃除のサポートから、緊急時のサポートまでを一貫して行ってくれる企業もあるため、入居者の対応を安心して専門業社に任せてしまい経営に専念できます。
緊急時の対処や高齢者特有の生活環境対応は経営者自身が知識なく対処することは困難なので、アパート経営をしていく際には必須です。
安否確認サポートシステム
高齢者は自宅で倒れてしまうことやトラブルに巻き込まれる可能性が若年層よりも高いです。
そのため、定期的な巡回から安否確認をするサービスが有効です。
先述した日常生活サポートシステムと連携し、巡回時に問題が発生した場合などには即座に対応。
公的機関と連携が取れる仕組みを作ることで利用者の満足度を高め入居率を上げることができます。
5. 高齢者向けアパート経営は自分にとってのメリットデメリットを比較して始めよう
高齢者の入居に絞ったアパート経営は、高齢者にとって住みやすい・優しいと感じる状況を提供することで信頼が生まれます。
そして、その信頼を提供するからには、事前準備が大切なポイントになります。初期の経費が必要以上にかかってしまうためデメリットとして考えてしまう人もいるかもしれません。
ですが、高齢者は年々増加傾向にあるため、住居へのニーズが高まる環境といえます。あなたが高齢者向けアパートへの投資を検討されているのであれば、メリットデメリットの情報を把握して決断をすることが大切です。
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