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不動産投資で経費を使った節税は有効?|計上できる経費・できない経費を解説

不動産投資において、経費を用いた節税対策の有効性というのは、投資家なら誰しもが気になるポイントなのではないでしょうか。

『税金で持っていかれるくらいなら、経費で欲しいものを買ってしまおう』などと考えている方もいらっしゃるかも知れません。

 

しかし、不動産投資は節税のために存在しているわけではありません。

あくまでも運用によって利益を上げていくものです。

その点を見誤って、『税金対策』と考えている方は、今すぐその認識を改める必要があるでしょう。

ここでは、経費を最大限活用して節税するために

  • 不動産投資で計上できる・できない経費
  • 経費を増やす方法
  • 節税する上での注意点

など、「不動産投資で経費を使った節税」について徹底解説していきます。

効果的な不動産運用を目指しつつ、なおかつ節税につながる方法を考えてみましょう。

1. 不動産投資で経費を使った節税は有効なのか?

『経費として計上できるから』という理由で、あらゆるものを経費で購入していませんか?

しかし、不動産投資では節税のつもりで経費を使い込むより、税金を納めた方がキャッシュフローが良くなることをご存知でしょうか。

税金は所得税が5~45%の段階式で、そこに住民税10%を足すと、

所得税+住民税は15~55%の税率となります。

経費を使うということは、その税率分の税金を減らすことを意味します。

それと同時に、経費で支出した金額は、手元に残らないお金となってしまいます。

つまり、経費での支出額が100%出ていくのに対し、税金は15~55%しか出ていかないため、無駄な経費を抑えて税金を多く納めた方が、キャッシュフローが大きくなるのです。

2. 不動産投資を行う上で計上することができる経費

どのようなものを経費として計上できるかを知っておくと、節税対策になります。

以下に列記してみますが、必ずしもこれらが経費として通るという意味ではありません。

過去の裁判の判例から見るに、特定の経費がダメという判断ではなく、“不動産賃貸業”との関連が客観的に示されていない場合は認められないケースがあります。

不動産賃貸業に掛かった経費として計上する以上は、その関連性をハッキリと示さなくてはならないことを覚えておきましょう。

経費として否認されないように、確定申告の作り方には工夫を凝らすことも必要になります。

一つの科目に金額を集中しないよう科目を分け、白色を青色申告に変更しましょう。

購入物件に関する税金

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税
  • 印紙税

などは経費として計上できます。

物件に関する保険料

火災保険料や地震保険料などが該当します。

これらは不動産経営で利益を得るために発生する経費として計上できます。

減価償却費

新たに設置した設備などは、資産計上をして減価償却していくことになるでしょう。

また、その不動産の価値を高める修繕は後述する「資本的支出」という項目に該当します。

これに関しても、建物の維持のためにかかる「修繕費」とは明確に分けて、耐用年数で減価償却していくようにしましょう。

電車などの交通費

これは、あくまでも不動産経営の過程で必要とされた交通費のみ、経費として認められています。

広告宣伝費

せっかくの賃貸物件を手に入れても、入居者が確保できなければ利益になりません。

そのため、入居募集にかかる広告費として計上しましょう。

インターネットなどの通信費

賃貸物件のインターネット回線費用などを「通信費」の名目でまとめて経費計上しましょう。

物件の修繕積立費

修繕に掛かる支出は、その不動産の価値を高める「資本的支出」と建物の維持のために必要な「修繕費」に分かれます。

この分け方は難しいですが、一例としてひとつの工事を20万円以下に抑えれば、修繕費としてよいことになっています。

借入金の利息

金融機関から融資を受けて不動産を購入した場合、ローンの利息分は経費として計上することが可能です。

管理会社への委託費

所有している不動産の管理を委託している管理会社へ支払う委託費は経費計上が可能です。

接待交際費

勘定科目には特に決まりがないので、接待交際費はさまざまな状況で計上できる便利なワードになるでしょう。

しかし、例えば入居を決めてくれた不動産会社に、謝礼や商品券などを渡すケースなども「接待交際費」に入れてしまうと、どうなるでしょうか。

おそらく、この部分だけが大きく膨れ上がることになりかねません。

そのため、謝礼については「入居促進費」という科目を作って、計上するようにしましょう。

3. 不動産投資を行う上で計上することが出来ない経費

経費として計上できるものを述べてきましたが、その逆に、不動産投資を行う上で計上できない経費というのもあります。

それらがどのようなものであるのかを、具体的に上げていきますので、参考にしてください。

個人の税金や保険料

不動産投資と関係のない、個人の税金や自宅の修繕費・保険料などは計上できません。

私生活の費用

食費・光熱費・電話代など私生活に関わるものは計上できません。

ローンの元本返済分

ローンの利息部分は、計上できると先ほど述べたのですが、ローンの元本部分については、計上できません。

不動産の売却によって発生した譲渡損

これは、文字通り不動産を手放したときに発生する「譲渡損」は経費計上できないということです。

ただし、不動産売却にかかる仲介手数料

  • 土地や建物を売るために要した測量費などの費用
  • 売却のために支払った立退料
  • 土地を売るために建物を取り壊した費用

などは計上できます。

4. 不動産投資で計上することが出来る経費を増やす方法

不動産所得そのものの利益を少なくするため、コツコツと必要な経費を計上すると、大きな節税につながることに。

賃貸マンションで暮らす人は、その支払い家賃や水道光熱費を事業経費としたり、管理会社の人たちとの飲食は交際費として計上できます。

また、セミナー参加費やそのあとの情報交換会の支出も「交際費」です。

 

他にも、仮に物件を見回りするのに交通費が掛かったとしましょう。

その領収書がないとしても、日にち、行先などをメモで残しておけば、プライベートでの使用分を差し引いて事業に関わるものと認められたものは経費とすることができるのです。

その際のガソリン代から車両代、自動車にかかる税金や車検代なども対象になります。

青色申告で確定申告を行う

「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告ができます。

これはその年の赤字を翌年以降に繰り越したり、他の所得と相殺もでき、10万円の特別控除も受けられます。

また、所有している不動産が5棟10室以上だと、所得から65万円も控除することができるようになり、所得税・住民税が25%だとすると約16万円の税金が浮く計算に。

さらに青色申告をしている人は、配偶者に給与やボーナスを払うことができます。

これにより所得を分散できるため、低い税率が適用されるようになり、節税につながるでしょう。

法人として不動産投資を行う

サラリーマンをしながら、不動産投資をする人は、「サラリーマン大家」といえるでしょう。

サラリーマンとしての給与と不動産投資の収益に対して、所得税という形で納税することになります。

そこで法人化をすると、法人税の税率に従うことになるため、個人の所得によって累進的に課税される所得税の影響を受けずに済むのです。

また、法人化すれば借家の社宅扱いや出張手当・社員旅行・経営セーフティ共済の掛け金・生命保険の掛け金といったものまで経費で取り扱えるようになります。

ただし、あくまでも不動産投資に関する費用であることが前提ですので、その点には注意しておきましょう。

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5. 不動産投資を行う上で認められる経費の違い

青色申告では、青色事業専従者への給与を経費として計上できます。

白色申告では、専従者への給与が控除対象にはなりますが、経費にはできません。

白色申告では、配偶者が86万円、配偶者以外は1人につき50万円が控除の上限ですが、青色申告は上限を考慮する必要がないのです。

このように青色申告を用いることで、白色申告では認められないものを経費として計上できるようになり節税対策となります。

白色申告と青色申告、それぞれに認められている経費を見比べてみましょう。

白色申告の場合に認められる経費

  • 通信費
  • 交際費
  • 租税公課
  • 支払保険料
  • 給料賃金
  • 福利厚生費
  • 会費
  • 貸倒金
  • 外注費

が経費として認められています。

青色申告の場合に認められる経費

個室賃貸を10室以上または独立家屋を5棟以上所有している状態を「事業規模」といい、「青色申告特別控除」により、事業所得額を最大65万円まで控除できます。

また、白色申告では対応していない「赤字損失の繰り越し」が可能です。

改修などで収支がマイナスとなったり、入居者が決まらず赤字を計上することもあるでしょう。

こういった赤字損失を翌年・翌々年度に申告する利益から差し引くことで、税金を減らすことができるのです。

6. 不動産投資を節税するうえで注意をしたいポイント4つ

不動産投資によって節税できるものは、所得税・住民税・相続税の3つとなります。

この点を抑えながら、節税のために注意したいポイントを4つ挙げてみます。

①節税前にシミュレーションをして計画を立てる

不動産を購入する前に年間の収入をどれくらい得られ、経費がどのくらいかかり、最終的にどれだけの利益を上げられるかを知らなければなりません。

そのためには、その物件を購入した際のお金の出入りが分かるよう、細かくシミュレーションしておかなくてはならないでしょう。

そういったシミュレーションをする上で、減価償却を考えることも重要になってきます。

これは、その不動産の種類や築年数などによって変わってくるため、うまく利用できなければ、節税はできません。

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②節税することをあまり重視しない

これは先にも述べたテーマでありますが、節税を重視するあまり、あらゆるものに経費をかけていくと手元のキャッシュフローは少なくなるのです。

経費は現金が100%なくなっていくのに対し、税制はある程度のパーセンテージしか掛からないことがその原因。

つまり、『経費で節税対策』と考えるその“経費”こそが、自身の資産を減らしている原因になり得ることを、しっかりと覚えておきましょう。

③節税のやりすぎは印象悪化に

不動産投資は、“てこの原理”という意味である「レバレッジ」をかけることで、少ない出資額で多くの融資を受け、利益を上げていく形式になります。

そのため、融資をしてくれる金融機関との関係は非常に重要。

税金に持っていかれることを嫌い、赤字で計上を続けることは、金融機関からの印象を悪化させることに繋がります。

その結果、賃貸住宅を経営するための融資を受けられなくなる恐れがあるのです。

④節税でリスク悪化の原因にも

節税を第一に考えるあまり、赤字で計上をすることは、リスクに対して弱い側面を持ちます。

不動産投資には資産価値の下落や、金利の上昇などさまざまなリスクがあり、赤字計上のギリギリのラインでの経営を直撃する恐れがあります。

そうなったときには、収益が一気に悪化して、毎月の収支バランスが大きく崩れる恐れがあることを覚えておきましょう。

7. 不動産投資で節税をするには経費を増やすのではなく漏れなく計上しよう!

以上、不動産投資で経費を使った節税について考えてきました。

大切にしたいのは「不動産投資を運用する上で必要となる経費はしっかりと計上する」という一言に尽きるのではないでしょうか。

節税を意識するあまり、あらゆるものを経費でまかなおうとすると、キャッシュフローが落ちるということは、覚えておきたいポイントです。

不動産投資本来の姿が節税対策ではなく、利益を上げていくことにあるため、そこを見誤ることのないように賢く投資していきましょう。
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