不動産投資で物件を購入するには、現金で購入する場合もありますが、ほとんどの場合に金融機関から不動産投資ローンでお金を借りて購入します。
その際に、金融機関によっては、担保や連帯保証人を要求されることがあります。
連帯保証人を要求された場合、配偶者や親兄弟などの親族になってもらうことが多いですが、頼める人がいないとどうしたらよいか悩む人も多いでしょう。
連帯保証人はかなり負担が大きく、借主と同じような責任を負うことになるので、頼める人はそうはいません。
もし連帯保証人を付けずに不動産投資ローンを組むことができればよいですよね。
今回は、不動産投資ローンの連帯保証人とはどういったものか、どのような場合に連帯保証人を求められるのか、
また連帯保証人を付けずに不動産投資ローンを組む方法はあるのかについてお話ししたいと思います。
目次
1. 不動産投資ローンを組むのに必要な「連帯保証人」とは
連帯保証人とは、ローンを借りた人と連帯してそのローンを負担することを約束した保証人(ある人の身分や借金を保証する人)のことを言います。
したがって、返済できなくなった場合にはその連帯保証人に返済の請求が来る仕組みです。
連帯保証人を立てるには、連帯保証人となる人が連帯保証承諾書に署名・実印を捺印して印鑑証明と一緒に提出する必要があります。
不動産投資ローンは高額な融資であるため金融機関にとってもリスクがあり、もし返済者が返済できなくなってしまっては金融機関は損失を負ってしまいます。
そこで連帯保証人を確保することで融資している金融機関のリスクを減らすことができます。
基本的に不動産投資ローンを組む際には「連帯保証人」を求められる
不動産投資ローンの場合、金額は数百万円~数億円と大きな金額を融資することになりますので、金融機関も当然購入する物件を担保にします。
しかし、物件の担保価値が低い場合は、足りない担保分を他の物件や連帯保証人などの人的担保で補う必要が。
多くの場合、物件の担保価値が購入金額を下回る為、基本的には連帯保証人が必要になります。
契約書がないと、連帯保証人は無効に
保証契約については、民法でも定められているとおり、書面で行わないと無効になります。
連帯保証人も同様に連帯保証契約となりますので、契約書等の書面が無い場合は連帯保証人として無効になり、責任を負う必要はありません。
連帯保証人になる人は、妻(夫)・子供などの法定相続人が多い
多くの場合、金融機関が連帯保証人として求めるのは配偶者や子供などの法定相続人です。
高齢の場合は、配偶者ではなく子供が求められるケースもあります。
しかし、マイホームではなく不動産投資となると、配偶者や子供に連帯保証人を断られるケースや独身でそもそも連帯保証人がいないケースも。
連帯保証人がいなくても不動産投資ローンを組む方法は、「不動産投資ローンを保証人無しでも組める方法がある」で後述します。
不動産投資ローンで連帯保証人が負う責任の範囲
不動産投資ローンの連帯保証人になる場合は、連帯保証人が負う責任の範囲は債務者と同じ。
連帯保証人の場合は、普通の「保証人」と違って下記の権利がありません。
- 催告の抗弁権…保証人が金融機関に返済を求められた場合、「債務者に督促してほしい」という旨を言うことができる権利
- 検索の抗弁権…債務者に返済可能な財源があるにも関わらず、ローンを支払わない場合に、保証人が弁済する必要はなく、債務者の財産に対し強制執行する旨を主張できる権利
- 分別の利益…複数の保証人がいる場合、債務者のローン支払いが困難になった場合に、返済額を保証人の数で割ることができる
そのため、債務者が支払いを滞ったり自己破産してしまった場合には、金融機関は保証人にお金がある場合でも連帯保証人に対して同様に取り立てを行います。
連帯保証人をつけるメリットデメリット
メリット
連帯保証人をつけるメリットとしては、まず第一に、金利が下がる可能性があるということです。(連帯保証人の属性が良い場合)
不動産投資物件というのは高額なため、例え0.数パーセントだとしても返済総額をかなり減らすことが可能に。
また、不動産投資ローンの審査において、配偶者が働いていて収入がある場合は、債務者の収入に配偶者の収入を足して審査してもらえるのでプラス材料になります。
デメリット
連帯保証人をつけるデメリットとしては、配偶者や子供に断られると、そもそも連帯保証人をつけることが困難になることでしょう。
また、配偶者が連帯保証人になってくれた場合は財布が一緒なので、万が一不動産経営が上手くいかなかった場合には、自分だけでなく配偶者も破綻してしまうことです。
連帯保証契約を結んでいなければ、配偶者の信用で再出発できる可能性がありますが、連帯保証している場合は一蓮托生となるのでリスクが大きいと言えます。
2. 不動産投資ローン審査で保証人を求められるパターン
不動産投資では、連帯保証人無しでも大丈夫な場合と、連帯保証人を求められる場合があります。
ローンの審査時に連帯保証人を求められるケースにはどんなものがあるのか、ご紹介しましょう。
金融機関としては「安定して一定の収入を得ているか」「しっかりローンを返済してくれるか」を重視しており、貸し倒れされることを最大限回避するために、連帯保証人を求めるのです。
勤め先の会社規模が小さい場合
従業員が少ない、創立から間もないなど、会社の規模が小さい場合に連帯保証人が求められます。
会社規模が小さいと、会社の倒産リスクや、安定性の面からみるとまだまだ未知数なので、
勤続年数が1年未満で短かったり、契約・派遣社員の場合
仮に大手企業に勤務していても、勤続年数が1年未満と短い場合、契約社員や派遣社員といった場合は連帯保証人を求められるケースが多いです。
契約者自身が「収入を今後も得続けていくか」「収入が下がらないか」の観点で、上記の場合は金融機関側が不安を覚えることが多いからでしょう。
投資物件の条件が良くない(収益性があまりない)場合
不動産投資の場合は債務者本人の属性の他、ローンの審査基準に「投資物件自体の収益性」も入っています。
物件自体の収益性(家賃収入を安定して得られるか、資産価値が高いか)が低いとみなされた場合も、連帯保証人を求められることが。
不動産投資で収益性が低い物件を購入すると、空室が発生して家賃収入が途絶えてしまうことも。
もし家賃収入を得られないとなれば、ローンを返済できなくなってしまうリスクも高いので、金融機関は収益性を重視するのです。
家賃収入に対して、ローンの返済比率が高い場合
不動産投資において返済比率とは、家賃収入に対するローン返済分の割合です。
返済比率が50%を超えるような場合、投資物件の収益性がない場合と同様で、連帯保証人を求められることがあります。
3. 不動産投資ローンを保証人無しでも組める方法がある
配偶者や子供を連帯保証人にして不動産投資ローンを組むのが一般的というお話しをしましたが、独身の場合や配偶者と死別や離婚してしまった場合は、連帯保証人を頼むことが出来ません。
そこで、保証人無しで不動産投資ローンを組む方法も存在するのでご紹介しましょう。
団体信用生命保険に加入する
不動産投資ローンでは、独身の場合はもちろん配偶者がいても団体信用生命保険に入ることで、連帯保証人なしで融資を受けることが可能です。
団体信用生命保険とは、借主が万が一死亡してしまい、金融機関へ不動産投資ローンの返済が出来なくなった場合に、生命保険会社が借主の代わりに一括返済してくれるもの。
最近では、「がん(悪性新生物)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」になった場合にも保険金が支払われるものもあります。
団体信用生命保険の保険料については、通常0.3%程度金利が上乗せされるケースが多いですが、銀行が支払ってくれるコースも。
住宅ローンでは、基本的にこの団体信用生命保険は必須ですが、不動産投資ローンの場合は、団体信用生命保険の加入が条件になっているケースや選択できるケースもあります。
団信に加入するとローンの金利が高くなる
団信の会社によって異なりますが、若干返済金利が高くなってしまいます。
だいたい1%未満の金利が上乗せされることが多く、金額によっては少数単位の金利上乗せでも返済金額が大きく異なります。
融資の上限額が決まっている
多くの団信の融資上限金額は1億円程度とされています。
融資額が億を超えない程度であれば、団信に加入することで保証人不要でローンを組むことができるのです。
法人として融資を受ける
連帯保証人なしで不動産投資ローンを受ける方法としては、資産管理法人など法人を立ち上げて融資を受ける方法。
通常法人で不動産投資ローンを受ける場合、資産管理法人が借主、代表者が連帯保証人となり、配偶者等の連帯保証人は不要です。
しかし、法人を立ち上げた当初は、法人に信用力がないので、代表者の信用力が無ければ中々融資を組むことができません。
そのため、融資枠を増やしていくためには、法人できちんと利益を出して、最低3年間は黒字経営する必要があると言われています。
法人の運営がある程度上手くいけば、不動産投資ローンではなく、プロパーローンといった事業性の資金としての融資を受けられるように。
個人で不動産投資ローンを組む際は、年収の10倍~15倍が程度ですが、法人で不動産投資を行うことで更に大きな資産を運用することが可能です。
4. ローン契約者が亡くなった場合、不動産投資ローンの連帯保証人は相続放棄ができるのか?
不動産投資ローンの連帯保証人になったのなら、万が一返済者が亡くなった場合、その不動産投資ローンを相続することになるのも理解しておく必要があります。
相続人は、相続放棄をすればローンの支払いをしなくて済む
相続人であれば財産だけでなく負債も引き継ぎます。
つまり、相続とは経営者が変更されるようなものです。
相続する不動産の収入が順調に入ってくるのであればいいですが、収入が確保できないのならローンの支払いが重くのしかかるだけで、こうなっては相続することは迷惑でしかありませんよね。
相続人の場合は相続人同士で話し合い、財産や負債すべてを相続放棄することができます。
連帯保証人の場合、相続放棄をしてもローンの支払い義務は残る
一方で連帯保証人は、相続放棄をした場合でもローンの支払いを放棄する事ができません。
つまり、連帯保証人になった場合はいかなる場合でも借金を返済しなければいけないのです。
もしアパートやマンションの経営が黒字であれば、連帯保証人として被るトラブルは比較的低いでしょう。
連帯保証人になるのであれば、しっかりとその物件の運営状況や収支を把握しておく必要があります。
トラブルを抱えないためにも、簡単に連帯保証人にならないようにしましょう。
5. 不動産投資ローンを組む時は連帯保証人をどうするか検討した上で審査を受けよう!
不動産投資ローンを組む上で、連帯保証人が必要になるケースがあるということはご理解いただけたと思います。
一方で、団体信用生命保険に加入したり、法人で不動産投資ローンを組むことで連帯保証人なしでも借りられるケースもあります。
しかし、実際には、借主の勤務先・年収などの属性・自己資金・資産の有無なども審査対象になり、金融機関から連帯保証人を求められるかどうかはケースバイケース。
事前に団信をつけた方が良いのか、連帯保証人を用意できるのか、調査・準備をしてからローンを組むのが賢明といえるでしょう。
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