収益物件を購入する際に全額を自己資金で賄う人は少なく、一般的には金融機関からの融資を受けます。
融資を申請する場合には、自分は借入ができるのかどうかとても心配ですよね。
しかし金融機関があらかじめどのような基準で融資を行うのか把握していれば、ある程度対応することも可能でしょう。
この記事では、収益物件を購入する時の金融機関の融資基準及び融資してもらうためのポイントについて解説をします。
これから不動産投資を検討している人は必見です。
目次
1. 収益物件を購入する時の金融機関の融資基準
収益物件の購入において金融機関が融資をする基準は、大別すると「担保物件の評価」および「融資を受ける人の属性」についての評価の2点。
しかし、融資基準をクリアしていても金融機関から借り入れを断られることもありますし、一部の基準をクリアできていなくとも融資が受けられる場合もあります。
金融機関の最終的な融資の判断は、貸したお金を全額回収できるかどうかということを第一として、
担保物件や融資申請する人の属性などを総合的に見て決まるのです。
担保物件の評価
金融機関が融資の審査をする場合に、最も重視するのは収益物件の担保評価です。
担保物件の評価は借り入れをした人が、返済できなくなったときに、物件が融資額に見合う価値があるかという点から行うもの。
その評価方法には、物件そのものの資産価値を評価する方法と不動産の収益性に着目した方法がありますが、最終的にはそれらを総合的に評価します。
担保物件の評価額は、不動産物件の時価の70%程度というのが一般的です。
自己資金率の高さ
自己資金は物件価格の何割以上必要と決まっている金融機関もありますが、不動産投資をする上では多いに越したことはありません。
手元にある程度の自己資金があった方が、安全性が高いということで借り入れはしやすいでしょう。
しかし自己資金があまりなくても、オーバーローン・フルローンなど物件価値以上の融資を受けられる場合もあります。
不動産投資をする人の属性
属性とはその人の経済的・社会的背景を言い、金融機関が審査をするときに判断の基準にするものです。
金融機関が判断基準とする属性には、次のようなものがあります。
勤務先情報
勤めている会社が上場企業なのか、社会的な信頼がある企業なのかなど。
家族構成
扶養家族は何人いるのか、生活は大変ではないのかなど。
働いている子供がいる場合には有利です。
住宅情報
住宅は持家か賃貸か、住宅ローンの残債はどの程度残っているのかなど。
連帯保証人
連帯保証人となるべき人がいるのか、その人は安定した収入があるのなど。
金融資産
預金や株・保険などの資産がどの程度あるのか。
借入金の返済能力
融資基準には、融資申請者の返済能力も大きなポイント。
本人の年収がどの程度あるかということと同時に、現在の借入金の状況も審査されます。
住宅ローンや自動車ローン・キャッシュカードの残債がいくらあるのか、ブラックリストに載っていないかなどの信用情報も重要なチェックポイントです。
仕事の勤続年数
勤続年数が長ければ(最低でも勤続が3年以上)、安定した収入が得られるという判断材料になります。
転職が多いと収入が不安定と見なされ、返済能力に不安があると思われるでしょう。
2. 収益物件を買いたい!融資してもらうためのポイント
これはと思う収益物件が見つかっても、融資条件が整っていなければ購入資金を借り入れることはできません。
次に、金融機関から融資を受けやすくするためのポイントを解説します。
①個人属性の改善
不動産投資では、購入する収益物件から利益を上げられるかどうかが審査において重視されます。
その一方で個人の属性もチェックポイントになるので、改善しておくことが望ましいでしょう。
例えば
- 社会的に信頼性がある会社に勤める
- 転職を繰り返さない
- ローンの残債を極力少なくする
- 固定電話を設置しておく
などできるだけ属性を改善しておかねばなりません。
②自己資金の用意
収益物件の評価が良ければ、購入資金の全額を借り入れられる場合もあります。
一般的には、頭金は購入しようとする物件の10~20%ほど用意できれば、融資の審査は通りやすいといわれています。
しかし自己資金を全額頭金につぎ込んでしまうと、不動産投資のさまざまなリスクに対応することができません。
したがって、収益物件の20~30%程度の自己資金をあらかじめ用意しておく必要はあるでしょう。
③利回りが高い物件の用意
融資を受けるためには、「利益が出ること間違いなし!」と金融機関が太鼓判を押せる利回りが高い物件を見つけることです。
都心から距離があり築年数が経過している物件は、表面利回りは高い場合がありますが、必ずしも利益が取れるとは限りません。
都心にある交通の便の良い物件は、多少利回りが低くても空室リスクは低く融資は受けやすいでしょう。
実質利回りがどの程度になるのか、いくらぐらいの収益を見込むことができるかをきちんと計画する必要があります。
④金融機関の融資条件を確認する
不動産投資ローンを借りることができる金融機関は、都市銀行・地銀・信用金庫・ノンバンク・日本政策金融公庫などがあります。
一般的に都市銀行は融資条件が厳しく審査に時間はかかりますが金利は低く、ノンバンクの融資基準は緩やかで審査は早いですが金利が高いというのが特徴。
それぞれの金融機関の融資条件を、あらかじめよく確認しておきましょう。
⑤不動産投資に関する十分な知識を身につける
金融機関では、不動産投資をしようとする人がどれ程不動産投資に熱心であり勉強をしているかということを見ています。
不動産投資についての知識が十分であり熱意があれば、成功する確率も高いと判断するでしょう。
したがって、不動産投資についての勉強をして知識を十分身につけておかねばなりません。
⑥銀行員と信頼関係を築く
銀行は信用というものを重視しますので、「貸し付けたお金をきちんと返済してくれる真面目な人」であると認めてもらうことが大事です。
信頼関係はすぐに築かれるものではありませんが、誠心誠意不動産投資への考えを述べたり、人間性を見てもらうことも必要でしょう。
金融機関に信頼がある不動産会社に仲立ちになってもらうのも一つの方法です。
3. 不動産投資ローンを借り入れるまでの流れ
不動産投資ローンを申し込んだら、すぐに融資が実行されるわけではなく、通常1ヵ月~1ヵ月半程度必要です。
一般的な融資の流れは次のようになります。
ローンの申し込み
不動産会社に収益物件の購入申し込みを行った後に、金融機関でローンの申し込みを行います。
ローン審査は時間のかかるものなので、購入物件が決まり次第申し込みをするのが良いでしょう。
ローンの審査
ローンの審査は通常、事前審査⇒本審査の順で2回行われます。
事前審査
事前審査は、融資を申し込む人の返済能力と収益物件の評価を短時間で判定するために行います。
融資しても問題がないと大雑把に判断されたら、本審査に進めます。
事前審査に要する時間はノンバンクは早いですが、通常は3日~1週間ほどかかります。
本審査
事前審査に通ると、次は本審査の申し込みを行わなければなりません。
本審査の内容は厳しくなり、多くの書類が必要なので早めに用意しておきましょう。
ローンの審査結果通知
本審査から10日ほどすると、結果についての連絡がきます。
その際、融資金額や期間・金利等条件が通知され、不動産投資ローンの契約日をいつにするか決めます。
融資の手続き
融資手続きは通常金融機関で行い、金銭消費貸借契約(不動産投資ローン契約)および抵当権設定契約と団体信用生命保険の加入契約を結びます。
契約書には融資金額・返済金額・融資条件などが記載されていますので、内容をしっかりと確認して契約を締結することが大切です。
なお、契約の締結には印紙代や融資手数料・ローン保証料・登録免許税などが必要になります。
融資の実行
金融機関より、融資申請者の口座に振込が行われます。
その後物件の売主に支払いを行い、カギを受け取るなどの最終手続きを行います。
4. 不動産投資ローンを受けるときに必要になる書類
不動産投資ローンの審査に必要な書類は金融機関によって多少異なりますが、次のようなものがあります。
事前審査で必要な書類
- 年収のわかる書類(源泉徴収票や確定申告書など)
- 既に借り入れがあるときにはローン残高
- 不動産購入申込書
- 物件の概要が分かる資料
- 本人確認書類(運転免許証・保険証など)
- 印鑑
本審査で必要な書類
- 物件概要書
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 賃料想定表
- 建物図面
- 公図
- 建築確認済証
- 印鑑登録証明書
- 住民票
- 3年分の前年の源泉徴収票または確定申告書
- 勤務先の会社概要
- 課税証明書
- 既存ローン返済予定表
- 団体信用生命保険申込兼告知書
5. 不動産投資で融資を受けるときにこれはNGな項目
金融機関から融資を受ける際に、次のような行為をしてしまうと融資を受けにくくなります。
不動産投資に関する知識が十分ない
例え融資基準を満たしていても不動産投資についての知識がなかったり、真剣に取り組む姿勢が見えない人には金融機関は融資をためらってしまうでしょう。
反対に不動産投資についての勉強をし、事業計画をきちんとしたデータに基づき作成し提出した場合には、他の条件が多少悪くても何とかしてあげたいと思うに違いありません。
投資に対する時間的余裕がない
不動産投資を行うには、時間がかかったり精神的・肉体的労力を必要とするものです。
投資に対する時間があまりにない人は、一生懸命事業に取り組む姿勢がないと見なされ、金融機関は融資を躊躇することになるでしょう。
物件の公開するべき情報を隠す
銀行に借り入れの相談をする場合には、物件の資料がないと説得はできません。
公開すべき物件の情報を隠すようなことをすれば、信頼できる人ではないと判断され融資を受けることはできなくなるでしょう。
6. 収益物件と自身の条件を確認して融資を受けよう
ここまで述べてきたように、金融機関は収益物件と各個人の属性を判断基準として融資をするか否かを決めます。
融資を受けようとする人は、金融機関の融資基準と自身の状況を考え、身の丈にあった借り入れを申し込むようにしましょう。
なお、収益物件を購入する際の融資に不安がある人は「MIRAIMOの個別相談」やLINEでできる「オンライン無料相談」へ相談すれば的確な答えを出してくれます。