一時期世間を騒がせた「パナマ文書」をご存知でしょうか?
名前を聞いたことはあるものの、実際にパナマ文書とは何か?と聞かれるとわからない人が多いのではないでしょうか?
もしくは、パナマ文書によってタックスヘイブンを知り、自分もタックスヘイブンを利用して税金逃れができるのか?と考えている人もいるでしょう。
そこで今回は、パナマ文書を中心に、タックスヘイブンを含めて解説していきます。
パナマ文書とは何なのか?どのような影響を世間に与えたのか?そして、実際にパナマ文書に記載されていた著名人や企業も紹介していきます。
パナマ文書と聞くと海外の文書なので、日本にはあまり関係ないと思っている人もいるかもしれません。
しかし、実は日本も関係は大ありで、パナマ文書にはたくさんの企業や著名人の記載があったのです。
今回はそんなパナマ文書についてのお話です。
目次
1. パナマ文書って何?
パナマ文書とは、タックスヘイブンであるパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した機密文書です。
この文書の流出により、タックスヘイブンを活用していた企業が個人が世間に知られることになりました。
そもそもタックスヘイブンとは「租税回避地」のことであり、税金が無税、もしくは極端に税率が低い地域のことです。
つまり、タックスヘイブンを活用していた企業や個人は、そのようなタックスヘイブンの税制を適用させることで、税金の支払いを免れていた、もしくは大幅に支払い金額を安くしていたといわけです。
パナマ文書は1970年代から作成されており、流出した件数は1,150万件にものぼるといわれています。
タックスヘイブンの仕組みについては以下の記事を参考にしてください。
何が問題なのか
さて、パナマ文書がなぜここまで注目されたのか?何が問題なのか?
という点は気になるところでしょう。
そもそもタックスヘイブンは税率が安い(もしくは無税)というだけであって、脱税をしているわけではありません。
しかし、以下2点が問題視されているため、パナマ文書はここまで話題に上がったのです。
- マネーロンダリングに利用される
- 税金逃れによる国益の損失
マネーロンダリングに利用される
マネーロンダリングとは「資金洗浄」のことです。
タックスヘイブンでは実際に活動をしていない会社(ペーパーカンパニー)を設立することで、そのタックスヘイブンの地域の税率を適用できます。
また、その辺りの法規制が緩く、比較的簡単に会社をつくることができるのです。
さらに、タックスヘイブンの地域は秘匿性が高いので、国外の警察組織なども簡単に調査することはできません。
つまり、仮に犯罪組織でも簡単にタックスヘイブンなら会社をつくることができるのです。
そして、そのタックスヘイブンに設立した会社に犯罪で集めたお金を送金し、タックスヘイブンの地で別のお金に換えることでマネーロンダリングができてしまいます。
これがタックスヘイブンが問題視される第一の理由です。
税金逃れによる国益の損失
そして、2つ目の理由は単純に税金逃れが横行すると国益の損失になるからです。
後述しますが、日本の企業や著名人もタックスヘイブンを利用して税金逃れをしています。
つまり、本来であれば日本に入るはずであったお金(税収)がタックスヘイブンの地域の税収になるということです。
そのため、日本の税収は落ち、日本の発展に使うはずのお金が少なくなってしまいます。
そうなれば、さらなる増税などを実施する可能性があり、回りまわって私たち国民の負担が大きくなるというわけです。
だからこそ、世間でタックスヘイブンは問題視され、それを暴いたパナマ文書が取り沙汰されたのです。
2. パナマ文書で有名な著名人が掲載されている
パナマ文書は上述した通り非常に膨大な量の資料でしたが、国際調査報道ジャーナリスト連合など、実に世界80か国、107社の報道機関に属している400人ほどのジャーナリストたちが、パナマ文書の分析を行ったとされています。
そして、その分析の結果が以下です。
- 21万以上の法人がタックスヘイブンを利用している
- 各国首脳や首脳経験者が12人含まれている
- 著名な政治家や富裕層が140人以上存在した
パナマ文書に掲載されている著名人
具体的に、パナマ文書に掲載されている(タックスヘイブンを利用している)主な著名人は以下の通りです。
- ウラジーミル・プーチン(ロシア大統領)
- 習近平(中国国家主席)
- デービッド・キャメロン(イギリス首相)
- ジャッキー・チェン(香港・映画俳優)
- リオネル・メッシ(アルゼンチン・サッカー選手)
上記はほんの一部であり、まだまだたくさんの著名人の名前が記載されていました。
各国に様々な影響がでた
パナマ文書の流出により日本を含むさまざまな国に影響が出ましたが、中でも以下が大きな影響といえるでしょう。
- アイスランドのグンロイグソン首相の辞任
- パキスタンのナワズ・シャリフ首相の辞任
アイスランドのグンロイグソン首相の辞任
まず、アイスランドのグンロイグソン首相は、2008年のリーマンショック時に夫婦で株主に名前を連ねている企業を通し、国内の銀行証券のうち日本円にして数億円分をタックスヘイブンの地で保有していたことが明らかになりました。
リーマンショック直後ということもあり、自国が金融危機に陥っている中での行動だったので世間からは大バッシングに遭い、しまいには首脳退陣を求める数千人規模のデモが起こるほどの騒動に発展しました。
このような状況になったため、グンロイグソン首相は辞任せざるを得ませんでした。
パキスタンのナワズ・シャリフ首相の辞任
パキスタンのシャリフ首相も、パナマ文書によって息子や娘がタックスヘイブンに会社を持っていたことが分かりました。
そして、その会社を通じて巨額の資産を隠していた疑いが浮上し、野党が最高裁に調査を申し立てる事態にまで発展したのです。
結果的にシャリフ首相は議員資格が無効であると判決が下り、辞任に追い込まれることになりました。
有名企業の税金逃れが発覚している
このように、一国の首相が辞任に追い込まれるほどの影響を及ぼしたパナマ文書ですが、以下のような有名企業もタックスヘイブンを利用した税金逃れが発覚しています。
- アップル
- グーグル
- アマゾン
- マイクロソフト
- スターバックス
上記は誰も知っている大企業であり、世界的に見ても時価総額ランキングトップ層に君臨する企業ばかりです。
上記の中でも、スターバックスは14年間におよび、イギリスでの納税を逃れていたことが明らかにされました。
これによって、イギリスのある店舗では座り込みの抗議が起きたなど、企業にも影響を及ぼしています。
3. パナマ文書には日本の企業や著名人が含まれる
さて、ここまでは主に海外の話でしたが、当然ながらパナマ文書の影響は日本も例外ではありません。
実際、パナマ文書に記載のあった日本の企業や著名人は以下の通りです。
<企業>
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- ファーストリテイリング(ユニクロなど)
- ソフトバンクの関連会社
<著名人>
- 三木谷浩史(楽天の社長)
- 飯田亮(セコムの創業者)
このように、日本の名だたる企業や著名人の名がラインナップされています。
上記に記載のある企業や個人は、いずれも違法性がないことを主張しており、日本ではさほどバッシングなどは起きていません。
4. 何故日本ではパナマ文書についてあまり報道されていないのか?
前項のように、パナマ文書に記載があったにも関わらず、その会社や個人に、業績の悪化や社長の交代などがあったという事実はありません。
それは、日本でパナマ文書についてあまり報道されていなかったという点が大きいと考えられます。
確かに、日本でもパナマ文書は一時期トップニュースとして報じられていましたが、首相が変わるくらいの影響を及ぼす海外ほどは話題になっていませんでした。
これを象徴する例として、パナマ文書に関わった女性記者が殺害されましたが、このニュースは日本ではほぼ報道されていません。
その理由は、一説ですがある大手広告代理店が報道を規制したという噂があります。
その大手広告代理店もパナマ文書に記載があったことで、世間からのバッシングを恐れたため緘口令が敷かれたといわれているのです。
あくまで憶測ですが、そのような説もあります。
5. パナマ文書に掲載されている著名人や企業は膨大な件数になっている
さて、このように世間に大きな影響をもたらしたパナマ文書ですが、1,150万件という膨大な件数の数多くの企業や著名人が名を連ねます。
そのため、パナマ文書関連の報道は一旦は落ち着きましたが、まだまだ新たな事実が出てくる可能性もあります。
違法ではないものの、自国にとってメリットは小さいので、もし発覚したら世間が許さないでしょう。
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