タックスヘイブンによる仕組みとは?メリットやデメリットを詳しく解説!

最近は「タックスヘイブン」という言葉は一般的になってきました。

タックスヘイブンとは、簡単にいうと「税率の安い国を利用して、法人や個人が支払うべき税金を安くする」ことです。

要は、大がかりな節税と思ってください。タックスヘイブンを利用する恩恵は非常に大きなものがありますが、実はその裏でデメリットやリスクもあります。

特に、タックスヘイブンには企業や個人の印象を著しく悪くするという大きなリスクも潜んでいるので注意が必要です。

そこで今回は、タックスヘイブンとはどのような仕組みか?メリット・デメリットおよびリスクにはどのようなものがあるか?という点を解説していきます。

大企業や富裕層以外にも、一般庶民への影響もあるので、タックスヘイブンは全ての人が知っておくべきことです。

1. タックスヘイブンとは?

タックスヘイブンについて理解するためには、以下の点を理解しておきましょう。

冒頭でいったように、タックスヘイブンとは法人税や所得税などの税率が低い国や地域を利用し、税金を安くするという方法です。

一見、夢のような話ですがタックスヘイブンには問題点もありますので、特にマイナス面については理解を深めておきましょう。

タックスヘイブンの仕組み

タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」や「税の避難所」などと言われます。

法人税や所得税は国によって大きく異なるので、どこの国に税金を支払うかで企業や個人が支払う税額が大きく違ってくるのです。

たとえば、日本だと40%の税率になるものの、ある地域では10%であれば支払うべき税額は1/4です。

このように、税率の差を利用して、実際に活動している国ではなく税率の低い国に拠点を置く(と見せかけて)ことで節税しているのが、「タックスヘイブンを利用する」ということです。

タックスヘイブンは違法ではないのか?

タックスヘイブンは違法か合法かと問われれば「合法」です。

もちろん、ルールを守るという前提ではありますが、ルールを守っていれば税率が低い国で納税をすることは違法とはならないのです。

タックスヘイブンの地域にはどんな特徴があるのか?

タックスヘイブンの地域は以下のような特徴があります。

  • 法人税や所得税が無税または低い税率
  • 規制が緩いので法人設立が簡単
  • 秘匿性が高い
  • 実質的な活動を要求しない
  • 自国産業を持っていない

税率が低く法人設立しやすい

まずは、当然ながら税率が低いことです。

その国に税金を支払うのに、税率が低くないとタックスヘイブンが成り立ちません。

また、法人設立が大変であれば自国に誘致できず、その企業や富裕層から税金を集められません。

そのため、タックスヘイブンの地域では法人の設立を簡単にしていることも特徴の一つです。

秘匿性が高い

タックスヘイブンで法人を設立したり、住所を登録したりしている企業や個人の名前は、基本的に公表されません。

もちろん、資産額なども公表されることがなく、富裕層も安心して利用できます。

実質的な活動を要求しない

タックスヘイブンでは、実質的な活動を要求しません。

たとえば、Aというタックスヘイブンの地域があり、Z社がここを利用したいとします。

その場合、Z社は子会社として住所のみ登録しておけば、そのAの税率が適用されるのです。

つまり、本社をAに置き、実質的な企業活動をしなくても良いというわけです。

自国産業を持っていない

タックスヘイブンの国や地域は「自国産業を持っていないことが多い」という特徴があります。

たとえば、ロシアや中東などはエネルギーを発掘できるので、エネルギー産業でお金を得ることができます。

日本は、かつてよりは衰退していますが、それでも自動車産業をはじめとした「モノづくり」に関連する産業が強いです。

強い産業があるということは、その産業によって儲かる企業と個人が出てくるので、その税収で国も潤います。

一方、強い産業がない国は、企業や個人からの税収が少ないので他からお金を引っ張る必要があるのです。

その方法がタックスヘイブンであり、税率を低くすることで海外から企業や富裕層を呼び込みお金を集めるという狙いがあります。

タックスヘイブンの問題点

節税効果が高いことから注目されているタックスヘイブンですが、実は問題点もあります。

それは、タックスヘイブンが、マネーロンダリングの温床となっている可能性があることです。

マネーロンダリングとは「資金洗浄」という意味で、犯罪によって得られたお金を「出所」が分からないようにすることです。

それは、上述した「秘匿性」が深く関連してきます。

たとえば、警察当局が麻薬取引などの証拠をつかむために資金の流れを追いかけ、タックスヘイブンにある銀行に行き着いたとします。

しかし、タックスヘイブンの銀行は秘匿性が高いので、守秘義務が防波堤になり捜査がストップしてしまうのです。

このように、タックスヘイブンはマネーロンダリングに利用されやすいという問題点があります。

2. タックスヘイブンのメリットデメリット

メリット

タックスヘイブンのメリットは以下の点です。

税金の軽減、もしくは税金がゼロになる

この点はもはや言う必要はありません。

税金の軽減、もしくはゼロになるという点がタックスヘイブンの最も大きなメリットです。

税務申告などの負担が小さい

タックスヘイブンは秘匿性が高いです。

日本では、税務申告が義務付けられていて、売上や資産などは全て申告する必要があります。

また、その手続き自体が複雑で面倒ですが、タックスヘイブンの地域はそのような手続きが簡易的で負担が小さいです。

相続税や贈与税対策にもなる

上述した通り、タックスヘイブンでは所得税や法人税が極端に低い(もしくはゼロ)ですが、個人の資産家にも「相続税や贈与税も低い」というメリットがあります。たとえば、北大西洋のバミューダ諸島では相続税がかからないことで有名です。

仮に、日本で保有している資産をバミューダ諸島に移すことができれば、相続時には非課税でその資産を受け取れるということになります。

もちろん、為替差損やバミューダ諸島に住所を移すなど手間や費用はかかりますが、それでも日本で普通に相続を受けるよりは格段に税金は安くなるでしょう。

退職所得税の節税にもつながる

退職所得税の節税はサラリーマンがタックスヘイブンを活用したときの話です。

日本では、退職金は「退職所得」として10%が住民税として課税されます。

仮に、サラリーマンの方がタックスヘイブンに住所を変えることができれば、その低税率の恩恵を受けられる可能性があるのです。

ただ、ある程度の滞在期間が必要であり、そもそも日本で働いているのにタックスヘイブンに住所を移すのはどうしても不自然になります。

そのため、実際に実施するのは難しいでしょう。

節税などの目的ではなく、元々に職後にタックスヘイブン後に移住を考えているときであれば可能かもしれません。

デメリット

一方、タックスヘイブンのデメリットは以下の点です。

イメージが悪くなる

上述したようにタックスヘイブンには違法性はありませんが、上述したようにマネーロンダリングなどにも利用されているため、必ずしも世間のイメージは良くありません。

そのため、タックスヘイブンを利用していることが分かると、その企業や個人のイメージは損なわれる可能性があります。

少し前に「パナマ文書」によって、タックスヘイブンを利用している企業や個人の一部が世間に知られました。

たとえば、アイスランドのグンロイグソン首相やパキスタンのナワズ・シャリフ首相もタックスヘイブンを利用していることが知られ、どちらも退任に追い込まれています。

政治的な不安定さが影響する

タックスヘイブンの国や地域は先進国にもありますが、その多くは北大西洋にある島や東南アジアの発展途上国です。

そのため、政治的に不安定な点はデメリットであり、ネガティブな事象が起これば、預けている資産に影響する可能性があります。

ペーパーカンパニーの設立費がかかる

子会社でも良いとはいえ、タックスヘイブンで会社を設立する必要があります。

たとえば、企業の登録や口座開設、個人であれば永住権の取得やビザの発行などが必要なので、費用がかかる点もタックスヘイブンを利用する際のデメリットと言えるでしょう。

3. タックスヘイブンの地域にはどんな所がある?

タックスヘイブンの代表的な地域には以下があります。税率と合わせて紹介します。

地域 法人税率
アルバ 28%
アンギラ 0%
ウルグアイ 25%
クック諸島 20%
グアテマラ 25%
ケイマン諸島 0%
サモア 0%
シンガポール 17%
ドバイ 0%

4. タックスヘイブンはこれからも無くなることはない?

結論から言うと、タックスヘイブンは無くなることはないでしょう。

そもそも、タックスヘイブンの地域で税率を下げているのは、上述したように自国産業を持っていないからという理由が多いです。

つまり、タックスヘイブンとして利用されないと、人もお金も集まらないため、財政破綻の危機さえあるのです。

また、企業や富裕層である個人もタックスヘイブンを利用する恩恵はかなり大きいので、利害が一致しています。

仮に世論がタックスヘイブンにNOを突き詰めても、特に富裕層達の力は強いのでタックスヘイブンを無くすのは困難といえるでしょう。

5. 日本のタックスヘイブンの規制について

日本が実施するタックスヘイブンへの対策は、1978年に導入された「改正租税特別措置法」に基づく規制が挙げられます。

簡単にいうと、外国の関係会社で税負担が著しく軽いものは、親会社である日本の法人に課税されます。つまり、タックスヘイブンで得した分を日本の企業に追加課税されるというわけです。

この税制が適用される基準は以下3つです。

  • 内国法人の判定
  • 外国の関係会社の判定
  • 特定外国子会社等の判定

「タックスヘイブン地にある企業の親会社である」と判定されれば、上述した規制の対象になります。

そのため、その判定がされるかどうかが大切であり、その判定は親会社が子会社に対して出資している割合によるということです。

細かな基準が制定されており、上記3つの判定に該当すると、上述したようにタックスヘイブンで節税した分が課税されます。

6. ペーパーカンパニーによる節税の仕組みとは?

ペーパーカンパニーによる節税の仕組みを理解するためには、以下を理解する必要があります。

移転価格税制の制度とは?

移転価格税制とは、「企業間で輸出額を調整して利益を確保すること」を規制している制度です。

たとえば、日本法人Z社が海外に子会社G社を展開していたとします。

そのとき、親会社Z社が子会社G社に製品を輸出し、その輸出額を相場よりもかなり低額に設定すればZ社の儲けは少なく計上することが可能です。

 

一方、G社は相場よりも安く商品を手に入れられるので、その商品を利用してビジネスをすればG社の利益は多くなります。

その逆をすれば、G社の儲けが大きくなるので、企業の状況によって利益の調整ができるというわけです。

しかし、このような取引は健全な商取引ではないので、移転価格税制によって規制しています。

タックスヘイブンの地域にお金を移す理由とは?

さて、タックスヘイブンと移転価格税制がどのように関係しているかというと、支払いを配当金にすることで日本での課税を逃れることができるという点です。

たとえば、親会社であるZ社からG社へお金を送金する場合、それを「配当」という扱いで送金すれば、原則「利益」としては計上されません。

つまり、利益として計上されない状態で、子会社G社から商品などを輸入できていしまうのです。

一方、G社はタックスヘイブンにあり、税率は低い(もしくはゼロ)ので、配当として収益を得られる上に、そこにかかる税金は非常に安価(もしくはゼロ)になります。

ただ、このような利益操作のためのペーパーカンパニーであると判断されれば、上述したタックスヘイブンへの対策税制が発動するのは注意しましょう。

7. タックスヘイブンは庶民にも恩恵があるって本当?

さて、上述したようにタックスヘイブンの恩恵を受けられるのは、主に大企業や個人であれば富裕層のみです。しかし、実は一般庶民にも恩恵があります。

節税する事により、一般の人は利益を享受している

企業がタックスヘイブンを利用して節税しているということは、企業の支出を減らして利益を伸ばしているということです。

そのため、浮いたお金が給与に還元されるかもしれませんし、設備投資することで会社の利益は延びるかもしれません。

それは、回りまわって一般庶民に還元される可能性があります。

企業から税金を沢山とると物価が上昇する

タックスヘイブンを利用しないということは、企業が支払う税金が多くなるということです。

そうなると、多く支払った税金分、世の中に回る金額が少なくなります。

つまり、お金の価値が上がり物価が上昇するという「インフレ」状態になりやすいのです。

そうなれば、一般庶民の家計にマイナスの影響を及ぼすので、タックスヘイブンはその点もメリットがあります。

8. タックスヘイブンによる節税はメリットも確かにあるが、リスクが高いので注意が必要

このように、タックスヘイブンによる節税は確かに大きなメリットがあります。

税率がゼロの地域もあるので、大企業であれば、億の単位で節税につながるでしょう。

しかし、やはりうまい話には裏があり、上述したように多くの規制でがんじがらめにされている上に、タックスヘイブンを利用していることが知れればイメージダウンにつながるというデメリットもあるのです。

仮にタックスヘイブンを利用する場合には、そのようなデメリットも加味して利用しましょう。

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