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アパート経営が贈与税の節税対策になるワケ|相続税とどっちの方が節税になる?

現金を含めた資産を、他人に贈与する時には贈与税がかかることは皆さんご存知でしょう。

アパート経営をしている人は、アパートを贈与すると現金と比べて贈与税が少なく済みます。

 

一体アパート経営にはどれほど贈与税の節税効果があるのでしょうか?

また、アパートを相続する場合と贈与する場合、どちらがより節税になるのでしょうか?

 

今回はアパート経営で贈与を行う際の節税効果や贈与と相続どちらの方が節税になるのかを解説。

アパート経営する投資家や、これからアパートを購入してみたい人まで必見の情報なので、ぜひとも参考にしてみてください。

1. アパート経営は贈与税の節税対策になる理由と節税効果を高めるポイント

アパート経営は贈与税の節税対策になる理由とポイント

贈与税の中でも特にアパート贈与は節税に効果を発揮します。

贈与税の納税額は以下の計算式で行います。

■(財産の総額-基礎控除110万円)×税率=納税額

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

引用:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

アパートの土地部分は路線価、建物部分は固定資産税評価額で課税されるので、時価で評価される現金と比べて相続税が安く済むのです。

 

アパート土地部分の贈与税を計算する場合は路線価を使用しますが、取得した土地の約80%程度の金額で設定

次に建物部分の固定資産税評価額ですが、建築コストの50~70%程度が評価額となるのです。

アパート経営は、住宅より更に節税になる

アパート経営をしている場合、住宅よりも更に贈与税が安く済むメリットがあります。

賃貸用の住宅(貸家)は、上記の固定資産税評価額から更に「借家権割合」の30%※を圧縮できるのです。

(地域によるがほとんどのエリアでは30%)

賃貸経営をしている人は贈与税や相続税を節税するのに有利。

相続時精算課税制度を使う

相続時精算課税制度とは財産を贈与する際に選択できる贈与税の制度です。

原則として60歳以上の父母、または祖父母から20歳以上の子や孫に対して贈与する時に限られます。

 

相続時精算課税制度を選択すると最大2,500万円までのアパート贈与に対しては課税が適用されません。

つまり子供や孫に渡すアパートの評価額が2,500万円以下であれば贈与税を納める必要がないのです。

相続時精算課税制度を利用する場合は、建物部分だけ贈与する

ただし、アパートはもともとの購入額が大きいので、相続時精算課税制度を利用するにはちょっとしたコツが必要になります。

コツとは、土地の部分は譲渡せずに、建物の部分だけを渡すというもの。

 

土地部分の評価額は高額になりがちなので、あえて土地を除くことで総評価額を抑える工夫です。

建物だけであれば評価額を2,500万円以下に抑えやすいでしょう。

また、仮に2,500万円を超えた場合でも、2,500万円以上の部分に一律20%の税金がかかるだけです。

そのため、相続時精算課税制度という選択肢自体が大きな節税対策となります。

相続時精算課税制度を選択する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に相続時精算課税制度専用の書類を添付して贈与税申告を行ってください。

親から子への贈与で地代家賃は払わない

両親や祖父母から子や孫にアパート贈与を行うと、建物や土地の名義を変更することになります。

そこで仮に、上記で取り上げた相続時精算課税制度を利用し、評価額を2,500万円以下に抑えるために建物だけを子供に譲渡したとしましょう。

すると土地を保有しているのは親、建物を保有しているのが子供となります。

 

この場合、土地を所有している親に対して「地代家賃」を支払う選択肢が発生します。

しかし、肉親が土地所有者であれば地代家賃は必ず支払う必要はありません。

逆に地代家賃を支払ってしまうと親の相続財産が増えてしまいますので事実上の増税です。

ここはあえて地代家賃を支払わないという選択肢をとって節税対策を行いましょう。

築年数があるほど相続より贈与が効果的

建物は年々古くなっていくこともあり、築年数が古いほど価値が下がります。

価値が下がったとみなされると当然ですが、納める税金は安くて済むのです。

 

築年数が古いアパートやマンションであればあるほど、固定資産税評価額が驚くほど低くなるため、贈与税が基礎控除額以下になることも珍しくありません。

 

土地や建物を持っている人であれば、春ごろになると役所から固定資産税の納税通知書が送られてきます。

固定資産税評価額は書面で確認することが可能です。

この書類は課税明細書とも呼び、「価格」の欄に実際の固定資産税評価額が記載されています。

 

また、他の固定資産税の確認方法として「固定資産税台帳」があります。

固定資産税台帳は総務大臣が定める固定資産評価基準に則って、各市町村が価格を決定。

 

固定資産税台帳はお住まいの役所でいつでも確認可能です。

ただし、申請には運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要なので、あらかじめ持参しましょう。

2. アパートを生前贈与した場合のシミュレーション

アパートを生前贈与した場合のシミュレーション

アパートを生前贈与する際の具体例を挙げましょう。

たとえば、現金で土地を5,000万円、アパートを3,000万円で購入したとします。

まず土地の評価額は以下の計算式が成り立ちます。

■5,000万円×約80%=4,000万円

アパート贈与では路線価は取得価額の80%ほどに抑えられます。次に建物代です。
■3,000万円×約50%=1,500万円

建物は固定資産税評価額が適用され、約50%ほどを取得価額から減らすことができます。
取得した物件の価格が高額であるほど納税額が減るということです。

では、土地と建物の評価額を足してみましょう。
■4,000万円+1,500万円=5,500万円

最後に基礎控除110万円が差し引かれ、その金額に税率をかけて最終的な納税額を求めます。

簡単にいえば取得金額が低ければ低いほど、税金を納める額も少なくて済むと言えるでしょう。

仮に現金をそのまま譲渡してしまうと、たとえば贈与額が1,000万円なら基礎控除額110万円は差し引けますが、ほとんど丸ごとが税金の計算対象となります。

一方のアパート贈与であれば、あらかじめ評価額を減らす仕組みによって節税効果は抜群です。

3. アパート経営は贈与と相続どちらの方が節税になる?

アパート経営は贈与と相続どちらの方が節税になる?

気になる点は「アパート経営では贈与税を払うのと、相続して相続税を払うのではどちらがお得か」という点でしょう。

さまざまな観点から一体どちらがお得なのかを見ていきましょう。

相続と贈与の違いとは

相続とは人が亡くなった場合に、亡くなった人の財産や権利(借金も含む)を配偶者・子などの親族が譲り受けること。

一方で贈与とは、財産や権利を贈与する意思表示をした上で、贈与を受ける側が承諾して譲り受ける行為。

財産は物品であっても金融資産であっても構いません。株や不動産でも相続や贈与が可能です。

 

同じ「譲り受ける行為」ですが、被相続人(相続する人)が亡くなったか存命かで税金の取り扱いが変わってきます。

そして金銭であっても、不動産や株であっても相続や贈与をした時には「相続税」「贈与税」が発生しますが、相続したか贈与したかで税率が違うのです。

税率は贈与税より相続税の方が低い

先ほど贈与税の税率をご紹介しましたが、一方で相続税の税率を見てみましょう。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万

引用:国税庁 No.4155 相続税の税率

2つの表を比べると、贈与税より相続税の税率の方が圧倒的に低い税率。

ただ、上述の相続時精算課税制度を使えば2,500万円以下のアパートに関しては非課税でおさめることができる点も押さえておきましょう。

必要な費用は相続より贈与の方が高い

アパートなどの贈与・相続には、所有権移転登記をする「登録免許税」と「不動産取得税」がかかります。

相続の場合の登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%ですが、贈与の場合は固定資産税評価額×2%。

不動産取得税は、相続の場合課税されませんが、贈与は建物固定資産税評価額×3%の課税。

諸費用は贈与の場合の方が高いことを覚えておきましょう。

個人の状況によってどちらがお得かは異なるので税理士に相談すべき

アパート経営では生前贈与した方が良いのか、相続した方が良いのかは物件の所有状況や相続人の状況によって変わってきます。

自分だけでは解決できない場合、税理士などの専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

関連記事不動産相続税はどれくらいかかる?|相続前に知りたい3つの事と注意点について

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4. アパート経営の贈与税に関する注意点

アパート経営で贈与を行う前に、押さえておきたい注意点があります。

負担付贈与は贈与税額が増えてしまうので注意

アパート贈与のポイントは現金などを利用して土地や建物を購入することです。

反対に借金をして土地や建物を買ってから贈与を行うことを「負担付贈与」と言います。

 

負担付贈与の場合は節税には向きません。建物に対して評価減損処理がされないからです。

つまり、購入した建物の取得価格が丸ごと納税対象なので、最終的に納める税金額が増えてしまいます。

5. アパート経営では建物だけを贈与して贈与税の節税効果を高めよう!

今回はアパート贈与の節税対策を紹介しました。

子供や孫に土地や建物を渡すことで贈与税が発生しますが、もともとの取得金額が大きい資産だけに支払う税金も大きくなりがちです。

そこで、土地を残して建物だけを贈与することで大きな節税効果があることが分かりました。

 

アパート経営もそうですが、不動産投資は皆さんがこれから資産形成を行う際に最も有効的な節税対策になります。

資産形成を行う際も、普段生活する際にも税金というものはつきものです。

将来のためにも、今から対策を取っていきましょう。

 

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贈与税の節税対策についてより詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてください。

関連記事贈与税の特例制度を活用した6つの税金対策と注意点から学ぶコツ

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