共益費の勘定科目を簡単解説|これで家賃収入の会計処理が完璧にできる!

賃貸物件の中で家賃と合わせて必要なものに、共益費があります。

共益費というのは建物の共用部分にかかる費用のことであったり、あるいは水道光熱費を含むことも。

厳格な取り決めはないため、内容はさまざまです。

よって仕訳において共益費を支払った場合、あるいは支払いを受けた場合の勘定項目で迷う方も多いのでは?

共益費は幅広い意味を持つ言葉なので、契約書の内容を確認する必要があります。

個々の契約で共益費の指す内容が違うので、どういう勘定科目になるかが変わってきます。

今回は、一般的な共益費の勘定科目について簡単にご説明いたしますので、仕分けの参考にしてみて下さい。

1. 家賃収入の仕訳と勘定科目について

家賃収入の仕訳は、賃貸経営が個人か法人かによって勘定科目が違います。

1-1. 勘定科目って何?

勘定科目とは、複式簿記の仕訳に使われるもので、出入りするお金の名目のこと。

主に資産・負債・純資産・収益・費用の5つの要素にわかれています。

たとえば固定資産税などの税金の勘定科目は、「租税公課」という費用の勘定科目になります。

このように勘定科目は、それぞれ決められた名目で計上する必要があります。

1-2. 法人の場合について

法人が賃貸経営をしている場合、不動産業とそれ以外の業種で仕訳が異なります

不動産業の法人が家賃収入を得ると「売上」として計上。もし不動産業以外の業種の法人が家賃収入を得ると、「受取家賃」か「雑収入」となります。

1-3. 個人の場合について

サラリーマンが副業として賃貸経営を行っている場合は「不動産所得」としてという扱いになります。この場合は、家賃収入が年間20万円を超えた場合に申告が必要。但し、個人事業主として賃貸経営を行っている場合の仕訳は、法人と同じ「売上」となります。

1-4. 家賃収入の消費税の扱いについて

消費税というと物品の購入にかかる税金というイメージがありますが、家賃収入にも消費税がかかる場合があります。まず大きく分けると、賃貸物件は居住用か事業用に分かれます。事務所や店舗などの事業用マンションの家賃には、消費税がかかります。一方で、人が住む目的とした居住用マンションの家賃に消費税がかかりません

ちなみに駐車場料は家賃の中に含まれて、駐車場付きマンションという位置づけであれば非課税になります。しかし家賃と駐車場使用料がはっきりわけられて徴収されている場合であれば、駐車場使用料は消費税がかかります。

1-5. 決算書における家賃収入の科目について

賃貸経営では法人なら決算書、個人事業主なら青色申告において「損益計算書」を作らなければなりません。いずれの場合も、家賃収入は売上・受取家賃・家雑収入のいずれかになります。

1-6. 仕訳の事例について

それでは、具体的な仕訳の事例をご紹介します。

今回は、家賃収入15万円を普通預金への銀行振込で受け取った場合を、法人や個人などの業務形態に応じた仕訳をご紹介します。

①家賃収入(不動産業の法人)

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 売上 150,000

②家賃収入(不動産業以外の法人)

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 受取家賃 150,000

③社宅からの家賃収入(法人)

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 雑収入 150,000

④家賃収入(個人事業主)

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 売上 150,000

⑤家賃収入(個人)

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 不動産所得 150,000

このように、左側の借り方と、右側の貸し方はそれぞれが同額になるようにします。

1-7. 家賃収入の仕訳科目と支払いの勘定科目について

家賃収入の仕訳においては、収入だけでなく支払いもあります。よくある勘定科目は以下の通りです。

  • 水道光熱費
  • 管理費
  • 広告宣伝費
  • 支払い手数料
  • 修繕費
  • 接待交際費

たとえば個人事業主の家賃収入の場合で、家賃15万円と共益費10,000円が普通預金に振り込まれ、水道光熱費5,000円と管理費5,000円を普通預金から支払った場合の仕訳は、次のようになります。

借り方 金額 貸し方 金額
普通預金 150,000 売上 150,000
水道光熱費 5,000 普通預金 10,000
管理費 5,000

2. 家賃の勘定科目について

2-1. 家賃の勘定科目とは?

法人や個人事業主が支払う事務所の家賃の勘定科目は地代家賃です。

また共益費や月極駐車場料も地代家賃になります。主な地代家賃は以下の通りです。

地代家賃に含まれるもの

  • 事務所・店舗の家賃、
  • 倉庫・工場の賃借料
  • 月極駐車場
  • マンスリーマンション
  • シェアオフィス
  • トランクルーム

また個人事業主が自宅を事務所と兼用している場合の家賃についても、地代家賃になります。但しその場合は、居住用との按分が必要です。

2-2. 事務所の家賃について

居住用の家賃の消費税は非課税ですが、事務所の家賃は消費税が課税されます。

もし居住用のマンションを事務所に利用していた場合、契約書で事務所として利用することになっていれば消費税が課税されます。

しかし契約書では居住用で、実際は事務所として利用していた場合は、消費税はかかりません。

もし契約内容に変更が生じている場合は、速やかに大家に連絡しましょう。

2-3. 社宅の家賃について

社宅は居住用住宅になるため消費税が非課税となります。

ただし1ヵ月以内の契約物件であれば課税対象です。もし1ヵ月以内の短期契約をくり返し利用し、通算して1ヵ月以上になったとしても消費税は課税されるので注意が必要です。

3. 共益費の会計・簿記・経理上の取り扱いについて

3-1. 共益費を受け取った場合は?

共益費を受け取った場合は、基本的には家賃と同じ勘定項目で構いません。

よって売り上げ・受取家賃・雑収入・不動産所得のいずれかで処理します。

3-2. 共益費を支払った場合は?

共益費を支払った場合の処理は、家賃と同様に地代家賃

ただし、水道代・ガス代・電気代の内訳が分かっている場合は、水道光熱費勘定で処理します。

4. 共益費や管理費の仕訳・会計処理について

4-1. 共益費や管理費の仕訳・会計処理は家賃と同様の扱いになる

共益費や管理費は、家賃と共に払っていれば地代家賃として仕訳

ただし、共益費や管理費に水道代・ガス代・電気代といった水道光熱費が入っていれば、それに該当する金額については水道光熱費として処理します。

4-2. 共益費や管理費の具体例について

具体例①:事務所の家賃120,000円、共益費・管理費10,000円を現金で支払った場合。

借り方 金額 貸し方 金額
地代家賃 130,000 現金 130,000

具体例②:事務所の家賃120,000円、共益費・管理費10,000円(うち水道代3,000円)を現金で支払った場合。

借り方 金額 貸し方 金額
地代家賃 127,000 現金 130,000
水道光熱費 3,000

4-3. テナントから領収するビルの共益費について

テナントから共益費を毎月支払いを受けていて、そこから経費を出すようにしている場合、共益費は消費税が課税されます。

但し各テナントごとの水道光熱費を、受け取った共益費から支払う形式をとっている場合には、一旦預かった共益費は預り金となり、消費税は課税されません。

5. 勘定科目内訳明細書について

5-1. 勘定科目内訳明細書とは?

勘定科目内訳明細書とは、貸借対照表や損益計算書といったいわゆる決算書の内訳明細書のこと。法人にはこの内訳明細書の提出が義務づけられています。

法人税法

第七四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
(中略)
3 第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。

国税庁ホームページ「法人税法」:http://www.houko.com/00/01/S40/034.HTM#s2.1.3.2

この勘定科目内訳明細書の内容に不備があると、税務署から指摘を受け、税務調査が行われる可能性もあるため、間違いのないようにしっかり作成しましょう。

5-2. 会計ソフトを利用する時の勘定科目内訳明細書の書き方について

勘定科目内訳明細書の作成は、会計ソフトを利用するのが便利です。

国税庁ホームページでダウンロードして作成することもできますが、多くの法人は会計ソフトを使って簡単に作成しています

日付・勘定科目・金額などを入力するだけで、面倒な仕訳は必要なく、簡単に明細書が作れます。

5-3. 勘定科目内訳明細書作成する時の注意点について

勘定科目内訳明細書には16の内訳書がありますが、それぞれ注意点があります。たとえば地代家賃の内訳書であれば、以下の情報を記載しなければなりません。

  • 物件の用途
  • 物件の所在地
  • 大家の名称と所在地
  • 支払い賃料
  • 支払い期間

また雑益や雑損失についても、科目・内容・相手の名称や所在地・金額といった詳細を記載する必要があります。

6. 共益費の支払いについては色々あるので賃貸借契約書を予め確認しておこう!

今回ご紹介したように、共益費の支払いについては契約ごとに違いがありますので、それぞれに応じた仕訳をする必要があります。個人事業主や起業したばかりの法人の方は、迷われることも思いますが、法人の方は特に注意して下さい。個人事業主の場合は収支額と経費の合計が合っていれば問題ありませんが、法人の場合は決算書から内訳書まで細かくチェックされることが多いでしょう。

勘定科目を間違えないよう、しっかり正確な会計処理をすすめていくことは、賃貸経営自体を力強くします。仕訳は聞きなれない言葉で難しいと感じる方も、知っておくだけで大きな違いとなるので、今回ご紹介した共益費の仕訳を学び、会計処理の基礎的な流れの理解を深めていきましょう。

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