「賃貸経営で家賃収入を安定的に得たい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
賃貸経営は少ない資金で始められ、しっかりとリスクへの対策を講じれば継続的に収益を得られる投資手法です。
この記事では、賃貸経営を成功させるための考え方や注意点、メリットやデメリットを解説します。
ぜひ、しっかりとした知識を身につけた上で賃貸経営を始めましょう。
1. 賃貸経営とは?
まずは、賃貸経営の基礎的な意味を解説していきましょう。
賃貸料を収益源とするビジネス
賃貸経営とは、所有している住宅や事務所ビル、店舗などを貸した際に得られる月々の賃貸料を収益源とするビジネスです。
実際の業務としては、主に下記のものがあります。
- 貸借人の募集・交渉・契約
- 賃貸料の徴収や管理
- 賃貸する不動産の維持管理
アパート経営とマンション経営はどこが違う?
アパートとマンションは、いずれも賃貸経営の対象ですが大きな違いがあります。
アパート経営は建物1棟を取り扱う経営方法
アパート経営では通常、部屋単位ではなく1棟丸ごと所有して賃貸経営を行います。
建物丸ごとと言うと敷居の高いイメージを持つかもしれませんが、築年数や地域によっては案外参入しやすく、
ある程度の知識と資金があれば初心者でも検討する余地のある不動産投資方法です。
マンション経営は部屋単位で賃貸経営
マンション経営の場合は、一般的に1棟丸ごと所有するのではなく部屋単位で所有して賃貸経営を行います。
いわゆる「ワンルームマンション投資」と呼ぼれるものもマンション経営のひとつであり、まずは1部屋購入して賃貸経営を始めます。
手軽に始められる上、経営が軌道に乗れば少しずつ部屋数を増やしていくなど自由度も高いため、不動産投資手法のひとつとして人気です。
賃貸経営には資格はいるの?
賃貸経営を行うに当たっては特別な資格を持つ必要はありませんが、資格は持っていて損はありません。
不動産投資を大きく成功させたいという意気込みがあるのなら、資格取得もぜひ検討してみましょう。
賃貸不動産経営管理士
一般社団法人「賃貸不動産経営管理士協議会」が行なっている資格です。
賃貸管理業務の適正化・健全化を図るための資格制度で、資格保有者は賃貸不動産の管理に必要な専門的知識・技能・倫理観を身につけているのを証明します。
2. 賃貸経営を成功させるための手引き|始める前から経営まで
賃貸経営を成功させるための考え方、注意点を確認していきましょう。
賃貸経営を始める前から実際の経営までを解説します。
①目的とゴールを決めよう
まずは、賃貸経営を行う目的とゴールを明確にしておきましょう。
例えば、
- 老後の資金作り
- 副業として
- 脱サラするための手段
- お小遣い稼ぎ
上記のような目的の違いによっては、投資する対象や規模も異なります。
目的に合わせた出口戦略を練ろう
目的を明確にしたら、出口戦略を考えましょう。
購入した不動産を持ち続けるのか、タイミングを見計らって売却するのかなど、
「賃貸経営をして最後にはどうしたいのか」という出口戦略をはっきりとさせておきましょう。
②経営について学ぼう
実際の賃貸経営ではどんな業務を行うのでしょうか?
大家業の仕事内容を知っておきましょう。
大家業とはどんな仕事?
大家業の内容は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 入居者の管理
- 建物の管理
- 経営資金の管理
入居者の募集から建物に不具合がないのかをチェック、また入退去時の精算やメンテナンス費用の管理など、業務は多岐にわたります。
ただ、必ずしもすべて自身でやるものとは限らず、一部また全部を管理会社に委託する方法もあるので、別に仕事をしている方も賃貸経営を行うことができるのです。
③資金計画を立てよう
賃貸経営を始めるに当たって、資金計画は欠かせません。
ローンを利用するのか、現金はどの程度を投入するのかなど、しっかりと資金計画を立てておきましょう。
ローンを使う場合にチェックしておくこと
多くの場合、金融機関から融資を受けて物件を購入します。
ローンで最も重要になるのが金利です。
ローン金利の利率は金融機関によって異なりますし、金利には固定金利と変動金利があり、どちらを選ぶのかも重要になります。
また、審査の基準も金融機関によって異なり、年収・勤務先・借入状況によっては借入が難しい場合もあるので注意しましょう。
大手銀行で融資は受けられなくても、日本政策金融公庫や商工中金など、政府系の銀行を利用する方法もあります。
④物件を選ぼう
資金計画を立てたら、物件を選びましょう。
ターゲットに合わせた物件選びとは
物件を選ぶ際には、ターゲットに合わせた物件選びが重要になります。
単身者や学生向けのワンルームマンションやアパートであれば、駅からアクセスや家賃の安さがポイントになりますし、
ファミリー向けなら学校や公園、公共施設からの距離など周辺環境を重要視するでしょう。
地域の購買層にそぐわない物件を購入してしまうと、空室リスクを高める可能性があるので注意が必要です。
周辺環境チェックは欠かさずに
候補とする物件の周辺環境のチェックは欠かさずに行いましょう。
例えば、
- 最寄りの駅から徒歩で何分かかるか
- ターミナル駅にアクセスしやすいか
- コンビニが近くにあるなど買い物に便利か
- Wi-Fiや携帯電波状況
何かと不便な物件は入居者が集まらないばかりか、売却する際にも影響を及ぼします。
⑤収支計画を立てよう
賃貸経営を継続的に運営していくには、しっかりとした収支計画を立てなければなりません。
注意点を確認しておきましょう。
表面利回りに惑わされない
表面利回りとは、物件の購入費用に対してどの程度の家賃収入を得られるかを示しています。
ここで注意が必要なのは、あくまで表面的な数字で維持管理費などの物件にかかる費用は含まれていません。
実際の利回り(実質利回り)は、かかった経費を含めて計算する必要があり、表面利回りでは正確な収益がわからないのです。
【実質利回りの計算式】
(年間収入-年間支出)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100
賃貸経営でかかる経費
では、賃貸経営の経費にはどんなものがあるのでしょうか?
- 共用部分の水道光熱費
- 修繕費
- リフォーム費用
- 火災保険料や地震保険料
- 管理委託費用
- 入居者の仲介手数料
- 固定資産税・都市計画税・事業税
- 住宅ローン
物件購入時には、これらに加えて仲介手数料や印紙税、不動産取得税なども必要です。
⑥物件購入・契約しよう
物件を購入する際、多くの場合ローンを利用します。
物件購入の契約を交わす際には、金融機関とローン契約を結んでいなければなりません。
ローン申込みを忘れずに
物件の契約を進めていくには、金融機関の審査を通過しておく必要があります。
審査には事前審査と本調査があるので、物件を絞り込むと同時にローンの申し込みを忘れずに行いましょう。
⑦経営・管理を始めよう
実際に賃貸経営を始めるに当たっては、大家として自らが全てを管理する方法と、管理会社に管理を委託する方法があります。
管理会社にサポートを頼むのもヨシ
大家の業務は多岐に渡るため、管理会社に業務の一部、またはすべてを委託できます。
特に、副業として不動産投資を行う場合、管理会社と契約をするのが一般的です。
⑧法人化も視野に入れよう
賃貸経営が軌道に乗って規模が大きくなり、多くの収益を安定的に稼げるようになれば、法人化も視野に入れましょう。
法人化にはどんなメリットがある?
賃貸経営の法人化には以下のメリットがあります。
- 損失を9年間繰越できる
- 課税所得が高い場合、個人より税率が低い
- 家族を役員にして報酬が支払える
- 短期で物件を売却する場合、個人より税金が安い
- 個人より多くの経費を計上できる
ただ、規模や収益が少ない場合は、法人化によって収益が目減りしてしまう場合もあるので注意しましょう。
3. 賃貸経営のメリット・デメリットとは?
賃貸経営のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
賃貸経営のメリット
賃貸経営には多くのメリットがあります。
①安定した収入が得られる
賃貸経営では空室率を低く抑えるなど健全な運営を行えば、毎月継続的に家賃収入が得られ、長期に渡って安定的に収益を上げられます。
②年金対策になる
賃貸経営が軌道に乗れば毎月安定的に収益が得られるため、年金の代わりになります。
また、何らかの事情により働けなくなる事態に備えて始める人も多いです。
③生命保険代わりになる
住宅ローンを組む際には、「団体信用生命保険」に加入しなければなりません。
万が一、ローン契約者が死去・重度の障害を負った場合に以後のローン支払いが不要になるため、物件がそのまま生命保険代わりになると言われる所以です。
④インフレに強い
物価が上昇するインフレ時には、現金や預貯金の価値は下がります。
不動産は物価の上昇率と連動するため、家賃も上昇する可能性が高く現物資産のように価値は下がりません。
⑤初期費用が少なく始められる
賃貸経営では多く場合、金融機関でローンを組んで物件を購入するため、初期投資が少なく始められるのが特徴です。
例えば、現物株式投資は相当の現金が必要ですし、
少ない資金で投資できる証拠金取引においても、大きな損失が出たら新たな資金を差し入れないと損失が確定してしまいます。
一方、賃貸経営は少ない初期費用で始められるため、少ない資金で大きな資産運用ができる「レバレッジ」を効かせられる投資手法なのです。
⑥節税効果がある
賃貸経営で発生した損失は、本業での給与所得や他の所得と通算できるため、節税効果があります。
物件を購入した初年度や建物の減価償却費によって計上した損失を他の所得から差し引けるために、
給与所得などで納めた所得税が戻ってくる場合もあるのです。
また、個人事業として青色申告を利用すれば、最大65万円の所得税控除も受けられます。
賃貸経営のデメリット
賃貸経営には多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
①空室リスクがある
賃貸経営において最もリスクになるのが空室です。
空室では家賃収入が得られないため、空室率が高いと賃貸経営を継続できません。
ただ、空室リスクは物件購入時のリサーチによってある程度防止できるほか、設備を充実させるなどの対策によっても改善可能です。
②建物が老朽化する
築年数による建物の老朽化は避けられません。
老朽化によって入居者が確保できず、家賃を下げざるを得ないケースも考慮しておきましょう。
修繕費や管理費を予測、管理して、しっかりとした収支計画を立てるのが大切です。
③金利が上昇する可能性がある
ローンを利用している場合、金利の上昇により収支のバランスが崩れてしまう可能性があります。
変動金利や固定期間選択型変動金利でローンを組んでいる場合、金利の上昇は直接ローン支払額の増大に繋がるのです。
将来、金利上昇を懸念するのであれば、固定金利でローンを組む、固定禁忌期間を長くするなどの対策を融資時に施しておきましょう。
④災害のリスクがある
建物が影響を受けるような災害に見舞われるリスクも考慮しておきましょう。
火災保険料や地震保険料などへの加入が最低限の対策となるほか、
物件購入時に耐震性や防火性に優れた物件を選択するのも有効です。
⑤家賃滞納されることも
家賃を支払われず滞納されてしまうリスクも、収益に直接影響する問題です。
空室リスクと同様、月々の家賃収入を得られないために賃貸経営では大きな痛手となります。
自分で回収するのが難しいケースもあるため、賃貸管理会社に集金代行してもらう契約を交わしておくのも有効な手段です。
⑥すぐに売れない
賃貸経営では、部屋を使用したい人に借りてもらい収益を得ているため、何らかの事情で物件を売却したい場合にすぐには売却できません。
また、売却したいタイミングで地価が下落しているケースでは、損失を被ってしまうために売りにくい状況も考えられます。
賃貸経営は基本的に「家賃収入を得ていくこと」がメインの投資手法であり、長期的なスタンスで行うものと理解しておきましょう。
4. 初めての賃貸経営に不安を感じるなら相談しよう
賃貸経営は、継続的かつ安定的に収益を上げられる可能性のある不動産投資手法です。
しかし、多くのメリットもある一方でデメリットも存在するため、しっかりとした知識を持った上で始めるのが重要でしょう。
こちらの記事では賃貸経営のよくある失敗例から見る成功の秘訣を詳しく解説していますので、参考にしてください。
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