アパートで独り暮らしを行っていた際に、少しでも初期費用を抑えたいことから、敷金・礼金の発生しない物件を探した人も多いのではないでしょうか?
ところが、実際に数年居住した後に退去しようとしたら修繕費を支払うよう請求されたり、敷金を払っていたにもかかわらずさらに請求されたりと賃貸物件に関するトラブルが多発しています。
なぜ、こんなにトラブルが多発するのでしょうか?
実は、賃貸物件の経営に関してきちんとしたルールが定められていません。そのため、関西と関東では敷金や礼金の考え方が根本的に異なるなど、統一性が図られていないためトラブルが発生してしまいます。
この問題を解決するために国交省が立ち上がり、ついに利用者が安心して賃貸物件を利用できる法整備が行われ始めました。
一体どのような対策が行われているのか見ていきましょう。
目次
1. 賃貸物件は増えている…けど管理する人がいない?!
新規の賃貸物件数は平成20年以降減少傾向にありましたが、平成24年を境に増加に転じており、総住宅数も右肩上がりを維持しています。
その中で賃貸住宅が住宅全体の4割程度を占めるような状況になっているのには驚きを隠せません。
総住宅数が右肩上がりのグラフを描くのと同様に、空家も右肩上がりのグラフを形成しています。やはり住宅市場も少子高齢化の影響や生活スタイルの変化が経営に大きな影響を与えていると言っていいでしょう。
消費者相談センターに送られるクレームや相談件数も年々増加しています。賃貸借契約に関する法規制が行われていないことから、敷金返還トラブルや隣人トラブルなど管理者のずさんな管理体制が浮き彫りになるようになりました。
そんな現状を見かねた国交省が出した施策が「賃貸住宅管理業者登録制度」になります。
国交省が施行した「賃貸住宅管理業者登録制度」
この制度は、賃貸住宅管理を行う業者の業務に対してある一定の制限を定めることを目的とした登録制度になります。
管理業者が適正な経営を行うことを監視し、利用者側が安心して利用できる環境づくりを目指していると言えるでしょう。
国が関与し制度化することによって、業者にとっても利用者にとってもルールが統一されるため、トラブルの軽減につながることが期待されています。
この賃貸住宅管理業者登録制度の主体になってくるのが「賃貸経営管理士」という資格です。
2. 賃貸経営管理士資格概要
賃貸不動産市場において年々増加するトラブルを未然に防ぎ、適切な賃貸物件の経営を行うための専門知識を有する者として賃貸経営管理士という資格が2015年に制定されました。
経過措置がなくなる2021年までに事務所に有資格者の設置が義務化されることから、始まったばかりの試験であるにもかかわらず、年々受験者が増加傾向にあります。
試験について
賃貸経営管理士資格の概要は以下の通りです。(資格の学校TAC参照)
★受験資格
どなたでも
★試験内容
賃貸管理に関する実用的な知識を有するかどうか等が問われる
1.賃貸管理の意義・役割をめぐる社会状況に関する事項
2.賃貸不動産経営管理士の在り方に関する事項
3.賃貸住宅管理業者登録制度に関する事項
4.管理業務の受託に関する事項
5.借主の募集に関する事項
6.賃貸借契約に関する事項
7.管理実務に関する事項
8.建物・設備の知識に関する事項
9.賃貸業への支援業務に関する事項(企画提案、不動産証券化、税金、保険等)
★試験実施日
11月中旬13:00~14:30(90分間)※年1回実施
★受験料
12,960円(税込)
★受験会場
全国11会場(札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄)
★試験形式
マークシート方式 四肢択一 40問(賃貸不動産経営管理士講習修了者は36問)
★合否結果
1月中旬
★合格判定基準
40問中28問以上(賃貸不動産経営管理士講習修了者は、36問中24問以上)
3. 賃貸経営管理士を取得すべき人とは?|資格取得のメリット
これから賃貸物件の経営を行おうとしているオーナーや既に存在する物件のオーナー、賃貸物件の管理業務を委託されている不動産会社などは賃貸経営管理士を取得しておいた方が良いでしょう。
そのメリットについてそれぞれの立場から見ていきましょう。
貸す人と借りる人双方にメリットがある
不動産賃貸業として物件の経営を行うオーナーや管理業務を行う不動産会社が賃貸経営管理士資格を取得していることによって、取得した本人だけでなく利用者にもメリットが生じます。
物件のオーナーにとってのメリット
不動産賃貸業を行うオーナーが必ずしも物件について詳しいとは限りません。そのため、管理会社に専門用語などを駆使されてしまうと不必要な出費やトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、基本的には専門知識がないことから管理を不動産会社にまかせきりになりやすくなりますが、賃貸に関する知識を身に着けることができるため、不動産会社を頼ることなく自主的に管理を行えるようになるでしょう。
資格を保有することで自分の所有している物件に対する関心が高まることから、利用者目線での運用が行えるようになり、空き家対策について興味を持つようになるなど意識改善につながります。
管理委託される不動産会社のメリット
管理を受託する側だった不動産会社からすると、資格を取得していることによって物件のオーナーからの信頼を得ることができるようになります。
賃貸不動産経営管理士という資格を取得し、新しい知識を身に着けた人材を確保することによって、より細かなアドバイスを行えるようになるなど他の管理会社との差別化を図ることができるでしょう。
日常的な管理業務だけでなく、物件の管理アドバイザーなどのように、通常の管理だけでなく多種多様な業務内容を提案できるようになるかもしれません。
利用者(入居者)側のメリット
不動産経営管理士を有している不動産会社と契約を結ぶことによって、契約後のトラブルを軽減できるというメリットがあります。
また、専門家としての知識が豊富なため、物件に関することや賃貸借契約に関することなど様々な質問に丁寧に正確に答えてもらえるようになるでしょう。
4. 勉強におすすめなテキスト
同じ不動産関係の資格である宅地建物取引士は受験結果の上位15%程度を毎年合格者として認定しますが、賃貸経営管理士の場合は、出題数の7割以上を獲得できていれば必ず合格できます。
とはいっても、今後賃貸物件の経営や管理を行う場合には必須資格となることから、受験者数が増えて問題が難化することが予想されます。なので事前の対策が大切になってくるでしょう。
少しでも試験への不安を取り除き、合格率をアップするテキストと問題集を厳選したのでご覧ください。
賃貸不動産経営管理士 試験対策テキスト
賃貸不動産経営管理士資格研究会が出しているテキストです。
こちらのテキストは、文字ばかりで覚えにくい法律などの不動産の知識や設備などの建物の仕組みをわかりやすく図解や表形式にしてあるので、初めての方でも理解しやすくなっています。
また、重要な問題や出題されやすい部分を出題ランクという形で分類してあることから覚えるときのメリハリがつきやすくなり、また最後の見直しの時にも効率よく学習を行うことができる1冊と言えるでしょう。
何冊もテキストを買っても結局は内容が難しくて無駄になってしまうそこのあなた!
1冊にしっかりと漏れなく必要な知識が凝縮されたこの1冊を、是非手に取ってみてください!
賃貸不動産経営管理士 試験対策問題集
過去問2年分と分野別の問題が100問以上収録されています。
問題に対する解説も細かく、図解や表形式になっているのでテキストで覚えた知識の定着を図るのにはもってこいの1冊と言えるでしょう。
また、上記のテキストと一緒に使用することでどこにその出題内容がどこのページに記載されていたのかを教えてくれるため、自分の知識の抜けている部分をしっかりと確認することができます。
テキストで試験内容を把握した後に、問題集での知識の定着を図ることによってより実践的な対策を行うことができるので、本番でも安心して試験に臨むことができるでしょう。
5. 賃貸経営管理士の役割
少子高齢化により年々人口が減少しているにもかかわらず、右肩上がりで増え続ける総住宅数。空家も目立ち、ずさんな管理が行われる実態に国交省がついにメスを入れることになって誕生したのが賃貸経営管理士になります。
賃貸経営管理士にこれから求められるのは、利用者が安心して利用できる住環境の提供を行うエキスパートとしての立場になります。
今は経過措置期間中ですが、2021年には賃貸物件の経営や管理を行う場合には賃貸経営管理士の設置が義務化が決まっています。
不動産業務を行っている人は自分自身のスキルアップのために、物件のオーナーは利用者の立場に立った今後のより良い運営を行うためにも、試験に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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