「マンションを購入して住んでいたものの、転勤によって手放さなくてはいけなくなった」など様々な理由でマンションを売却する機会はやってきます。
住み替えの場合には、売却を検討しながら引っ越し先の選考を平行して進めることができますが、転勤などの場合は転勤後に売却を行うことは容易ではありません。
- マンションの売却にかかる期間はどの程度なのか
- 早く高く売るためにはどのような工夫が必要なのか
- 売却を成功させるための4つの注意点
について見ていきましょう。
目次
1. マンション売却の運命を握るコツはいい不動産会社に出会うこと
マンションの売却の運命を握るのはいい不動産会社・営業マンに出会うことと言っても過言ではありません。
なぜならマンションの売却価格や売却期間は、不動産業者の力量によって大きく異なります。
販売実績が豊富で売却に自信のある不動産会社は、他社より好条件の提示を行いますが、成立することを優先する不動産会社の場合は比較的条件が悪くなりやすいでしょう。
不動産会社の選定が重要なのは分かりましたが、想像以上にマンションの売却を手掛ける不動産会社は多く、探し出したらキリがありません。
そこで少しでも不動産会社を選定する時間を短縮する方法として一括査定を利用する方法をご紹介しましょう。
一括査定サービスを利用して不動産会社を探す
マンションの売却を依頼する不動産会社をインターネットで1社1社調べて見積もりを出してもらっていては、マンションの売却までに時間がいくらあっても足りません。
そこで登場するのが、インターネットを利用した一括査定を利用する方法です。
一括査定の利用は無料で、難しい操作や知識は全く必要ありません。
一括査定の利用方法は以下のような3ステップで、誰でも簡単に行うことができます。
- インターネット上で自身が所有している売却予定の不動産情報と個人情報を入力
- 入力した情報をベースに、登録している不動産会社の中から自動でピックアップ
- ピックアップされた複数の不動産会社に査定を依頼し、各社の見積もりを比較
一括査定を利用すれば、不動産会社ごとに物件や個人情報を伝える手間を省くことができ、1度入力するだけで誰でも簡単に複数社に見積もりを依頼することができます。
一括査定を行っている企業もかなり増えてきているのでその中で特にお勧めする3社をご紹介しましょう。
HOME4U
NTTグループが運営する全国を対象とした一括査定サイト。
利用者実績と運営歴が他サイトと比較しても1位となっており、安心して利用できるサイトの1つ。
すまいValue
一括査定を年間の売買契約件数が多い会社のみにピックアップした一括査定サイト。
人口の少ない都市には対応していないため、地方の物件を売却する場合には他社の一括サイトを活用することをおすすめしますが、都市部の場合には圧倒的に有利。
イエウール
圧倒的に比較できる不動産会社数が多い全国を対象とした一括査定サイト。
運営歴が比較的浅いものの利用者実績の多い安心して利用できるサイトの1つ。
その他にも数多くの不動産一括査定サイトが存在するので、自分に合った不動産一括サイトを探してみましょう。
MIRAIMO問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
2. 売却を任せる不動産会社の見極め方
不動産会社を選定する基準として最も査定価格を高くした不動産会社に売却を任せるというのも1つの方法かもしれませんが、本当にそれでいいのでしょうか?
査定価格はあくまでも広告に掲載する売り出し価格で、実際に売買が成立した価格ではありません。
査定価格が周辺相場より高すぎれば購入の検討対象から排除されてしまい、後々価格を下げてしまえば「もっと下がるはず」と印象が悪くなってしまいます。
そのため、査定価格を決定する際にきちんとした根拠をもって査定を行った不動産会社が最も優れた不動産会社と言えるでしょう。
マンションの売却を任せるべき不動産会社は以下のようになります。
- 周辺で同タイプの部屋がどのくらいの価格で売却されているかきちんとリサーチを行っている
- 分譲当時から想定される経過年数による売却価格の減額についてきちんとリサーチを行っている
- 契約を早期に成立させたいための減額ではなく、きちんと減額の根拠を説明することができる
不動産会社にとってマンションの売却によって発生するのは手数料収入であるため、高く売却するに越したことはありません。
しかし、あまりにも高い査定価格を提示されては購入者が現れず、所有者にとっていつまでも負担がのしかかる結果となってしまいます。
売り手側の立場に立ってきちんと査定価格の根拠を説明することができ、双方が納得いく形で売却を行うことができる不動産会社こそ任せるべき不動産会社と言えるでしょう。
不動産会社を選ぶ基準は分かりましたが、実際にどのように不動産会社と契約すればいいのでしょうか?
マンションの売却を行う上で不動産会社と結ぶ契約の種類について説明しましょう。
不動産会社との媒介契約
マンションの売却を口約束だけで行っていた場合には、後々になって発言の有無を巡ってのトラブルなどが生じる可能性があります。
不動産会社や売主は、きちんとマンションの売却についての約束事が記載された書面にて契約を行うことによって、トラブルを回避しなければなりません。
そこでマンションの売却の際には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約のいずれかの媒介契約を結ばなければならず、いずれかを売主が選択することになっています。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約の特徴は以下の通りです。
他社への依頼 | 出来る |
自分で買主を探す | 出来る |
契約有効期間 | なし |
現状報告義務 | なし |
指定流通機構※ | 登録義務なし |
売却を依頼する場合には、少しでも早く成立したいと考えるため、1社ではなく複数社に広告を出して積極的に買主を見つけてもらいたいと考えます。
一般媒介契約では、売主が積極的に買主を探すことが認められているため、自身が買主を見つけた場合には不動産会社に手数料が発生しません。
そのため、仲介する不動産会社からすれば他社との競争になり報酬が確約されないため積極性に欠けてしまうと言えるでしょう。
※指定流通機構・・・「レインズ」と呼ばれ、宅建業者間で不動産情報を交換するために、国土交通大臣が指定した公益法人(東日本・中部・近畿・西日本)のこと。他にも制約情報・取引情報などを集約する役割を担っています。
専任媒介契約
専任媒介契約の特徴は以下の通りです。
他社への依頼 | 出来ない |
自分で買主を探す | 出来る |
契約有効期間 | 3ヶ月以内 |
現状報告義務 | 2週間に1回以上 |
指定流通機構 | 登録義務あり(7日以内) |
専任媒介契約は、自分で買主を探すことができる状態を残しながらも不動産会社からも積極的にサポートを受けたい場合に利用する方法になります。
専任媒介契約は一般媒介契約とは異なり、複数社への依頼を行うことができません。
そのため、不動産会社は売主が買主を見つけた場合を除いて、取引が成立した場合には必ず手数料が発生するため積極的に買主を探すことになります。
また、指定流通機構への登録が義務化されているため、広く買主を募ることができることから安心して売却を任せることができると言えるでしょう。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約の特徴は以下の通りです。
他社への依頼 | 出来ない |
自分で買主を探す | 出来ない |
契約有効期間 | 3ヶ月以内 |
現状報告義務 | 1週間に1回以上 |
指定流通機構 | 登録義務あり(5日以内) |
専属専任媒介契約では、自分で買主を探し出した場合でも勝手に契約を行うことができず、必ず仲介した不動産会社を介さなくてはいけません。
そのため、不動産会社としては必ず手数料が発生するため最も積極的に買主を探そうとします。
専属専任媒介契約は、指定流通機構への登録義務の制限が最も短く報告義務期間の間隔も短いことから、売主にとって現状を把握しやすい方法と言えるでしょう。
3. マンションを売却する流れ一覧
マンションを売却する流れは以下のようになります。
それでは各項目について見ていきましょう。
査定依頼
数ある不動産会社の中からマンションの売却を任せる不動産会社選びのスタート地点になります。
不動産の価格査定は無料で行っているので、気軽に数社で見積もりを取ってみるのが良いでしょう。
媒介契約
見積もりを取って売却を行う不動産会社を決定した後は、後々にトラブルが生じないようにするために一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約のいずれかの媒介契約を結びます。
それぞれにメリットデメリットはありますが、決定権は不動産会社ではなく売主にあるので、自分にとってどの媒介契約がいいのかよく考えて締結するようにしましょう。
売り出し
不動産会社同士のネットワークなどを駆使し、マンションの購入者を探します。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合には、一定期間を経過すると指定流通機関の登録が必須となり、さらに買主を広く募集することになるでしょう。
内覧
売り出しを開始して購入希望者が現れた際には、物件の内覧を申し出てきます。
通常は事前に売主にいつ内覧を行うのか通知があるのですが、購入希望者がどうしても希望する場合には個別に内覧を行う場合があるので、常にきれいにしておくようにしましょう。
申し込み
内覧によって買い手が気に入った場合には、購入申込書が買い手に渡されることになりますが、この書類に希望購入額の記載を行います。
契約
購入申込書に記載された購入希望額と希望売却額の条件が一致した場合には、契約へと移ります。
契約では売主と買主、不動産会社が揃った状況で売買契約書の作成を行い、手付金のやり取りが行われるだけで実際の支払いは契約時には行われません。
引き渡し
引き渡し日に残りのマンションの残額を支払うことになりますが、金額が多額になることから銀行などで行われることが多いでしょう。
所有権の移転などが含まれるため、売主と買主、不動産会社に加え司法書士が立ち会い、必要な手続きを全て引き渡し時に完了させます。
4. マンション売却の4つの注意点
マンションの売却を行うための不動産会社選びや手順などについては理解できましたが、マンション売却を行う上での注意点はあるのでしょうか?
マンション売却の注意点を4つピックアップしたので見ていきましょう。
①住宅ローン返済のために銀行に前もって相談する
住宅ローンによる融資を受けている場合には、通常抵当権がマンションに設定されているため、あらかじめ融資を受けている銀行に相談しておく必要があります。
売却によってローンの一括返済を行うことができる場合には問題ありませんが、物件価格の下落などにより残額が生じてしまう可能性も否定できません。
そのため、住宅ローンの返済に支障が生じないようにするためにも事前に銀行に相談してから売却手続きに入った方が良いでしょう。
②売却では「儲けること」を考えない
基本的にマンションを売却することによって利益を得ようと考えることはやめた方が良いでしょう。
売却価格を決定する際には不動産会社の意見をよく聞き、自分自身が買主の立場になった場合にも適正価格と思える価格設定が大切になります。
価格設定はマンションの売却計画を大きく左右する項目になるので安易に決定しないように注意しましょう。
③マンションを売却するまでの計画を立てる
マンションの売却を決めたからと言ってすぐに買主が見つかるとは限りません。
買主にとっては住宅ローンの融資や様々な条件をクリアしなければ購入に踏み切ることができないため、3~4ヵ月程度かかるくらいの気持ちで構えた方が良いでしょう。
転勤などの理由による物件需要に変動が生じるため、2~3月あるいは9月などの時期を狙うように売却計画を立てることも好条件で売却するために大事なことです。
④「売るための」リフォームはしない
リフォームを行ったからと言ってマンションの購入希望者が増えるわけではありません。
購入希望者にとって物件がきれいであることはうれしい要素ではありますが、一番の要素は売却価格を安く抑えることになります。
売主は必要以上に物件に費用をかけるのではなく必要最低限の修繕程度に抑え、物件価格に影響を与えないようにすることが大切と言えるでしょう。
5. マンション売却にかかる税金とは?ざっくり解説
マンションの売却が完了した後に行う手続きには何があるのでしょうか?
マンションの利用目的が居住用か投資用かによって売却した際にかかる税金が異なってくるため、きちんと納税の手続きを行わなければなりません。
それぞれの場合においてどのような課税が行われるのか見ていきましょう。
5-1. あなたのマンションが「居住用の場合」
居住用マンションの売却によって必ず発生する費用には印紙税や登録免許税があります。
その他にかかる費用はどのような費用があるのでしょうか?
マンションの売却によって利益が生じた場合
マンションの売却によって経費を差し引いてもまだ利益が生じている場合には譲渡所得に該当するため、収入に応じて所得税と市民税の課税が行われます。
物件の所有期間によって短期譲渡所得(5年以下)と長期譲渡所得(5年超)に分類されるため、物件の所有期間をきちんと確認する必要があるでしょう。
通常は上記のような計算式に基づいた課税が行われるのですが、居住用物件の売却の場合には特別控除や特例が適用されます。
居住用物件を売却した場合は譲渡所得を3000万円まで控除されたり、10年を超える期間所有していて売却した場合には、長期所有にかかる軽減税率適用などのメリットがあります。
それだけでなく、居住用物件を買い替える場合には譲渡所得の課税を将来の売却時まで先送りすることが可能です。
マンションの売却によって損失が生じた場合
居住用マンションの売却によって損失が生じた場合には、所得税や住民税が課税されません。
それだけでなく譲渡損失の繰り越し控除が適用されるため、4年間にわたって所得税と住民税の課税が免除されることになります。
5-2. あなたのマンションが「投資用の場合」
投資用マンションの売却によって必ず発生する費用には印紙税や登録免許税に加えて消費税が課税されます。
その他にかかる費用はどのような費用があるのでしょうか?
マンションの売却によって利益が生じた場合
居住用のマンションと同様、利益が生じた場合には所得税と住民税が課税されます。
居住用マンションとは異なり特別控除や特例が特定事業用資産の買い替え特例しか受けることができません。
課税を将来に先送りできるほか譲渡所得が一部控除になる、特定事業用資産の買い替え特例が適用されます。
マンションの売却によって損失が生じた場合
投資用マンションの場合も売却によって損失が生じた場合には、所得税や住民税が課税されません。
譲渡損失はその他の譲渡所得と損益通算することができます。
居住用物件の場合にも投資用物件の場合にもよくわからない場合には税務署に気軽に問い合わせるようにしましょう。
国税局・税務署検索:http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htm
マンション売却時の税金についてはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
6. 情報収集は必ず役に立つ!
マンションの売却には不動産会社の選定から手順、注意事項や売却時の税金についてなど数多くの知識を必要とすることが分かったと思います。
このような知識に関しても不動産会社の選定をきちんと行えば、売主の負担を不動産会社がある程度はフォローしてくれることが期待できるでしょう。
しかし、不動産会社に任せきりにせずにある程度はマンションの売却にかかる知識を売主側も備えておく必要があります。
少しでもマンションの売却をスムーズに納得のいく条件で行うためにも、マンション売却に向けた下準備をしっかりと行うようにしましょう。