「サラリーマンは副業禁止」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、2024年になってソフトバンクやディー・エヌ・エー(DeNA)などの大手企業が副業を認める流れを受けて、政府も副業認可に向けた調整を進めています。
副業解禁の流れに向かっているとはいえ、実際に経済産業省の調査によると8割を超える企業が副業を禁止しています。
そこで少しでも副業をバレないようにするために、本業に支障が生じない副業の方法についてご紹介します。
目次
1. 【2021年】副業解禁|働き方改革
これまでの副業ライン|労務提供+反復継続+営利
副業の考え方は企業によって異なりますが、一般的な副業ラインは下記のすべてを満たすものとされています。
- 労務提供型にあたる:個人で事業を運営する、他社で働くなど
- 反復継続性がある:報酬の多寡に関係なく継続している
- 営利目的である:収入を得ることを目的としている
つまり、就業している会社以外で「収入を得るために」「継続して」「働いている」ことが副業とされているわけですね。
モデル就業規則|副業禁止規定削除
厚生労働省は労使間でのトラブルを避けるため、労働基準法に準じた就業規則を作成して公開しています。
これを「モデル就業規則」と呼びます。
モデル就業規則ではこれまで、副業に関する禁止規定が記載されていました。
しかし2021年1月、働き方改革の一環により改訂され、副業禁止規定の項目が削除されたのです。
これによって副業の縛りがゆるやかになり、企業によっては副業を認める動きも出てきています。
副業・兼業|第67条
改定後のモデル就業規則第67条では、労使間の十分な検討が必要であることを明記したうえで、副業について以下のように定めています。
(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合厚生労働省 モデル就業規則より
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf
【結論】副業は原則禁止→原則自由へ
この改定により、副業は原則禁止から原則自由へと移行しつつあります。
収入UPはもちろん、自分の能力に応じた活躍の場を見つけることが可能となったといえるでしょう。
ただし、副業のために本業がおろそかになることがないように注意してくださいね。
なぜ副業は解禁されたのか?
これまで禁止されていた副業ですが、なぜ解禁されたのでしょうか。
その理由は政府が推し進める「働き方改革」にあります。
日本の人口は1億人ほどですが、年々少子化・高齢化が進みつつあります。
人口が減り高齢化が進むことで危惧されるのは「働き手の減少」です。
そこで政府は日本の経済力を維持するために「一億総活躍社会」を目指して、以下の3点において働き方を見直すことにしました。
- 労働の多様化
- 労働の効率化
- 労働の一般化
さまざまな視点から労働のあり方を緩和する、ひいては日本の未来の経済力を強化することを目的としています。
副業もこれらにあてはまり、これによって労働生産性をあげようというのが狙いなのです。
2. 会社に副業がバレないようにするためには?
とはいえ、すぐにすべての会社で副業が解禁されるわけではありません。
大きな企業ではすでに対応を打ち出しているところもありますが、中小企業などはまだまだ副業を禁止としている会社が多いのが現実。
すでに副業を持っている人は、会社にバレないように解禁までの時間をしのぐ必要があります。
副業が勤務先にバレてしまう主な原因の1つとして考えられるのが住民税の存在。
ここでは住民税と副業の関係性を詳しく解説していきます。
バレる理由は年末調整|住民税のカラクリ
正社員であってもアルバイトであっても、収入がある以上は住民税を納める義務があります。
住民税の納め方は、以下の2種類。
・特別徴収=企業が従業員の毎月の給料から差し引くことで住民税を代わりに納める方法
・普通徴収=所得に対して発生する住民税を自分自身で納める方法
一般的には企業に属して働いている人は特別徴収で、個人事業主などの人は普通徴収で納税します。
バレないためには普通徴収を選ぶこと
給与所得の住民税は前述のように特別徴収で納税されますが、給与所得以外(副業)の所得に関しては納税方法を選択することができます。
もしも副業所得分が特別徴収された場合は、勤務先の企業に通知が届くことになり、給与所得以上の住民税が徴収されていることが発覚してしまう恐れも。
そこで普通徴収を選んで自分で納めるという方法をとれば、副業がバレにくいというわけです。
普通徴収にするには
普通徴収にする方法は、市区町村役所で住民税を担当する部署に電話をかけるだけ。
3月頃から企業に向けた住民税徴収の資料作成が開始されるため、この時期までに担当部署に伝えておけば問題なく普通徴収で納めることができます。
ただし、担当部署のミスによって特別徴収のままになってしまう可能性もゼロではありません。
念のために確定申告では、給与所得以外の収入にかかる住民税の徴収方法は「自分で納付」を選択しておいた方が無難と言えるでしょう。
住民税について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
確定申告をする・しないは関係ない
確定申告をしなければ副業はバレない、と考えている人も多いかもしれません。
しかし年間20万円以上の副業所得がある場合には手続きが必要ですし、これを怠ると所得税の追徴課税を取られることになりかねません。
また確定申告とはそもそも所得税の税額を決める手続きです。
住民税とは関係がなく、たとえ副業収入が20万円以下であったとしても住民税の申告は行う必要があります。
これを無視すると脱税という違法行為に該当しますので、申告はしっかりと行うようにしましょう。
給料が手渡しでも関係ない
給料が手渡しであればバレない、というウワサもありますがこれは大きな間違いです。
給与を支払う企業は、振込であっても手渡しであっても「誰にいくら支払った」という届け出をしなければならないからです。
マイナンバー制度の導入もあり、お金の動きを役所はしっかりと把握をしています。
バレない金額というのも存在せず、住民税の支払い義務は必ず生じるということをおぼえておきましょう。
副業にかかる税金について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3. 会社にバレにくい副業3選
それでは会社にバレにくい副業にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは本業に支障がない程度の時間負担でできる、バレにくい副業を3つほどピックアップしてご紹介します。
①アプリなどでのお小遣い稼ぎ
携帯電話でスマートフォンを利用している方の大半は何かしらのアプリをダウンロードしていると思います。
そのアプリをダウンロードするだけでお小遣いを稼げる副業があります。
ダウンロードによってポイントを発行しているようなサイトやアプリに登録するだけで、誰でも簡単にお小遣い稼ぎをすることができます。
「アプリっていっても有料じゃないの?」「課金させるためじゃないの?」と疑問に感じる人もいるかもしれませんが、そうではありません。
無料のアプリなどは、広告費によって成り立っているため、ランキングを上げて利用者が増えることで広告費を増やし、その一部を還元するという仕組みになっています。
有料アプリの場合には、広告費ではなく課金によって発生した費用の一部還元と考えることができるでしょう。
ダウンロードによって発生するポイントには差がありますが、ある程度貯めた場合には現金やギフト券などに交換することができます。
アプリによっては数百ポイント貯まるものもあるので、お小遣い稼ぎには十分と言えるでしょう。
②クラウドソーシング
クラウドソーシングという言葉にピンとこない人も多いかもしれません。
簡単に説明すると、クラウドソーシングとはインターネットを利用して不特定多数の人に対して業務を外注する方法になります。
クラウドソーシングで行われる業務に関しては、納期は定められているものの就業時間は決められていないため、本業に支障が生じることはありません。
在宅ワークで空き時間の有効活用ができるほか、自身のスキルを活かした副業を行うことができます。
③資産運用|不動産投資・株式投資
就業先の企業以外で働くことを禁止している企業は数多くありますが、不動産投資や株式投資を容認している企業はある程度存在します。
その根拠は、就業先の企業で就労するのは労働行為に該当するものの、投資は労務提供ではなく、いわゆる不労所得に該当しているからと言えるでしょう。
ただし、デイトレーダーなど常に変動を気にするような取引を行っている場合には、本業に差し支えることから就業規則違反に該当します。
また、物件の管理を不動産会社に委託せず自身で行い、就業時間中に問い合わせなどの連絡を常時受けているような場合も注意が必要です。
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4. 副業解禁で働き方も大きく変わる|自分に合った副業選びを
副業についての考えが少しずつ変わってきており、少しでも働く環境を改善しようと大手企業が副業認可へと切り替えを始めました。
今まではバレないような仕事を選んで副業を行うというものでしたが、企業の認識も変わってきており、就労環境の改善が期待されます。
政府もこの流れを受け、働き方改革の一環としてモデル就業規則の変更によって副業解禁の後押しを行っていますが、周辺環境の整備にはまだ時間がかかるでしょう。
そのため、しばらくは副業を行うためには引き続き副業がバレないような対策をしっかり練っておく必要があります。
自分のキャリアアップを図ることができる副業や自分に合った副業で解禁に備えましょう。