アパートローンの借り換えを考える理由は、大半の人が「金利を低くしたい」でしょう。
金利が低くなれば、最終的な支払総額も少なくなります。
借入金額が大きくなる不動産投資では、金利が1%でも違えば、数百万円の差が出ることも。
では、アパートローンの借り換えをするための条件や、借り換えに最適なタイミングはいつなのでしょうか?
当記事では、アパートローンの借り換えをするための条件やタイミング、借り換え効果のシミュレーションなどをご紹介します。
アパートローンの借り換えを今後考えている方は、参考にしたい内容です。
目次
1.アパートローン借り換えはできるのか?借り換えの時に金融機関が見ている条件
アパートローンの借り換えは条件を満たしていれば可能です。
借り換え時は、別の金融機関に新たなアパートローンを組んで、現在組んでいるローンを一括返済(繰り上げ返済)することに。
重要なのは、別の金融機関でアパートローン審査を通過しなければ借り換えはできないという点。
アパートの借り換えの時には、通常通りローンを組むのと同様、
- 個人の属性(資産状況・年収・勤務先など)
- 支払いの遅滞の有無
- 所有する物件の入居率が高いか
などを金融機関は審査基準としているのです。
ポイントとなるものを下記に挙げて、詳しく解説していきます。
個人の属性
家賃収入だけでなく、給与収入や勤務先、勤続年数などの個人の属性も、アパートローンの借り換え審査に影響します。
家賃収入を得ながら、会社に勤務して給料という固定収入を得ている人は多くいるでしょう。
理由は、入居率が低い場合にローンを返済する手立てがあるかどうかを重要視するから。
家賃収入が低いと、家賃収入以外の収入もない…アパートローンを返済できる確率は低い…と、マイナスの方向に進んで、審査の通過が難しくなります。
ローン返済の遅滞がないか
各種ローン返済の遅滞がないかは、借り換えで審査を受けるときに、最も重要になるポイントです。
アパートローンを順調に返済できているか、支払いの遅延がないかなど、入念に調べられます。
遅延や滞納が慢性的であれば審査が通る可能性が低いと言えますが、毎月堅実に返済し続ければ、審査が通る可能性は高いでしょう。
物件の担保評価は十分か
物件の担保評価もアパートローンの重要な審査ポイントです。
万が一債務者がローン返済不能になったときに、金融機関は物件を差し押さえて競売にかけてローンの残債を回収するため、物件にも十分な担保評価がないといけません。
土地の評価は基本的に路線価、建物の評価の仕方は、金融機関によって収益還元法や積算法などさまざまな方法で計算しています。
入居率が80%以上あるか
現在の投資物件への入居率が80%以上(空室率が20%以下)であることが望ましいでしょう。
20%以下というのは、10戸中空室は2戸以下という割合。
入居率が高い、かつ維持している=家賃収入を安定的に得られるので、返済の滞りも発生しずらいと金融機関も判断するのです。
新規でアパートローンを組む場合と、アパートローン借り換えは基本的に審査基準は同じ。
アパートローン(不動産投資ローン)の審査基準については以下の記事で詳しく解説しています。
2. アパートローン借り換えをするのに最適なタイミング
現在、組んでいるアパートローンの状態を見つめ直し、最適なタイミングかどうかを判断しましょう。
アパートローンの借り換えをするのに最適なタイミングをご紹介します。
今の借り入れ金利より1%以上低くなる時
そもそも現在の借入金利より低くならないと、借り換えする意味はありませんね。
アパートローン借り換えの目安としては、現在の借入金利より1%以上低くなる時。
「違約金や諸費用が発生する」で後述しますが、ローン借り換えには借入金額の約6%の諸費用がかかることを鑑みた割合です。
ローン残債が1,000万円以上残っている時
アパートローンの残債が1,000万円を下回っている場合は、借り換えの諸費用などを鑑みるとあまり恩恵は受けられません。
できれば1,000万円~5,000万円以上残っている時に、借り換えを検討するのが賢明です。
ローン借入期間が残10年以上の時
借入期間の残数も重要なポイントです。
アパートローンの借り換えをする場合は、借入期間が残10年以上あるのが良いでしょう。
残りの返済期間が多ければ多いほど、返済総額は少なく、借り換え効果が大きくなります。
3. アパートローン借り換えをする効果をシミュレーションしてみた
アパートローンの借り換えによって発生する効果を計算してみました。
借り換えの諸経費をローン借り入れ金額の6%である300万円とします。
金利4%の場合 | 金利2%の場合 | |
毎月返済額 | 437,764円 | 390,841円 |
年間返済額 | 5,253,168円 | 4,690,092 円 |
総返済額 | 63,038,016円 | 56,281,104 円 |
金利が2%下がると、毎月返済額は約4.6万円/年間返済額は約56.3万円/総返済額は676万円下がる結果となりました。
諸費用300万円を引いても、十分な借り換え効果を見込めることが分かります。
4. アパートローンの借り換えをするデメリットや注意点
アパートローンの借り換えに成功して、金利を下げることができれば、返済総額も少なく済み、毎月のキャッシュフローも改善するなどのメリットがあります。
一方で借り換えにはデメリットや注意点もあるので押さえておいてください。
違約金や諸費用が発生する
一般的に、アパートローンの借り換えにかかる諸経費は融資額の6%程度といわれているので、諸費用も併せて計算に入れて「諸費用分を差し引いても借り換え効果は十分か」を考慮する必要があります。
内訳としてはローンの一括返済の違約金・事務手数料・印紙税・登記費用など。
繰り上げ返済の事務手数料も、アパートローンの借り換えと同様に重要。
金融機関によっては、手数料無料とボーナス払いを設定することが可能なところもあります。
返済期間が短くなると、月々の返済額が増える場合も
アパートローンを借り換えした結果、返済期間が短くなる場合もあります。
返済総額は減らせても、月々の返済額が増えると不動産投資のキャッシュフローが低下してしまうでしょう。
経営状況が悪化すると、
借り換え前の金融機関とは決別の覚悟を
アパートローン借り換え元の金融機関とは、金輪際お付き合いができなくなる可能性が高くなります。
なぜなら、既存の融資を他銀行に肩代わりさること自体が面白くないからです。
借り換えの際は、借り換え元の銀行と絶縁する覚悟を持つ必要があります。
5. アパートローン借り換えの流れ
最後に、アパートローンを借り換えするまでの流れを確認しておきましょう。
連帯保証人や相続人となる人がいる場合は、借り換えについて話す
アパートローンの借り換えを検討する際は、あらかじめ相続人や連帯保証人に話しておきましょう。
相続の際にトラブルや不明点が出ないように、借り換えの点や経営状況などをしっかりと伝えておくべきです。
借り換え先を探すために、何種類かの金融機関に相談を持ちかける
自分の足で、融資を希望する金融機関でアパートローンを取り扱っているか、物件が対応エリア内かどうかを確認した上で、複数の金融機関に相談を持ちかけるようにしましょう。
アパートローンの借り換えで重要になるのは、金利が高いか低いかにありますが、その金融機関と「長く付き合っていけるかどうか」も重要。
各行の金利・返済期間などの諸条件も確認して比較してみると良いでしょう。
一般的にメガバンクや都市銀行<地方銀行<ノンバンクや信託銀行といった具合に金利が高くなっていきます。
金利が低いメガバンクや都市銀行は、融資基準もより厳しいものとなっているため、覚えておきましょう。
アパートローンの金利については以下の記事で、比較表を載せていますので参考にしてみてください。
アパートローン借り換えの申し込みに必要な書類を揃え、審査申し込み
アパートローンの借り換えに必要な書類は以下の通り。
物件資料については不動産会社に問い合わせて取り寄せるか、なくさないように常日頃からしっかり保存しておきましょう。
個人属性の資料 | 物件資料 |
法人の場合
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|
書類を揃えたら、条件の合う金融機関にアパートローンの審査申し込みをします。
1行で審査が落ちてしまっても、別の金融機関なら通ることもあるため、根気強く別の金融機関に申し込みをしましょう。
借り換え前のアパートローンを完済
無事に審査が通り、アパートローンを借り換えする金融機関が確定したら、現在アパートローンを借り入れている金融機関へ、ローンを一括返済しなければなりません。
申請書類に必要事項を記入、申し込み。
事務手数料や違約金など、支払う額が確定したら、新しく借り入れした金融機関から振り込まれた資金を使って、ローンの一括返済をします。
借り換え前の金融機関の抵当権抹消手続きと、借り換え先の金融機関の抵当権設定登記を行う
最後に、借り換え前の金融機関の抵当権を抹消し、借り換え先の金融機関の抵当権設定登記を行います。
登録免許税がかかることは覚えておいてください。抹消費用については、不動産1筆につき1,000円、
抵当権設定登記にかかる登録免許税は、ローンの借入額に0.4%をかけた額がかかります。
自分で登記をすることが難しい場合は、司法書士に依頼しましょう。
6. アパートローンの借り換えはメリットがあるかよく判断してから
アパートローンを借り換えする際は、目先より未来を見据えて組むことをおすすめします。
金利が安い金融機関に借り換えるのは、毎月のキャッシュフローを改善させたり、返済総額を軽減するメリットがありますが、諸費用がかかったり、借り換え元と二度とお付き合いができなくなるというデメリットがあります。
金利が低いからといって、安易に借り換えを繰り返す前に、まずは将来を見据えた返済計画を立てることから始めましょう。
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