マンションや一戸建て購入するときや、アパート投資を行うときなど、不動産を購入するときは銀行でローンを組むことがほとんどです。
今は超低金利時代なので、住宅ローン金利も0.5%ほどで設定している銀行もあります。しかし、ローンには審査があり、その審査に必ずしも通るというわけではありません。
むしろ、「年収」や「自己資金額」「勤務先の規模」など以外にも、銀行は色々な角度から審査をしているので、思わぬところで否決になることもあります。
また、不動産を購入するときのローンは高額になるため、ほかのローンを組む時よりも条件が複雑なのは事実です。
そこで今回は、ローン審査を受ける前に知っておくべき、「審査落ちになる理由」と、「審査するために必要な条件」を解説します。
これらのことを、ローン審査前に知っておくことで事前に対応できることもあります。ローンに通らないと購入が厳しい状況も多いと思うので、審査前にある程度の知識は付けておくことが重要です。
目次
1. 銀行のローンで審査落ちになる理由5つ
まずは、銀行のローンで審査落ちになりがちな5つの理由を解説していきます。
これに該当すると、ほぼ100%審査はアウトという事項もありますので、良く確認しておきましょう。
①指定信用情報機関(CIC)の情報に異動の文字が記載されている
CICとは、カードローンの延滞歴や自己破産歴などを記録している機関です。
銀行は、ローン審査をするときに、借入者の信用情報をCICで照会して、借入希望者が信用に足る人物かどうかの判断基準にします。
その照会先であるCICに「異動」の文字がある場合は、どんなに年収が高くてもどんなに自己資金があってもローン審査には通りません。
なぜなら「異動」という表記がある場合、その人は「ブラックリストに載っている」とほぼ同義であり、信用できない人物と判断されるからです。
一般的に「異動」の表記になるのは、カード払いなどで61日以上の延滞がある場合なので、銀行から「また延滞…もしくは返済不能になるのでは?」と思われてしまいます。
②過去に借り入れしたお金の返済が遅れた事がある
前項のように61日以上の延滞で「異動」という表記があれば一発アウトです。
ただ、過去に借入があったという事実だけでアウトの場合もありますし、61日未満でも返済遅れがあると審査に通るのは厳しいです。
「過去に借入があったという事実」だけで、その返済を延滞してなければ基本的には大丈夫な銀行が多いですが、銀行の中には「消費者金融で借りたことのある人は原則NG」のようなところもあります。
また、延滞歴が残っている場合には、本人のプロフィールにもよりますが、審査に通るのはかなり厳しくなります。これらも前項と同じく「また延滞するのでは?」と疑われてしまうからです。
③消費者金融に既に借り入れしている
前項のように、「過去に消費者金融で借り入れたことがある」というだけで審査がNGになる銀行もあるので、当然ながら現在消費者金融で借り入れていてもNGになる場合があります。
また、借入していなくても、所有しているカードに「50万円」や「70万円」のキャッシング枠があると、その枠分はすぐに借入できるということです。
そのため、実際には借入していないのに、借入していると見なされ審査されることもあるのです。
④借り入れ希望の金額が返済負担率目いっぱいで申請している
銀行は、「年収÷年間返済額」という計算で返済比率を割り出します。つまり、「ローンの支払いは年収の何割を占めるのか?」という数値です。
この数値は、たとえば「年収400万円以上であれば返済比率は35%以下」など銀行によって決まっています。
そのため、返済比率目いっぱいで申請をすると、年収額・自己資金率・年齢・会社規模など、ほかの要素が良くなければ審査に通過するのは難しくなってしまいます。
⑤他に借り入れがあり、その合計金額が返済負担率を超えてしまっている
前項の返済比率を計算する「年間返済額」は、住宅ローンの返済額だけではありません。
たとえば、車のローンやリボ払いで月々支払いが3万円あれば、年間返済額に加味して計算します。
そのため、ほかに借入があれば返済比率が上昇してしまい、それによって返済比率が規定オーバーすると審査には落ちてしまいます。
2. 審査前に要確認!銀行のローンで借り入れ条件を満たしていない5つのケース
また、銀行は借入者に審査する資格として「条件」を設定をしています。
この条件設定に該当しなければ、審査自体できないケースもあるので、前もって理解しておきましょう。
もし銀行が規定している条件に合わなければ、銀行によって条件設定が異なるので別の銀行を探す必要があります。
①勤続年数が短い場合
銀行のサイトから住宅ローンの申し込み条件を確認すると、「勤続3年以上」という条件が多いです。
ただ、実際にはケースバイケースで、実査に担当者と話してみると勤続1年程度から審査できる銀行が多いです。
勤続年数は、銀行が「収入の継続性」を確認する要素であり、勤続1年未満だと審査はかなり厳しくなります。
また、保険証の資格取得日で入社年月日は分かるので、勤続年数を偽ることはできません。
②銀行のローン申込みができる雇用形態ではない場合
銀行は、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトなど、審査資格の条件に「雇用形態」を指定している場合があります。
これも前項と同様で「収入の継続性」を確認するものであり、正社員以外は契約更新をしないなど退職のリスクが上がるのです。
③源泉徴収票に歩合給と書かれている場合
歩合給の場合は、安定した収入が得られるか分からないという理由で審査に厳しくなります。
歩合給の場合は、一般的に2~3年分の給与の平均値を出して審査します。そのため、歩合給の場合で勤続年数が短いと、審査にはかなり厳しくなるでしょう。
仮に、去年の年収がたまたま良くても、その前の年収が落ち込んでいれば審査は厳しくなります。
また、給与明細や源泉徴収票に歩合給と明記されない場合もありますが、変動が激しければ銀行から「変動した理由」に関してヒアリングは入るでしょう。
④銀行が決めた最低年収に足りていない場合
また、銀行は最低年収を決めているケースもあります。
一般的には都市銀行の方が、地方銀行や信用金庫よりも最低年収が厳しく設定されているので、審査前に確認しておきましょう。
⑤購入物件が銀行の借り入れ条件に満たしていない場合
新築物件にはあまりないでしょうが、中古物件の場合は銀行が物件の担保価値を評価しないことがあります。
銀行はその物件を担保に入れて融資するので、価値がなければ融資はしません。多いケースではありませんが、たとえば「越境している」「建ぺい率や容積率のオーバー」などが該当します。
3. 銀行がローン審査で躊躇する5つのケース
また、「絶対に審査NG」というわけではありませんが、銀行が審査に通すのを嫌がるケースもあります。共通しているのは、借入者に小さいながらもリスクがあるときです。
①勤務先が親が経営している会社の場合
親が会社の経営者の場合、審査は厳しくなります。
なぜなら、同族会社の場合には給与の設定が曖昧だからです。つまり、「年収をいくらにでも設定できる」ので、年収に正当性がないと判断されてしまうのです。
たとえば、家族経営だと「審査する1年前だけ年収を高くする」などの操作ができるので、同族経営の会社員の場合は直近3期分の年収証明と会社決算書を提出させることが多いです。
②税金の支払いをしていない場合
税金を支払っていない場合も住宅ローンは融資しません。
税金を支払っているかどうかは源泉徴収票を見れば分かります。一般的な会社員は自動的に会社が給与から差し引きますので、税金を支払っていないケースは極めて少ないでしょう。
そのため、確定申告している個人事業主などは、きちんと所得を計算して、既定の税額を納めておかないといけません。
③直近で離婚してすぐ再婚した場合
最近離婚してすぐに再婚したら、源泉徴収の扶養家族欄に元妻や子供の名前が載っていることで判明します。
この場合、銀行は「慰謝料・養育費が支払いを圧迫しているのでは?」と疑うので審査が厳しくなるというわけです。
④独身の場合
男女問わずに独身の場合でも審査は厳しくなります。
なぜなら、「結婚した途端に家を売るのでは?」と考えるからです。銀行からすると、住宅ローンは利息を支払い続けてもらわないと収益は上がりません。
つまり、家を売って一括で返済されると、もらえるはずの利息がもらえないので収益が下がってしまうのです。そのため、途中で売却しそうな案件の審査は厳しくなるのです。
⑤夫婦なのに奥さんの名前だけで申請した場合
奥さんだけで申し込むと、銀行は以下のようなことを想定します。
- 夫は事業などを失敗したのでは?
- 夫の収入が極端に低いのでは?
- 夫の信用情報に履歴が残っているのでは?
妻の場合はどうしても産休や育休で所得が下がるリスクがあります。
そのため、夫にも支払い能力があるかを確認するため、夫を連帯保証人にすることが多いです。ただ、連帯保証人も審査があるので、上記のような状況だと通るのは難しいでしょう。
4. 銀行の住宅ローンは事前審査と本審査の2回審査が行われる
銀行の住宅ローン審査は1度だけで終わらず、事前審査と本審査の2回に分けて行われます。
その2回の審査の違いや審査の流れ、そして審査期間などを解説していきます。
4-1. 事前審査と本審査とは?
まずは、事前審査と本審査を、内容の違いや審査時期の違いから解説します。
事前審査とは?
正式な住宅ローンを申し込む前に、事前資産を受ける必要があります。
事前審査は、早ければ1営業日で結果が出ることもありますが、3~4営業日ほど時間がかかるのが一般的です。最近ではネットで手軽に審査できますし、通常は仲介会社などを通じて審査することがほとんどです。
事前審査では、源泉徴収票など収入証明・免許証などの個人証明・ほかの借り入れなどがあれば償還表が必要です。
また、CICに個人信用情報も照会するので、事前審査とはいえ細かく審査します。
本審査とは?
本審査は売買契約を結んだ後に行い、本審査には2週間以上の期間がかかります。
物件の売買契約は本審査の結果が出るまで結べないため、まずは前項の事前審査をしておくというわけです。本審査の場合には、課税証明などの公的証明のほか、建築確認済証などの物件関係書類も必要です。
事前審査に通って本審査に通らないケースは少ないですが、以下のようなケースには注意しましょう。
- 転職してしまう
- ほかの借り入れを起こしてしまう
- 現在の借り入れで延滞してしまう
要は、自分のプロフィールが変わったら、本審査で落ちる場合もあります。
さらに、このようなケースで本審査に落ちると、借入者(物件購入者)の落ち度になるので、物件の売買契約が手付金没収の契約解除になるケースもあります。
4-2. 住宅ローンの流れについて
住宅ローンの手続きの流れと標準的な期間は以下の通りです。
- 事前審査
- 審査結果の連絡(3~4営業日)
- 売買契約の締結
- 本審査
- 本審査の承認(1週間以上)
- 住宅ローンの本契約
- 融資実行(2週間~1か月)
事前審査も本審査も、審査結果の期間は銀行や時期によってばらつきがあります。
たとえば、比較的ローン案件が多い期末などは、審査スピードがかなり遅くなる場合があるので、早めに審査手続きする必要があります。
また、本審査に承認した後は、住宅ローンの本契約(金銭消費貸借契約)を結ぶ必要があります。その本契約を結んだ2週間後以降に融資が実行され、同日に物件が引き渡されるという流れです。
4-3. 銀行や支店によって審査基準は違う
上述したように、銀行によって審査基準は異なりますし、銀行でも支店によって審査基準が異なる場合もあります。
都市銀行ではほぼありませんが、地銀や信用金庫では支店ごとの裁量で審査は任されているケースが多いのです。
たとえば、収入が不安定な自営業者は、特定の地銀などに定期預金をするなど信用度を蓄積しておけば、住宅ローン審査時も有利に働くケースがあります。
また、大規模な銀行になるほど審査が厳しくなる傾向にあります。
銀行の審査に自信のない人は、フラット35を利用するという方法が良いでしょう。
フラット35は物件審査の比重が高く、借入者の「勤続年数」や「会社規模」などは審査対象外です。そのため、勤続年数が短い人や小規模な会社に勤務している人でも、比較的ローン審査に通りやすいのが特徴です。
5. 住宅ローンの審査期間はどれくらい?
5-1. 事前審査の期間について
上述したように、住宅ローンの事前審査の機関は概ね3営業日~4営業日ほどです。ただし、審査に時間がかかる場合と、逆に早めに審査が終わる場合もあります。
審査に時間がかかるケース
審査に時間がかるのは、以下のようなケースです。
- 返済比率がギリギリ
- 自営業や会社経営者である
- ほかの借り入れが多い
つまり、銀行側が審査する要素が多ければ多いほど、審査には時間がかかってしまいます。
特に、都市銀行は本部と支店がやりとりをして承認を下すケースが多いので、余計に時間がかかってしまうのです。
審査を早める方法
審査期間を短くするには以下の点がポイントになります。
- 審査時にできるだけ書類を揃える
- 頻繁に連絡を入れる
- 借入先を絞る
たとえば、「決算書が一期分足りません」や「給与明細が必要です」などの連絡が入れば、その書類を再提出してから改めて審査開始です。
そのため、余計な時間がかかるので、審査時に書類は完璧にそろえておきましょう。
また、担当者も人の手で審査を回していますので、リマインドさせる意味で頻繁に連絡を取った方が良いでしょう。
さらに、ARUHIや住信SBIネット銀行、じぶん銀行などは比較的審査が早いと言われているので、審査をその機関に絞るという方法もあります。
5-2. 本審査の期間について
本審査は、一般的に2週間以上かかります。
本審査はローン契約を結ぶ前提の契約なので、銀行の本店や支店はもちろん、保証会社への承認作業もあるので時間がかかるのです。ちなみに、保証会社とは保証人の代わりをしてくれる会社のことです。
マンションなどの不動産を購入するときは、売買契約を結んでから概ね1か月程度後に引き渡しになります。
なぜ1か月程度の期間があるかというと、本審査に2週間かかり、その後にローンの本契約があるからです。
逆にいうと本審査とローン本契約に時間がかかりすぎると、引渡し期限に間に合いません。
銀行側の都合であれば問題ありませんが、借入者の不備であれば「契約約定違反」にもなりかねませんので注意しましょう。
6. 銀行でローンを組む時は、他からの借り入れをすべて返済してから審査を受けよう
このように、銀行でローンを組むときは、借入者の信用情報やほかの借り入れ状況なども加味されます。
特に、ほかの借り入れはそのまま返済比率に加味されるので、返済比率がギリギリの方はかなり厳しい審査になるでしょう。
そのため、できるならほかの借り入れは一旦返済してから、住宅購入のためのローン審査をおすすめします。
ほかの借り入れを返済しておくことで、延滞するリスクなども防ぐことができるので、その点からも早めに返済しておくのが得策でしょう。
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