住宅ローン・自動車ローン・カードローンなどのように、ローンの種類はたくさんあります。
その中で「フリーローン」というローンがあるのをご存知でしょうか。フリーローンは、その名の通りある程度用途が自由なローンになりますが、完全に自由というわけではありません。
また、審査が比較的厳しかったり、借入する人の条件があったりします。
とはいえ、利用できる用途の幅が広く、カードローンなどと比べると低金利のため、フリーローンを利用する人は多いです。そこで今回は、意外と知られていないフリーローンについて詳しく解説していきます。
フリーローンはどのような用途に利用できるのか?借入額の上限や審査条件はあるのか?そして、カードローンとの違いや、銀行による条件の違いなどを解説します。
これからフリーローンの借り入れを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 銀行のフリーローンとは?
まずは、銀行のフリーローンとはどのようなローンか解説します。
住宅ローンや自動車ローンとはどのような違いがあるのか。そして、借り入れ用途などの概要を頭に入れておきましょう。
1-1. 住宅ローンや自動車ローンとは違う
まず、フリーローンは根本的に住宅ローンや自動車ローンとは異なります。
住宅ローンは「住宅を購入するため」のローンであり、自動車ローンは「自動車を購入するため」のローンです。
一方、フリーローンは「フリー」という名前の通り、「個人としての利用」の範囲内であれば、使用目的は自由なローンになります。
1-2. 事業や投資目的で利用する事はできない
ただ、フリーとはいえ全ての用途に利用できるわけではなく、事業や投資には利用できません。
事業として利用できない理由は、前項で解説した通り、フリーローンは「個人としての利用」に限られるからです。不動産投資など事業として利用するということは、一個人としての利用ではありません。
また、投資目的でも利用できない理由は、「確実な返済」の目途が立たないからです。全てのローンは「返済」を前提に貸し出します。
そのため、投資のように投資した金額がどうなるか分からない用途では利用することができないのです。
1-3. 銀行によっては使用目的を確認される場合がある
上述したように、フリーローンとはいえ用途には制限があります。
そのためフリーローンを借りるときには、基本的に金融機関に使用目的を申告し、金融機関からの了承を得る必要があるのです。金融機関によっては、使用目的を証明するための書類が必要になることもあるので認識しておきましょう。
1-4. 他のローンと同じで審査が必要になる
当然ながら、フリーローンもほかの審査と同じく審査があります。ほかのローンと同じように、明確な審査基準があるわけではありませんが、金融機関は「返済できるか?」という点を審査するでしょう。
そのため、年収や勤務先などの「返済能力」と、過去の延滞歴などの「信用力」は確認される項目です。
2. フリーローンが組めるおすすめ銀行一覧表
次に、上述したフリーローンを組める銀行の、融資限度額・金利・融資期間をまとめました。
融資限度額 | 金利 | 融資機関 | |
三井住友銀行 | 10万円~300万円 | 5.98% | 最短即日 |
イオン銀行 | 30万円~700万円 | 3.8%~13.5% | 1週間~10日 |
横浜銀行 | 10万円~1,000万円 | 1.9%~14.6% | 最短即日 |
ゆうちょ銀行 | 10万円~500万円 | 5.5%~149% | 最短即日 |
福岡銀行 | 10万円~1,000万円 | 1.9%~14.6% | 最短翌営業日 |
りそな銀行 | 10万円~500万円 | 6.0%~14% | 最短即日 |
横浜銀行 | 10万円~1,000万円 | 1.9%~14.6% | 最短即日 |
三菱UFJ銀行 | 50万円~300万円 | 短期プライムレート 連動長期貸出金利 |
約4営業日 |
ただ、上記は2024年4月時点の情報であり、金利や借入金額については幅があります。
そのため、正確な情報は窓口やネット審査をするときに確認しましょう。
3. 銀行のフリーローン審査の一般的な流れ
次に、銀行でフリーローンを借りるときの流れや審査に必要な書類を解説します。
銀行によって個別に異なるので、あくまで一般的な事例として認識しましょう。
3-1. 審査の流れ
フリーローンを借りるときの審査の流れは一般的には以下の通りです。
- 申し込み
- 審査
- 審査結果の連絡
- 契約手続き
- ローン実行
上記のように、フリーローンを借りるときの流れは、ほかのローンと概ね同じです。
まずはネットなどで申し込みをしますが、ネットを利用すれば24時間365日申し込み可能で、銀行の店舗に来店する必要もありません。
その後の審査もネットで完結しますし、審査結果もメールや電話で通知されます。
その後も、ネット上、もしくは郵便やFAXで契約できる銀行が多いので、申し込み~ローン実行まで1度も来店せずに借り入れることも可能です。
融資実行までの期間は前項で解説した通りですが、ネットを利用すれば遅くとも1週間以内に融資実行になるケースが多いです。ただし、あくまで「営業日」が前提なので、ゴールデンウィークや暦上の長期休暇には気を付けましょう。
3-2. 審査の必要書類
次に、フリーローンの審査には以下の書類が必要になります。
- 身分証明書(運転免許証やパスポート)
- 収入証明書
身分証明書は、写真や住所がすぐに確認できるのが望ましいので、運転免許証が最適な身分証明書と言えます。
収入証明書は、源泉徴収票や給与明細、もし手元になければ役所で発行できる課税証明書などでも問題ありません。
多いパターンとしては、「源泉徴収票」「納税証明書」「確定申告書(自営業者など」「住民税決定通知書」のいずれかを提出させるパターンです。
会社員と自営業者では必要書類が異なりますし、転職したばかりの方などは給与証明を割り戻すなど、ケースによって異なるので銀行に確認しておきましょう。
4. 銀行のカードローンとフリーローンの9つの違い
フリーローンと比較されがちなカードローンですが、借入方法なども含め違う点が多いです。
また、借入金額や審査にも関連してくることなので、カードローンとフリーローンの違いを具体的に9つ解説します。
①借りられるお金の回数が異なる
1つ目の違いは、お金を借りられる回数の違いです。
カードローンは、「30万円」や「50万円」などの限度額があり、その限度額の範囲内であれば何度もお金を借り入れることができます。
一方、フリーローンは原則として、審査した金額は1度だけしか借り入れができません。
フリーローンで、もう一度借入をしたい場合には、もう一度銀行に審査依頼をして必要書類を提出して…という流れです。
一般的なローンはフリーローンのようなルールであり、この点に関してはカードローンが特殊と言えます。
②金利の高さが違う
2つ目の違いは、金利の違いです。
カードローンとフリーローンを比較すると、一般的にフリーローンの方が金利は低いです。
これは、借入時の難易度が違うからです。上述したようにカードローンは都度審査するわけではなく、そのカードを所有している限りいくらでもお金を借りることができます。
一方、フリーローンは都度審査が必要なので、貸す側からするとカードローンの方がリスクは高いのです。そのため、比較的リスクの低いフリーローンの方が金利は低くなるというわけです。
③2回目以降にお金を借りるのにかかる時間
3つ目の違いは、2回目以降の借入時の手間です。
上述したように、カードローンは限度額の範囲内であればすぐにお金を借りられますが、フリーローンはそういうわけにはいきません。その「再審査」の手間や時間がかかる点が違います。
④返金による管理のしやすさ
4つ目の違いは、管理のしやすさです。カードローンは何度も手軽にお金を借りることができるというメリットがありますが、借入残高や返済金額が把握しにくいです。
特に、何度も借入していると今までトータルで支払った利息額の把握は難しいでしょう。
一方、フリーローンは一度借り入れた金額は返済するだけであり、再度借りるときは新たに審査をして別建てのローンとして管理します。
そのため、繰り返し手軽に借入できるカードローンよりは管理がしやすいと言えるでしょう。
⑤審査にかかる時間の違い
5つ目の違いは、審査時間の違いです。
上述したように、フリーローンでも即日融資する銀行もあります。しかし、カードローンの方が審査は早く、一度カードを作成してしまえば借入時は審査不要です。
また、フリーローンは基本的に銀行の営業日しか審査しないので、休日に借り入れることはできません。
一方、カードローンはATMで借入できるので、審査が終わったカードを持ってさえいれば、休日でも借り入れ可能です。
⑥借り入れの上限金額の違い
6つ目の違いは、借入できる上限金額です。2つのローンを比較すると、カードローンに比べてフリーローンの方が借入額は高めに設定されています。
カードローンは融資枠を設定して都度審査するわけではなく、フリーローンは都度審査するのでフリーローンの方が貸す側のリスクが低いからです
フリーローンの方が借入額は多くなるので、教育資金など高額になりやすい項目はフリーローンの方が向いていると言えるでしょう。
⑦繰り上げ返済にかかる手数料の違い
7つ目の違いは、繰り上げ返済手数料です。
繰り上げ返済とは、借入期間中にローン残債を返済することです。
たとえば、50万円借り入れていて半年間で返済する予定だったところを、借り入れてから1か月で20万円が手元に手に入ったとします。そして、その20万円を利用して返済し、当初の返済期間を短縮することを繰り上げ返済と言います。
カードローンの場合は、繰り上げ返済手数料は特に発生しません。一方、フリーローンの場合は、一部繰り上げ返済でも全額繰り上げ返済でも、数千円の手数料が発生することが多いです。ただ、銀行によっては無料のところもあるので、ホームページなどで確認しておきましょう。
⑧事務手数料がかかるかどうかの違い
8つ目の違いは、事務手数料の違いです。繰り返しますが、カードローンはカード作成時に審査するだけで、借入時に都度審査はしません。そのため、事務手続きが不要なので事務手数料もかからないというわけです。
一方、フリーローンの場合は都度審査して契約を結ぶので、事務手数料がかかるケースがほとんどでしょう。
事務手数料は銀行によって異なりますが、「融資金額×2%+消費税」のようなパターンが多いです。
⑨借り手の年収の制限による違い
9つ目の違いは、借り手の年収制限の違いです。
カードローンの場合は、年収や勤続年数などの「収入の安定性」はチェックしますが、属性や延滞歴などに特段問題なく、極端に年収が低くなければ大体審査には通ります。
しかし、フリーローンの場合は「正社員で年収200万円以上」のように年収制限を設けているケースがほとんどです。詳細な条件については、借入前に銀行のホームページなどで確認しておきましょう。
5. フリーローンのメリットやデメリットについて
さて、ここまででフリーローンの概要や、比較されがちなカードローンとの違いによって、フリーローンの特徴が分かったと思います。
次に、それらを踏まえた上で、フリーローンで借入を行うメリット・デメリットを解説していきます。
5-1. メリット
フリーローンを利用するメリットは以下の点です。
1.借りすぎの予防
2.借り換えも可能
3.用途の幅が広い
4.金利が比較的低い
5.審査手続きが楽
借りすぎの予防
たとえばカードローンだと、借入枠の範囲内なら自由に借り入れできるので、ついつい借金を重ねてしまいがちです。しかし、フリーローンの場合は審査を経て借入をするので、良い意味で簡単に借金を重ねることができずに、借りすぎの予防につながります。
借り換えも可能
フリーローンは、他社の借り入れをまとめて借り換えすることも可能です。
もちろん、借り換え時も審査があり、ほかのローンよりも金利が低く支払額が下がらないと意味はありません。これらを踏まえた上でメリットが大きければ、まとめて借り換えすることでお得になることもあります。
用途の幅が広い
上述したように、資金の用途に多少の制限はありますが、用途の幅は非常に広いと言えます。そのため、急にお金が必要になったときなどに役立つローンです。
金利が比較的低い
カードローンとは異なり、フリーローンは金利が10%以下となることがほとんどです。
上述したように、その分カードローンよりは審査が厳しいなどの点もありますが、用途の幅が広いローンを比較的低金利で借り入れできる点はメリットといえます。
審査手続きが楽
フリーローンは、基本的にネットで完結するので、実店舗への訪問などは不要です。借入時に周囲の目を気にする必要はありませんし、忙しい中でも借り入れ可能な点はメリットといえます。
5-2. デメリット
一方、フリーローンにも以下のようなデメリットがあります。
1.頻繁に借り入れを起こしにくい
2.融資までの時間がかかるケースもある
3.審査が比較的厳しい
頻繁に借り入れを起こしにくい
たとえば、少額の借り入れを繰り返し行いたい人は、フリーローンよりもカードローンの方が向いているでしょう。つまり、フリーローンは借入を起こす度に審査する点がデメリットにもなり得るということです。
融資までの時間がかかるケースもある
上述したように、フリーローンは融資実行までに多少時間がかかる銀行も多いです。そのため、大至急現金が必要な場合などは、フリーローンは向いていないでしょう。
審査が比較的厳しい
また、繰り返しますが、フリーローンはカードローンなどと比べると審査は厳しいです。
そのため、上述した「頻繁に借り入れしにくい」や「融資時間がかかる」というデメリットが発生するというわけです。さらに、年収制限を設けている銀行も多いため、「誰でも」手軽に借り入れできるローンとは言えないでしょう。
6. フリーローンの審査は甘いのか?
さて、最後にフリーローンの審査について解説します。どのローンと比較するかによって審査の厳しさは異なりますが、基本的にフリーローンの審査は甘くはありません。
住宅ローンなどと比べると甘いとはいえますが、カードローンなどと比べると厳しいというようなイメージです。
6-1. フリーローンの審査は厳しい!利用条件をチェックしよう
フリーローン審査が厳しいという理由は、概ね以下の理由です。
・金利が比較的低い
・総量規制の対象外
・利用目的に制限
金利が比較的低い
まず、ローンは全般的に金利が低いほど審査は厳しいです。
なぜなら、「信用力があるからこそ低金利で貸す」という考え方だからです。そのため、概ね10%以下で借入できるフリーローンは、カードローン金利と比較すると低金利なので審査も厳しくなります。
総量規制の対象外
総量規制とは、貸金業法のルールのことで、「年収の1/3以上の借り入れは不可能」というルールです。この規制は消費者金融や、信販会社に限られるので、フリーローンを提供する銀行は対象外になります。
言い換えると「年収に対しての融資制限がない」からこそ、返済不能というリスクを防止するために審査を厳しくするというわけです。
利用目的に制限
銀行のフリーローンは、用途の幅が広いものの、用途の制限はあります。
また、フリーローンの用途を明記し、それを証明する書類が必要なケースもあります。この点は、フリーローンのデメリットと言えるでしょう。
6-2. ローンの審査に落ちる人にはどんな理由があるのか?
さて、そんなフリーローンの審査に落ちやすい人は、以下のような人です。
1.最低条件をクリアしていない
2.過去に延滞歴がある
3.虚偽内容がある
4.ほかの借り入れがある
上記は、当たり前と言えば当たり前の話です。しかし、上記の理由で審査が否決になるケースがあるので、事前に認識しておきましょう。
最低条件をクリアしていない
最低条件とは、年齢条件や年収条件のことです。また、収入がない人なども借り入れができないので、少なくとも最低条件はクリアしているかは確認しておきましょう。
過去に延滞歴がある
フリーローンだけではありませんが、過去に延滞歴がある場合などは審査は厳しいでしょう。
フリーローンを借り入れる銀行以外の延滞歴も、信用情報機関に照会すればすぐに分かります。仮に延滞歴がある場合は、5~10年程度経過しないと履歴が消えません。
虚偽内容がある
フリーローンの申し込み時に虚偽の申請があると審査に落ちます。勤続年数や収入額など、「安定した収入」に直結する要素は審査自体行わないケースもあります。これらは、虚偽ではなく「ミス」することもあるので注意しましょう。
ほかの借り入れがある
フリーローン以外にも、車のローンやカードローンがある場合も審査は落ちやすいです。というのも、ほかのローンを組んでいるということは「返済」があるということなので、その返済も支出としてカウントされるからです。「ほかの返済がある=審査に落ちる」というわけではありませんが、審査に厳しくなることは間違いありません。
7. 銀行のフリーローンは投資や事業で利用する事はできない!
このように、銀行のフリーローンはカードローンなどと比べて低金利だったり、借入額大きかったりとメリットがあります。ただ、都度審査が必要だったり、審査自体が多少厳しかったりというデメリットもあるのです。
そして、いくら「フリー」だからといって、投資や事業に利用することはできません。
フリーローンを利用する場合は、その辺りの細かい点を頭にいれてから審査するようにしましょう。