政府のマイナス金利政策により、不動産投資のローン金利は史上最低水準が続いています。
こうした中で、高金利時代に不動産投資ローンを借りた人やほかの理由で高い金利のままという人もいるのではないでしょうか?
高い金利で借り入れを受けると年間返済総額が大きくなるので、毎月のローン返済額が多くなりキャッシュフローにも大きく影響。
そこで低金利のローンへ借り換えができれば、ローン返済額を減らしキャッシュフローを改善することができます。
この記事では、不動産投資ローンの借り換えをする際に必要な知識について解説しますので、ぜひ借り換えを検討してみてください。
目次
1. 不動産投資ローンでの借り換えは利回りを上昇させる効果的な手段
不動産投資ローンの借り換えにより金利を下げられれば、物件を安く購入したと同じ事になり、利回りを向上できる可能性があります。
金利が下がりキャッシュフローを増やすことが出来る
不動産投資の実質利回りは、下記の計算式により算出します。
借入金の金利部分は、計算式の年間経費の一部に含まれます。
今よりも金利の低い金融機関に不動産投資ローンの借り換えを行えば、年間経費の金利を減らせるので、計算式の分子は大きくなることに。
すなわち実質利回りが向上し、毎月のキャッシュフローは改善します。
2. 不動産投資ローンの借り換えをするための判断基準
低金利時代になったからと言って、必ず借り換えをした方が得とは限りません。
次に不動産投資ローンを借り換える際の判断基準について説明します。
金融機関からの借入金残高が500万円以上
不動産投資ローンの借り換えをする際には、少なくても500万円、できれば1,000万円以上の借入残高があることが必要です。
借入金の返済には、大きな金額の保証料や抵当権設定費用・登記費用・事務手数料などを必要とします。
したがって借入金残高が少ないと、ローン残高は減っても諸費用が掛かり利益は手元に残りません。
返済期間が10年以上残っている
返済期間が短い場合には、十分な借り換えのメリットを受けることはできません。
返済期間が長ければ長いほど効果はありますが、少なくとも10年以上残っていないと利益を得られないことも。
借り換え前と借り換え後の金利差が1%以上ある
借り換え前と借り換え後の金利差が小さいと、借り換えに際しての諸費用が掛かるのであまりメリットにならないことがあります。
少なくとも金利差が、1%以上ある場合には検討すべきでしょう。
3. 不動産投資ローンを借り換えをすることによるメリット
それでは不動産投資ローンを借り換えするメリットは、どんなものがあるのでしょうか?
信用力が増加する
融資先を地方銀行や信用金庫から都市銀行などに変更できれば、信用力は増加します。
信用力が向上すれば、事業を拡大する際に自己資金が少なくても大きな金額を融資してくれるでしょう。
したがって、少ない資金もレバレッジ(テコの原理)を利かした大きな金額の不動産投資が可能に。
またほかに資金が必要な場合でも、借り入れがしやすくなるメリットがあります。
金利低下による事業拡大が可能になる
ローン返済総額を圧縮できれば、月々の返済額は少なくなりキャッシュフローも改善できます。
その結果投資余力が生まれ、物件を買い増しするなど事業拡大が可能に。
金利低下による支払額の減少
2024年時点で、不動産投資ローンの金利はメガバンクで1%前後で借り入れ可能。
したがって3、4%台で借りた人は、金利低下による借り換えの意義は大きいといえます。
低金利の金融機関へ借り換えができれば、支払総額を抑えられますので、毎月の返済額を減少できます。
4. 不動産投資ローンを借り換えをすることによるデメリット
不動産投資ローンの借り換えはメリットばかりではありません。
デメリットを十分認識して、検討し借り換えをするようにしましょう。
繰り上げ返済による諸費用・違約金が発生する場合がある
不動産投資ローンの借り換えを行うと、さまざまな費用が掛かります。
借り換えにあたっては費用がどの程度かかるのか確認しておく必要があります。
さもないと費用が掛かり借り換え前よりも、支払金額が多くなってしまったということも…。
手数料の総額は金額や条件にもよりますが、通常30万円~80万円程度かかります。
なお、契約によっては違約金が発生する場合が
金融機関によっては数百万円もかかることもありますので、契約書を確認しておくことが必要です。
現在の不動産投資ローンを完済するために必要な費用
全額繰り上げ返済手数料
現行の不動産投資ローンを繰り上げ返済するためには、手数料が必要です。
金融機関や選択している金利などによって異なりますが、通常無料~5万円程度の手数料がかかります。
保証会社事務手数料
金融機関から融資を受ける際に、保証人の代わりとして保証会社に保証料を支払います。
全期間の保証料を一括支払いしていると、残期間の保証料が返戻されますが、その際に1万円程度の事務手数料が引かれることも。
未払い利息
不動産投資ローンを全額返済する際に、本来発生する未払い利息の精算も行う必要があります。
新規不動産投資ローンにかかる費用
保証料
ローンの返済ができなくなったときに、残金を保証会社に支払ってもらうために保証料を支払います。
金融機関によって保障料率は異なりますが、1,000万円のローンを組んで10万円~20万円程度。
ネット銀行などでは保証料を必要としないこともあります。
事務手数料
事務手数料は、不動産投資ローンを組むときに金融機関に支払う手数料のこと。
定率の場合と定額の場合があり、金融機関によって異なります。
不動産投資ローンを組む際には、金銭消費貸借契約証書を取り交わしますが、その際に貼付する印紙代。
金額によって異なり、1,000万円~5,000万円以下の場合には 20,000円が必要。
5,000万円超で1億円以下の場合は60,000円となります。
登記に関する費用
抵当権抹消についての費用
抵当権抹消登記についての登録免許税は、登記する不動産の戸数×1,000円。
例えば土地が3つに分かれて登記されていれば、3×1,000になります。
ほかに司法書士への報酬が必要で、登録免許税を含めて20,000円程度。
抵当権設定登記についての登録免許税は、借入金額×0.4%。
したがって1,000万円の不動産投資ローンを組む際には4万円必要。
ほかに司法書士へ支払う報酬が必要ですが、金額は物件や司法書士によって異なりますが、一般的には10万円以内に収まります。
毎月の返済額が増加する場合がある
借り換えをして金利が下がっても、短期間で返済しようとすれば毎月の返済額が増加することもあります。
返済期間は変えずにキャッシュフローを改善して再投資を行うか、返済期間を短くし早期に売却し利益を得るか判断をしましょう。
必ずしも借り換えが出来るわけではない
現在融資を受けている金融機関でよい条件が出ても、同じ金融機関では買い入れはできません。
また今まで不動産投資ローンを組んでいたからといっても、必ず借り換えができるという保証はありません。
下記のような場合には、借り換えが難しくなります。
- ローン返済が滞ったことのある人
- 転職や独立した人
- 収入が減った人
- 健康状態が良くない人
- 住宅を賃貸にした場合
- 物件の価値が大きく下がった場合
現行の金融機関との関係性が悪化する場合がある
現行の金融機関とのコミュニケーションを十分とらずに、借り換えを進めると関係が悪化することもあります。
今後も不動産投資を拡大していこうと考えている人は、慎重に事を運ばなければなりません。
現行の金融機関の心証を害してしまっては、次の投資が難しくなる場合も。
借り換えの前に現行の金融機関と相談をすれば、うまくすれば借り換えを考えている金融機関と同じ程度の条件を得られることもあります。
そうであれば事務負担も低減でき余分な費用を払うことなく、現行の金融機関と良い関係を保ち続けることができるでしょう。
5. ローンを借り換えするまでの流れ
それでは不動産投資ローンで借り換えをする場合の大まかな流れについて説明しましょう。
現在の金融機関との借り入れ条件を確認
初めに今借りている金融機関の条件を知る必要があります。
特に次の3つの条件が満たされていることを確認することが大事。
- ローン残高が500万円以上あること
- 借り換えた後の金利差が1%以上あること
- ローンの残期間が10年以上あること
不動産投資ローンの借り入れ可能な金融機関の開拓
次に借り換えができる金融機関を探さなければなりません。
借り換え先としては都市銀行・地方銀行・ネット銀行などがあり、インターネットで条件を確認可能。
この場合もちろん金利を調べるのは大事ですが、借り換えの際に必要な手数料や保証料などについてもチェックする必要があります。
借り換え費用が金融機関によっては、数十万円単位の違いになることも。
金融機関の融資条件と審査の確認
金融機関に相談
借り入れをしようと思う金融機関に、必要な書類を提出し相談をすると、
金融機関より融資条件や融資の可能性について連絡があります。
事前審査
事前審査申込書に署名押印したものを借り換え先の金融機関に提出し、買主の信用情報や返済能力を主に審査します。
本人確認する書類 | 運転免許証・健康保険証・パスポートなど |
所得を確認する書類 | 源泉徴収票・確定申告書など |
物件を確認する書類 | 売買契約書・重要事項説明書・登記事項説明書など |
本審査
本審査では主に買主の健康や担保物件について精査。
返済総額や諸費用を確認し、各種書類を添えて本申し込みをします。
本人関連書類 | 実印・印鑑証明書・住民票など |
所得関連書類 | 課税証明書 |
物件関連書類 | 賃貸借契約書など |
返済中のローン関連書類 | 返済予定表・返済口座通帳など |
現行の金融機関との不動産投資ローンの清算処理
借り換え予定の金融機関が固まったら、現行の金融機関に連絡しなければなりません。
その場合現行の金融機関から条件が出されたら、金利や諸費用を比べてどちらにするか検討するとよいでしょう。
借り換えで決まった場合には、現行の金融機関にローン一括返済の申込書を提出し、借り換え先には本申し込み行いローン契約を締結。
融資の実行日には、新たな融資先から自分の口座に振り込んでもらい、従来の金融機関に全額返済します。
返済が完了した抵当権を抹消し、新たな融資先に抵当権を設定することで借り換えが実行できたことに。
6. 不動産投資ローンの借り換えが出来る金融機関一覧
不動産投資ローンで借り換え可能な金融機関をご紹介しましょう。
都市銀行
都市銀行の特徴は、全国に拠点があるので便利であり、金利が低く審査業務も早く安心して取引ができること。
しかし審査条件が厳しく優良な案件でなければ、通りにくいのが難点です。
三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・りそな銀行などがあります。
地方銀行
地方銀行は、各地方都市にある銀行で金利は都市銀行ほど低くはありませんが、審査が緩やかなのが特徴。
地域に密着しているので、融通が利き多少難しい案件でも積極的に取り組んでくれます。
横浜銀行・千葉銀行・北海道銀行・静岡銀行・スルガ銀行などがあります。
信用金庫
信用金庫は、銀行などとは異なり地域の繁栄と相互扶助を目的とした共同組織。
したがって、都市銀行では審査が通りにくい属性の人や物件でも、審査が通る可能性があります。
金利はやや高め。
信託銀行
信託銀行の本業は相続や遺言などの信託、資産運用ですが、不動産投資ローンにも力を入れています。
三菱UFJ信託銀行・三井住友信託銀行・みずほ信託銀行などがあります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国が100%の出資する政策金融機関、全国に150余りの支店を持ち無担保・保証人なしでも融資が可能。
国の政策が影響するので、中小企業や個人事業種などの零細企業は比較的審査に通りやすいとされています。
貸出金利は1~1.25%と低い固定金利で、年収が300万円程度でも融資を受けられる場合が。
なお融資金額は、通常は最大で4,800万円程度と多くはなく、返済期間は最大で15~20年程度と短くなっています。
ノンバンク
ノンバンクはほかの金融機関より、審査が通りやすいのが特徴。
ほかの金融機関の審査が通らなかった人や延滞などの事故歴があった人でも、再チャレンジするとよいでしょう。
反面金利が高く、審査に時間を要するのが欠点。
7. 不動産投資ローンの金融機関の借り換えによるパターン
金融機関の借り換えには、大別すると次にあげる2つのパターンがあります。
地方銀行・信用金庫から都市銀行への変更
都市銀行の金利は低いですが、審査に通りにくいのが欠点。
そこでローン審査が比較的緩やかな地方銀行や信用金庫で融資を受け、その後に金利の低い都市銀行に借り換える方法があります。
地方銀行や信用金庫などで延滞などなくきちんとローンを返済していれば、審査基準の厳しい都市銀行でもその実績を認めてくれる可能性が高くなるでしょう。
金利の安い都市銀行へ借り換えを行う有効な手段といえます。
ノンバンクから地方銀行・信用金庫への変更
地方銀行や信用金庫の中には、都市銀行よりも安い金利で融資する場合もあります。
地元に密着した投資をしきちんとローン返済をしていれば、特別有利な条件で借り換えができることも。
8. 不動産投資ローンを借り換えする前の注意ポイント
いくら借り換えをすることで金利が低くなるといっても、現在の不動産投資の状況を考えずに行ってはいけません。
この章では、借り換えする際の注意ポイントについて解説します。
現在借り入れているローンの情報を確認する
不動産投資ローンの借り換えは、申し込めば誰でも可能なわけではありません。
金融機関としては、融資したお金は必ず全額返済してもらうことが大前提。
したがって申し込みを受けた金融機関は、最初に審査した時と同様にローンの返済状況や物件の状況・個人の属性などを厳しく審査。
借り換えを申し込む側としても、自分自身ローンの延滞がなかったか・新たにローンの借り入れをしていないかなどチェックすることが必要です。
投資物件の入居率が80%以上になっているか
借り換えを申し込むと、今まで保有してきた物件に何か問題がないかチェックされます。
物件が満室の状況であれば、融資しても滞ることなく返済が可能と判断しますが、空室が多いと審査に通りにくいことに。
収益物件は年数がたつと建物も古くなり一般的に入居率は下がりますが、融資を受けるためには少なくとも80%以上の入居率は必要です。
家賃収入以外の副収入があるか
金融機関としては、融資額がきちんと返済されるかどうかが一番の着目点。
家賃収入以外にも給与収入などがあれば、返済が滞ることは少ないと判断されるため安定した収入が別途あれば、ローン審査が通りやすくなります。
不動産投資の借り換えに関する知識を身に付ける
不動産の借り換えをするには、さまざまな情報や知識が必要です。
金利の種類や利率・借り換えに要する費用・利回り・税金などについて知り、
借り換えた場合どのくらい返済が楽になるのかなどシミュレーションしなければなりません。
シミュレーションすることにより、必ずしも借り換えがベストの選択ではないと判断することも。
借り換えた方が良いということになれば、身につけた知識を生かして借り換えに必要な計画を綿密に立てましょう。
借り換えセミナーに参加する
不動産投資の借り換えセミナーに参加すれば、新しい情報を手に入れることができ、わからない点についてはその場で質問することもできます。
また出席しているほかのオーナーと親しくなれば、相談やアドバイスを得ることもあるでしょう。
借り換えセミナーについては、金融機関や不動産会社が開催しているので、ぜひ参加することをおすすめします。
MIRAIMOを運営している株式会社スマミンでも不動産ローンの借り換えの相談会を随時受け付けていますので、お気軽にご利用ください。
9. 借り換えをすることでキャッシュフローの改善が可能に
うまく借り換えに成功すれば、借入金総額を減少しキャッシュフローを改善できます。
キャッシュフローが改善できれば、資金を次の投資に振り向けることができますし、将来の年金として蓄えることも可能。
借り換えに際して大事なことは自分の状況を把握し、メリット・デメリットを十分検討して決めるようにしましょう。
なお借り換えについての相談や質問などがあれば、MIRAIMOが運営する株式会社スマミンのローン借り換え個別相談会へご相談ください。
不動産の借り換えをするには、さまざまな情報や知識が必要です。
金利の種類や利率・借り換えに要する費用・利回り・税金などについて知り、
借り換えた場合どのくらい返済が楽になるのかなどシミュレーションしなければなりません。
シミュレーションすることにより、必ずしも借り換えがベストの選択ではないと判断することも。
借り換えた方が良いということになれば、身につけた知識を生かして借り換えに必要な計画を綿密に立てましょう。