親の死は大変に悲しいものですが、そういつまでも悲観してもいられません。
相続手続きはすぐに始めなければならず、相続税の支払い期限は相続を開始して10ヵ月以内と定められています。
相続税を支払う段になって「こんなに支払わなければならないの!」と嘆くことのないよう、あらかじめ相続税対策をしておかなければならないでしょう。
資産は現金や金融商品で引き継ぐより、不動産で引き継いだ方が圧倒的に相続税を圧縮できます。
その対策として重視されるのが、不動産投資!
この記事では、不動産投資がなぜ相続税対策に有効なのか、その仕組みと方法について解説をしましょう。
相続対策や不動産投資に少しでも興味がある方は是非参考にしてください。
目次
1. 不動産投資が相続税対策になる仕組みを解説
不動産投資はなぜ相続税対策に有効なのか、その仕組みはどうなっているのでしょうか?
それは不動産の相続税評価額の低さにあるのです。
相続税は評価額で決定する
相続税評価額は、相続税を算出する際の基準となる価格です。
現金はそのままの価格が評価額となりますが、不動産は実勢価格より低く評価されるので大変お得。
土地の評価方法には、路線価方式または倍率方式があり、共に実勢価格の80%程度で評価されます。
家屋の評価額は、固定資産税評価額になり50~70%程度の評価に。
ちなみに不動産以外の主なものの評価額は、下記のとおり。
- 現金…そのままの価格が評価額
- 預貯金…元本部分に利子部分を加算して評価
- 保険金…保険金受取額(非課税限度額=500 万円 × 法定相続人の数)
- ゴルフ会員権…相続開始時点の取引価格の70%
- 自動車…売買実例価格や査定価格
土地の評価額の調べ方
土地の評価額は、次の手順により調べます。
①土地の面積を確認する
土地の面積は、次の書類によって確認できます。
- 土地の登記簿謄本…法務局
- 地積測量図…法務局
- 固定資産税の納税通知書
- 建築確認申請の資料
- 土地の賃貸借契約書
- 土地の売買契約書
②路線価・倍率を調べる
土地の評価額は、路線価方式または倍率方式で計算されます。
路線価方式とは、市街地において採用されている評価方式。
路線価が定められていない土地については倍率方式で計算されます。
路線価図または評価倍率表は、国税庁ホームページで見ることが可能。
日本全国の土地が掲載されており、毎年7月上旬にその年の分が公開されます。
参考:【路線価図・評価倍率表】
③評価額を計算する
路線価方式でも倍率方式でも、土地の評価額は実勢価格の80%程度。
路線価は道路に面する1㎡当たりの価額で、各種補正率で補正し、その土地の面積を掛けて算出します。
倍率方式の土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出。
次のような場合には、相続税評価額を下げることができます。
- いびつな土地の評価減…奥行が長い・間口が狭小・不整形宅地
- 地積規模の大きな宅地の評価減
- 借地権(土地を借り建物を建てる権利)の評価減…所有権の評価額×借地権割合
- 貸宅地(人に貸している土地)の評価減…自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合
- 貸家建付地(保有する土地に家屋を建て貸付)評価減…自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
なお、いびつな土地の評価減は路線価地域のみ。
建物の評価額の調べ方
建物の評価額は、下記の書類によって知ることができます。
- 固定資産税の課税明細書
- 固定資産課税台帳
- 固定資産評価証明書
既に述べたように建物は固定資産税評価額となるので、通常建築価格の50~70%程度で評価されます。
またマンションやアパートなどの建物の場合には、その評価額から借家権割合の3割(※1)を減額し、さらに空室の割合を減額できます。
これを数式で表すと
アパート等の建物評価額=固定資産税評価額×( 1-借家権割合(0.3)×賃貸割合(※2))
※1.国税庁の財産評価基本通達により、一律3割
※2.入居している部屋と空室の部屋の割合
となります。
課税評価額をシミュレーション
2人の子供が現金で6,000万円相続した場合と、
アパート(建物2,000万円・土地4,000万円)を相続した場合を比較してシミュレーションしてみましょう。
現金で相続した場合
相続税には基礎控除があり、3,000万円+600万円×法定相続人の数で算出します。
したがってこの場合は2人の相続人がいるので、
相続対象額は6,000万円-(3,000万円+600万円×2人)=1,800万円
相続税を国税庁の速算表により計算すると、
1,800万円×15%-50万円(控除額)=220万円
アパートで相続した場合
建物部分と土地部分を分けて計算します。
建物の評価額は固定資産税評価額(実勢価格の60~70%)×( 1-借家権割合(0.3)×賃貸割合)なのでこれに当てはめると、
(3,000万円×0.7)×(1-0.3×0.9)=1,533万円
土地の評価額は公示価格の80%ほどで評価されるので、
3,000万円×0.8=2,400万円
建物と土地を合わせて3,933万円となり、
相続税対象額は3,933万円-(3,000万円+600万円×2人)=-267万円
したがってこのケースでは収益物件で相続した場合には、相続税がかかることはありません。
このように現金よりも、収益物件で相続したほうがお得であるということがお分かりいただけたと思います。
引用:【相続税速算表】
決定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 1,700万円 |
2億円以下 | 40% | 2,700万円 |
「小規模宅地の特例」が受けられることもある|特例の適用条件
被相続人が住んでいた土地やアパートなどの土地を相続した場合には、要件を満たせば50%または80%まで評価額を減額してもらえます。
減額が非常に大きいので、要件が合致すればぜひ利用したいですね。
小規模宅地等の特例が使える土地の要件は次の通り。
宅地の種類 | 利用形態 | 減額割合 | 相続人 | 適用上限面積 |
特定居住用宅地等 | 自宅の土地 | 80% | 配偶者及び同居の親族 | 240㎡ |
特定事業用宅地等 | 会社の土地 | 80% | 事業を引き継ぐ親族 | 400㎡ |
貸付事業用宅地等 | アパートや駐車場の土地 | 50% | 事業を引き継ぐ親族 | 200㎡ |
なお適用上限面積を超える部分については、通常の評価額が適用になります。
2. 不動産投資で相続税対策を行う2つのメリット
不動産投資を行えば相続税対策になることはお分かりいただけたと思いますが、それ以外にもメリットはあります。
①現物不動産を家族に遺せる
ローンを利用して収益物件を購入した場合には、団体信用生命保険に入ることを義務付けられます。
借り入れを受けた人に万が一のことがあれば、住宅ローンの残債は保険会社が完済してくれるのです。
遺族にはアパートなどの資産が遺せ、家賃収入を得られるメリットが。
②相続税増税の可能性に備えられる
2015年1月の税制改正により、基礎控除の減額および相続税率の一部引上げが行われました。
相続税を増税する方向性は今後も続くと考えられ、今まで相続税がかからなかった人も課税対象となる可能性が高くなるでしょう。
このような大増税時代に対応するためには、現金や預貯金・金融商品で持っているより、評価額の低い不動産にしておいた方が有利。
3. 不動産投資は相続税対策におすすめの資産運用法!
以上述べてきたように、相続税対策には不動産投資が有利であることがお分かりいただけたかと思います。
なお不動産投資や不動産の相続に関して相談がある、もっと知りたいという方はMIRAIMOを運営しているASIS株式会社の「無料個別相談会」や「オンライン無料相談(LINE)」をご利用ください。