不動産投資を行うために、まずは投資物件の購入が必要です。
物件の購入には、土地・建物の売買代金以外にも様々な諸経費がかかることをみなさんはご存知でしょうか。
仲介手数料、登記費用などは契約~決済時に支払いますが、後から発生するものがあります。
その代表的なものが「不動産取得税」。
不動産取得税は、その名の通り不動産を取得すると課される税金です。
今回は、不動産取得税をテーマとして、不動産取得税の申請方法や支払いのタイミング、税率計算や減税について余すところなく解説していきます。
不動産の購入を検討している方は是非参考にしてください。
目次
1. 不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地・家屋を購入したときに発生する税金のこと。
購入後、しばらくしてから納付書が送付されます。
不動産取得税は地方税のため、不動産のある都道府県が管轄となって徴収しています。
不動産取得税の税率は、原則として「取得した不動産の価格(課税標準額)×4%」となっていますが、条件によって軽減税率などが適用されます。
不動産取得税が発生する物件
不動産取得税の課税対象となるものは、土地・家屋です。
土地の敷地内にある立木や工作物を取得したとしても不動産取得税の対象とはなりません。
また、家屋の新築だけでなく増築も対象となります。
家屋の改築の場合は、改築によって家屋の価値が増加したと認められた場合は不動産取得税が課せられます。
ただし、土地や家屋を取得したとしても非課税になるケースがあります。
例えば、国や地方公共団体から土地・家屋を取得した場合や、相続によって取得した場合、区画整理による換地の取得の場合などは非課税です。
2. 不動産取得税の申請方法
不動産を購入や贈与などによって取得した場合、不動産の所在地である都道府県に必要書類を提出して、不動産取得税の申請を行う必要があります。
不動産取得税を申告するためには、「不動産取得税申請書」が必要です。
不動産取得税申請書には、氏名、住所などの本人情報の他、土地の地番・家屋番号・取得年月日など取得した土地・家屋の情報などを記入。
土地や中古物件であれば前所有者(売買契約書の売主)、新築であれば完成予定日など項目があります。
売買契約書(のコピー)や登記簿謄本など、必要な添付書類として持参したものを見ながら記入すると良いでしょう。
不動産取得税の申告期限
多くの都道府県では「不動産を取得した日から60日以内」としていますが、
東京都では「不動産を取得した日から30日以内」としています。
都道府県によっては申告期限が過ぎても受理してもらえるところもありますので、不動産の所在地である都道府県に確認してみましょう。
申告期限が過ぎてしまった場合の対処法
申告期限内に申告がなかった場合、しばらくしてから納税通知書が送付されます。
軽減税率は申告制ですので、この場合は適用されていません。
都道府県によっては納税通知書が送付されてからも軽減税率の申告を受け付けていることがありますが、
基本的には申告期限内にきちんと申告を行うようにしましょう。
不動産取得税申告書の添付書類
不動産取得税申告書に添付書類にはどのようなものがあるでしょうか。
代表的なものをご紹介します。
- 売買契約書など取得原因がわかるもの
- 土地の登記事項証明書
- 家屋の登記事項証明書または検査済証
軽減税率の適用を受けるためには、その他平面図など床面積のわかるものや建築請負契約書などが必要となることがあります。
軽減税率の条件に該当する場合は、それに応じた書類を準備しましょう。
3. 不動産取得税はいつ支払う?
不動産取得税はいつ支払う税金でしょうか?
ここでは、不動産取得税の通知書が届くタイミングや納付方法について解説します。
不動産取得税の通知書が届くタイミング|忘れた頃にやってくる
不動産取得税の通知書は、不動産を取得してからおおよそ6ヶ月~1年半くらいに届きます。
不動産を取得してから通知書が届くまでに時間がありますので、「忘れた頃にやってくる」とよく表現されているのです。
届いた納税通知書には納付期限が記されていますが、納期については都道府県によって様々。
きちんと通知書の内容を確認しましょう。
不動産取得税の納付方法
納税通知書が届いたら、対応している金融機関へ行って納付します。
どの金融機関が対応しているかについては納付書の裏面などに記載がありますので、
行こうとしている金融機関が対応しているか、事前に確認しておきましょう。
4. 不動産取得税の金額や税率の決まり方
不動産取得税の金額や税率については、どのように決まるのでしょうか。
ここでは、不動産取得税の金額や税率の決まり方について解説しましょう。
不動産取得税が決まるまでのステップ
不動産取得税は「不動産の価格(課税標準額)」を基に計算されます。
課税標準額は不動産の購入価格そのままではなく、「税金の計算の基となる価額」のことをいい、
原則的には「固定資産評価基準」によって決められた価格が使用されます。
また、令和3年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合は課税標準を1/2にするとされますが、土地のみであり家屋には適用されませんので注意しましょう。
そして、条件を満たしていれば不動産取得税の軽減措置が受けられます。
居住用家屋の特例、居住用土地の特例といった、不動産取得税が減額となる特例が。
不動産取得税の税率は、取得したものの種類によって決められています。
- 土地…3%
- 家屋(住宅用)…3%
- 家屋(店舗等)…4%
※この税率は令和3年3月31日まで
5. 不動産取得税の税率計算|具体例を用いて紹介
不動産取得税の税率計算を実際に行ってみましょう。
ここでは、具体例を用いてご紹介します。
1,000万円の宅地のみを取得した場合
このケースでは、宅地を購入したので「宅地の課税標準1/2」が適用されました。
土地1,000万円、家屋2,000万円の新築住宅を建築した場合(床面積200㎡)
まずは、家屋から計算しましょう。
次に土地を計算します。
1,000万円×1/2×3%=15万円
家屋(21万円)+土地(15万円)=36万円(不動産取得税)
中古マンション(自己居住用以外)を購入した場合
土地の固定資産税評価額を2,000万円、建物の固定資産税評価額を1,000万円と仮定しましょう。
土地=2,000万円×1/2×3%=30万円家屋(30万円)+土地(30万円)=60万円(不動産取得税)
このケースでは、投資物件など自己居住用以外を目的として購入していますので、居住用家屋の特例は適用されません。
6. 不動産取得税を少しでも安くしよう!減免・減税制度
不動産取得税には減免・減税となる制度があります。
ここでは、不動産取得税を少しでも安くするための減免・減税制度について解説しましょう。
不動産取得税が減免・減税になる場合
不動産取得税が減免・減税になるためには、条件を満たしている必要があります。
ここでは、新築物件と中古物件に分けて解説していきましょう。
それぞれ土地と建物で要件が異なります。
新築物件の場合
新築の建物に関する減税措置ですが、下記の要件を満たすと固定資産税評価額から1,200万円を差し引くことができます。
●新築物件の場合、居住用を含む住宅全般に適用
つまり、自己用住宅だけでなく、セカンドハウス・賃貸用マンション(住宅用)などにも適用されるのです。
●課税床面積が50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上)240㎡以下
次に新築住宅を建築する対象の土地の場合、
不動産取得税から、「45,000円」もしくは「土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2×課税床面積×2(200㎡限度)×3%」
のいずれか多い金額を控除することができます。
この土地の軽減措置を受けるために必要な要件は下記の通り。
- 上記建物の軽減措置要件を満たしていること
- 土地を先行して取得した場合は、取得から3年以内に建物を新築すること
- 建物を先行して建築した場合(土地を借りるなど)、建物を新築した人が新築1年以内に土地を取得すること
中古物件の場合
中古物件の場合でも、要件を満たせば軽減措置が受けられます。
まず、建物については下記の要件を満たしている必要があります。
- 自己居住用、またはセカンドハウス用としての取得
(新築の要件と異なり、賃貸用マンションとして購入した場合は適用されません。) - 課税床面積50㎡以上240㎡以下
- 昭和57年1月1日以降に建築されたものであること、もしくは新耐震基準に適合していることの証明があるものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入していることを証明できるものであること
新耐震基準に適合しない住宅の場合、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施すると要件を満たせることがあります。
不動産の所在地である都道府県に確認すると良いでしょう。
この条件を満たすと、新築日によって決められた控除を受けられます。
都道府県によって多少異なることがありますので、中古物件を取得したときに都道府県に確認してみましょう。
次に、土地の軽減措置の要件を見てみましょう。
- 上記の建物軽減措置要件を満たしていること
- 建物より先に土地を取得した場合、土地取得日の1年以内に建物を取得
- 建物より後に土地を取得した場合、土地取得日前の1年以内に建物を取得
上記でご紹介したのは減税措置ですが、減免措置というものもあります。
例えば、災害によって失った不動産に代わって取得したものである場合や、不動産を取得した直後に災害によって損壊・滅失してしまった場合など。
この場合は、不動産取得税が減税となったり、免除となったりすることがあります。
7. 不動産投資における不動産取得税の還付方法
この項目では、不動産投資における不動産取得税の還付方法について解説します。
不動産取得税の還付対象となる物件
不動産取得税の還付対象となるのは、上記の不動産取得税の軽減措置要件を満たしている土地・家屋です。
土地・家屋それぞれの要件を確認して、申請を行いましょう。
不動産取得税の還付手続き方法
不動産取得税の納付通知書が届きますので、まずは納付書に従って税金を納めます。
その後、不動産取得税減額申請書と必要書類を提出することによって還付を受けることができるのです。
必要書類については都道府県によって異なりますので、詳細は都道府県税事務所に確認しましょう。
不動産取得税の還付が受けられる期限
通常、不動産を取得してから60日以内(都道府県によって異なります)に不動産取得申請書や不動産取得税減額申請書を提出。
しかし、こうした申請を忘れてしまい、届いた納付書通りに税金を納めてしまった場合でも上記の方法によって還付を受けることができます。
ただし、還付には起算日より5年以内という時効があります。
還付を受けるために、手続きはできるだけ早めに行いましょう。
8. 不動産取得税は経費として計上することが出来る?
不動産取得税は経費として計上することができるのでしょうか?
ここでは、経費にできる租税公課や計上するために必要なことについて解説します。
不動産を取得時に経費にできる租税公課
不動産投資において、経費にできるか否かは大変重要なことですよね。
ここでは、不動産を取得した時に経費にできる租税公課についてご紹介します。
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 収入印紙代
など
なお、登録免許税や不動産取得税は、居住用不動産としている場合は経費計上ができませんので注意しましょう。
経費として計上するには確定申告が必要
不動産取得税を経費として計上するためには、確定申告が必要です。
サラリーマンの方は、給与所得以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。
ですから、不動産投資を行って不動産所得が20万円を超えた場合は確定申告をしなければなりません。
そのときに、不動産取得税を経費として計上するためには納付書が必要ですから、紛失しないように大切にしまっておきましょう。
9. 忘れた頃にやってくる不動産取得税のことを忘れずに!
不動産を取得してから忘れた頃にやってくる「不動産取得税」。
要件に当てはまれば軽減措置が受けられますので、忘れずに申請をしましょう。
不動産投資にかかるその他税金については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
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みなさんもぜひ、お気軽にご質問ください。