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不動産投資の生前贈与は相続税対策になる?|生前贈与に関する4つのQ&A

不動産や現金などの相続を受けたら、税金を納めなければなりません。

しかし、誰でも余分な税金は払いたくないものですよね。

 

例えば父や母が親族が不動産投資を行っていて、相続を受ける場合ももちろん相続税を払うことになります。

そこで相続税対策を行うことが必要になりますが、その対策として有効とされるのが「生前贈与」です。

この記事では、はじめに不動産投資の贈与税について、次いで生前贈与が相続税対策になる仕組みを説明します。

1. 不動産投資の生前贈与は相続税対策になる?|贈与税の仕組み

不動産投資の生前贈与は相続税対策になる?|贈与税の仕組み相続税対策として有効とされるのが生前贈与ですが、この制度はどれほどの効果があるものなのでしょうか?

この項では、相続税と贈与税の仕組みなどを中心に話を進めていきましょう。

贈与税の課税対象になるのはどんなもの?

一般的に贈与税の課税対象になるものは、金銭に見積もることができる財産であり、次のようなものがあります。

  • 現金や預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • 貴金属
  • 株式や公社債などの有価証券
  • 古美術品や骨とう品
  • 借地権

また、通常価格よりかなり低い価格での売買や、親子間などで返済時期が決まっていない返済金なども贈与とみなされる可能性があります。

不動産投資で課税対象となるもの

不動産を購入したときには、不動産取得税と登録免許税がかかり、所有している間は固定資産税や都市計画税が…というように不動産投資ではたくさんの税金がかかってきます。

また、不動産を売却し利益が出ると譲渡税が発生し、相続をした場合には相続税、贈与した場合には贈与税がかかります。

 

それでは、不動産投資を行うことによりどのような税金を節税できるのでしょうか?

不動産投資においては、所得税と相続税の節税が可能となりますが、この記事では相続税及び贈与税について解説していきます。

暦年贈与とは?

暦年贈与とは、1年間に贈与を受けた財産が110万円以下であれば税金がかからない制度。

1人当たり110万円まで非課税であり、何人に贈与しても税金がかかりません。

たとえば、毎年3人の子供に10年間にわたって110万円ずつ贈与した場合には、3,300万円を非課税で財産移転できるので、大きな相続税対策になります。

ただし、毎年同じ時期に同じ金額での贈与があると「〇円を〇年の分割でもらう権利」とみなされ、その贈与金額に応じて贈与税がかかってしまう恐れがあります。(連年贈与といいます)
また、相続開始前の3年以内の贈与は相続税の計算対象になる場合が。
暦年贈与を考えている方は以上の点に注意しましょう。

相続時精算課税とは?

相続時精算課税は、60歳以上の父母あるいは祖父母から20歳以上の子や孫へ生前に財産移転し、相続が発生した段階で残っている財産を加え精算をする制度です。

相続時精算課税では2,500万円までは課税されず、超えた部分については20%の贈与税がかかります。

贈与した人が亡くなった時は、他の財産を加えた相続税額から、納付済みの贈与税を差し引いて計算。

遺産総額が相続税の基礎控除額以上になるときには、相続税を納める必要があります。

相続税とはどこが違う?

通常は被相続人が亡くなって相続が発生した時に税金を支払いますが、精算時相続課税は生前に財産移転をします。

お金が必要な若い世代に配慮し、高齢者から若い世代に財産の移転を積極的に行うことを目的に、相続時精算課税制度が生まれました。

この制度を利用する旨の届け出を出すと、暦年贈与への変更はできないので、選択にあたってはどちらが良いかよく考えることが必要です!

相続税と贈与税ではどちらが高い?

相続税の場合には、基礎控除額がありこれを越えなければ税金はかかりません。

法定相続人が一人の場合には、3,600万円の基礎控除があり一人増えるごとに600万円ずつ増えます。

すなわち3,600万円+600万円×相続人の人数=基礎控除額になるのです。

法定相続人 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

一方、贈与税の暦年贈与では、一人年間で110万円円が非課税。

そこで3人の子供に限度額いっぱいの110万円を20年にわたって贈与すれば、なんと110万円×20年×3人=6,600万円を無税で財産移転することが可能!

ただし、上述した「連年贈与」に当てはまってしまい、贈与税がかかる可能性もあるので注意が必要です。

相続税は基礎控除額までは非課税ですが、それを超えると10%~55%の相続税が掛かってくるので、うまく暦年贈与ができれば相続税の方が高いとも言えます。

 

不動産の相続税については以下の記事を参考にしてください。

関連記事不動産相続税はどれくらいかかる?|相続前に知りたい3つの事と注意点について

2023.04.08

2. 不動産の相続が節税に繋がる理由とは?

不動産の相続が節税に繋がる理由とは? 不動産を所有していると、相続をしたときに節税につながると言いますが、なぜでしょうか?

不動産は現金に比べて課税評価額が低い!

相続税を計算する場合に、現金や預貯金・株式などの有価書証券は時価で計算されます。

しかし土地および住宅などの不動産は、実勢価格より低い価格で評価されるのです。

建物の評価額

建物は固定資産税評価額となるので、建築価格の5~6割程度の評価に。

またマンションやアパートなどの建物の場合には、その評価額から借家権割合の3割(※1)を減額し、さらに空室の割合を減額できます。

これを数式で表すと

アパート等の建物評価額=固定資産税評価額×( 1-借家権割合(0.3)×賃貸割合(※2))

となります。

※1.国税庁が公示する財産評価基本通達により、一律3割と定められている。
※2.入居している部屋と空室の部屋の割合を言い、これを乗じることができる。

土地の評価額

土地の評価は、市街地の場合には路線価方式で評価され、路線価が決められていない土地については倍率方式で計算されます。

路線価では、公示価格の8割程度の評価となり、その土地にマンションやアパートを建てている場合には、2割程度の評価減。

また小規模宅地の特例に当てはまれば、さらに5割程度評価額を減らすことができます。

アパートやマンションなどの賃貸物件にある土地を貸家建付地と言いますが、これは次の計算式によって表せ評価を減じることが可能。

貸家建付地評価額評価額=評価額 ×(1-借地権割合(※3)×借家権割合(0.3)×賃貸割合 )

※3.地域により30%~90%と定められている。

シミュレーションで比較|アパート一棟の場合

例えば、子供1人が現金5,000万を相続した場合と、建築価格が2,000万円のアパートおよび時価3,000万の貸家建付地を相続した場合の相続税をシミュレーションしてみましょう。

現金で相続した場合

3,600万円までは非課税ですが、1,400万円については相続税速算表にあてはめると15%+50万円の相続税が掛かります。

したがって相続税は次のようになります。

(5,000万円-3,600万円)×15%-50万円(控除額)=160万円

不動産で相続した場合

アパート一棟を相続した場合には、まず建物部分と土地部分を分けて計算します。

建物部分は、アパートを建築価格の5割・賃貸割合を9割とし、前述の計算式にあてはめてシミュレーションすると、
2,000万円×(1-0.3×0.9)=730万円

土地部分については、時価の8割程度で評価されるので3,000万円×0.8で2,400万円となります。

借地権割合を8割・借家権割合を3割・賃貸割合を9割としてシミュレーションすると、2,400万円×(1-0.8×0.3×0.9)なので約1,881万円に。

不動産で相続した場合には、建物と土地を合計しても、基礎控除額内に収まり相続税が掛かることはありません。

3. 生前贈与に関する4つのQ&A

生前贈与に関する4つのQ&A それでは生前贈与について、よくある疑問点についてお答えしましょう。

【Q1】相続と贈与はどちらがオススメ?

ここまで相続税と贈与税について説明をしてきましたが、どちらがオススメなのでしょうか。

贈与開始から3年以内に相続が発生した場合

財産をもらって、3年以内に相続が発生した場合には相続税の対象となり相続税を支払わなければなりません。

但し、孫については、3年加算の規定は適用されないので、利用する価値は大いにあるといえます。

 

贈与の方が高くなる税金もある

相続税は一括で財産を移転する場合には、3,000万円+600万円×相続人の数の金額までは税金がかかりません。

例えば、妻と子供3人で相続する場合には、4,800万円までは非課税。

しかし、贈与の場合には下記の表のように税率が高く設定されています。

それゆえ暦年贈与を利用せずに、財産を一括で渡す場合には相続時精算課税制度を選択したほうが得であるといえます。

【贈与税速算表】

 基礎控除後の課税価格  税率  控除額
 200万円以下  10%
 300万円以下  15%  10万円
 400万円以下  20%  25万円
 600万円以下  30%  65万円
 1,000万円以下  40%  125万円
 1,500万円以下  45%  175万円
 3,000万円以下  50%  250万円
 3,000万円超  55%  400万円

【Q2】暦年贈与と相続時課税とはどちらがオススメ?

暦年贈与は、110万円までは非課税です。

したがって、長い年数をかけ少しずつ財産移転をする場合にはオススメの方法。

しかし一度に財産を移転し、その財産を有効活用したいと望む場合には、相続時精算課税を選択するほうが良いでしょう。

相続が発生した場合には、課税される可能性はありますが、財産を一括して移転できるという大きなメリットがあります。

【Q3】生前贈与は不動産を売却する前?後?

すでに述べたとおり、建物は固定資産税評価額で評価されるので、建築価格の5~6割程度となります。

また土地は、路線価あるいは倍率方式で評価されるので公示価格の8割程度の評価額に。

 

しかし、不動産を売却し現金で相続すると、現金がそのまま課税評価額となるため割高になります。

したがって、不動産を売却しないで相続し、相続税の申告期限より3年内に売却すれば特例を受けることができるので、税対策上からすればベターです。

【Q4】生前贈与はどこまでできる?兄弟や孫でもOKなのか

生前贈与は、配偶者や子供に限定されず、孫でも血縁関係のない人でも利用することが可能。

また、贈与の対象物は、現金のほかに有価証券や不動産などあらゆるものが対象になります。

4. 不動産投資の生前贈与は相続税対策に有効!

今解説してきたように、不動産投資ではうまく生前贈与をすれば税金を支払うことなしに、財産移転が可能です。

相続や贈与をするために不動産の購入・売却等をお考えの方は「MIRAIMOの無料オンライン相談」にお問い合わせをすることをオススメします。

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