不動産投資では何に、どれぐらいの資金が必要になるのでしょうか?
昨年末からの株式市況や長年続く超低金利では、どこに資金を回せばいいのやら投資家でなくとも頭を抱えてしまうのは当然。
ですが、大学生の就活報道をみても企業の採用意欲は強く業績がよさそうですし、今後も2023年の東京オリンピック・2025年の大阪万博が控えて好景気が続きそうとの予感があります。
そうであれば不動産投資の魅力は増すばかりですが、一度に使う金額が高く躊躇している方も多いのでは?
また超低金利とは借り手にとっては返済負担が少なくなる一方、貸し手にとっては一定の利益額を確保するには融資額を増やす必要があるので投資家にとって有利な環境とも言えます。
しかし実際に投資をするとなるとどれだけの融資が受けられるのか?
また自己資金をどれだけ用意しなければならないのか?など疑問は尽きないでしょう。
そこで今回は、不動産投資に必要な資金について解説していきます。
目次
1. 不動産投資は自己資金だけでやるよりローンを組んだ方が良い!
不動産投資ではローンを組んだ方が良いというのは業界の常識です。
不動産投資は数ある投資商品の中で、唯一ローンを利用することができる投資。
これは、不動産が現物資産であり担保能力を持つことによります。
そしてこのローンを活用して不動産投資を行う最大の魅力は、「レバレッジ(てこ)効果」を得られることです。
不動産投資はローンを組んで、レバレッジ効果が得られるのが最大の魅力
「レバレッジ」とは、てこの原理を意味する言葉。少ない労力で大きな力を生み出せることを意味します。
そして不動産投資における「レバレッジ効果」とは、少ない自己資金であってもローンを利用することで高額な不動産を購入することができ、それにより大きな投資収益を手に入れることができるということ。
このレバレッジ効果は、不動産投資の最大の魅力と言えるでしょう。
2. 不動産投資にはどれくらいの資金が必要になるのか?
そうはいっても、ある程度の自己資金は必要とお考えの方も多いはず。
不動産投資を始めるにあたってどの程度の自己資金が必要になるのか考えていきましょう。
自己資金とは
自己資金は「前もって自分で用意している資金のこと」と簡単に考えがちですが、頭金とどう違うのかとさらに問い詰められると困ってしまいます。
自己資金と頭金の違い
実は自己資金と頭金は違うので、明確に区別する必要があります。
まず頭金とは、「不動産物件を購入する時に、最初に用意する現金」のことです。
それに対し「自己資金」とは、頭金に不動産物件購入に際し必要な「諸経費」を加えたものなので、
「自己資金=頭金+諸費用」という式で表現するとわかりやすいでしょう。
自己資金は不動産購入費用の何%必要?
それでは不動産投資で自己資金はいくら必要なのでしょうか?
まず頭金の一般的な目安としては物件価格の10%程度が必要といわれています。
ただ不動産投資には投資物件に入居者がなく、家賃収入が途絶えてキャッシュフローが悪化するといった空室リスクをはじめ、様々なリスクがあります。
ローン比率が高いとこうしたリスクへの耐性が低くなるため自己資金(厳密に言うと手元資金)を用意するに越したことはありません。
そのため融資条件や投資物件によって幅がありますが、
ローン審査の通りやすさを考慮すると物件価格の10~20%の自己資金というのが一つの目安にはなるでしょう。
年収はどれくらいあるとローン審査に通りやすいのか?
金融機関としては確実に返済してもらうために借り手の信用力として最も客観的に評価できるのが年収になります。
この場合1部上場企業に勤めるサラリーマンや公務員は年収500万円であっても、年収1,000万円の中小企業のオーナーよりもローン審査が通りやすい傾向にあります。
理由としては仕事が安定して返済が期待でき、貸し倒れリスクが低いとみなされるためです。
このことから、ローン審査に通るか通らないかの基準は年収額ではないということがわかります。
1,000万円以上の自己資金はレバレッジ効果が薄れる
融資に難がある場合自己資金を多く用意すればいいと思う方もいるでしょう。
しかしそれでは上述のレバレッジ効果が薄れてしまいます。
3. 資金がないと不動産投資はできないのか?自己資金がない場合の投資方法
また別の例として、ローンは組めそう…でも自己資金がない。という場合の投資方法を検討してみましょう。
自己資金ゼロでも不動産投資ができるフルローンとは?
不動産投資に必要な物件の購入資金を全額融資のみで調達することをフルローンと言い、フルローンが組めれば自己資金ゼロでも不動産投資をすることが可能になります。
しかし、当然のことながら金融機関の審査基準はより高くなります。
フルローンで不動産投資をする場合は計画性が重要になる
審査基準としては投資家の実質的な純資産額や金融資産を重視する傾向がありますが、何より確実に融資資金が回収できる可能性が高いことを示す数値の裏付けが必要です。
将来の環境変化への対応もシミュレーションした、客観的で説得的な投資計画が重要といえましょう。
4. 不動産投資ロ-ンの審査で確認される内容
いずれにせよ不動産投資にローンは付きものなので、審査で確認される内容を前もって知っておく必要があります。
属性
ローン審査で問われるのは貸し倒れリスクであり、その判定基準は借り手の信用力ですが具体的には年収・勤務先・勤続年数・住所といった属性(個人情報)が大きく影響してきます。
したがって、過去のキャッシング履歴やカード支払い遅滞のある方は要注意!
物件価格が新築か中古か
双方を比較した場合、中古物件は融資期間が短い傾向があるため年間のローン返済負担額が大きくなります。
またキャッシュフロ-は小さくなるとともに、経年劣化で入居者が敬遠する空室リスクもあって将来的に家賃引き下げの可能性が高いので、融資額が減らされる傾向が。
購入物件の資産価値
不動産投資ローンは不動産事業により稼ぐための融資なので、信用力としては借り手の属性だけではなく物件の収益性が問われます。
それに加え、返済が滞った際の担保ともなるので購入物件の資産価値が重視されることを忘れてはなりません。
融資を受ける金融機関によっても審査の通りやすさが変わる
不動産投資ローンを受ける際はさまざまな金融機関がありますが、実際には借入金利水準と審査基準は相反します。
金利が低く審査が厳しいものから金利が高く、審査が緩い順にメガバンク<地方銀行<信用金庫<ノンバンクです。
不動産市況や金融政策によって変わる
かつてのバブルの経験から不動産市況が過熱すると融資は引き締められますが、金融政策によっても変わってきます。
日銀の超低金利政策の下で大幅に緩和された現状では、頭金必要額は大きく低下しているとみるべきです。
5. 自己資金を極力増やすために出来ること
自己資金がなくても不動産投資はすることが出来ますが、あって損はありませんよね。
ここでは、自己資金を増やす手法を考えてみましょう。
現在の支出を見直し、無駄遣いをなくす
一度すべての支出を家計簿にリストアップして確認すると、結構無駄なものがあるのに気づくかと思います。
特に現代社会では自分がかける手間を他人にやらせる「こと消費」額が増えているので、スタバでコーヒーを飲む代わりに自宅で淹れてポットを持参したり少なくとも回数を減らしてはいかがでしょうか。
給料の一部を強制的に貯金する
天引き貯金すると金融機関に足を運ぶ必要なく貯金できますし、
手取り額の減少によりその予算内でのやりくりが強制されることから、無駄な支出も無理なく減らせます。
生活する上で必要な固定費を見直しする
支出を見直せといわれてもその余裕は既にないというのが大方の感想でしょう。
時間外のATM利用があれば利用時間に気を付けたり、ネット決済といった工夫をして固定的と考えていた費用項目の見直しをしてください。
つみたてNISAで運用する
また同じ積み立て貯金するにも、NISAの活用で年間40万円までの運用益が非課税となるので、これを活用しない手はありません。
年に1度貯金の状況を確認する
金融商品は生き物なので、年に最低1度は貯金状況を確認して利回りのよいものに資金をシフトする癖をつければ、資金管理の関心も自然に身に付くというものです。
6. 低年収で資金が少ない場合におすすめする不動産投資法
実はさまざまな金融機関があるので、低収入だからとあきらめるべきではないことを説明しましょう。
政府系の金融機関から融資を受ける
日本政策金融公庫は営利組織ではなく、政府の政策目的に沿って融資する機関です。
女性・29歳まであるいは55歳以上の男性については、融資期間が他より5年長かったり金利が0.4%低いといった優遇措置があります。
低収入でも勤続年数や勤め先の信用で通る場合も
金融機関で審査基準が異なるのは設立目的が関係しています。
例えば地方銀行は地域経済の発展への寄与が目的なので、投資家の居住地が問われます。
同じ年収額でも、勤続年数や勤め先の信用で審査に通る場合があるので、複数の金融機関を回ることをおすすめします。
7. 不動産投資するのに必要な初期費用とは?
不動産投資というとどうしても金額のはる投資物件ばかりに注目が集まりますが、投資となるとそれ以外の費用負担を考慮に入れた冷静な判断が求められます。
不動産投資の場合、物件価格の7%前後といわれる初期費用について解説しましょう。
仲介手数料について
新築物件を直接建設業者から購入する場合は別として、投資物件を不動産仲介業者から購入するとしましょう。
400万円を超える物件については「売買価格の3%+6万円+消費税」の仲介手数料を支払う必要があります。
不動産取得税について
土地や建物を購入する際には「不動産取得税」がかかりますが、その税額は「課税標準額(原則として固定資産税評価額)の3%」とされています。
ただし、もともとこの税率は4%で、3%への引き下げ措置は2024年3月31日の取得までの暫定措置なので注意しましょう!
なお住宅の場合は一定の要件を満たせば、建物について軽減措置を受けられるものの、新築時期によって控除額が異なるので確認が必要です。
登記費用について
不動産(土地と建物)を購入すると、その物理的現況と権利関係を公示するために作られた登記簿への記入が必要となります。
要式性が極めて厳格であるため、司法書士に依頼して登記手続きを行うのが一般的です(9割を超えるといわれています)。
司法書士報酬の1例としてある近畿圏近郊都市で開業している司法書士さんを紹介すると以下のようになります。
- 所有権保存登記(新築物件等):3万円(課税標準額500万円以内、以後500万円増えるごとに5千円加算)
- 所有権移転登記(売買・贈与):3万5千円(課税標準額1,000万円以内、以後1,000万円増えるごとに5千円加算)
土地の所有権移転手続きで固定資産税評価額ないし課税標準価格の2%、建物の保存登記手続きは新築で同0.4%・中古で同2%の「登録免許税」を納めなければなりません。
印紙税
不動産取引に際して作成される契約書・領収書には記載された金額に応じて印紙税が課税され、以下のように定められています。
記載された金額 | 印紙税 |
500万円〜1,000万円 | 1万円 |
1,000万円超〜5,000万円 | 2万円 |
5,000万円超〜1億円 | 6万円 |
8. 不動産投資ではいくら資金が必要か?より計画性が重要
不動産投資が高額な買い物であることに変わりはなく、不動産会社だけでなく融資をしてくれる金融機関との打ち合わせを重ね、無理のない返済計画を立てることが必要です。
そのためには専門知識を有する信頼できるパートナーを選び、資金計画から具体的で綿密な投資計画を策定しなければなりません。
金融機関との相談の過程で計画自体を見直す必要もあることから、いくつかの数値例によるシミュレーションを予め自分で用意しておくとよいでしょう。
ただこうした複雑な問題に対応できる専門家は限られています。
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