不動産を購入するとき、必要になってくる「手付金」。
- 手付金はいつ支払うのか
- 申込金とは違うのか
- どのくらいの金額が相場なのか
など、不動産投資をする人は気になるところですよね。
そこで今回は、不動産投資における手付金についての疑問を一掃できるように、徹底的に解説していきます。
これから不動産の購入を考えている方はぜひ参考にご覧ください。
目次
1. 不動産投資の手付金とは「物件の契約の証拠金」
一般的に手付金は、不動産の売買契約締結時に買主から売主へ支払われるものです。
買主側の「この物件を購入します」という証拠になります。
物件を購入するまでには様々な手続きをしなければならず、1,2日では不動産は購入できません。
その間に買主に勝手に契約を解除されたらたまったものではありませんね。
そのために実際に不動産の代金の一部を支払うことで契約成立の証拠としているのです。
手付金と申込金との違い
前述した通り、手付金は「契約締結時に支払うお金」。
対して申込金は、「申込時(契約締結前)に支払うお金」、つまり仮押さえのためのお金です。
不動産投資をする人の多くは、銀行などでローンを組むでしょう。
ローンの本審査は不動産売買契約が締結されてから行いますが、銀行によっては売買契約前に事前審査を行うところがあります。
また、更地から新築するのであれば、土地に対して建物プランが入るかどうかなど契約締結までに検討しなければならないことがあるでしょう。
2. 手付金の相場と上限
それでは、一般的に手付金はいくらに設定されているのでしょうか?
不動産投資を行う上で、気になるところですよね。
不動産の売買代金により異なることがありますが、一般的に手付金は契約書に記載している不動産売買総額の10%程度が相場となっています。
あまりにも手付金の額が低すぎると簡単に手付解除ができてしまいます。
金額については不動産売買代金総額の10%を目安に、取引状況に応じて考えてみましょう。
売主が宅地建物取引業者である場合の規制
宅建業法では、売主が宅地建物取引業者(以下、宅建業者)である場合に手付金に上限を設けています。
宅建業者が売主の場合、売買代金の20%を超える手付金を受け取ることはできません。
手付金の保全措置
また、完成物件の場合は手付金が売買代金の10%を超えるもしくは1,000万円を超える場合、
建築中などの未完成物件では手付金が売買代金の5%を超えるもしくは1,000万円を超える場合、手付金の保全措置を講じなければなりません。
つまり、宅建業者が売主で受け取る手付金が上記の内容の場合、売主が倒産したときなどに備えて受け取った手付金の保全措置(=保険)を講じなければならないとしているのです。
3. 手付金には3種類ある
手付金は不動産投資において、売買契約締結時に支払うお金であることは先ほど記載しました。
手付金には3つの種類がありますので、それぞれ解説していきます。
①解約手付
解約手付は、条件を満たせば契約の解除ができる性質の手付金です。
契約時に手付金の種類を決めていない場合、基本的に手付金は「解約手付」となります。
その条件とは、
- 売主:手付金の倍額を買主に支払う
- 買主:手付金を放棄する
という内容。
しかし、手付金による解約ができるのは「契約の当事者からみて、相手方が契約の履行に着手するまで」と決められています。
②証約手付
証約手付とは、「売買契約が成立した証拠」という意味合いの手付金です。
③違約手付
契約に違反し相手方に損害を与えてしまった場合、損害賠償とは別に没収できる手付金です。
売主が違反した場合は手付金の倍額を買主に支払い、買主が違反した場合は手付金を放棄することになります。
解約手付と違約手付の違い
①解約手付と③違約手付について、支払い方が同じなので似ているように感じた人がいるかもしれません。
違約手付は「契約違反におけるペナルティ」という意味合いが強いものになります。
例えば
- 「物件の代金を支払ったのに引渡しをしてもらえない」
- 「所有権移転登記をしたのに代金が支払われない」
というのは債務不履行による契約違反です。
違約手付が設定されている場合は、実際の損害賠償に加えて支払わなければなりません。
一方で解約手付は、自分の都合で解約する場合に支払わなければならない性質のものです。
相手方が契約の履行に着手するまでと決められていますので、注意が必要です。
4. 手付金は売買代金の一部になる?
結論から言うと手付金は売買代金の一部に「充当する」ことができます。
不動産投資で物件を購入する際、売買契約書を取り交わします。
売買契約書の多くは、手付金の項目に「売買代金の一部に充当される」という内容が記載されています。
この「充当される」という表現がポイント。
契約締結時に手付金を支払った段階では、売買代金の一部を支払っていることになりません。
この段階では「売買代金の一部」ではなく、あくまで売主に預けている「手付金」です。
一般的な不動産売買契約では、残金決済時に売主に渡している手付金を差し引いた金額を支払います。
決済時に、手付金を「売買代金の一部に充当」して支払うという流れになるのです。
5. 手付金が用意できないと不動産投資はできないのか
それでは、手付金が用意できないと絶対に物件を購入できないのでしょうか?
そのようなことはなく、売主・買主双方が合意していれば、手付金がなくても契約は成立します。
ただし、手付金には「契約成立の証拠」「解約手付」などの意味が含まれているため、手付金ゼロという契約は売主側からすると不安でしょう。
どうしても手付金ゼロがいいという場合は、
- 手付金が支払えない理由
- 目的の物件を購入したいという強い思い
- 銀行との今後のスケジュール
などを仲介会社や売主に伝えて交渉してみるといいかもしれません。
6. 手付金を支払うタイミングと返還されるタイミング
手付金は原則、契約締結と同時に支払います。
本来、決済時に買主は売買代金全額を売主へ支払い、売主は預かっていた手付金を返還するという流れ。
しかし、一般的な不動産売買取引では、決済時に買主が売買代金から手付金額を差し引いて売主へ支払うという流れが多くなっています。
不動産投資をする人は、不動産売買契約書に内容が書いてありますので確認してみましょう。
7. 手付解除について
手付解除とは「解約手付」を交付した場合に、契約を途中で解除できるように定めたものです。
では手付解除はどのようにしたらよいのでしょうか?
ここでは手付解除について解説します。
契約解除の手続きには理由が必要?
手付解除は、どんな理由でも可能。
ただし、契約の当事者からみて「相手方が契約の履行に着手するまで」と決められていますので注意が必要です。
書面による通知は必要
手付解除をする場合、書面による通知が必要かどうかは、不動産売買契約書の中身を確認しましょう。
手付解除に関する条文の中に、「書面による通知が必要」である旨があれば、書面で行う必要があります。
特別取り決めがなければ口頭でも可能ですが、「言った言わない」といったトラブルを避けるためにも書面による通知を行うことがおすすめです。
契約解除には期限がある
前述した通り、契約の当事者からみて相手方が「契約の履行に着手するまで」と決められています。
「契約の履行に着手する」の定義
「契約の履行に着手する」とは具体的にどういった行為を指すのか、いくつか例を挙げてみます。
【売主側の例】
- 売買物件の全部または一部の引渡しをした
- 所有権移転登記が完了した
- 建築工事やリフォーム工事などを発注した
など
【買主側の例】
- 残代金の支払いをした
- 売買代金の全額を用意し、売主側に引渡しを催促する
など
物件の売却・購入に向けて動いている状況です。
相手方がここまでしていると手付による解約はできませんので、不動産投資をする人は覚えておきましょう。
融資特約による契約解除と手付解除は別もの
銀行などでローンを組んで不動産を購入する場合、契約書の条項の中に「融資未承認の場合の契約解除期限」という内容の記載があります。
これは消費者保護のためのいわゆる「ローン特約」と呼ばれるものです。
ローン特約による解除は手付解除とは別ものです。
万が一期日までにローンの審査が通らなかった場合、手付金は買主へ返還され契約は解除されます。
ただし、実際はローンの申込をしなかったなどの場合はローン特約の対象となりません。
不動産投資をする人は契約書に記載された期日までに融資の承認が得られるよう、余裕をもったスケジュールを立てましょう。
8. 手付金を理解してスムーズな不動産投資を!
不動産投資において、不動産売買契約にあたって手付金は欠かせません。
今回の内容を踏まえ不動産投資をされる場合は、手付解除の金額や条文・手付金の性質は何かなどきちんと確認して契約しましょう。
不動産売買契約書に記載されている内容は聞き慣れない言葉が多く、わかりにくいという人も多いでしょう。
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