根抵当権という言葉をご存知でしょうか?
住宅ローンを組んだ経験のある人なら、「抵当権」はご存知の人も多いでしょう。
では、抵当権に「根」がくっついた「根抵当権」とは、どういうものなのでしょうか?
不動産投資を行っている人や自営業の人などの、たびたび大きな資金が必要となる人は、根抵当権の仕組みを知っておく必要があります。
場合によっては根抵当権を利用しなかったばかりに、後から新たな融資を受ける時に、余計な手間やコストがかかることがあります。
今回は、抵当権と根抵当権の違いから、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
1. 抵当権と根抵当権の違いとは?
根抵当権も抵当権の仲間なのですが、3つの大きな違いがあります。
抵当権と根抵当権の債権の違い
抵当権と根抵当権の一番大きな違いは債権の違いです。
債権とは、お金の貸し借りをした場合、お金を貸した人(債権者)が借りた人(債務者)から、返済を要求できる権利のことです。
まず、抵当権の債権の特徴を以下にあげます。
万が一ローンの支払いができなくなったなった場合は抵当権に入れた土地建物は取り上げられてしまう。
例)ある人がマイホームを建てるために、A銀行から家と土地を担保に、○○万円(返済期日○年○月○日)を借りる。無事完済できれば、抵当権は抹消される。
これは、通常の住宅ローンの仕組みで、みなさんも馴染みがあるものだと思います。
一方、根抵当権の債権の特徴は・・・
例)ある会社が、3,000万円の価値がある不動産を担保に、運転資金として2,000万円を借りる。事業の調子が良くなり、さらなる事業拡大のために追加で1,000万円を借りる。
この場合、2回借り入れを行ったことになります。
しかし、根抵当権であれば、2回目に借りた場合も、3,000万円(借り入れ可能な最高額)の範囲なら、新たに抵当権を設定しなくても借り入れを行うことができるのです。
また、会社という所もポイントで、根抵当権は定期的に資金が必要となる自営業者や会社が主に利用しています。
根抵当権は、借り入れ可能な上限額の範囲なら、何度もお金を借りることができます。
抵当権と根抵当権の移転に伴う借主の承諾有無について
抵当権と根抵当権は、他の金融機関に移転する場合においても違いがあります。
例えば、経営が苦しくなった金融機関Aが、返済途中のローン(債権)を金融機関Bに売却したとします。
この場合、金融機関Bに抵当権、もしくは根抵当権も移転することになります。
抵当権の場合は、返済金額も返済期日も決まっているので、債権者が変わったからと言って借主(債務者)が不利益を被ることはありません。
しかし、何回も借り入れ可能な根抵当権の場合は、借主(債務者)は金融機関Aと契約したはずが、売却後は金融機関Bと交渉しなければならず、不利益が生じる可能性があります。
なので、借主(債務者)の承認なしには、根抵当権を移転することはできません。
根抵当権を移転する時は、借主(債務者)の承認を得る事が必要とされているのです。
抵当権と根抵当権の連帯責任者の設定可否について
借り入れ金額と返済期限が特定されている抵当権の場合は、連帯債務者は認められます。
しかし、借り入れ金額や返済期日が決まっていない根抵当権の場合は、連帯債務者を設定することは認められていません。
2. 抵当権のメリットとデメリットについて
住宅ローンでもお馴染みの抵当権は、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
抵当権のメリットとは?
これは、不動産担保ローン全般に言えることですが、不動産を抵当権設定してローンを組むと、無担保ローンよりも高額な融資を低金利でうけることができます。
物件を売却する時、登記簿に抵当権が設定されているままでは、買主側がローンを組むことができません。
売却したり新たにローンを組む場合は、抵当権を抹消しておく必要があります。
抵当権の場合、ローンを完済すれば、金融機関から抵当権抹消に関する書類が送られてくるので、その書類を持って法務局で抹消手続きを行うことができます。
抵当権のデメリットとは?
抵当権は、あらかじめ決まった1つの債権を担保とするものです。
新たに融資を受けたい場合は、金融機関に申請し、審査を受ける必要があります。
また、抵当権を設定・抹消登記をするには費用がかかるので、複数回融資を受けたなら、その分費用と申請の手間がかかることになります。
3. 根抵当権のメリットとデメリットについて
上限額以内なら何度も融資を受けることができる根抵当権には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
根抵当権のメリットとは?
根抵当権を一回設定すると、金融機関に追加融資を依頼して許可が下りれば、抵当権を設定することなく融資を受けることができます。
抵当権設定登記を行う手間と、それに伴う登記費用も省くことができます。
根抵当権のデメリットとは?
根抵当権の極度額(融資可能な上限額)が1億円だった場合、たとえ1,000万円しか借りていなくても、1億円の融資を受けているとみなされます。
なので、1番抵当に根抵当権が設定されていると、他の金融機関のローン審査に通りにくくなります。
手間を省いて追加融資を受けることができる根抵当権ですが、抹消する時はやや手続きが面倒になります。
抹消する時は、借入返済を行う必要があります。しかし、借入金をまとめて返済すると、高額な違約金や手数料が発生する場合があります。
また、金融機関側は何回も融資ができる大口取引先を逃すことになるので、抹消手続きに対して消極的傾向であることも事前に頭に入れておく必要があります。
4. 抵当権と根抵当権ではどちらがいいのか?
では、抵当権と根抵当権のメリット・デメリットを把握した上で、融資を受ける場合はどちらがいいのでしょうか?
根抵当権は手間がかからない
根抵当権・抵当権を設定する際は、必要書類の準備や司法書士への依頼など、何かと手間がかかります。
根抵当権は、1回設定すれば金融機関が承認するだけで追加融資を受けることができますが、抵当権の場合は、融資のたびに抵当権を設定しなければなりません。
複数回融資を受ける場合は、手間がかからないのは根抵当権ということになります。
コスト面を考えると根抵当権がおすすめ
抵当権・根抵当権を設定する場合、以下のコストがかかります。
- 登録免許税
借入額 × 0.4% ※根抵当権の場合は極度額 × 0.4% - 司法書士への報酬
3万円~10万円程度
借入額が3,000万円の場合、抵当権を設定するのに15万円~20万円かかることになります。
抵当権を設定するたびに10万円以上のコストが発生することを考えると、根抵当権に軍配があがります。
根抵当権は一つの不動産に複数の抵当権が設定できる
根抵当権は、将来的に繰り返される複数の債権に対して、抵当権を設定することができます。
不動産投資の場合、根抵当権の極度額の範囲内であれば、複数の物件購入、大規模修繕用に融資も受けることができます。
5. 抵当権と根抵当権の違いを知り、自分に合った方を選んでローンの借入を行おう!
通常のマイホーム購入では根抵当権という選択肢を考える必要はありませんが、自分が事業を行う場合や不動産投資で所有物件を増やしていく計画がある人にとっては、根抵当権は選択肢の1つとなります。
不動産担保ローンを組む時は、抵当権と根抵当権の違いを理解して、自分の資金計画に合った抵当権の設定を選びましょう。
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