みなさんは、不動産を購入する際に発生する権利をご存知でしょうか。
聞きなれない言葉で、知っている人は少ないと思いますが、その権利には抵当権と根抵当権というものが関わってきます。
自宅物件の購入や不動産投資取引をするときに、住宅ローンや不動産担保ローンなどの融資を受けます。
その時には必ず抵当権か根抵当権の担保を設定されます。
抵当権とは、住宅ローンなどで家や土地を担保にしてお金を借りる際に設定される権利のことをいい、仮に債務者が家に住み続けているにも関わらず、ローンが返済されなかったときに、債務者である銀行は担保である家から優先的に返済を求めることができます。
それに加え、抵当権の一種である「根抵当権」では、土地や建物などの不特定多数の債権を担保するために、限度額の範囲内で何度でもお金の貸し借りができるのです。
今回はその根抵当権の中の元本確定に関して簡単に解説をしていきたいと思います。
根抵当権を設定している人は、不動産を所有していることがほとんどです。
今後、飲食店を経営したいと考えている人やアパレルショップなどを経営したいと考えている人に関わってきます。
そのとき、元本確定が必要になってくる場合があるので一緒に学んでいきましょう。
目次
1. 根抵当権の元本確定について
それでは、根抵当権の元本確定についてお話していきたいと思います。
ここからは、民法も関わってきますので少し難しいかもしれません。
少しずつでいいので、何度も読み返し理解していきましょう。
根抵当権の元本確定って何?
元本確定とは、根抵当権を設定した時に、この金額まで貸し借りが可能という極度額を決めるものです。
元本確定をすることによって、根抵当権は普通抵当権と同じ扱いになります。
具体的にお話しすると、根抵当権をやめる場合、やめる時点でどれくらいお金を返済する必要があるのかをハッキリさせるのです。
この額(債権)の返済が終わったら根抵当権の権利がなくなる、というイメージを持っていただければ問題ありません。
元本が確定すると抵当権と同じになる
元本の金額が決まると、根抵当権は抵当権と同じ扱いになります。
なぜなら、元本確定とは「いつ」までに「いくら」の返済の義務を決めるので、それ以降は新しくお金の貸し借りをしないからです。
例えば、極度額を2,000万で設定していた場合には、2,000万までの貸し借りは何度でも可能になります。
元本確定したということは通常の抵当権と同じになるため、500万借りて返済した場合、限度額は残りの1,500万になるのです。
これが0円になってしまえば貸し借りはできなくなります。
根抵当権の元本確定事由
元本確定事由とは根抵当権の元本が確定する理由のことを指します。
お金を貸す側である根抵当権者にすると、いくらでも貸していいわけではないので、元本を確定しておきたいのです。
元本確定をするための元本確定事由は全部で10種類あるので紹介します。
1、元本確定の定めていた期日が来たとき
確定日⇒確定期日
2、6ヶ月間、合意の登記をしなかったとき
確定日⇒相続開始日
3、合併を理由に確定請求したとき
確定日⇒合併した日
4、会社分割を理由に確定請求したとき
確定日⇒会社分割した日
5、期日の定めがなく、設定から3年経過後に設定者が確定請求したとき
確定期日⇒確定請求から2週間過った日の翌日
6、期日の定めがなく、根抵当権者が確定請求したとき
確定期日→確定請求の到達日
7、根抵当権者が根抵当権を実行したとき
確定期日→申立てされた日
8、根抵当権者である租税機関が滞納処分による差押えを行ったとき
確定期日→滞納処分された日
9、第三者が競売手続きを開始したとき
確定期日→根抵当権が差押えを知ったときから2週間経った日の翌日
10、債務者か設定者が破産したとき
確定期日→破産手続開始の決定日
根抵当権は一度元本確定してしまうと撤回する事ができない
不動産所有者と債権者との間で根抵当権の元本が確定してしまうと、それを抹消することはほぼできません。
元本確定をすると様々な権利に対しての関係が成立してしまいます。
それを抹消してしまうと経済的に大きな損失を負うことになるので、実行しにくいのです。
したがって、もしまた根抵当権を設定したいと思ったときは、再度根抵当権を登記することをおすすめします。
2. 元本確定の手続き方法について
次に、元本確定の手続き方法をお教えします。
元本確定の手続き
元本確定の手続きを行う場合には上記の「元本確定事由」のいずれかに当てはまれば、手続きすることが可能です。
基本的には根抵当権の元本確定を請求する内容が書かれた文書を内容証明または配達証明郵便にて設定者に送ります。
この郵便が設定者に届くことによって元本確定の効果が生じるのです。
手続き自体はこんなに簡単なのです。
登記手続
元本確定登記の手続きは、根抵当権者の単独申請ですることになります。
しかし、根抵当権の元本が確定しても前もって元本確定の登記申請をしなければ、元本確定を前提としたその後の登記申請ができません。
登記申請には、上記の確定事由から虚偽の申告を防ぐために、根抵当権者と設定者の両者で行う共同申請と、
根抵当権設定者に破産したなどの元本確定登記に協力できなくなるなど何かしらの問題が生じた場合に、根抵当権者が設定者との相談がなくてもできる単独申請の2種類があります。
根抵当権者と設定者が前もって元本の確定期日を決めていた場合、共同申請の元本確定登記が求められるため、設定者にも申請の協力をしてもらう必要があります。
単独申請の場合には根抵当権設定者あてに、元本確定請求の通知書を配達記録付内容証明郵便で送るだけで大丈夫です。
ただ、元本確定事由の中には元本確定の登記申請と一緒に根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記の申請をされることが条件とされているものもあります。
その場合には、元本確定の登記申請を受けることができませんので気を付けてください。
3. 根抵当権の変更について
根抵当権の設定内容は、元本確定前であれば
- 「極度額」
- 「被担保債権の範囲」
- 「債務者」
- 「元本確定の期日」
の4つの中で変更が可能となっています。
その中でも、元本確定後であっても利害関係者の承諾があれば、「極度額」の変更は可能になっています。
ここで、この4つがどのような時に変更が可能かを分かりやすく表にまとめたので参考にしてください。
変更可能な時 | 利害関係の承諾の有無 | ||
元本確定の前 | 元本確定の後 | ||
極度額の変更 | 〇 | × | あり |
被担保債権の範囲の変更 | 〇 | × | なし |
債務者の変更 | 〇 | × | なし |
元本確定の期日変更 | 〇 | × | なし |
4. 根抵当権を選ぶ場合は元本確定について良く理解した上で契約しよう!
例えば金融機関と不動産会社との間で、初めから2年契約で根抵当権を設定しており、設定期間満了になった時や、他の融資の返済が滞り担保不動産を強制的に競売にかけた代金から融資したお金を回収したいような場合、元本確定をしていなければ大きな損失を負ってします。
このことからも分かるように、もし今後飲食店を経営したり事業関係で不動産を持ち根抵当権を設定するときには、元本確定の理解は必要不可欠です。
多くの人は根抵当権やその元本確定を理解することができず、途中で投げ出してしまうことが多いと思います。
上手に不動産投資を行う為には根抵当権の担保・元本確定・抵当権と根抵当権のそれぞれの違いなども含め理解して契約する必要があります。
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