アパートや賃貸マンションを経営している人のなかには、いずれは起業してみたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
しかし、どのような業種を選べばよいのか悩みますよね。
実は、一般的に飲食店がオープンしやすいといわれているのです。
たとえば、芸能人やプロ野球選手が飲食店の経営を始めたというニュースをよく耳にすることがあります。
しかし、その後の経営状況までは、なかなか伝わってきません。
実は、ほとんどの店が廃業しているというのが実態のようです。
データによると、開業して10年目に生き残っている店は5%程度だともいわれています。
しかし、成功できないと決め込むのは考え物でしょう。
不動産投資として飲食店を経営するためには、「投資回収」と「生存率」の2つのワードがポイントになるのです。
今回は飲食店の投資にかかる費用や成功させるポイントなどを解説していきます。
目次
1. 飲食店の開業に必要な費用はどれくらい?
不動産投資をするにあたって、アパートや賃貸マンションについては、おおよその費用は把握できるでしょう。
ところで、飲食店を開業するための費用はどれくらいかかるのでしょうか?
店舗物件に関する費用|店舗取得費や工事費など
飲食店のような店舗を開業するときに必要となる費用は、店舗を賃貸するとしても家賃や仲介手数料(家賃の1カ月分)の他に保証金を支払わなければなりません。
この保証金の額が少なくとも家賃の10カ月分は必要になるのが一般的です。
店舗を借りるだけで、たとえば家賃が20万円であれば240万円必要になるのです。
さらに、内装工事や厨房の設備などが必要になります。業種により異なりますが、小さな店でも200万円程度は必要でしょう。
もちろん、こだわりがあればさらに増えることになります。
物件を借りる場合|スケルトンor居抜き
物件を借りる場合には、2通りの借り方があります。内装などに手が付けられていない「スケルトン」という物件と内装や厨房設備がそのまま使える「居抜き」という物件です。
物件により内装工事などの負担が異なります。
本来、退去するときには内装をすべて撤去してスケルトンの状態で明け渡すのですが、新しい借主が現状のままでもかまわないといえば居抜きの状態になります。
新旧どちらの借主も工事費用などを省略できる有効な方法です。
店舗運営に関する費用|設備代・備品代など
店舗を運営していくには、設備代や備品代が必要になります。
業種により異なりますが、小さな店でも設備や備品の購入費用として、100万円から150万円は準備する必要があるでしょう。
会社設立に関する費用|法人化
初めて商売をするのであれば、法人化してもそれほどのメリットはないかもしれません。
たとえば、法人のほうが個人よりも信用が厚く銀行融資も受けやすいような気がするのですが、実際のところ開業してすぐに法人化しても特に信用を得ることはできないでしょう。
銀行にしても、開業したてであれば法人であるかどうかではなく、過去の実績に応じて融資を検討します。
法人であれば、万が一倒産しても社長個人には責任がないと思われがちですが、その対策として銀行は法人へ融資をする際は社長個人を連帯保証人にするのが一般的です。
節税については、個人であれば所得が高くなるほど税額が増えますが、資本金が1億円未満の法人であれば税率がほぼ一定になります。
したがって、個人の税率が法人の税率を超える社長の年収が900万円程度になる頃を目安として法人化を検討することになるでしょう。
会社設立にかかる費用は以下参考(株式会社を設立する場合、おおよそ必要とされる費用です)
株式会社(定款作成および設立登記費用) |
公証人の手数料…50,000円
謄本代…2,000円 印紙代…40,000円 (電子認証であれば不要) 登録免許税…150,000円 (資本金の1,000分の7が150,000円を超えれば1,000分の7の額) |
2. 飲食店に投資した費用は何年で回収できる?
飲食店開業時には、初期投資として多くの費用を投じます。その初期費用を何年で回収できるかが、成功のポイントになるのです。
最近は、時代が経過するサイクルが早いといわれます。
つい、この間まで流行っていたことが、今は誰も見向きもしないということが少なくありません。
そこで、商売を始めるときの回収年数も早いサイクルを意識しなければならないでしょう。
一般的に初期費用を回収する期間として、3年から5年を目指す必要があるといわれています。
周辺環境の移り変わりが早いので、いつライバル店が現れるか分からないからです。
回収年数の計算式|投資額÷利益
回収年数の計算の仕方をご紹介しましょう。計算式は「回収年数=投資額÷利益」になります。
たとえば、投資額が600万円で年間利益が300万円の場合をシミュレーションしてみましょう。
回収年数のシミュレーション |
600万円(投資額)÷300万円(年間利益)=2年(回収年数) |
投資した費用の回収にかかる年数が短いということは、早くから回収後の利益を自由に使うことができます。
店舗を増やしたり、他の物件に投資したりするなど、さまざまな活用が可能です。
問題|それだけの売上が確保できるか?
回収年数の計算自体はとても簡単なのですが、実行することがとても難しいといえます。
なぜなら、予定した売上をキープすることが経営のうえでもっとも苦労するポイントだからです。
3. 飲食店の生存率は?
飲食店の生存率とは、開業してから廃業するまでの年数と割合を示したものです。
たとえば、「2年後50%」であれば、開業してから2年で生存している店が半分になるという意味です。
調査の仕方により異なるのですが、一般的に次のようにいわれています。
飲食店の場合、生存率は「2年後50%」「5年後40%」「10年後5%」くらいになるそうです。
2年後の50%はともかく、10年後の5%はとても厳しい数字だといえるでしょう。ほとんどの店が閉めてしまっているのです。
4. 飲食店への投資を成功させるコツ3つ
飲食店を成功させるためには、アパートや賃貸マンションに投資するよりも複雑な経営手腕を問われます。
そこで、飲食店への投資を成功させるための3つのコツをご紹介しましょう。
①事業計画をしっかりと立てる
小さな店でもしっかりとした事業計画を立てないと経営は成り立ちません。
以前、飲食店では日銭を稼ぐことができるので「ドンブリ勘定」といわれる、大雑把な計画でも通用した時代がありました。しかし、時代は変わっています。
目標を設定しないことには、どこにたどり着けばよいのか分かりません。
あらかじめ、事業計画を設定することで目安ができるのです。経営とは、数字がポイントになります。
何を増やして何を減らせば利益に結びつくのかを事業計画により明らかにしておくのです。
②自分に合った立地で開業する
飲食店を開業するためには、立地がとても重要になります。
たとえば、表通りに店があれば、立ち寄る人も多いでしょう。しかし、裏通りでは誰も気が付かないかもしれません。
広告を出したり、ビラを配ったりと余計な手間がかかります。
また、集まる人に応じたメニューを提供することもポイントでしょう。
たとえば、サラリーマンが多い地域であれば、ランチメニューに力を入れるなどの工夫が成功のカギになります。他店との差別化が成功のポイントです。
③繁盛店のリサーチを行う
繁盛している店は、何らかの秘密があるはずです。当然、リサーチが必要でしょう。
内容をデータで残すことが大切です。収集した情報をいかに活用するかということにつきます。
リサーチ内容を自分の店に合わせて取捨選択することが繁盛するための近道なのです。
5. 飲食店への投資は不安定|成功には入念な計画と準備が欠かせない
飲食店を経営するためには、入念な事業計画や準備が欠かせません。
アパートや賃貸マンションを経営してきたから大丈夫というわけにはいかないでしょう。
計画性が希薄で数字に弱いという人には飲食店経営はおすすめしません。
飲食店経営は、物件・運営・設立についての費用の把握や初期費用の回収年数も押さえておく必要があります。
さらに、飲食店の生存率の現実も理解しておかなければなりません。
不安定な要素の強い飲食店経営を成功させるためには、万全なリスク対策と準備、計画性をもって臨みましょう。
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