不動産投資を考えた時、海外不動産投資を視野に入れている人も多いのではないでしょうか?
著しい経済成長率と人口拡大を続ける新興国や、安定的なインカムゲインを狙える先進国での不動産投資は国内不動産投資にはない魅力があります。
しかし、海外不動産投資を考えた時、まず頭に浮かぶのがどうやって資金を調達するのかという疑問ではないでしょうか?
「海外不動産投資で、はたしてローンは組めるのか?」
「金利が高すぎてレバレッジが効かないのでは?」
「海外の金融機関で組むのは危険?」
国内不動産投資で融資を引くのとは違い、海外不動産投資の融資に関してはまだまだ疑問点も多いと思います。
そこで、この記事では海外不動産投資をする場合のローンの組み方と各ローンのメリット・デメリットを解説していきます。
目次
1. 海外不動産投資最大のデメリット|ローン問題
海外不動産投資をする時に、最大の壁となるのがローン問題です。
国内の金融機関で海外不動産投資のローンを組めるところは限られており、あったとしても国内不動産投資に比べて審査条件が厳しくなります。
海外の金融機関でローンを組む場合は、フルローンはまず不可能で借り入れ額が60~70%が限度、ある程度の自己資金が必要となるケースが多いです。
また、日本に比べ海外金融機関のローンは金利が高く、先進国では5%前後、さらに新興国では10%を超える国もあります。
海外で賃貸経営をする場合、想定利回りよりも借り入れ金利の方が高くなり、逆ザヤ(本来の状態とは反対になること)になってしまう可能性があります。
海外不動産投資はローンに制約があるため、国内不動産投資のようなレバレッジが効かせにくいというデメリットがあります。
2. 国内で組めるローン4つ|特徴とメリット・デメリット
2023年7月時点で、日本国内で海外不動産投資用ローンが組める金融機関を4つご紹介します。
①日本政策金融公庫|海外展開・事業再編資金
日本政策金融公庫は、100%政府出資の政策系金融機関です。
- 民間の金融機関よりもローンを組みやすい
- 低金利でローンが組める
- 長期ローンを固定金利で組める
といった特徴があり、以前からレバレッジを効かせたい不動産投資家には人気の金融機関です。2016年あたりから海外不動産投資でも利用できるということが知られるようになりました。
海外不動産投資に利用できるのが、その中の「海外展開・事業再編資金」です。
利用できる人 | 事業経営上、海外展開を図る必要がある個人・法人 |
融資限度額 | 7,200万円(設備資金:2,800万円 運転資金:4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内 運転資金:7年以内 |
金利 | 1.16%〜2.25% 無担保の場合2.06~2.55 |
金利種別 | 固定金利 |
担保 | 要相談 |
担保不要で低金利だが審査は厳しい
投資用資金ではなく、あくまで事業用資金として貸し出すので、プレビルド案件(建設前の物件)への融資は難しく、審査にあたっては不動産賃貸事業としての事業計画書の提出が必要です。
メリット・・・担保なしで金利が2%代の融資が受けられる。
デメリット・・・国内不動産を担保に設定しないと審査が通りにくい。プレビルド案件では融資が下りない。
②日本保証・西京銀行|海外不動産担保ローン
2023年12月から、株式会社日本保証と西京銀行が提携して「海外不動産担保ローン」を開始しました。
ローン内容で他の国内金融機関との大きな違いは、現地の不動産を担保として設定できること。海外の不動産は担保に設定できないという、今までの常識をくつがえす内容となっています。
利用できる人 | 海外の不動産投資物件を購入する個人・法人 |
融資限度額 | 1,000万円~5億円 |
返済期間 | 20年以内 |
金利 | 2.80% |
金利種別 | 変動金利 |
担保 | 海外不動産(アメリカの一部地域) |
注意点 | 家屋・測量・鑑定調査費用と保証料が必要 |
場所さえ合えば金利2.8%は魅力的
西京銀行の海外不動産担保ローンが担保として設定できるのは、今のところ以下の地域の不動産です。
- ハワイ州オアフ島
- テキサス州ダラス・ヒューストン・アーリントン
- ネバダ州ラスベガス
今後、カリフォルニア州も対象エリアに拡大する予定とされています。
メリット・・・アメリカの現地金融機関でのローン金利は4.7~4.8%程度なのに対して、金利2.8%という低金利でローンが組める。
デメリット・・・アメリカの一部のエリアの不動産しか担保にできない。保証料や家屋調査費用が別途必要。
③オリックス銀行|不動産担保ローン
オリックス銀行でも海外不動産購入に利用できる「不動産担保ローン」を展開しています。
ローン内容は、首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産を担保に、最大2億円まで借り入れることができます。
利用できる人 | 海外不動産・別荘・太陽光設備・賃貸用不動産を購入予定の個人 |
融資限度額 | 1,000万円~2億円 |
返済期間 | 35年以内 |
金利 | 固定金利:3.30~3.50% 変動金利:3.675% |
金利種別 | 変動金利・固定金利 |
担保 | 首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産 |
条件クリアで長期ローンも可能
金利3%代で長期ローンが組めますが、融資条件は厳しめです。
首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市という限定された地域に不動産を所有しており、かつ年収700万円以上という条件をクリアすることが前提となります。
メリット・・・金利3%代で海外不動産投資ローンとしては比較的低金利。最大35年の長期ローンが組める。
デメリット・・・担保にできるのは首都圏・近畿圏など限定された地域の不動産に限定されている。年収などの審査条件が厳しい
スルガ銀行
2024年にシェアオフィス問題で審査書類改ざんが明るみになったスルガ銀行ですが、問題前は海外不動産投資へのローンに対しても条件が緩めで積極的な姿勢をとっていました。
スルガ銀行には、有担保・無担保ローンがあります。
無担保で組めるローンは、金利3.6~14.9%で最高限度額800万円(増額は要相談)となっており、レバレッジを効かせるには厳しい内容になっています。
有担保のフリーローン「アセットプラン」・「アセットプラン・プラス」は、以下の内容になっています。
利用できる人 | フリーローンなので教育資金・借り換えと使い道は自由(事業資金はNG) |
融資限度額 | アセットプラン:100万円~2,000万円 アセットプラン・プラス:2,000万円~1億円 |
返済期間 | アセットプラン:20年以内 アセットプラン・プラス:30年以内 |
金利 | 不明 |
金利種別 | 変動金利 |
担保 | 土地、建物など不動産 |
今後は厳しくなる可能性
スルガ銀行は、2024年5月に一連のシェアハウス問題での経過と今後の対応についてHP上で発表しています。
不動産担保ローンにおいて不動産の販売業者は融資先ではありませんが、今般の事案を受け、自社での調査能力を拡充させるなど質的な改良を加えつつ、外部調査機関も活用することによりさらなる厳正化を図ります。
また、審査機能を強化するとともに、営業部門内にも営業推進と業務管理の双方を統括する責任者を配置いたしました。
各営業店においては、所属長が規程に則ったプロセス管理を厳正に行なうことで、初期の与信管理を徹底し、自律的統制機能を強化しております。
スルガ銀行は今後融資を行うにあたって、融資希望者だけでなく不動産販売業者の調査の厳正化も図るとのことです。ローンの審査条件が厳しくなることだけは間違いありません。
3. 海外でローンを組む場合
ここからは、海外でローンを組む方法をご紹介します。
現地のローンコンサルタントに相談する
日本人が海外の金融機関のローンを組む場合は、直接金融機関に行くのではなく、ローンコンサルタントを通して融資付けを行うのが一般的です。
金融機関からの成果報酬モデルで働くローンコンサルタントであれば、融資希望者からお金を取ることもなく、必要書類や申請方法を丁寧に教えてくれます。
通常は、不動産会社から紹介されることが多いですが、web上で自分で探すことも可能です。
日本語の税務書類を元にローン申請を行わなければならないので、日本人、もしくは日本人への融資付け実績があるローンコンサルタントだとベストです。
HSBCマレーシア
日本人が海外で比較的有利な条件でローンを組みやすい金融機関として「HSBCマレーシア」が挙げられます。マレーシアで不動産投資を行う多くの日本人に利用されています。
HSBCは、香港上海銀行を母体とした世界中で71か国に支店を持つ世界最大級の銀行です。
HSBCの各国の銀行で「プレミア口座」と呼ばれる富裕層向け口座を開設すれば、口座のある国での住宅ローンを有利に受けることができます。
このプレミア口座を開設するには、ある一定額の預金をしなければなりません。その預金額は国によって大きく変わります。
各国のHSBC銀行名 | プレミア口座開設最低預金額 |
HSBCマレーシア | 20万リンギット(540万円) |
HSBC香港 | 100万香港ドル(1420万円) |
HSBCフィリピン | 400万ペソ(840万円) |
HSBCシンガポール | 20万シンガポールドル(1650万円) |
(2023年7月現在)
HSBCマレーシアは、他の国に比べてプレミア口座を開設するための資金が格段に安いことが分かります。
融資は最大でも85%
マレーシアのHSBC銀行でプレミア口座を開設すると、ローン申請者の資産状況や担保評価額によっては、購入金額の最大85%まで融資を引くことができます。
たとえ現地銀行でローンを組めたとしても融資額が最大50%~60%しか引けないことも多い中、HSBCマレーシアの最大85%の融資はかなり好条件と言えるでしょう。
また、マレーシアでプレミア口座を持つと、他国のHSBCプレミア口座間の送金手数料が無料となります。
海外に行く機会が多い人や、海外での不動産投資の拡大を視野に入れている人も作っていて損はない口座です。
4. フリーローンを利用する|メリット・デメリット
海外不動産投資の資金を調達する方法として、消費者金融から融資を受けるキャッシングや銀行のフリーローンを利用する手段もあります。
メリット|用途は自由
フリーローンは基本的に使途が限定されていないので、審査さえ通れば自由に使えるというメリットがあります。
デメリット|金利が高い
デメリットとして、使途が自由ということで融資を出す側のリスクが高まるので、不動産投資専用ローンと比べて相対的に金利が高くなります。
また、新規の借り入れで高額な融資を引き出すことは厳しく、消費者金融からの借り入れには貸出規制がかかるので、融資額の限度は年収の3分の1までとなります。
海外不動産購入資金の大部分をフリーローンでまかなうことは現実的に不可能で、多額の融資が引き出せたとしても金利の高さにより利回りが悪化する可能性が高まります。
自己資金をある程度用意した上で、不足分をフリーローンで補うくらいに考えた方が賢明です。
5. 海外不動産のローンを組むのは国内か現地か|状況に合ったローンを選ぼう
海外不動産のローンは、国内の金融機関で組むなら海外と比べて低金利で長期ローンを組むことも可能ですが、為替リスクを抱えることになります。
また、海外の金融機関でローンを組む場合は、ある程度の自己資金が必要とされます。しかし、現地や他国の不動産の拡大を視野に入れるなら、後々有利に働く場合もあります。
海外不動産のローンを国内・現地のどちらで組むのかは、自分の資産状況や投資戦略に合わせて判断しましょう。
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