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耐震等級って何?1~3の等級について簡単解説!|耐震基準のポイントを紹介!

「耐震等級」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

日本は地震が多い国なので、住宅を選ぶときには耐震性を気にする人は多いです。

ただ、耐震性に関しては、耐震・制振・免震などの構造を気にする人や、物件があるエリアの地盤を気にする人はいても、耐震等級を気にする人は意外と少ないのではないでしょうか?

これは、不動産投資の一環としてアパート経営をする人などにも同じことが言えます。

もちろん、構造やエリアの地盤なども耐震に関しては重要な要素です。

しかし、1~3まである耐震等級も地震に対して分かりやすい指標であり、地震を気にする人にとっては耐震等級が高い方が安心できるでしょう。

不動産投資に関しても、耐震等級が高い方が入居率は高くなるかもしれません。

とはいえ、建築費用が上がるなどの弊害もあるので、その点も良く考え上で耐震等級は決めるべきです。

今回は、そんな耐震等級に関して、等級の違いによる耐震性の違いなどを含め、詳しく解説していきます。

1. 耐震の等級って何?

ご存知の通り日本は「地震大国」と言われており、活断層の数は2,000か所以上も存在しています。

また、マグニチュード3以上の地震は毎月約400回以上発生しているほどです。まだ記憶に新しい熊本地震や東日本大震災、そして阪神淡路大震災など、大きな被害をもたらした地震も過去には数多く起こりました。

地震による被害で重大な危険が生じるものは、建物の倒壊および津波と言われています。その「建物の倒壊」を防ぐために、耐震等級という基準をつくり、大きな地震に備えているのです。

耐震の等級を知ることで、将来的に起こり得る地震に対して自分自身を守ったり、保有している不動産資産を守ったりすることができます。

2. 耐震等級の耐震性について

耐震等級の耐震性とは、地震に対する建物の強さを等級として表したものです。

2000年から施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」にて、耐震等級をそのグレードに応じて1~3の3段階に設定しました。

耐震等級1

耐震等級1とは、阪神淡路大震災規模(震度6~7程度)の地震でも倒壊しない程度の耐震基準です。

耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の等級ではありますが、一般的な住宅は耐震等級1です。「倒壊しないレベル」なので、大規模な修繕や建て替えは必要になる可能性があります。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1.25倍の耐震性能を有した等級です。震度6~7の阪神淡路大震災規模の地震でも、一定の補修程度で住み続けられる耐震性を有します。

耐震等級2は、一般的な住宅というよりは、災害時に人が集まる避難所になる学校や病院などの公共建築物などが耐震等級2でつくられます。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震性能を有した等級で、耐震等級の中でも最高レベルの耐震性です。

耐震等級3は、震度6~7の阪神淡路大震災規模の地震でも、軽い補修で住み続けられる耐震性能です。

この耐震性3は、消防署や警察署など、災害時の復興拠点になる防災施設が該当します。

3. 一般の住宅の耐震性能の耐震等級1はどれくらいのレベルなのか?

上述したように、耐震等級1は震度6~7規模の地震でも倒壊しないレベルの建物です。

本来は、どんなに大きな地震でも傷一つつかないような耐震性が理想ではありますが、現在の技術では難しく、仮にできたとしても莫大な費用がかかってしまい現実的ではありません。公共建築物ならともかく、特に一般建築物は民間の方が費用を捻出します。

ただ耐震等級1だとしても、大地震時に倒壊しないレベルなので、基本的に一般住宅はこの等級に合わせているというわけです。

稀に、耐震等級2レベルの分譲マンションなどもあり、その点はほかの物件と差別化できる強みとなっているようです。

ただ、柱・梁が太いなど、建物内部にデメリットを抱えていることもあるので、内装面を良く考えて等級を上げるか判断することをおすすめします。

また、国土交通省としても10年に1回は起こり得る大きさの地震に対して、大規模修繕を必要とするほどの損傷が起きないことを1つの目標としています。

そして数百年に1度程度の大地震で倒壊しなければ、人命は守られるという考えの基、耐震等級1という基準を設定しました。耐震等級1とは、そんな建物なのです。

4. 耐震基準で気を付けておきたい4つのポイントについて

さて、次に耐震基準で気を付けておきたい、以下4つのポイントを解説します。

  1. 軽い建物の方が耐震性は良くなる
  2. 耐力壁は多い方が耐震性に優れている
  3. 耐力壁や耐震金物のバランスが重要になる
  4. 床の耐震性能も重要になる

このポイントは、建物に住む人はもちろん、投資用として物件を探している人も知っておくべきポイントです。

①軽い建物の方が耐震性は良くなる

重量が重い方が、どっしりとして安定しているというイメージはありませんか?しかし、建物の場合は重量が軽い方が耐震性は高く、建物の重さと耐震性は深いつながりがあります。特に、屋根は人間でいう「頭」の部分であり、頭が重いと安定しないように建物も屋根が重いと安定しません。

さらに、屋根を重い素材でつくってしまうと、支えるための壁も高重量の素材になってしまいます。

たとえば、瓦よりもスレートという素材の方が軽いですし、金属はもっと軽いです。そのため、耐震性は「瓦<スレート<金属」という構図になります。

また、地震の力は建物の重さによって決まり、地震力(≒揺れる力)は以下のように計算されます。

地震力=層せん断力係数×当該階より上の建物の重さ

木造平屋と鉄筋コンクリート造のマンションなら、イメージとして鉄筋コンクリート造の方が耐震性は高いと感じませんか?

それは実は逆で、特に上階の建物の重量が重い鉄筋コンクリート造のマンションの方が地震力は高くなってしまうのです。

②耐力壁は多い方が耐震性に優れている

前項のように、鉄筋コンクリート造のマンションよりも木造の方が重量が軽いため地震力は弱いといいましたが、木造住宅は耐震壁がどのくらいあるかによって耐震性能が左右されます。

結論からいうと、耐震壁が多い方が地震には強いです。そもそも耐震壁は建物の構造上重要な壁であり、その壁をつくることで耐震性を保っている壁です。

一方、耐震壁でない壁は「間仕切壁」などのことで、リフォーム時に解体しても問題ない壁です。耐震等級を上げるときは、柱や梁を太くする以外に、この耐震壁の量を増やすという方法があります。

耐震等級1よりも耐震等級2の方が1.55倍、耐震等級3は1.86倍に耐震壁は増えるのです。逆にいうと、耐震等級を上げるほど、間取りの自由度は減るということです。

③耐力壁や耐震金物のバランスが重要になる

ただ、耐震壁は単に増やせば良いというわけではなく、バランスよく配置しなければいけません。

逆に、一部に耐震壁が集中することで、手薄になった部分に地震の衝撃が集まってしまうというリスクもあります。

この「耐震壁の配置のバランス」が注目されたのは1995年の阪神淡路大震災がキッカケで、阪神淡路大震災では大量の木造住宅が倒壊して多くの人が犠牲になってしまいました。

建物の倒壊の大きな原因が、住戸内の耐力壁のバランスが悪かったことなのです。

 

そのため、住戸内に耐力壁をバランスよく配置する「4分割法」などの計算式が新しく導入され、耐力壁の配置バランスが見直されました。

また、耐震壁のほかに建物を地震から守る「耐震金物」があります。耐震金物とは「ホールダウン金物」とも呼ばれ、土台から柱が抜けることを防止する補助金物のことです。震度7クラスの大地震のときには、建物の土台から柱が引き抜かれて倒壊する事例が確認されました。これは、地震のときの横揺れ時に「圧縮力」「引抜力」が生じるからです。

強い横揺れが生じると、建物の耐力壁の両柱にこの2つの力がかかってくるので、金物がきちんと配置されていない場合は柱が引き抜かれてしまうのです。

このような事態を防ぐために、2000年に柱と土台をつなぐホールダウン金物の設置が義務化されて、耐力壁と共に耐震等級1以上を守る上で重要なポイントとなっています。

④床の耐震性能も重要になる

最後に、耐力壁・金物以外に、耐震性能を備える上で重要な床面の解説をします。壁と床は構造上つながっている部分なので、いくら壁が強くても床が崩壊してしまえば意味がありません。

床部分に十分な耐力があれば、地震が起きて耐力壁や金物が揺れに「耐えている」力を、床が家全体に分散してくれます。

実は耐震等級1では、床の水平構面の耐力を算出する計算はラフな規定です。

耐震等級2や3の場合は、床倍率という計算式を利用して、床面の強度を規定しています。

一方、耐震等級1は「火打ち」と言われる床面の角部分にナナメに素材を打ち込み床面を強化するだけで良いとされています。

5. 耐震等級により、地震保険の金額が変わってくる

耐震等級は建物が地震に耐える強さを数値化しているので、等級が高い方が建物へのダメージは小さいです。

そのため、地震による被害を補償する地震保険には「耐震等級割引」というものがあり、以下のように耐震等級が高い方が支払う保険料は安くなります。

耐震等級 3等級 2等級 1等級
割引率 50% 30% 10%

2014年6月末以前は耐震等級3でも30%オフだったのですが、東日本大震災を経たことで50%オフまで割引率は上がりました。

実際、東日本大震災級の地震でも、耐震等級3だと無被害になる可能性が大幅に上昇することが証明されたからだと言われています。

地震保険料は、地震のリスクを計算して算出するので、エリアによって保険料が異なります。

たとえば、東南海地震や首都直下地震などのリスクがある東京や名古屋は、地震保険料が最も高額になるので耐震等級を上げることのメリットは大きくなるでしょう。その点も加味した上で、耐震等級を上げるかどうかを判断することをおすすめします。

6. 耐震等級はだれが決めているのか?

そんな耐震等級ですが、家を建てる人が等級を決めます。

建売住宅など、既に建築済みの建物は耐震等級が決まっていますが(ほとんど耐震等級1)、注文住宅やアパートなどを建築するときには施主が自ら耐震等級を決めるという流れです。

ただ、繰り返しますが一般的な住宅は耐震等級1になるので、基本的に耐震等級1の前提で話は進んでいきます。

そのため、耐震等級を2や3にしたい場合には、初期の打ち合わせの段階で建築業者などに相談しなければいけません。投資物件を含め、建物を建築するときには、この点を理解しておきましょう。

7. 耐震等級3の家を建てるのに必要な費用は?

最後に上述した点を踏まえ、耐震等級3の住宅を建築するときの費用を解説します。耐震等級3の住宅をつくる費用は以下の項目になります。

  • 構造計算費用
  • 施工費用
  • 申請費用

3つ目の「申請費用」は正式に申請する場合になりますので、申請しなくても問題ありません。

ただし、申請しないと賃貸時や売却時に「耐震等級3」と謳うことはできないので、申請しておくことがベストです。

また、費用の具体的な金額は建物によって大きく異なってくるので、相場金額を事例で出すことは難しいです。当然ながら、耐震等級1や2よりも割高になるのだけは確実です。

8. 注文住宅で建てる場合は内容を把握した上で耐震等級を選ぼう!

注文住宅を建築するときなど、自分が施主になる場合には自ら耐震等級を選びます。

耐震等級を挙げることで上述したようなメリットがあり、また注意点もある点を理解しておきましょう。その内容を把握した上で、耐震等級を設定し、細かい構造の部分を詰めてていくことをお勧めします。

 

MIRAIMOでは、不動産投資に関して、災害をリスクヘッジする方法の一つ「保険」についてまとめた記事を公開しています。ぜひ、不動産投資にも役立ててください。

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