アパートを経営するうえで避けては通れないのが、保険選びです。
しかし、世の中にはたくさんの保険会社が様々な商品を出しているので、一体どれがいいのか迷ってしまうのではないでしょうか?
そこで、本記事では下記のような疑問にお答えしていきます。
- 賃貸住宅で加入するべき保険はどんなものがあるの?
- 保険料はどうやって決まっている?
- 一体どのような保険に入るべきなの?
ぜひお読みになり、アパート経営に必須となる保険についての疑問を晴らしましょう。
目次
1. 賃貸住宅の火災保険ってどんなもの?
賃貸住宅の火災保険とは、入居者がおこした火災などによる損害を補償するものです。
火災保険と一括りなっていますが、実際には3つの保険に加入するのが一般的となっています。
主契約の「火災保険(家財保険)」に、特約として「借家人賠償責任保険」「個人賠償責任保険」を付けた3点セットです。
それぞれの補償の概要についてご紹介します。
家財保険
火災保険の基本的な部分です。入居者が所有する家具、家電など家財一式の損害を補償するものです。
借家人賠償責任保険
火災や水漏れなどで借りている部屋に損害を与えてしまった場合に、原状回復するための費用を補償するものです。
個人賠償責任保険
火災で隣家に損害を与えてしまった場合に備える保険です。火災以外にも、下の階の部屋に水漏れで損害を与えた場合や、ベランダから物が落下して通行人に怪我をさせてしまった場合なども対象になります。
このように、「アパートに住むことで起こる様々なリスクに幅広く対応している」のが火災保険といえるでしょう。
2. 賃貸住宅の火災保険の詳しい内容は?
火災保険に含まれる各保険について、より詳しくお伝えしていきます。
2-1. 家財保険の金額の目安と保険料はいくら?
家財保険の金額の基準となるのは「今持っているすべてのものを、買い直したらいくらになるか?」ということです。
通常保険会社は家族構成や、アパートの部屋の広さによって参考値を定めています。あくまで目安ですが賃貸住宅の保険金額の目安は以下のとおりです。
専有面積 | 33㎡未満 | 33~66㎡未満 | 66~99㎡未満 | 99~132㎡未満 | 132㎡未満 |
保険金額の目安 | 340万円 | 620万円 | 860万円 | 1,100万円 | 1,360万円 |
また、事前に申告しておかないと、保障対象外となる可能性があるものがあります。相続したり趣味で集めている宝飾品や絵画で、一定以上の価格のものです。
価格を確認するために、明細が必要になる場合もあるので残しておきましょう。
2-2. 貰い火で火事になった場合、損害賠償の請求はできるのか?
貰い火で火事になった場合、損害賠償を請求することはできません。これは木造住宅がほとんどだった、明治時代につくられた法律が現在も残っているからです。
民法の709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という法律があります。
しかし、失火の場合には「重大な過失がない場合の失火については、民法709条は適用されず損害賠償請求できない」という失火責任法が採用されてしまうのです。
そのため、重大な過失ではない失火の場合は、火元となった家に損賠賠償を求めることはできないので注意してください。
2-3. 借家賠償責任保険とはどんな保険?
借家賠償責任保険とは、原状回復の費用を補償する保険です。失火責任法によって「重大な過失」でなければ損害賠償する責任はありません。しかし、アパートの大家さんに対する賠償責任は発生してしまいます。
なぜなら、賃貸を契約するときに「借りた時と同じ状態で返却する」という契約を結んでいるからです。火事で燃えてしまったら当然「借りた時と同じ状態」にすることはできません。
したがって、元どおりに返してもらえないリスクを回避するために入ってもらう保険が「借家賠償責任保険」です。
2-4. 個人賠償責任保険とはどんな保険?
個人賠償責任保険とは「個人」の身近な事故を補償する保険です。人にケガをさせてしまったり、物を破損させてしまったりした場合で損害賠償しなくてはならないときに適応されます。
具体的には、以下のような事故が補償されます。
- 飼い犬の散歩中に、他人の手に噛み付いて怪我をさせてしまった
- 買い物中にカバンが商品にあたって破損させてしまった
- 水漏れがおきて、下の階の部屋を水浸しにしてしまった
保険会社によっては「日常生活賠償責任保険」と呼ぶことがあるように、身近な事故を補償してくれるのが「個人賠償責任保険」です。
個人賠償責任保険は単独で契約するのでなく「特約」として自動車保険や火災保険につけて契約します。また、クレジットカードのオプションとして付与されていることも多い保険です。そのため、重複して加入してしまう可能性がありますので加入の際は、自身の加入している保険の見直しを忘れないようにしましょう。
3. 賃貸住宅の火災保険で抑えておきたいポイントとは?
賃貸住宅の火災保険について、特に抑えておきたいポイントについて解説していきます。
3-1. 保険はどこで加入するべきか?
保険に加入するには2つの方法があります。「不動産会社から申し込む」方法と「自分で申し込む」方法です。どちらでも好きな方を選んで構いません。
ただ、手間がかからないのは不動産会社から申し込む方でしょう。自分で選ばなくても、最低限必要な補償がそろっているはずだからです。ですが、自分には不要な補償まで含まれていて、その分が余計なコストとなる可能性もあります。
したがって、少しでも節約したいという場合は自分で申し込む方がよいでしょう。補償内容についてよく理解したり、保険会社を比較検討したりと手間はかかりますが、アパートに最適な保険を選ぶことができます。
3-2. 引っ越しした場合、保険はどうなるのか?
引越しをした場合でも、住所変更などの簡易な手続きで保険を継続できることがあります。アパートからアパートや、一軒家から一軒家への引越しなど建物の構造が同じ場合です。
また、地震保険の場合は、都道府県が変わると保険料も変わります。よって、差額が発生することが考えられますが、解約する必要はないはずです。
しなしながら、保険の種類や会社によっても変わってきます。引越しの際には、加入している保険会社に継続する方法がないか聞いてみましょう。
3-3. 賃貸住宅でも地震保険料控除の対象になるのか?
賃貸住宅でも地震保険料控除の対象になります。加入すると控除証明書が送られてきますので、年末調整や確定申告までなくさないようにしてください。初年度は証券と一緒に、それ以降は秋ごろにハガキなどで送られてきます。
4. アパート賃貸を経営する場合は必ず保険に入る必要がある
保険は賃貸経営のパートナーのようなものです。どんなに頑丈なアパートでも、火災や災害によるリスクをゼロにすることは不可能です。そこで、予期せぬ事態に対処して、アパート経営のリスクを補ってくれるのが保険です。ここからは、安心してアパート経営するための保険の必要性について解説していきます。
4-1. オーナーは必ず保険に加入する必要がある
オーナーは必ず保険に加入する必要があります。保険料を節約しようと考えていると、もしものときに大変なことになってしまいます。また、銀行から融資を受ける場合は保険に加入していることが条件になりますので注意しましょう。
特に「火災保険」は忘れずに加入してください。「滅多に火災など発生しないのでは?」という考えもあるかと思いますが、実は「火災保険」の対象範囲は火災だけではありません。落雷・風災・水災、水漏れ、など様々な災害が対象となっています。さらには、車の衝突などの人為的な衝撃も対象になる幅広い保険です。
オーナーは必ず保険に加入して、アパート経営のリスクに備えましょう。
4-2. 保険の料金は建物の構造によって違ってくる
保険料は建物の構造によって違ってきます。火災に強ければ安くなりますし、逆に弱ければ高くなります。
具体的には「M構造」「T構造」「H構造」という分類があり、「M構造」は一番耐火性が強い構造で保険料が安くなります。
そして、T構造、H構造の順番で保険料は高くなっていきます。
それぞれ、以下のように分類されます。
- 「RC造」(鉄筋コンクリート)の建物は「M構造」
- 「木造」の建物は「H構造」
- 「S造」(鉄骨)の建物は「T構造」
さらに「耐火区分」でも変わってきます。
- 「鉄骨造」 + 「耐火建築物」 = 「M構造」
- 「木造」 + 「準耐火建築物」 =「T構造」
- 「木造」 + 「耐火建築物」 =「M構造」
まとめると下記の図のようになります。(上から順番に保険料が安い)
構造 | 木造 | S造 | RC造 |
M構造 | 耐火建築物のみ | 〇 | |
T構造 | 準耐火建築物・耐火建築物 | 〇 | |
H構造 | 〇 |
このように、アパートの構造や、耐火構造になっているかどうかによって保険料は変わるということを覚えておいてください。
4-3. 入居者も保険に加入した方が良い
アパートオーナーの火災保険では入居者の「家財」まではカバーできません。
火災によって入居者の持ち物が燃えてしまったときに備えて、入居者も保険に加入する必要があります。
その際に選ぶ保険は「借家人賠償責任保険」が含まれるものにしましょう。
オーナーに対する「損害賠償責任」が保障されるため、入居者が家事を起こした場合にも適応されます。
一般的には「賃貸借契約」によって加入を求めることが多いです。保険料は2年間を保険期間として、入居時に一括で保険会社に支払ってもらいます。
入居者の保険への加入は、法律で決まっているわけではありません。しかし、いざという時にのためにも加入してもらうようにしましょう。
4-4. 地震保険は今後ますます必要になってくる
2016年の熊本大地震などの影響もあり「地震保険」が必要だと考える方が増加しています。あまり認識されていませんが、地震による火災は「火災保険」では保障されません。
「津波」・「噴火」・「地震」による損壊や火災の場合には「地震保険」への加入が必要です。
5. 保険の特約を付ける事でいろいろなリスクに備える
保険に「特約」をつけると補償の範囲を広げることができます。日常に潜んでいる様々なリスクに備えるために、おすすめのものをご紹介します。
5-1. 施設管理者賠償特約とは?
「施設管理者賠償特約」はアパートの欠陥や不備によって、被害を与えてしまう場合に備えるためのものです。
たとえば下記のような場合に適用されます。
- 建物の一部が落下して、通行人に被害が出てしまった
- 給排水菅の水漏れで、入居者の家電などが使えなくなってしまった
どれだけ整備していたとしても思いがけないことは起こるものです。「施設管理者賠償特約」によってトラブルに備えましょう。
5-2. 建物電気的・機械的事故特約とは?
「建物電気的・機械的事故特約」は建物に備え付けられている「電気・機械設備」の故障を補償するものです。
保険会社によって対象の設備は変わってきますが、アパートのエアコンやボイラー、温水洗浄便座などの設備が故障したときに適用されます。
たとえば下記の事故が補償の対象となります。
- エアコンの室外機の故障で、エアコンから冷風が出なくなった
- お風呂を追焚きしようとスイッチを押したら、突然故障した
- 温水洗浄便座の水圧調整が、出来なくなってしまった
ただし、耐用年数を超えて使用してたなど老朽化による故障は補償されませんので注意してください。また、「落雷による故障」の場合も対象外です。落雷の場合は火災保険によって補償されますので、必ず火災保険に加入したうえで「建物電気的・機械的事故特約」をつけるようにしましょう。
5-3. 家賃担保特約とは?
「家賃担保特約」は、災害でアパートに入居者が住めなくなってしまった場合の「家賃の損失」を補償してくれます。
通常、入居者が原因で全焼した場合の「建物」については火災保険で補償されます。
しかし、建て替えるまでの家賃までは対応していません。よって、「家賃担保特約」をつけることで家賃の損失に備える必要があります。
ただし、下記の場合は契約が出来ません。
- 全貸室数の50%を超える空室のある建物
- 賃貸借契約期間が1年未満の建物
また、「家賃」というのは「敷金、礼金、権利金、そのほか一時金、ガス・水道の使用料金」などを含まない建物の賃貸料のことを指します。
6. アパートやマンションのオーナーにおすすめの火災保険ランキング
5位:あいおいニッセイ同和損保のマイホームぴたっと/タフ・住まいの保険
https://www.aioinissaydowa.co.jp/personal/product/other/myhome_pitatto/
「マイホームぴたっと」は新しく購入された居住用建物専用の火災保険です。
一方「タフ・住まいの保険」は新規購入以外の方でも申し込み可能になっています。どちらも建物や家財の補償がついている総合住宅保険です。国内屈指の大手企業だけあり、サービスや特約が豊富に取り揃えられています。
4位:朝日火災のホームアシスト
http://www.asahikasai.co.jp/family/tabid/95/Default.aspx
築年数に関係なく引き受け可能なため、リフォームされた中古物件など築年数が古い場合におすすめな保険です。また、保険料と補償のバランスの面でも優れています。
3位:日新火災の住宅安心保険
https://www.nisshinfire.co.jp/service/pdf/jutaku1701.pdf
基本的な補償にプラスして、ライフスタイルに応じた特約を自由に選ぶことができる日新火災の総合型火災保険プランです。
2位:東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/live/total_assist/
スタンダードタイプのプランでも、火・水・風による自然災害から、盗難、水漏れまで対応するという幅広いカバー範囲が魅力です。
1位:セコム損害保険の安心マイホーム保険
https://www.secom-sonpo.co.jp/anshinmyhome/
必要な補償が選べる自由設計タイプではないため、保険内容に柔軟性はありません。
しかし、必要なところを抑えたシンプルな商品設計と手頃な保険料によりコストパフォーマンスは高いと言えます。
また、セコムのホームセキュリティ利用者にはもっともお得な保険となっています。利用内容に応じて保険料が大幅に割り引かれるためです。
7. アパートを経営する上では必要な保障の付いた保険に加入しておこう
アパートを経営するうえで、避けては通れない「保険」について解説いたしました。
保険会社の言われるままに保険に入ってしまうのは手間がかからず楽ですが、長期的に考えば大きな損失となる場合があります。
それは、あなたのアパート経営には必要のない補償まで含まれていたり、逆に危険性が高い補償が含まれていなかったりすることがあるからです。
保険選びも投資の一部と考えて、賢い不動産投資家を目指しましょう。
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