不動産投資と言うと日本国内に目が向きがちですが、富裕層はもちろん一般の投資家も大きな利益が見込める海外不動産が注目されています。
人気があるのは、経済成長著しいタイ、ベトナムなど東南アジアエリアの新興国ですが、政治的に不安定であったり、急激な通貨安などリスクも心配。
そんな中、リーマンショックの不況から堅調に経済の回復が進み、政治的にも安定している世界一の経済大国アメリカの不動産への投資熱が高まっています。
アメリカ不動産は、収益も魅力ですが、税制面の優遇があるなど非常に多くのメリットが。
日本とアメリカ不動産投資の違いを比較し、魅力溢れるアメリカ不動産投資についてお話しします。
目次
1. アメリカで不動産投資するメリット6つ|日本との違いは?
リーマンショック後は日本やアメリカでも一時的に不動産価格は大きく下落しました。
しかし、2024年の1月にはダウ平均株価が$26,000を超えるなど経済の回復に合わせて不動産価格も上昇し続けています。
海外エリアへの不動産投資が盛り上がる中、アメリカへの不動産投資は、収益性の高さだけでなく、節税効果や為替差益など他にもメリットが数多くあります。
又、日本では新築信仰が根強いですが、アメリカでは中古市場のシェアが8割以上とも言われ、日本とアメリカでは不動産に対する考え方も大きく違います。
日本の不動産投資との違いを比較しながら、アメリカで不動産投資をする6つのメリットについてお話しします。
①見逃せない節税効果
アメリカで不動産投資をする上で、一番大きなメリットは節税効果。
日本とアメリカでは、減価償却に対する考え方が違い、キャピタルゲイン(売買差益)に対して税制優遇があるなど、不動産投資に対する税制面が整備されています。
ここでは、日本とアメリカの税制面の違いについて見てみましょう。
減価償却
減価償却費とは、建物の使用や築年数が古くなることによって建物の価値が減少する分を費用として計上する考え方。
実際に出費があるわけではありませんが、建物の構造や用途により定められている耐用年数をもとに毎年、減価償却費を計算して計上できます。
例えば、鉄筋コンクリート造は耐用年数47年、木造は22年と決められており、新築であれば減価償却できる金額÷耐用年数となるので、1年間に経費計上できる金額は少なくなることに。
中古の場合だと耐用年数が短くなりますので、その分1年間に減価償却できる金額も増えるので高い節税効果を得ることが可能です。
又、日本とアメリカでは、減価償却に対する考え方が大きく違い、アメリカで不動産投資をする方が更に高い節税効果を得ることができるのです。
減価償却できるのは、不動産では建物と設備のみで土地は対象外。
日本では、不動産の価値のうち土地が8割を締めますが、アメリカでは建物が7割を締めます。
そのため、アメリカの方が建物割合が多いので減価償却できる費用が大きくなることに。
アメリカの中古物件を購入する際に、法定耐用年数を経過した資産は、
減価償却費を法定耐用年数×20%(1年未満切り捨て)、
法定耐用年数の一部を経過した資産であれば、(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)で計算します。
例えば、アメリカで築年数が22年以上の木造不動産を2億円で購入したとすると、土地の割合が3割とすれば14,000万円が減価償却費として計上できます。
法定耐用年数は22年とすると、このケースでは既に法定耐用年数を経過しているため22年×20%=4年間で減価償却が可能。
つまり、4年間のうちに毎年3,500万円を減価償却費として計上できるので大幅な節税効果が得られます。
所得税控除
居住用不動産については、日本とアメリカで持家支払利息や持家固定資産税の所得税控除において違いがあります。
持家支払利息の所得控除については、アメリカでは借入金元本が、100万ドル以下の場合、全額控除可能ですが、日本では住宅ローンにおいては適格借入と見なされない場合は、消費者支払利子となり控除が認めてもらえません。
持家固定資産税の所得控除については、アメリカでは全額控除されますが、日本では控除の対象ではありません。
住宅取得税/建物消費税
住宅取得税(=不動産取得税)や建物消費税も日本とアメリカでは取扱いに違いがあります。
アメリカでは、住宅取得税、建物消費税はかかりませんが、日本では両方徴収されます。
不動産税
不動産を売買したり、所有していると必要な税金については、アメリカより日本の方が項目が非常に多いですね。
アメリカでは、固定資産税と譲渡税しかありませんが、日本では、固定資産税、譲渡税の他に印紙税・登録免許税・都市計画税などがかかります。
キャピタルゲイン税優遇措置
キャピタルゲイン税とは、日本では譲渡所得税のことですね。
アメリカでは、キャピタルゲイン(譲渡益)が出た場合、1年未満だと所得税となり高い税率が適用されるので、低税率のキャピタルゲイン税が適用されるかどうかで大きく利益が変わります。
不動産の場合は、居住用だと2年以上の居住で1人25万ドル(夫婦で50万ドル)の所得税控除を受けることができ、投資用でも1年以上所有していれば、一定の条件を満たして買い換える場合は繰り延べができます。
日本の不動産を売却した際の譲渡所得税は、所有期間が5年未満の場合は短期譲渡となり、課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)、所有期間が5年以上の場合は長期譲渡となり、課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)。
居住用の場合は買い替えなど特例を使うことで控除を受けることが可能です。
②インカムゲインもキャピタルゲインも狙える
アメリカの不動産市場は、安定的に拡大し続ける経済情勢や2050年には4億人を越えると言われている人口の増加など今後も成長が期待できます。
経済が好調であれば家賃は上昇するのでインカムゲインが期待でき、物件価格も値上がりするのでキャピタルゲインも狙えます。
やはり、こういった現状を踏まえるとアメリカは不動産投資する上で魅力的な市場と言えるでしょう。
③ドルは世界の基軸通貨
アメリカへの不動産投資が安全だと言われる要因のひとつとして、ドルが世界の基軸通貨だという点が挙げられます。
発展途上国への不動産投資は高利回りが魅力ですが、一方で通貨安で資産価値が大きく目減りするというリスクも大きいです。
その点、世界の基軸通貨であるドルは、急激な貨幣価値の上下が少なくリスクが低いと言えます。
④発展を続けるアメリカ経済
アメリカ経済は、リーマンショックで一時的に大きく経済は落ち込みましたが、2024年1月26日には一時ダウ平均株価は$26,616.71と最高値を付けるなど大幅に回復。
シェールガスによるエネルギー革命や世界経済をけん引するIT企業の躍進など世界経済の中心にいることは間違いありません。
経済指標となるGDPも2024年は前年比4%、2024年には5%の成長が見込まれており、今後もアメリカ経済は安定した発展が期待できます。
⑤不動産事情|活発な中古市場
アメリカの不動産市場の大きな特徴は中古市場の規模の大きさ。
日本では、中古物件よりも新築に住みたいという人が多く、中古物件は新築に比べると価格が安いのが当たり前。
しかし、中古物件の流通が8割以上を占めるアメリカの不動産市場では、築年数が古い物件でも状態が良ければ物件価格は下がることはなく、リフォームなどでグレードアップして資産価値を上げて高値で売却というケースも多いのです。
⑥円安の可能性を考慮
アメリカ経済の好調が続けば、当然ドルの貨幣価値は上昇しますし、アメリカの中央銀行であるFRBによる利上げも進むことが予想され更なるドル高になります。
そうなると円安が進むことになり、アメリカで購入した不動産は日本円に換算すると上昇します。
将来的に円安が進む可能性も考慮すれば、ドル建て資産でアメリカに不動産を持つという選択肢はリスクヘッジとして非常に有効だと言えます。
2. アメリカ不動産投資におすすめの都市6選
実際にアメリカ不動産投資を行う場合に、どのエリアに投資するのが良いのでしょうか。
アメリカ合衆国はロシア、カナダ、中国に続き世界で4番目に広い国土を持ち、ハワイなどの離島やアラスカなど離れた場所に50の州が存在します。
どのエリアでも投資が成り立つわけではなく、やはり不動産投資に有利なエリアを選択する必要があります。
ここでは、アメリカ不動産投資におすすめの都市をご紹介します。
①ハワイ
ハワイについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
ハワイは、日本人にも非常に人気が高く、不動産価格は安定しており、「バケーションレンタル」といった投資方法が可能なのも魅力。
バケーションレンタルとは、コンドミニアムや一軒家を購入し、生活する上で必要なキッチンや家具を取り揃え、長期滞在者向けに物件を賃貸する方法です。
日本で言うと民泊に近い形ですが、オーナーがハワイに滞在する際はホテル代わりに利用可能。
上手く運用出来れば高利回りが期待できます。
注意すべき点
ハワイで行う不動産投資としてバケーションレンタルは高利回りが期待できるので非常に魅力的ですが、30日以内の短期貸しができず、またairbnbの利用ができない点に注意が必要。
違反すると、最悪の場合は罰則を受けることもあります。
又、ハワイは世界屈指の人気エリアでもあり、物件の購入は抽選になるなど優良な物件を買うのが難しく、とにかくハワイで不動産が欲しいと焦ると失敗することも。
②グアム
グアムについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
ハワイと並ぶリゾート地のグアムでは、アパート、一軒家、コンドミニアムへの投資が可能なエリア。
アンダーセン空軍基地といった大型の米軍基地があり、賃貸需要としては、リゾート向けのコンドミニアムよりも、米軍関係者、赴任者向けの需要が多いと言えます。
一般向けよりも米軍関係者向けの賃貸物件の方が高い家賃を取れる傾向にあり、家賃の滞納などリスクが少ないのも魅力のひとつです。
注意すべき点
米軍関係者が賃貸需要の多くを占めるため、万が一、米軍の撤退や人員の削減が行われた場合は不動産価格が一気に下落するリスクがあります。
実際に米軍関係者の需要が減っても現地民向けへの貸し出しも出来るので資産価値が全くなくなってしまうということはありません。
③カリフォルニア
映画の製作で有名なハリウッドがあり、米国第二の工業都市として精密機械や航空機などの製造業が盛んです。
一方で、肥沃な大地と豊富な労働力を背景に農産物販売は50年以上も全米1位と農業州でもあります。
カリフォルニア州の代表的な都市であるロサンゼルスの人口は、ニューヨーク市に続く第2位で、経済規模も東京、ニューヨークに次いで第3位。
今後もカリフォルニア州は、工業、農業などあらゆる分野で成長が期待でき、不動産投資をするにあたって非常に期待できるエリアと言えるでしょう。
注意すべき点
カリフォルニア州と言っても非常に広く、ロサンゼルスなど教育レベルの高いエリアは、賃料も高くなる傾向にあり空室率も非常に低いですが、砂漠地帯や過疎地帯も存在するのでエリア選定は非常に重要です。
又、カリフォルニア州のあるアメリカ西海岸地域は、山火事が多いことで有名。
不動産を購入する際は火災保険への加入が必須となりますが、非常に高額となるので火災保険料も含めて不動産の収益を計算する必要があります。
④ラスベガス
ネバダ州にあるラスベガスは、世界屈指の娯楽施設として有名。
1990年代以降はホテル開発が進み、トレードショーや国際見本市など多くのイベントが開催され、世界各国から人が集まる全米ナンバー1のコンベンション都市と言われています。
ラスベガスは、ホテルとイベント会場の距離が近く、空港から市内までの利便性も高いため、今後もこの地位は揺らぐことはないでしょう。
又、所得税・法人税がなく、固定資産税も非常に安く設定することで積極的な企業誘致を行っています。
2014年にはタクシーの配車アプリを開発して大企業の仲間入りをしたUber社もラスベガスに進出するなど、今後も大手企業の進出が期待できます。
まだまだこれからの成長が期待できるラスベガスは、不動産の購入先として将来性があるエリアと言えます。
注意すべき点
ラスベガスは人気のエリアな為、競合相手が非常に多い。
しかし、ラスベガスがいくら人が集まるエリアだと言っても、コンドミニアムなど物件が乱立するようなエリアで不動産を購入すると上手くいきません。
又、リーマンショック時は不動産価格が半分に下がるなど、人気のエリアであるが故に景気の波の影響を大きく受ける点も理解した上で投資する必要があります。
⑤ニューヨーク
ニューヨークは、世界最大のニューヨーク証券取引所を有するウォール街をはじめ、金融、保険、不動産など世界の中心に位置し、世界各国への影響が非常に大きい都市です。
他にも、ニューヨークタイムズ紙やウォールストリートジャーナルなど主要メディアの本社が多く、近年ではソフトフェア開発などハイテク分野でも存在感を強めています。
経済規模も東京に次ぐ第2位の経済都市であり、リーマンショック時も不動産価格への影響は限定的であったようにアメリカ不動産の中でも安定感は一番と言えるため、投資先としても非常に安心感があります。
注意すべき点
世界屈指の大都市ニューヨークでは、マンハッタンなど人気エリアは物件価格が高い為、利回りという面では期待ができません。
一般的な指標である表面利回りが2~3%と一般人がリスクを負って投資するレベルではありません。
そのため、ニューヨークで不動産投資をする場合は、中心部ではなく、ある程度利回りの期待ができ、今後開発が進みそうな周辺エリアで物件を探す方がいいでしょう。
⑥テキサス
テキサスの州別人口は2,600万人と1位のカリフォルニア州に続く第2位。
アメリカの代表的なシェールガス田として、テキサス州のバーネット・シェールがあり、テキサス州はシェールガス関連事業の拡大が著しいエリアです。
大規模なシエールガスの精製施設やガス化学工場の建設をはじめ、ガスからプラスチックや合成樹脂などを作りだす技術の開発が進むなど雇用が増えています。
又、州の所得税がないこと、労働権法が制定されていることなど、テキサスには企業が進出しやすい環境が整っているのも好材料。
今後も人口の増加が期待でき、賃貸需要も益々盛んになるテキサスは、不動産投資を行うのに適したエリアと言えます。
注意すべき点
竜巻の発生しやすいサウスダコタ州からテキサス州にかけてを「TORNADO ALLEY(竜巻街道)」と呼び、テキサス州で不動産投資をする上で大きなリスクとなっています。
そのため、テキサス州では毎年どのエリアが被害が大きいのかきちんと調査した上で投資をする必要があります。
3. アメリカ不動産投資を成功させるコツ3つ
海外エリアへの不動産投資の中でも、非常に魅力的なアメリカですが、成功する人もいれば失敗する人もいます。
アメリカ不動産投資で失敗する人と成功する人の違いはどこにあるのでしょうか。
成功する人の多くは、日本との違いを勉強したり、最新情報を得るなど努力を惜しまず勉強して成功するコツを掴んでいます。
アメリカ不動産投資を成功させるコツとは?
①日本との違いを把握する
どんな不動産投資でもそうですが、周りが言うからとか何となく流行っているからでは成功は難しいでしょう。
日本とアメリカの不動産投資では、税制や市場性の違いが大きく、アメリカで不動産投資をするに当たってその違いがどのように作用するのか把握する必要があります。
アメリカ不動産投資は、節税効果やインカムゲインやキャピタルゲインをたくさん得ることができるなどメリットも多いので、違いをきちんと理解し有効に活用しましょう。
②セミナーなどで最新情報を得る
刻一刻と情勢の変わるアメリカ不動産投資では常に最新情報を得ることが重要です。
最新情報を得るためには、アメリカ不動産取引に実績のある不動産会社のセミナーを受けるのが一番。
不動産会社のホームページや同じアメリカ投資をしている人のブログなどを参考に、優良な情報を提供してくれる不動産会社を探しましょう。
③出口戦略を練っておく
不動産投資は、最終的に売却した段階で利益が確定するので、売却出来ないような不動産を買ってしまうと大変なことになります。
そのため、アメリカで不動産投資をする場合は、売却=出口戦略を練っておく必要があります。
何年後に、どのくらいの価格なら売れるのか、出口を想定して物件を選定することが重要です。
4. アメリカは不動産投資に最適!まずは情報を集めるところからスタートしよう
好調な経済情勢に加え、税制面だけでなく、インカムゲインやキャピタルゲインを得ることができ、場合によっては円安の恩恵を受けることができるなどメリットが多いアメリカは不動産投資に最適なエリアです。
しかし、海外エリアであるアメリカへの不動産投資は、為替リスクや政治的要因などリスクも多く、何も知らずに始めると失敗してしまうことに。
アメリカでの不動産投資で成功するには、日本とアメリカの不動産投資の違いを理解し、セミナーに参加するなど情報収集が重要です。
まずは、最新情報を集めることからスタートし、現地の状況を把握した上でリスクを抑えた投資をしてください。
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