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東京オリンピックで不動産市況はどう変わる?2023年問題と不動産市場のこれから

2023年東京オリンピックもいよいよ迫ってきました。

不動産投資を検討する人にとっては、東京オリンピックで不動産市況がどのように変化していくのかが気になるところではないでしょうか?

 

前回の1964年・東京オリンピックでは、開催翌年に一旦オリンピック景気が一段落するも、いざなぎ景気であれよあれよと高度経済成長を遂げていきました。

同じく不動産価格も「不動産を持っていれば必ず値上がりする」という土地神話のもと、1991年のバブル崩壊まで上昇しつづけたのです。

 

今回のオリンピックでは、東京の人口減少説や不動産バブル崩壊説を強調した「2023年問題」がメディアでは騒がれていて、前回の東京オリンピックとはだいぶ様相が違うようです。

これからの不動産投資がどうなるかを、現在の不動産市場の動向や懸念材料をふまえて見ていきたいと思います。

1. 東京オリンピック開催がもたらす経済効果

東京オリンピック開催がもたらす経済効果

2023年の東京オリンピックは、開催前後18年間で約32兆円の経済効果をもたらすと予測されています。

このオリンピックでは、具体的に日本にどのような経済効果をもたらすのでしょうか?プラスとマイナスの両面から見ていきます。

プラスの影響

インフラ整備事業の恩恵

東京オリンピックのプラスの影響として、まず第一にインフラ整備事業による雇用の増大や経済の活性化です。

国土交通省は、オリンピック開催に向けて

  • 空港までのアクセスの整備
  • バリアフリー化
  • 公衆無線LANの整備

を推進しています。

インフラ整備事業の雇用による経済効果は、東京だけで12兆2,397億円、地方を含めると27兆1,017億円と推計されています。

観光業の活性化

国土交通省観光庁によると、訪日外国人客は平成29年度は前年度の2,403万人を上回り、訪日外国人による日本での消費額は3兆7,476億円。

政府は、東京オリンピック開催年の2023年には訪日外国人客4,000万人を目標に掲げており、達成すれば約7兆円の消費額になると見込んでいます。

訪日外国人4,000万人を受け入れる宿泊施設はまだまだ不足しており、宿泊施設開発に伴う新たな雇用と訪日外国人客によるインバウンドを考えると経済効果は計り知れません。

マイナスの影響

地方おきざりの「東京一極集中」

現在は、東京オリンピック会場の建設や東日本大震災の復興事業により、建設業界は深刻な人手不足で地方のインフラ整備まで手を回すことができません。

アベノミクスで最重要課題として掲げられた「地方創生」ですが、今は「東京一極集中」となっており、地方は「プレミアム付き商品券」以降は成果を感じられないのが現状です。

オリンピック設備の維持費用

オリンピック後に必ず起こる問題として、設備の維持費用の問題が。

ブラジルのリオデジャネイロオリンピック後の競技施設は、維持管理が厳しく荒廃していることが報じられています。

東京オリンピックの設備も、交通機関に関しては開催後も高い利用率が見込めますが、新設された競技場に関してはその後の利用方法や建築費用を回収できるかは不透明な部分があるのです。

オリンピック景気の反動

オリンピック開催期間までは雇用の増大やインバウンドによる好景気がつづき、開催後に反動が出てしまう可能性も考えられます。

前回の1964年・東京オリンピックを参考にすると、開催後の翌年1965年に一旦景気が低迷し、証券会社は軒並み赤字、鉄鋼業界の大手企業2社が相次ぎ倒産しました。

翌年には底打ちして回復していきましたが、2021年も「一旦景気が低迷」という状況にならないとは限りません。

2. オリンピックを含めた不動産市場を動かす今後の要因

 オリンピックを含めた不動産市場を動かす今後の要因

ここでは、今後の不動産市場を動かす押し上げ要因・押し下げ要因を挙げてみます。

押し上げ要因

統合型リゾート施設の建設

2016年に統合型リゾート整備推進法案、いわゆる「カジノ法案」が成立しました。

統合型リゾート施設とは、現在カジノだけが注目されていますが、国際会議場からホテル、ショッピングモールなどを含んだ大型の複合観光集客施設のことです。

様々な商業施設を展開するので、雇用やインバウンドによる経済効果や地価上昇が予想されています。

消費税率の引き上げ

2022年10月に、消費税が8%から10%に引き上げられます。

不動産物件は売主が不動産業者の場合、建物部分に消費税が課税されます。消費税引き上げに伴い、2%分の不動産価格の上昇が見込まれます。

金利の上昇

現在は2016年よりマイナス金利が続いていますが、逆に言えばこれからは金利は上がるしかない状況ともいえます。

金利が上昇すると、住宅ローンや不動産投資ローンの金利も上昇するので負担が増大します。すると、良質な物件でも手放す人が増加します。

金利の上昇は不動産市況にとって逆風と考えられことが多いですが、不動産投資家にとっては良質な物件に出会えるチャンスと見ることができます。

押し下げ要因

富裕層によるマンション売却

外国人富裕層が、東京オリンピックによる不動産価格上昇の思惑のもと、東京の高級マンションを爆買いしましたが、2022~2023年に向けてキャピタルゲイン狙いで一斉に売り出す可能性が考えられます。

物件を5年以上保有してからの売却では、譲渡所得税が軽減されます。東京オリンピック開催決定の2013年に購入した場合は、2023年を待たずして2021年から売り抜ける動きも予想されます。

ビルの供給増加

2013年の異次元緩和により、長期金利が低下しました。

その結果、不動産に大量の資金が流れ込み、東京都心を中心に大型オフィスビルの新築ラッシュとなりました。

しかし、働く人が急激に増えるわけではないので、空き室率の増加や賃料の値下げ、地価下落が懸念されています。

2022年問題

1991年に改正された生産緑地法で、生産緑地に指定された農地は固定資産税が優遇される代わりに、30年間の営農義務が課せられました。

その義務が2022年に外れるので、農地から宅地化に進むのではないかと予想され「2022年問題」と呼ばれています。

生産緑地は東京都が最多となっており、宅地が増えることによる不動産価格の下落も予想されます。

3. 東京の不動産価格の推移と現状

それでは、国土交通省が公表している「不動産市場動向マンスリーレポート」を参考に、東京の不動産価格の現状を見ていきましょう。

東京都の新築マンション平均価格の推移を見てみます。

参照データ:不動産市場動向マンスリーレポート

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000114.html

2021年4月の㎡単価は104.1万円/㎡で、前年度の4月よりも0.6%上昇しています。緩やかながら新築マンション価格は上昇していることがわかります。

続いて、新築マンションの契約件数

参照データ:不動産市場動向マンスリーレポート

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000114.html

東京都の新築マンションの初月契約数は、好・不調の目安とされる70%を下回り、前年度の4月に比べて下落しています。

契約数の下落は、高騰する販売価格にほとんどの消費者がついていけなくなったことが考えられます。

続いて、東京都の中古マンションの平均価格の推移を見てみます。

参照データ:不動産市場動向マンスリーレポート

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000114.html

東京都の中古マンションの成約平均価格は、前年度の4月と比べて2.5%上昇。

45ヵ月連続で前年同月を上回る上昇ぶりを見せています。

続いて、中古マンションの成約件数の推移を見てみましょう。

参照データ:不動産市場動向マンスリーレポート

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000114.html

中古マンション価格が上昇しているにもかかわらず、成約件数は前年の4月を4.4%上回っており、中古マンションは取引が活発化していることがわかります。

東京の現状は、外国人投資家やアベノミクスによるタワーマンションなどの新築マンションブームは一旦落ち着き、中古マンション市場が注目されていることがわかります。

4. 2023年問題が不動産投資に与える影響

数年前からメディアで取り上げられていた、オリンピック後に不動産価格が下落する「2023年問題」

不動産投資や購入を検討している人にとっては非常に気になる問題だと思います。

はたして2023年問題は、どのくらい不動産投資に影響があるのでしょうか?

オリンピック後に暴落する?不動産バブル崩壊説

2023年問題で懸念されているリスクの代表的なものが以下の2つです。

  1. オリンピック開催に向け価格上昇を見込んだキャピタルゲイン狙いの投資家による、高級マンションの一斉売却による不動産価格の値崩れ
  2. 2023年を境に東京の人口が急激に減少することによる空き家の増加

「2023年問題」では、主にこの2つのリスクによって、オリンピック後に不動産価格が暴落、不動産バブルが崩壊すると予想されています。

東京の人口減少説はあやまりだった

2023年問題で指摘されていた「東京の人口は2023年を境に減少していく」という説ですが、実は誤りだったことがわかっています。

2010年の国税調査による「東京都長期ビジョン」では、東京都の人口ピークは2023年とされていましたが、2015年度の国勢調査で再推計したところ、2025年をピークに減少していくという結果となりました。

出生率

人口推移に関わる出生率に関しては、東京都は2000年代前半は1.00という低水準でした。

しかし、2015年度には1.24と1980年代後半の水準にまで回復しています。

東京都も「希望出生率1.76」を掲げ、子育て環境を充実させていく方向で舵を切っている最中です。

2023年問題は心配無用

2023年問題では、オリンピック開催のネガティブな面が強調されていますが、ポジティブな面を見るとインフラ整備が進み、訪日外国人にとって滞在しやすい観光国としての基盤を整えることができます。

現に、リーマンショック後に開催されたロンドンオリンピックでは、開催後の不動産価格は上昇。

人口減少に関しても東京は下げ幅が小さく、むしろ東京への人口流入は続いているので、マンション需要が減ることはありません。

ただ、オリンピックを見据えてのキャピタルゲイン狙いの売却によって、一時的に不動産価格が下落する可能性は考えられます。

しかし、長期的な視点を持って不動産投資をしているなら、その影響は少なく2023年問題はそこまで心配する必要はないと言えるでしょう。

5. 購入するなら今!買い時を逃さないためにできること

不動産業界では、今までにもオフィス・ホテルの空き室率が上昇すると言われた「2003年問題」や「2007年問題」が、メディアによって報じられました。

しかし、実際はメディアで騒がれるほどの問題にはなりませんでした。

2023年問題を懸念して不動産投資に二の足を踏んでいると、買い時を逃し資産形成のロスにつながります。

不動産はどれ一つ同じものがないので、メディアの情報だけで推測することができず、不動産の取引に関わっているプロにしかわからないこともたくさんあります。

 

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