土地・戸建て・マンションなどの不動産物件の購入では、大きなお金が動く上、手続きもたくさんあるので、何かと忙しいもの。
そんな中、不動産にかかる税金については、つい忘れがちに。実は不動産にかかる税金は4種類もあるんですよ。
ただでさえ何かと費用がかかるのに、4種類も税金がくると、相当な負担になることが。後で金額を見てビックリって話しもよく聞きます。
税金は遅れて払えば延滞金、払わなければ物件が差し押さえられてしまうので、軽視できません。
不動産を購入したら、まずどんな税金がいくらかかるのかを、知っておく必要があります。こうした税金について、不動産会社は全ての金額を把握していないことが多いです。そのため自分で調べる必要があります。
実は4種類の税金はすべて「固定資産税評価額」から割り出すことができるのです。
今回は固定資産税評価額から税金を調べる方法をご紹介しますので、ここで少し勉強してみて下さい。
目次
1. 固定資産税評価額から分かる4種類の税金
①市町村に収める「固定資産税」
固定資産税は毎年1月1日の時点で、家・土地・マンションなどの不動産や、会社の設備といった償却資産に対してかけられる税金のこと。
資産があるそれぞれの市町村に毎年払う地方税になります。固定資産税の計算方法は以下のように全国一律です。
固定資産税額=固定資産税評価額 × 税率1.4%
②地方税法の「都市計画税」
都市計画税は都市計画法に基づき、都市の計画事業などに利用される資金にあてられる税金のこと。
固定資産税と同時に支払います。こちらの税率は都市によって違いますが、0.3%が上限です。
都市計画税=固定資産税評価額(課税標準額)× 0.3%
③都道府県が課税する「不動産取得税」
不動産取得税は家や土地などの不動産物件を購入したり、建物を新築あるいは増改築したときにかかる税金のこと。
こちらは固定資産税と違って、取得して間もなく納付書が送付されるのですが、取得時に1度だけ払うもの。不動産取得税の税率は、住宅は3%、住宅以外は4%です。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率
④国税の「登録免許税」
不動産物件を購入して所有権移転などの登記を行う際、登録免許税がかかります。登記は法務局で行うので、登録免許税は国税。また住宅ローンを利用して抵当権を設定したり、ローンが終わって抵当権を抹消する時も登録免許税がかかります。
所有権の登記:固定資産税評価額 × 所定の税率
抵当権の登記:債権額(住宅ローンの借入額)× 所定の税率
税率は登記内容によってそれぞれ異なります。
2. 固定資産税評価額を知るうえで重要な10個の用語
①固定資産税評価額
固定資産税評価額とは固定資産税の計算で使われるもの。
国が定めた固定資産評価基準にもとづき、地方の市町村がそれぞれの土地・建物に付した評価額のことです。土地は公示価格・建物は建築費の約7割で付けられています。土地においては時価が変わるので、3年毎に見直し。
②課税標準額
課税標準額とは、基本的には固定資産税評価額のこと。
本来であれば課税標準額と固定資産税評価額は同じになりますが、税金のさまざまな特例が適用されると、固定資産税評価額より課税標準額の方が安くなるといったこともあります。
③標準税率
標準税率とは税金を計算するときにかけられる税率。固定資産税の標準税率は1.4%と全国一律。
しかし固定資産税は市町村に払うもので、財政難の地域であれば標準税率が変わることもあります。
④固定資産課税台帳
固定資産課税台帳とは資産の評価のための台帳のことで5種類あります。
- 土地課税台帳
- 土地補充課税台帳
- 家屋課税台帳
- 家屋補充課税台帳
- 償却資産課税台帳
⑤納税義務者
固定資産税は毎年1月1日時点で登記簿上で所有権のある人に対して課税されます。
途中で売買などで所有権が移転されても月割り計算などはありません。
1月1日時点での所有者に1年分の支払い義務が発生します。
よって不動産売買においては、必ず固定資産税の精算が行われるのが通例です。そこでは月割りなどで買主が売主に支払うことで精算します。
⑥賦課(ふか)課税制度
固定資産税は賦課課税方式といって、国や地方が税額を計算して納付書を送るというパターン。
自動車税もこの方式で、こちらが何もいわなくても納付書を送ってきます。
一方で確定申告での納税は申告納税方式といい、申告しなければ納税ができません。
⑦土地の時価
土地の価格は常に一定でなく価値が上下します。土地の時価については次の3種類。
- 正常価格
- 相続税路線価から求めた評価額
- 固定資産税路線価から求めた評価額
土地の時価を決めるのは難しいので、多少の誤差が発生します。
⑧公示地価
公示地価とは国交省が提示する土地価格のことで、毎年1月1日時点における価格が公示。発表は毎年3月頃で、不動産売買における一つの目安となっています。
⑨実勢価格
実勢価格とは実際に売買された価格のこと。
不動産流通で取引される不動産物件の価格は、先ほどの公示価格と同じではありません。公示価格に様々な要素が加わり、売主や買主の意向も加味されるので、公示価格とはズレが生じます。
⑩路線価
路線価とは路線(道路)に面する土地の価格のことで、国税局が決定します。路線価は公示価格のおよそ8割程度に。
3. 難しくない!固定資産税評価額3つの調べ方
①各市町村から届く課税明細書で確認する
固定資産税評価額は市町村から送られる納税通知書の中に書いてあります。その中に固定資産税評価額が記載されているので、簡単に確認することができます。
②役所で閲覧できる固定資産課税台帳を確認する
もし納税通知書が手元にない場合は、市町村に置いてある固定資産税台帳を閲覧すれば、すぐに固定資産税評価額を確認することができます。
閲覧できる人は、固定資産税の納税義務者・借地人などに限定されます。閲覧手数料は少しかかる自治体が多いです。
縦覧とは何?
縦覧とは自分の土地や建物以外に、他人の固定資産税評価額も見ることができる制度。プライバシーの侵害だと思う方も多いかもしれませんが、所有者の名前や住所は載っていないのでご安心下さい。
これは自分の不動産の固定資産税評価額と他人のものを比較することで、公平な評価であるかを調べるものなので、とても大切です。
閲覧とは何?
閲覧とは、自分の土地や建物の固定資産税評価額などが記載された固定資産課税台帳を、いつでも見ることができる制度。
但し縦覧と違うのは、他人の固定資産税評価額は見れないところ。300円から400円程度の手数料がかかります。
縦覧と閲覧の違いを比較
縦覧 | 閲覧 | |
内容 | 土地・建物の評価額など | 土地・建物の評価額など(ただし自分の物件のみ) |
期間 | 4月1日~5月1日 | いつでも |
手数料 | 無料 | 300~400円程度(ただし縦覧期間中は無料) |
見る方法 | 希望地域の役所で閲覧 | 自分の物件がある地域の役所で固定資産課税台帳の写しが交付 |
③役所から入手できる固定資産評価証明書を確認する
もし固定資産税評価額を調べるため、役所へ行く時間がないという人は、郵送で固定資産税評価証明書を取り寄せることも可能。
その場合、インターネットで申請書をダウンロードし、記載された必要書類や手数料分の為替を同封して送れば、後日郵送してもらえます。
4. 固定資産税の課税決定時期について
先にご説明した通り、固定資産税は毎年1月1日時点の物件所有者に課税されます。
固定資産税評価額に基づき計算され、1月1日に課税が決定となります。もし年度途中で所有権移転が行われた場合は、新たな所有者に月割りで固定資産税を払ってもらうことが多いのですが、これはあくまでも自己責任で行われるもので、役所の関知はありません。
5. 固定資産税評価額はどうやって決まるの?
5-1. 土地の決定方法
土地の固定資産税評価額は、主に次の評価が参考にされています。
- 公示価格
- 都道府県地価調査価格
- 不動産鑑定士の評価
これらを総合的に判断し、約7割の価格が固定資産税評価額になっています。大ざっばに見ると、公示価格の7割と覚えておいてもいいでしょう。
5-2. 建物の決定方法
一方で建物の固定資産税評価額の計算は、土地の場合と少し違います。
土地は価格の変動がありますが、建物では施設内の設備や築年数などがポイントに。
一般的に建物の固定資産税評価額は建築費の約5割~7割と言われており、中古物件の場合には再びその建物を新築するとした場合にかかる費用を計算し、築年数に応じて評価が下がっていく仕組みになっています。
5-3. 区分マンションの固定資産税評価額はどうやって算出するの?
区分所有のマンションの固定資産税評価額は、戸建てと同様に土地・建物それぞれ評価されます。マンションは土地の持ち分が少ないので、土地の固定資産税評価額は安くなります。
ところが鉄筋コンクリート造などの建物は、木造戸建てより丈夫なので比較的税金が高めに。またマンションは最上階も最下階も固定資産税評価額は同じです。
5-4. 固定資産税の評価額に納得いかなければ不服申立てができる!
もし固定資産税評価額に不服があれば、市町村に対して不服申し立てが可能。
「予想していたよりも多い」とか「調べていた額と違いすぎる」と不審に思うことがあれば、納税通知書の公布日から60日以内に不服申立てを行ってください。
それを過ぎると固定資産税評価額が確定して、間違っていても変更してもらえませんよ。
市町村の税金の中で固定資産税はとても大きな財源の一つ。ところがこの固定資産税評価額、一つ一つ職員の手計算で処理されているので、意外と職員のミスが多いんですよ。
計算間違いをしていたり、書類を見落としていたり、信じられないようなことが結構頻繁に起こっているんです。
件数がたくさんあり、時々間違っているということも起こるので、役所だからと安心せず自分の目でも確かめておきましょう。
6. 固定資産税の評価額と課税標準額は何が違うの?
6-1. 評価金額と納付金額による違い
土地の固定資産税評価額は、1月1日時点における地価公示価格の約7割。3年に1度は評価の見直しが行われます。
また納付金額は課税標準額に1.4%の税率がかけられたもの。課税標準額は固定資産税の実際の計算で使われる価格のことで、特例の適用があると固定資産税課税標準額と同じにはなりません。
6-2. 不動産により特例の適用があるため金額の違いがでる
固定資産税の計算においては、いくつか特例があるので、固定資産税評価額と課税標準額が違ってくることがあります。
特に土地の特例が適用されると、課税標準額が固定資産税評価額より安くなります。土地に特例が認められる理由は、土地価格の高騰で税金負担が増えることを防ぐため。1/6から1/10までおさえられることがあります。
7. 「土地の時価」は3種類ある
①正常価格
正常価格とは不動産流通における売買価格のこと。たとえば固定資産税評価額や公示価格よりもずっと高い値段で買いたいという人がいれば、当然売主はその値段で売るでしょう。
逆にかなり安い値段でなければ買い手がつかない場合、売主はやむを得ず値段を下げるかもしれません。つまり市場価格には人間の心理が加わるもので、これを正常価格といいます。
②相続税路線価
相続税路線価とは、相続税や贈与税の計算で基準となる評価のこと。
およそ公示価格の7割程度を目安に決められ、毎年7月から8月にかけて国税庁が発表。土地の相続税路線価は、接している路線(道路)の路線価に土地の広さ分をかけて計算をします。
③固定資産税路線価
固定資産税路線価とは固定資産税の計算で基準となる土地の評価方法で、道路に面した土地1㎡あたりの評価額です。
固定資産税路線価は、主に固定資産税・都市計画税・不動産取得税などで利用されています。
相続税路線価との違いは、同じ路線価であっても相続税路線価は公示価格の8割なのに対して、固定資産税路線価は公示価格の7割。
また相続税は国におさめる税金なのに対して、相続税路線価は国税庁が決定。一方、固定資産税は市町村におさめる地方税なので、固定資産税路線価は市町村が決定しています。
ちなみに「土地の価格」は5種類
5種類の価格の違いとは何?
土地の価格には以下の5種類が存在します。
- 実勢価格(時価)
- 公示地価
- 基準地価
- 固定資産税路線価
- 相続税路線価
実勢価格以外の土地価格は、国や地方による土地評価で、主に税金の計算に利用されています。
8. 固定資産税評価額が高くなってしまう場合はどんな時?
8-1. マンションや集合住宅等は注意が必要
マンションなどの集合住宅の固定資産税評価額も、戸建てのように土地と建物にわけて計算されます。
当然マンションは世帯数も多いので、土地の持ち分は非常に少なくなり、土地にかかる固定資産税評価額は低くなります。
ところが建物部分の計算には注意が必要。たとえばタワーマンションなどの高層階は、眺めも良く日当たりも良好。そのため同じマンション内でも、低い階の物件より値段が高めに。
しかし部屋の広さが同じ場合、どの部屋も固定資産税額は同じなんです。またマンションは鉄筋コンクリートなど丈夫な造りなので、新築でも中古でも固定資産税額があまり変わりません。
8-2. 建物の固定資産税評価額が減額しない場合がある
建物の固定資産税評価額は建築費を基準としています。建物の新築するのに要する費用が固定資産税評価額となり、年数がたっていくごとに減額。
単純に考えると、建物の固定資産税は年々安くなっていくように見えます。
ところが新築した当時の建築費より、現在の方が資材の高騰や物価上昇などの理由で高くなっているとします。すると建物の固定資産税評価額は低くなるどころか高くなることも。
これはお気の毒だということで、前回より値上がりした部分の固定資産税評価額を、国は免除してくれます。ただし前回と比較して同額ということは起こり得るので注意が必要です。
9. 固定資産税は建物や土地にかかる高額な税金になるので、あらかじめ固定資産税評価額で調べておこう!
不動産を購入すると、何かと目に見えない経費がたくさん。仲介手数料・印紙代・登記費用など、挙げたらキリがないほどたくさんの諸費用がかかります。
こうした費用は最初に払ってしまえばもう終わりですが、固定資産税は毎年払わなければなりません。
固定資産税は土地の場所や形状・建物構造によって大きく変わります。
特にマンションの場合は、管理費・修繕積立金・駐車場料など住宅ローン以外の負担が毎月あります。これに固定資産税が加わると、月額の住宅にかかる費用が相当高くなることがわかるはず。後で慌てないためにも、固定資産税評価額はしっかり調べて、いくら固定資産税がかかるか確認しておきましょう。
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