「贈与税の申告はしなくてもバレないのでは?」と考える人が多いのでは?
個人間の贈与は極めてプライベートなやり取り。
誰もいない密室でコッソリお金の受け渡しをすれば、税務署の職員には見つからないような気がしますよね。誰でも税金は払いたくないので、税務署に足が向かないかもしれません。
しかし贈与税を申告しないとある日突然バレるんです。
バレるタイミングは決まっているので、今回はそうした事例をまとめて紹介。また最近は国の財政が厳しいため、税金の徴収が厳しくなっています。
個人でもお金の流れがしっかりチェックされているんです。今回は贈与税の申告をしないことのデメリットなどご紹介。ここで少し勉強してみて下さい。
目次
1. 贈与税の無申告はバレてしまうのか?
贈与税は相続税対策として活用されています。
相続税は資産を相続した時点で一度に課税されます。もし被相続人が多くの財産を残した場合、相続人は一度に相続税の負担を強いられることに。
ところが被相続人が生きている間に少しずつ贈与申告することで、相続時の大きな税負担を免れることができるのです。
では、贈与があったことを申告し忘れてしまったり、故意に申告しなかった場合はバレてしまうのでしょうか?
遅かれ早かれバレてしまう!
実は贈与税がバレるか、バレないかについていえば、今まではバレないことも多くありました。
税務署の税務調査は、国民全員を追いかけまわしてお金の流れを調査することは物理的に不可能。
そのため贈与税の申告をしなくてもお咎めなしという人も多くいました。
ところが今は税金を確実に徴収するためのシステムが整備されており、贈与がバレやすくなっています。
すぐにはバレなくても、様々な書類の照合により齟齬が生じて、後々贈与がバレる仕組みが確立しつつあるのです。
無申告がバレるタイミング3つ
贈与税の無申告がバレてしまうタイミングとしては以下の3パターンがあります。
①税務調査|相続税発生時
不動産以外の現金なら相続時にバレます。
税務署は過去約10年間の銀行口座の履歴の調査権があります。
相続時から過去をさかのぼって贈与調査が行われて、昔の贈与がバレてしまうので、ちゃんと自己申告することをおすすめします。
②お尋ね|不動産登記時
贈与税がバレるタイミングの一つは不動産登記。
不動産を贈与するということは、登記簿の名義を変更するということ。
そのタイミングで税務署にバレてしまいます。
③マイナンバーからバレる可能性も
贈与税がばれるケースの一つに、2016年に始まったマイナンバー制度があります。
あなたもすでにご自分のマイナンバーをお持ちだと思いますが、2016年の所得税からマイナンバーを記入しなければ確定申告ができません。
これにより税務署は個人の収入の把握が容易にできるようになりました。
個人の収入が税務署で簡単に管理されるようになったことで、贈与税などのごまかしもきかなくなるでしょう。
もちろん銀行を利用せずお金を贈与したら、バレないのではと考える人もいるかもしれません。
しかしほとんどの人がお金を銀行に預けているので、引き出し記録によってバレることがあります。
もし税務調査が入って、一連のお金の流れが紐づけられ、無申告がバレてしまうと大変。そうならないために、きちんと申告することが大切です。
結局贈与税の無申告は、遅かれ早かれいつかバレるのです。
税務署の専門職員が調べたら、怪しいお金の動きはすぐわかります。
また税理士に相談しても、脱税といった違法行為を税理士は黙認してくれません。そうした依頼はまず断られます。
贈与税は控除や特例もたくさんあるので、節税対策をしっかりすれば追徴課税(次の項でご説明します)を支払う心配もありませんね。
贈与税は正しく適切に申告するように心がけましょう。
2. 贈与税無申告・申告漏れのペナルティとは
では実際、贈与税を申告しなかった場合のペナルティには何があるのでしょうか?
延滞税・加算税などの追徴課税がある!
贈与税の申告をしないと、過去の贈与分にたいして以下の税が課せられます。
- 延滞税(年14.6%)
- 加算税(年5%~最大40%)
贈与税は税率が高く、1,000万円を超えると40%もかかります。また無申告が後でバレると、非課税などの特例が一切利用できません。
そのため普通に申告しておいた税額の何倍にもなってしまうかもしれません。
また悪質な場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という刑事罰に処されることも。
いずれにせよ無申告は違法行為なので、しっかり申告しておきましょう。
贈与税申告の時効が延長される可能性も
贈与税には6年の時効があるので、うまく逃れられると考える人もいるかもしれません。
起算日は申告期限日。つまり3月中旬の確定申告の最終日から数え始めます。この日から6年経過すれば贈与税を払う必要がありません。
ただし意図的に申告しなかった場合の時効は7年に。また悪質とみなされた場合、時効が認められないことがあるので気を付けましょう。
時効となっても相続税となることも
そして、相続の時に過去の贈与がバレた場合、贈与税では時効となっても相続税としてとられてしまうのです。
その時にはかなりの税金がかかり、税金が払えない可能性も。
少しずつ申告しながら、税金の大きな負担を軽減させることをおすすめします。
贈与税が払えない場合は放置するのではなく、延納の申請をしましょう。
以下の条件を満たすことで、最大5年、贈与税の延納が可能になります。
- 贈与税が10万円以上
- 一括納付が厳しい事情がある
- 延納の申請書を提出する
- 延納税・利子税の額に応じた担保がある
年6.6%の利子税がかかりますが、延滞税や重加算税よりも課税割合は少ないです。
3. 贈与税の申告方法
ここからは贈与税の対象となる人と贈与税を申告する手順について説明していきます。
贈与税の申告が必要な場合とは
1月1日から12月31日までの1年間に財産の贈与を受けた受贈者で、次の場合にはを贈与税の申告が必要です。
- 110万円を超えて暦年贈与※をする場合
- 相続時精算課税を適用するとき
※暦年贈与…年間110万円以下の贈与は非課税になるという基礎控除を利用した贈与。
もし110万円以上の贈与であれば、差額分が課税対象になります。
また配偶者から居住用の不動産や住宅購入資金を贈与された場合、2,000万円を上限として贈与税控除の特例が受けられるので、申告書を提出しなければなりません。
注意すべき点は、特例などにより税額が0円でも申告書の提出をしなければ贈与税が発生すること。特例は期限内に行わなければ課税されるので注意しましょう。
一方、相続時精算課税は2,500万円までの贈与が非課税になるものですが、贈与した人が亡くなった場合、過去の生前贈与も相続税として課税されます。
この暦年贈与と相続時精算課税は併用できません。
申告期限と提出先|所轄の税務署へ
贈与税の申告は贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までです。
受贈者は住民票のある所轄税務署(基本的に申告者の住所地)に提出します。
贈与税の申告は、郵送又は税務署に持参、あるいは投函しても構いません。
またe‐Taxなどの電子申告も可能。最近は確定申告のための会場が期間中あちこちに設置されているので、そちらでも大丈夫です。
贈与税の申告に必要な書類
①贈与税の申告をする場合
- 贈与税の計算明細書
- 住宅取得等資金の非課税の計算明細書
- 相続時精算課税の計算明細書
②贈与税の配偶者控除特例の申告をする場合
- 受贈者の戸籍謄本又は抄本
- 受贈者の戸籍附票
- 受贈者の住民票
- 対象となる不動産の登記事項証明書
③相続時精算課税の申告をする場合
- 相続時精算課税選択届出書
- 受贈者と贈与者の戸籍謄本又は抄本
- 受贈者の戸籍附票の写し
- 受贈者の住民票の写し
- 贈与者の戸籍附票の写し
④住宅取得等資金の非課税適用の申告
- 受贈者の戸籍謄本
- 受贈者の該当年次の所得金額がわかる書類(源泉徴収票など)
⑤住宅取得等資金の贈与と相続時精算課税選択の特例の申告
- 受贈者の戸籍謄本又は抄本
- 受贈者の戸籍附票
- 受贈者の住民票
- 対象となる不動産の登記事項証明書
贈与税申告書の記入方法
贈与されるそれぞれの財産ごとに、種類・細目・利用区分などを記入しなければなりません。
現金であれば簡単ですが、不動産に関わる贈与税であれば、売買契約の締結日・固定資産税評価額など物件の詳細の記入も必要になるので、準備する書類がたくさんあります。
申告書の記入方法については、国税庁の「贈与税の申告のしかた」を参照してください。
4. 贈与税の納税はどうやるのか?|2通りのやり方
贈与税の納期限は毎年確定申告が終わる3月中旬の該当する日で、以下の3種類の方法で納税します。
①現金納付
納付書を使って金融機関、または所轄の税務署の窓口で納付する方法です。
基本的に納付書は金融機関に用意してありますが、ない場合は所轄の税務署に連絡しましょう。
②電子納税(インターネットバンキング・ダイレクト納付)
ペイジー対応の銀行や、インターネットバンキングでも納付することができます。
ペイジーを利用するためには利用するための銀行で別途インターネットバンキングの登録が必要です。
ダイレクト納付については事前に税務署に届出をしておくことで、e-Taxで電子申告をすると指定した日(即時も可)に贈与税を銀行口座から振替することができます。
ただ、ダイレクト納付の利用届出書を提出してからダイレクト納付が利用できるまで約1カ月かかるので余裕をもって申請しておきましょう。
5. 贈与税の申告内容にミスがあった場合の対処法
贈与税を期限内に申告しても、内容に不備やミスがあると、追徴税がかかる場合があります。
書類を作成したら、念入りに確認してから申告しましょう。
少なく申請してしまった場合|修正申告書を提出
贈与税の申告で記載内容にミスがあり、申告額が少なかった場合、後から贈与税の修正申告ができます。
しかし、これにより追加で納付する税額に延滞税として年6.6%がかかります。
多く申請してしまった場合|訂正申告を提出
贈与税の申告で、誤って多く申告して贈与税を払いすぎた場合、申告書の提出期限から1年以内の間であれば、訂正申告できます。
ただし払いすぎた贈与税が必ず戻るとは限りません。
訂正申告についてどういう経緯であったか細かく調査され、税務署長が税額の減額更生を認めた場合に限り返金されます。
つまり税務署長が税額更生の必要がないと判断した場合、税金は戻りません。
申告内容にミスがあるといずれにせよ追徴課税は免れません。
贈与税の申告はくれぐれもミスのないように、書類をそろえるところ~納付まで慎重に行いましょう。
6. 無申告のペナルティは手厳しい|贈与税は期限までに納付しよう!
贈与税の申告は期限内に正確に行わなければ、申告者に不利益になることがたくさんあります。
一番避けたいのは、無申告が後でばれて税務調査を受けるケース。特に高額な場合には悪質とみなされ、実刑判決になることも。
そうなると新聞やニュースに出てしまい、社会的信用を失ってしまいます。
こうした事態だけは絶対に避けたいので、きちんと節税対策を行って申告をしましょう。
贈与税の特例制度を利用した節税対策については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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