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相続税の計算方法を順番に沿って分かりやすく解説|ポイントは「遺産総額」と「控除額」

相続税の基礎控除額が減額されたことをご存知ですか?

つまり、今までなら相続税を支払わなくてよかった人が、支払わなければならないかもしれないのです。現に、預貯金はないのに家があったため相続税を支払わないといけなくなった人が少なくありません。

相続した家が地価の高いところにあれば、それだけで相続税を支払わなければならないケースが増えてきたのです。相続税は、他人事ではありません。

遺産総額の算出方法や控除額のポイントを押さえれば、それほど難しい計算ではありません。

まずは、おおよその税額を知ってください。

なぜなら、税金を支払う必要があれば、早めに相続対策を講じなければならないからです。そのためにも今回は相続税の計算方法を分かりやすくご紹介します。

①遺産の総額を算出する

相続税を計算するときには、まず遺産の総額を算出する必要があります。

総額に加算しなければならないものや逆に総額に入りそうで入らないものをご紹介しましょう。

遺産総額の計算方法

遺産総額の計算では「プラスの財産」や「マイナスの財産」という言葉があります。

  • プラスの財産…預貯金や土地・建物のような相続により得をする財産
  • マイナスの財産…借金のような相続により損をする財産

遺産総額の計算方法は、下記のようになります。

遺産総額の求め方
(プラスの財産-課税されない財産)-(マイナスの財産+葬儀費用)+相続前3年以内に贈与された財産

具体的に数字を入れてみましょう。

具体例
★「プラスの財産」

  • 現金・預金          1,000万円
  • 土地・建物          5,000万円
  • 生命保険(みなし相続財産)  1,500万円

★「課税されない財産」

  • 生命保険の非課税額     -1,500万円

★「マイナスの財産」

  • 借入金            -500万円

★「葬儀費用」

  • 葬儀費用           -300万円
「資産総額」           5,200万円

みなし相続財産とはどんなものが含まれるのか?

死亡保険金や死亡退職金も相続財産に含まれます。

両方とも本人が亡くなったときに遺族に支払われるお金なので「みなし相続財産」というのです。

死亡保険金も死亡退職金も受取人は遺族になっていますが、どちらも本人の積立や働きにより発生するので本人の財産と「みなす」という考え方です。

死亡保険金と死亡退職金の取り扱いについて

死亡保険金も死亡退職金も非課税額が設けられています。

なぜなら、両方とも、遺産総額に含まれますが、そもそも本人の死亡により残された遺族の生活のためのものなので、そのまま課税するのは気の毒だからです。

非課税額の求め方
500万円×相続人の数

死亡保険金も死亡退職金も相続人が3人いれば課税されることはありません。

たとえば、妻と子ども2人で「500万円×3人=1,500万円」になりますね。

相続を開始する3年以内に法定相続人に贈与した財産の扱いについて

本人が亡くなる前3年の間に法定相続人に贈与した財産も遺産総額に含めなければなりません。

なぜなら、もし含めないとすると、亡くなる前に贈与して相続税を軽減しようとするかもしれないからです。

遺産である土地を評価する方法について

相続財産としては、不動産のイメージが強いでしょう。では、土地の評価額はどのように計算するのでしょうか?

具体的には、「路線価」と「倍率」を使用して計算します。

路線価の計算方法について

国税庁が定める土地の価格を「路線価」といいます。

毎年1月1日に評価して8月頃に公表されることになります。路線価は国税庁のホームページに記載されているので参考にしてください。

参照URL:国税庁・路線価図・評価倍率表

倍率の計算方法について

路線価は全国各地に指定されているわけではありません。

メインの市街地の道路にのみ指定されています。そこで、路線価が指定されていないところでは「倍率」により土地を評価します。

倍率の計算方法は「固定資産税評価額×倍率」になります。

固定資産税評価額は3年ごとに見直され、市町村役場などで閲覧可能です。なお、具体的な倍率については国税庁のホームページに記載されています。

参照URL:国税庁・路線価図・評価倍率表

その他にどんな価格があるのか?

土地の評価額を設定するには、用途に応じて路線価以外にも、さまざまな価格が公表されています。

名称 内容
公示価格 国土交通省により毎年公表される価格
基準価格 都道府県知事が国土利用計画法にもとづき公表する価格
固定資産税評価額 固定資産評価基準により不動産を評価する価格

関連記事1つの土地に5つの評価額?!一物五価の意味と計算方法をわかりやすく大公開

2024.02.26

遺産である建物を評価する方法について

建物の評価方法は「建築された建物」と「建築途中の建物」で評価の仕方が異なります。

すでに建築が終わった建物の評価方法

すでに建築が終わった建物の評価額は、固定資産税評価額が相続税評価額になります。

市町村役場の固定資産税台帳や固定資産税の課税証明書で確認してください。

すでに建築が終わった建物の評価方法
固定資産税評価額

現建築途中の建物の評価方法

建築途中の建物の評価方法は、建築費用の額の7割が評価額になります。

建築途中の建物の評価方法
費用現価の額×0.7

②遺産総額から基礎控除額を引く

相続税は遺産総額のすべてに課せられるのではありません。遺産総額から基礎控除額を差し引いた残りの額に税率が乗じられます。したがって、遺産総額が基礎控除額を下回れば相続税を支払う必要はありません。

基礎控除額を計算する方法について

基礎控除額の求め方
3,000万円+600万円×相続人の数

たとえば、相続人が妻と子ども2人であれば「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」が基礎控除額になります。

遺産総額が4,800万円以下であれば相続税を支払わなくてもかまわないのです。

なお、現行の基礎控除額は平成27年に改正されました。それ以前の基礎控除額よりも少なくなっているので注意が必要です。

③法定相続人の各人の課税価格を計算する

資産総額から基礎控除額を差し引いて残った金額を、法定相続人が法定相続分により相続したとして、相続人ごとに相続額に応じた税率を乗じます。

相続人の取得額から見る税率・控除額の早見一覧表

相続した金額により税率が異なります。

相続した額から、乗じられる税率や控除される額を確認することができる「税率・控除の早見一覧表」をご紹介しましょう。

法定相続分により相続したとされる額 税率および控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%-50万円
5,000万円以下 20%-200万円
1億円以下 30%-700万円
2億円以下 40%-1,700万円
3億円以下 45%-2,700万円
6億円以下 50%-4,200万円
6億円超 55%-7,200万円

参照URL:国税庁・相続税の税率

法定相続人の各自の相続税の合計を出す

たとえば、遺産総額から基礎控除額を差し引いた後の残額が3,000万円だとしましょう。

相続人は、妻と子ども2人です。

3,000万円を法定相続分である、妻1/2・子1/4・子1/4でわけると、妻…1,500万円・子…それぞれ750万円を相続することになります。

④相続税の総額を相続した遺産の割合で分割する

それぞれの額を「税率・控除の早見一覧表」にあてはめると、妻…175万円、子…それぞれ75万円が税額になり、合計すると総額で325万円です。

法定相続分により相続したとされる額 税額の求め方
1,500万円 1,500万円×15%-50万円=175万円
750万円 750万円×10%=75万円
750万円 750万円×10%=75万円

法定相続分で計算した税金の総額である325万円を実際に相続した割合で計算しなおします。

たとえば、実際には相続分をそれぞれで3等分したのなら、各自の税額も3等分になるのです。

⑤各自の事情により増額や減額をして相続税の額を決める

上記により相続人各自の税額が計算されるのですが、さらに、それぞれの相続人の事情に応じて計算された税額を軽減したり加算したりします。

税額控除とはどんなもの?

税額を控除することを「税額控除」といいます。代表的な税額控除が、配偶者控除です。

亡くなった人の配偶者であれば、相続財産が法定相続分の額と1億6,000万円のいずれか大きな額までは非課税になります。

その他にも法定相続人が未成年者や障害者であれば特別に控除されることになります。

また、被相続人自身が相続開始の前10年以内に相続をしていた場合にも税額が軽減されるのです。

税額が加算される場合はどんな時?

被相続人の1親等の血族や配偶者でない相続人であれば税額が加算されます。

相続人が1親等の血族や配偶者でなければ税額が20%加算されるのです。

相続税を簡単計算できるサイトを紹介!

相続税の計算というと大変複雑なように思います。

ところが、数字を入力するだけで簡単に計算してくれるサイトがあるのでご紹介しましょう。

相続税(法定相続)高精度計算サイト

生活や実務に役立つ計算サイトである「ke!san」では、遺産総額や配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹を入力すると、法定相続分に応じた相続額と税額を計算してくれます。

参照URL:「ke!san」

相続税簡単計算機

税理士法人フォーエイトの「相続税かんたん計算機」では、7つの質問に対して「ある」「ない」「わからない」のいずれかを選択するだけで、「相続税を支払う可能性」や「節税の可能性」を判断してくれます。

参照URL:「相続税かんたん計算機」

相続税の計算はややこしいので順を追って1つづつ計算しよう!

相続税の計算についてご紹介しましたが、税額を計算するまでには、ややこしいさまざまな手間があったと思います。

しかし、財産があれば、相続税の支払いは避けて通ることはできません。

節税対策を考えるにしても、まずは、税金を支払わなければならないのかどうかを知る必要があるでしょう。

たとえば、基礎控除額を下回る資産総額であれば、そもそも節税対策の必要はありません。

遺産総額の計算から、ひとつひとつ順番に計算していけば、それほど難しい計算式はなかったはずです。

まずは、基礎控除額を超えるかどうかを確認することが最初のポイントになりますね。

 

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