2009年から運用が開始されてまだ日が浅い「仮想通貨」。そして仮想通貨元年ともいわれる2024年から早1年。
ビットコインでご存知の方も多いかもしれませんが、仮想通貨関連のニュースを見ない日はなくなりました。
2021年1月現在CoinMarketCapに登録されている仮想通貨の種類は1465種類に達しています。
法整備が進み、仮想通貨決済ができる店舗が増えたりとまだまだ未知数の可能性を秘めていますが、
不動産業界にはどのぐらい進出しているのでしょうか?
また、仮想通貨の運用で得たお金を不動産投資に使うことにどんなメリットがあるのでしょうか?
今回は「不動産業界での仮想通貨」に注目して分析していきます。
目次
1. 2021年1月現在:そもそも仮想通貨の普及率は?不動産業界への影響は?
日本での仮想通貨の普及率はまだ10%には乗らないと言われていますが、
- 数々の投資家や大手企業・銀行の算入
- 億以上を仮想通貨で稼ぐ「億り人(おくりびと)」の出現
- 仮想通貨決済が可能な店舗の増加
(2021年1月19日現在 通信販売:59件、実店舗:236件 ビットコイン日本語情報サイトより https://jpbitcoin.com/shops#other)
などの要因が重なって保有者も増え、今爆発的な人気を起こしています。
国内での全仮想通貨の取引総額が2024年1月は約1.8兆円だったのが2021年1月には82兆円を記録しました。
不動産取引でも仮想通貨取引が可能に?!
不動産市場にも仮想通貨は徐々に進出しています。
例えば海外ではスペインに拠点を置く不動産会社「Mister Piso」がビットコイン決済のみの不動産を販売しました。同社のマネージャーのGerard Platero氏は
これはよりクリーンな取引であり、取引に際して現金は必要無い。ビットコインウォレットと無形の通貨があれば良い。もし物件を見て気に入れば、支払うと署名をし、公証人を依頼する代わりにその場でビットコイン価格に基づいた非常に迅速な取引を行うことが可能だ。これは双方にとってメリットがある。
引用:Coin Choice https://coinchoice.net/spain_btc_real-estate-sales/
とビットコイン取引による期待を寄せています。
このように「仮想通貨で不動産取引をしよう」という会社は国内でも増えています。
2. 国内不動産業界でも仮想通貨決済できるサービスが急増中?
日本で初めて仮想通貨決済で不動産取引ができるようになったのは2023年9月。
JITホールディングス株式会社(https://jithd.co.jp/bitcoin/)が仲介手数料や物件代金の支払いをビットコインやイーサリアムで決済できるようにしたのが始まりです。
これを機に日本の不動産業界でも仮想通貨で取引を進めようという動きが活性化してきました。
仮想通貨を活用している日本の不動産業者は後(項目4)で説明します。
3. 他業界でも活用が急速拡大中!その事例を一部公開
2024年4月に「仮想通貨法」(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案)が施行されました。
つまり、「仮想通貨が今流通している通貨と同等の価値がある」ということが国に認められたということです。
それから不動産業界だけにとどまらず、国内の各業界で仮想通貨は圧倒的な広がりを見せました。
例えば仮想通貨決済に対応している店舗やサイトで
- 買い物する
- 旅行に行く
- 食事をする
- 投資する
- 電気代を払う
といったことから、ブロックチェーン技術(※)を利用して
- 食品流通管理
- 選挙
- スマートフォンゲーム開発
など様々なことに活用できるようになったのです。
※ブロックチェーン(分散型台帳技術)とは・・・ビットコインを支えるものとして開発された。ネットワーク内での取引記録を「ブロック」に記録し、つながるように保存されたものがブロックチェーンとなる。
特定の権限者がいなく、ユーザー同士によって分散して管理される。
取引データは「ハッシュ値」という関数によって暗号化され、不正があってもすぐにわかるので改ざんされにくいという特徴がある。
不動産で仮想通貨を活用する方法とは?
では、不動産業界で仮想通貨にはどのような使い道があるのでしょうか?なんと全てが去年と今年(2017~2021年)で可能になった活用法です。
- 物件を仮想通貨で購入
- 初期費用を仮想通貨で支払う
- 物件仲介手数料を仮想通貨で支払う
- 家賃を仮想通貨で支払う
- 光熱費を仮想通貨で支払う
まだまだ導入している会社は少ないですがこれからの不動産取引の手段としてどんどん発展していくことが予想されます。
4. 仮想通貨決済できる・導入予定の不動産業者一覧 ※随時更新
2021年1月23日時点で仮想通貨決済に対応している、また導入を予定している不動産業者とその中身をご紹介します。
①独自の仮想通貨「シノケンコイン」を発表|シノケン
投資用不動産の販売・賃貸不動産管理などを行っているシノケングループが2023年12月にブロックチェーン技術を活用し、オリジナル通貨の「シノケンコイン(通称SKC)」・「シノケンアプリ」の開発を決定したことを発表しました。
「シノケンアプリ」が「シノケンコイン」のプラットフォームになり、オーナー側には
- 賃貸管理に関する情報の提供
- シノケンコインの利用
- 仮想通貨による手数料の支払い
入居者側には
- 生活上に便利な情報の提供
- 様々なサービスへの申し込み
- シノケンコインによる家賃、光熱費の支払い
等ができるようになることが予想されます。
(シノケン https://www.shinoken.co.jp/)
②仮想通貨で物件売買ができるプラットフォーム「ヘヤジンコイン」|イタンジ
2021年1月に不動産会社の「イタンジ」が中古不動産売買のビットコイン決済サービスを開始。
仮想通貨で購入可能な物件のポータルサイト「HEYAZINE COIN」をリリースしました。
仮想通貨を保有している投資家が、投資用物件をスムーズに投資できるようになります。
(HEYAZINE COIN https://coin.heyazine.com/)
③取扱物件の仮想通貨決済を解禁|ルーデンホールディングス
不動産アレンジメントやメンテナンス事業を手掛けるルーデンホールディングスは2021年1月に
ビットコインでの決済サービスを開始し、物件代金や仲介手数料、その他諸費用までをビットコインで決済できるようになりました。
1回の決済につき1億円相当のビットコインまでという上限があります。
(ルーデンホールディングス http://www.ruden.jp/)
④ブロックチェーンを管理システムに導入|積水ハウス
積水ハウスとbitFlyer(ビットフライヤー)の共同事業として2024年4月に「ブロックチェーン技術を使用した不動産情報管理システム」を作っていくことを発表しました。
2024年度内をめどに、
- 賃貸住宅の入居契約などの情報管理
- 賃貸住宅の市場供給
- 物件管理
- 賃貸の募集・案内
- 賃貸住宅の入居者管理
などをIoTアプリケーションでリリースし、入居希望者の内見・入居手続きなどを利便化し、満足度の向上を図ります。
(参考:「ブロックチェーン技術を活用した不動産管理システムの構築を開始」資料
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/27/20170427_2_1.pdf)
⑤ビットコインとイーサリアム決済を解禁| JITホールディングス
2023年9月に国内で初めて不動産の仮想通貨決済を解禁したJITホールディングス株式会社は、国内と海外の不動産の売買と運用をサポートしている不動産会社です。
物件代金・仲介手数料・その他諸費用の仮想通貨決済が可能。
国内不動産に限らず、海外不動産にも投資することができます。
(JITホールディングス https://jithd.co.jp/bitcoin/)
⑥仲介手数料と初期費用をビットコイン決済可能に|コインチェック
仮想通貨取引所で有名なコインチェック株式会社は不動産事業での仮想通貨決済にも力を入れています。
2024年1月に東京の高級不動産賃貸会社beberiseが提携して、賃貸不動産の初期費用をビットコインで支払いできるようになりました。
また2024年5月にはコインチェックが都内で運営する不動産仲介会社にビットコイン決済システムを導入しました。
将来的には不動産販売事業での仮想通貨決済を目指しています。
(Coincheck http://corporate.coincheck.com/)
5. 仮想通貨で不動産を買う時の注意点
仮想通貨で得た所得は「雑所得」となり、利益を得れば得るほど高額の税金(最大45%)がかかります。
仮想通貨決済で直接不動産を購入すると法定通貨に換金していないため、税金がかからないので節税になるといわれています。
しかし、いくら節税になるからといって下調べもせずに適当に物件を買ってしまうのはNGです。入居者が現れず、空室が続くと逆に出費が増えてしまうことすらあります。
不動産は所有しているだけで管理維持費・修繕費・固定資産税などのランニングコストがかかるためです。
基本的な知識はつけ、信頼できるパートナーを見つけ、収益の見込める物件に投資しましょう。
不動産投資が初めての方は以下の記事を参考にしてみてください。
6. 仮想通貨の利益を不動産に活用するメリット
今回は主に「仮想通貨で不動産投資」をすることによって生まれるメリットについて説明していきます。
得たお金で更にお金を増やすことができる不動産投資。仮想通貨を活用した方がいいワケとは?
6-1. 節税になる
先述通り、数千万~数億円の利益を仮想通貨で得た投資家には高い税金がかかります。
しかし、仮想通貨で直接不動産を購入することで法定通貨に換金されていないため、その税金がかからなくなります。
また、「雑所得」で経費計上できる項目が少ない仮想通貨と違い、
家賃収入は「不動産所得」となり、実際の支出がないのに経費にできる減価償却費をはじめ保険料・管理委託料など経費計上できる項目がたくさんあるのです。
6-2. ローンを組む必要がない
仮想通貨でそれなりの利益を得た人はローンを組むことなく不動産投資を行うことができます。
ローンを組んだ際の利息が必要がなくなる上、銀行とやりとりをしてローンを組む手間も減ります。
ローン返済ももちろん不要なのでその物件で家賃収入はそのまま自分のものにできます。
6-3. 価格変動が少ない
仮想通貨は株などと同じように価格変動が激しいものです。不動産は一瞬にして暴落するということはまずありません。
運用で増やした仮想通貨を不動産投資に回し、更にお金を堅実に増やしていくというのも有効な活用法です。
7.仮想通貨の話題性と危険性が浮き彫りになったCoincheck(コインチェック)事件
2021年1月26日。大手仮想通貨取引所のコインチェック(東京・渋谷)のシステムがハッキングされ、事件発生時点での時価約580憶円相当の仮想通貨NEM(ネム)が盗難されるという事件が発生しました。コインチェック内に口座を持つ個々人の資産が何者かの手により不正送金されたのです。
※仮想通貨市場最高額のハッキング被害です。
2024年に仮想通貨の市場規模が大幅に膨れ上がり、億り人(総資産が1億円に到達した人の通称)を多く輩出したと言われてます。
しかしながらIMFが通貨としては認めておらず、実態としては投資商品ではなく投機商品です。
仮想通貨の拡大があまりにも急速すぎたため、日本のみならず世界においても法整備が整っていない事も2021年の問題点、論点となるでしょう。
自国通貨を守るために仮想通貨の流通を禁止した国さえ現れているのが現実です。
日本はむしろ世界的に見て、仮想通貨に関しては寛容的であり、金融庁は世界でいち早く登録業者制を導入しました。
コインチェックへの立ち入り調査が事件発生から4日。原因追及や再発防止策の提出を求める業務改善命令も3日というスピードは異例のことです。
2024年4月に施行された改正資金決済法を元に、代替通貨としての発展を観察し、投資家保護の観点でもどう両立させるかといった姿勢でいた金融庁も今回の事件をきっかけに、どういった 法の施行を今後踏み切るかといった動向にも着目すべきでしょう。
ともあれ、仮想通貨はパソコンなどの通信機器を介したやりとりが必須のため、サイバー攻撃、ハッキングのリスクは必ず付いて回ります。
現在コンピューターウィルスは1日に6万種類生み出されているとも言われ、「必ず安全なセキュリティ」は存在しません。
ご提案したいことは分散投資
仮想通貨による大きな利益はかなり魅力的です。
MIRAIMOディレクターJunは昨年より仮想通貨を運用しており、意見を聞きました。
※今年の確定申告時の税金に震えてる
そのおかげもあって、1月末からのビットコインをはじめとした仮想通貨の相場が下がっていることには動揺をしてないとのことです。
NEMで全財産を失ったという方々がいますが、全体的なリスクを見た場合に、一局集中した資産形成はオススメしません。
今回は不動産に偏った仮想通貨の「使い方」でしたが、今後の金融サービスを鑑みて、適宜な資産運用をしていきましょう。
8. 今後も期待度高し!仮想通貨を使った不動産事業
新しい資産運用の方法として、そして日常の買い物まで様々なことに利用可能になってきた仮想通貨。
不動産業界にも着々とその手を伸ばし続けていることがお分かりいただけたかと思います。
仮想通貨の運用で増やしたお金で賃貸を借りたり、不動産投資として堅実な投資に回したりと使い方は様々。
不動産投資に回すことによって節税効果も期待できます。
仮想通貨元年となった2024年。
2021年で二年目となった今年はどんな飛躍を遂げてくれるのでしょうか?不動産業界にもまた別のサービスが出てきたりするのでしょうか?今後が楽しみですね。
仮想通貨を使った不動産投資はちゃんと勉強すること・またよい物件を一緒に選んでくれるパートナー探しが重要です。
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